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2025.07.27

編集部コラム「10秒01と10秒00」

攻め(?)のアンダーハンド
リレーコラム??
毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ!
陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。
編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。
暇つぶし程度にご覧ください!

第297回「10秒01と10秒00」(小川)


リレーコラムをご愛読(?)の皆様、2週間ぶりのご無沙汰です……。またもやバトンパス失敗、どうぞご容赦ください。

昨日の広島インターハイの男子100m。月陸Onlineをはじめ、多くのメディアが報じているように、清水空跳選手(星稜2石川)が10秒00(+1.7)の高校新記録を打ち立て、東京世界選手権の参加標準記録を突破しました。

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それだけではなく、1組では菅野翔唯選手(東農大二2群馬)が追い風参考とはいえ10秒06(+2.4)と10秒0台。高校生が10秒0台を2人も出すという、新たな時代の到来を告げる大会となりました。

同じ競技場で行われた2013年4月の織田記念で、桐生祥秀選手(洛南・京都/現・日本生命)が出した10秒01は現地のスタンドで見ていて、思わずその場で立ち上がるほどの衝撃を受けたことを今でも覚えています。今回は動画で見ていたため、すぐに記録がわからず少し遅れての衝撃でしたが、「あの記録がこんなに早く抜かれるとは」というのが最初に思い浮かんだことでした。それほど、桐生選手の10秒01は当時では驚愕のタイムでした。

もし、今回も現地にいたとしたら、おそらくそれを上回る衝撃を感じたことでしょう。動画でも桐生選手に匹敵する驚きを感じたわけですから……。

1000分の1秒までの計測では「9秒995」。1000分の1秒以下が切り上げられるので、公認記録で9秒99を出すには9秒981~9秒990が必要なので、9秒台にはあと0.005秒だったわけです。これを見ても、まさに9秒台目前だったことをよくわかります。

桐生選手が10秒01を出したとき、日本記録は1998年に伊東浩司(富士通)が出した10秒00でした。つまり、日本人選手がまだ10秒の壁を破れなかった時代ということです。

「日本人初の9秒台なるか」の期待が爆発的に高まり、日本の男子100mは大きなに注目を集めることになりました。とりわけ桐生選手はインターハイ予選であろうと、記録会であろうと、すべてのレースで「9秒台なるか」と注目され、フィニッシュのたびにため息が起きる状況に。たとえ本人が記録を狙っていなくても、高校生にとっては歴代上位に入るような好記録だったとしても、「9秒台ならず」となるのは、後に本人がその中で走ることの苦しさを明かしています。

清水選手はまだ高校2年生。これから注目を集め続け、それを受け止め続けることは並大抵のことではないことは想像に難くありません。

ただ、桐生選手の時と違うのは、その後に桐生選手自身が日本人初の9秒台を成し遂げ、9秒台スプリンターが4人出ていること。さらに、サニブラウン・アブデル・ハキーム選手(東レ)が世界選手権の100mで2度ファイナルの舞台に立つなど、時代を切り開いた先輩たちがまだ現役で走り続けているということです。

高校生の走りに刺激を受け、先輩たちがさらなる奮起をすれば、日本人も9秒台を当たり前にできる時代がやって来るかもしれません。もちろん、そうなってほしいと願っています。

時代を切り開いた先輩たちの背中を追って、新しい才能が台頭する。スポーツはそのサイクルがどんどん回って、どんどん活性化していくもの。世界と真っ向戦う選手たちがそろう今の日本陸上界は、その好循環が続いているように感じています。もっともっと盛り上がっていってほしいし、盛り上げていきたいな~。

小川雅生(おがわ・まさお)

月刊陸上競技編集部 部長
1977年7月12日生まれ、47歳。173cm、67kg、AB型。大阪府東大阪市で出生、兵庫県尼崎市育ち。塚口中→尼崎北高→甲南大。3つ上の兄の影響で中学から陸上部に入り、大学まで取り組む(専門種目はハードル)。塚口中3年の時、OBで1992年バルセロナ五輪男子走幅跳代表の森長正樹さんの壮行会で生徒会長として花束を渡したが、当時の新聞には私の隣にいた書記のコメントが載っていたという実績を持つ。今季の健康診断では一時悪化も自己ベスト付近まで戻して胸をなでおろしている。

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第297回「10秒01と10秒00」(小川)

リレーコラムをご愛読(?)の皆様、2週間ぶりのご無沙汰です……。またもやバトンパス失敗、どうぞご容赦ください。 昨日の広島インターハイの男子100m。月陸Onlineをはじめ、多くのメディアが報じているように、清水空跳選手(星稜2石川)が10秒00(+1.7)の高校新記録を打ち立て、東京世界選手権の参加標準記録を突破しました。 それだけではなく、1組では菅野翔唯選手(東農大二2群馬)が追い風参考とはいえ10秒06(+2.4)と10秒0台。高校生が10秒0台を2人も出すという、新たな時代の到来を告げる大会となりました。 同じ競技場で行われた2013年4月の織田記念で、桐生祥秀選手(洛南・京都/現・日本生命)が出した10秒01は現地のスタンドで見ていて、思わずその場で立ち上がるほどの衝撃を受けたことを今でも覚えています。今回は動画で見ていたため、すぐに記録がわからず少し遅れての衝撃でしたが、「あの記録がこんなに早く抜かれるとは」というのが最初に思い浮かんだことでした。それほど、桐生選手の10秒01は当時では驚愕のタイムでした。 もし、今回も現地にいたとしたら、おそらくそれを上回る衝撃を感じたことでしょう。動画でも桐生選手に匹敵する驚きを感じたわけですから……。 1000分の1秒までの計測では「9秒995」。1000分の1秒以下が切り上げられるので、公認記録で9秒99を出すには9秒981~9秒990が必要なので、9秒台にはあと0.005秒だったわけです。これを見ても、まさに9秒台目前だったことをよくわかります。 桐生選手が10秒01を出したとき、日本記録は1998年に伊東浩司(富士通)が出した10秒00でした。つまり、日本人選手がまだ10秒の壁を破れなかった時代ということです。 「日本人初の9秒台なるか」の期待が爆発的に高まり、日本の男子100mは大きなに注目を集めることになりました。とりわけ桐生選手はインターハイ予選であろうと、記録会であろうと、すべてのレースで「9秒台なるか」と注目され、フィニッシュのたびにため息が起きる状況に。たとえ本人が記録を狙っていなくても、高校生にとっては歴代上位に入るような好記録だったとしても、「9秒台ならず」となるのは、後に本人がその中で走ることの苦しさを明かしています。 清水選手はまだ高校2年生。これから注目を集め続け、それを受け止め続けることは並大抵のことではないことは想像に難くありません。 ただ、桐生選手の時と違うのは、その後に桐生選手自身が日本人初の9秒台を成し遂げ、9秒台スプリンターが4人出ていること。さらに、サニブラウン・アブデル・ハキーム選手(東レ)が世界選手権の100mで2度ファイナルの舞台に立つなど、時代を切り開いた先輩たちがまだ現役で走り続けているということです。 高校生の走りに刺激を受け、先輩たちがさらなる奮起をすれば、日本人も9秒台を当たり前にできる時代がやって来るかもしれません。もちろん、そうなってほしいと願っています。 時代を切り開いた先輩たちの背中を追って、新しい才能が台頭する。スポーツはそのサイクルがどんどん回って、どんどん活性化していくもの。世界と真っ向戦う選手たちがそろう今の日本陸上界は、その好循環が続いているように感じています。もっともっと盛り上がっていってほしいし、盛り上げていきたいな~。
小川雅生(おがわ・まさお) 月刊陸上競技編集部 部長 1977年7月12日生まれ、47歳。173cm、67kg、AB型。大阪府東大阪市で出生、兵庫県尼崎市育ち。塚口中→尼崎北高→甲南大。3つ上の兄の影響で中学から陸上部に入り、大学まで取り組む(専門種目はハードル)。塚口中3年の時、OBで1992年バルセロナ五輪男子走幅跳代表の森長正樹さんの壮行会で生徒会長として花束を渡したが、当時の新聞には私の隣にいた書記のコメントが載っていたという実績を持つ。今季の健康診断では一時悪化も自己ベスト付近まで戻して胸をなでおろしている。
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