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2025.02.23

「ラストはいい切れ味」三浦龍司が納得の優勝 2位井川龍人も5000m12分台へ手応え/日本選手権クロカン
「ラストはいい切れ味」三浦龍司が納得の優勝 2位井川龍人も5000m12分台へ手応え/日本選手権クロカン

レース後、健闘を称えあった三浦龍司と井川龍人

◇第108回日本選手権クロスカントリー(2月22日/福岡・海の中道海浜公園)

26年1月の世界クロスカントリー選手権(米国・タラハシー)の代表選考を兼ねた第108回日本陸上競技選手権大会クロスカントリーが2月22日、福岡市の海の中道海浜公園クロスカントリーコース(1周2km)で行われた。

近年稀に見る寒さと強風の中で開催された今大会。日本代表経験者が多数エントリーした男子10kmは、パリ五輪3000障害8位の三浦龍司(SUBARU)が28分24秒で優勝した。ラストの直線まで競り合った井川龍斗(旭化成)が1秒差で2年連続の2位だった。

三浦は、順大1年で福岡クロカンに出場した際に「クロスカントリーは苦手」と話していたが、21年には日本選手権クロカンで初優勝。その年の東京五輪3000m障害で7位入賞したイメージがあり、今回も東京世界選手権を見据えた状態確認という点においても、勝ち切ることに大きな意味があった。

フィニッシュ前の仕掛けでスピードのある井川に競り勝ち、「いい立ち上がりができていると、確認することができました」と納得の表情。「特にラストは現段階ではいい切れ味だったと思いますし、中間のスタミナ面でも食いついて走ることができた」と、スタミナとスピードの両面で、順調に準備が進んでいる手応えがあった。

今後は、昨年と同じようにダイヤモンドリーグで世界選手権の参加標準記録や日本記録更新を狙っていく予定。三浦は「しっかりと、トラックシーズンにつながる走りができたので、世界選手権は、メダルというところを大きく目指していきたいと思います」と東京五輪を超える結果を求めていく。

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2年連続で惜敗した井川は、「持久力をメインに練習している時期なので、ラストまでは十分に余裕がありました。三浦くんを離すなら、早めに出ておくべきでしたね」と、レースプランの失敗を少し悔しそうに振り返った。元旦の全日本実業団駅伝では7区(15.6km)でトップ争いを演じ、持ち味のスパート力でチームを5年ぶりの優勝に導いた。トラックは5000mが主戦場。スピード持久で、今季は世界選手権参加標準記録を上回る「日本人初の12分台を狙いたい」と息巻く。

同じく世界選手権出場を狙う塩尻和也(富士通)は、28分29秒で3位。日本選手権10000mが4月に控えているためとから、例年より早めの調整を進めているという。その中で、「僕自身のこの大会のタイムと比べても、だいぶん速いタイムで走れています。勝負では負けてしまいましたが、タイムも含めていいレースにはできたのかなと思います」と、トラックへの移行がスムーズに進んでいることを伺わせた。

三者三様の目的と強みをぶつけあった3人。それぞれ異なる種目で世界を目指す25年シーズンが始まった。

文/田端慶子

◇第108回日本選手権クロスカントリー(2月22日/福岡・海の中道海浜公園) 26年1月の世界クロスカントリー選手権(米国・タラハシー)の代表選考を兼ねた第108回日本陸上競技選手権大会クロスカントリーが2月22日、福岡市の海の中道海浜公園クロスカントリーコース(1周2km)で行われた。 近年稀に見る寒さと強風の中で開催された今大会。日本代表経験者が多数エントリーした男子10kmは、パリ五輪3000障害8位の三浦龍司(SUBARU)が28分24秒で優勝した。ラストの直線まで競り合った井川龍斗(旭化成)が1秒差で2年連続の2位だった。 三浦は、順大1年で福岡クロカンに出場した際に「クロスカントリーは苦手」と話していたが、21年には日本選手権クロカンで初優勝。その年の東京五輪3000m障害で7位入賞したイメージがあり、今回も東京世界選手権を見据えた状態確認という点においても、勝ち切ることに大きな意味があった。 フィニッシュ前の仕掛けでスピードのある井川に競り勝ち、「いい立ち上がりができていると、確認することができました」と納得の表情。「特にラストは現段階ではいい切れ味だったと思いますし、中間のスタミナ面でも食いついて走ることができた」と、スタミナとスピードの両面で、順調に準備が進んでいる手応えがあった。 今後は、昨年と同じようにダイヤモンドリーグで世界選手権の参加標準記録や日本記録更新を狙っていく予定。三浦は「しっかりと、トラックシーズンにつながる走りができたので、世界選手権は、メダルというところを大きく目指していきたいと思います」と東京五輪を超える結果を求めていく。 2年連続で惜敗した井川は、「持久力をメインに練習している時期なので、ラストまでは十分に余裕がありました。三浦くんを離すなら、早めに出ておくべきでしたね」と、レースプランの失敗を少し悔しそうに振り返った。元旦の全日本実業団駅伝では7区(15.6km)でトップ争いを演じ、持ち味のスパート力でチームを5年ぶりの優勝に導いた。トラックは5000mが主戦場。スピード持久で、今季は世界選手権参加標準記録を上回る「日本人初の12分台を狙いたい」と息巻く。 同じく世界選手権出場を狙う塩尻和也(富士通)は、28分29秒で3位。日本選手権10000mが4月に控えているためとから、例年より早めの調整を進めているという。その中で、「僕自身のこの大会のタイムと比べても、だいぶん速いタイムで走れています。勝負では負けてしまいましたが、タイムも含めていいレースにはできたのかなと思います」と、トラックへの移行がスムーズに進んでいることを伺わせた。 三者三様の目的と強みをぶつけあった3人。それぞれ異なる種目で世界を目指す25年シーズンが始まった。 文/田端慶子

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