HOME 駅伝

2025.01.26

40歳・岡本直己が中国電力でラストランに笑顔「まったく実感が湧かない」今後も走り続ける/大阪ハーフ
40歳・岡本直己が中国電力でラストランに笑顔「まったく実感が湧かない」今後も走り続ける/大阪ハーフ

岡本直己(25年大阪ハーフ)

◇大阪ハーフマラソン(2025年1月26日/大阪)

大阪ハーフマラソンが行われ、今季限りで現役を引退する岡本直己(中国電力)が1時間3分27秒。46位だったが笑顔でフィニッシュした。

「これ(中国電力のユニフォーム)を着るのも今日が最後。まったく実感が湧きません」。そして、その人柄を表わすように「何も残していない僕のためにすみません」と照れくさそうに笑った。

1984年5月生まれの40歳。五輪、世界選手権代表歴はないが、多くのファンに愛され、後輩ランナーの目標となり続けたレジェンドだった。

鳥取・東伯中、由良育英高(現・鳥取中央育英高)を経て明大へ。大学2年時には、箱根駅伝予選会の14年ぶり突破に貢献し、2005年本戦に出場。3年連続でタスキをつなぎ、3年時には1区6位の成績を残し、4年時には花の2区(区間9位)を務めた。

2007年に中国電力へ入社。元日の全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)ではチームの大黒柱として主要区間を務め、10年では5区で区間賞に輝いた。その名を轟かせたのが所属先の本拠地・広島で1月に開催される全国都道府県対抗男子駅伝。出場は19回を数え、通算134人抜きを達成するなど、同大会の注目選手となった。

広告の下にコンテンツが続きます

マラソンはこれまで19回を走った。19年に行われた東京五輪代表選考レース・マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)で10位。22年大阪マラソンでは同学年の今井正人(トヨタ自動車九州/現・順大コーチ)と競り合いながら、37歳にして2時間8分04秒の自己ベストをマークした。23年10月に行われたパリ五輪MGCにも出場して16位の成績を残している。

パリ五輪MGCを終えてから「次の目標が見つけられない」と引退を考えはじめたといい、そのシーズンでは「自分が得意だった駅伝で失敗するようになり、自分の戦う土俵はもうない」と決意した。

「もうマラソン練習をしなくていいんだ、と気持ちが楽になったんです」と苦笑い。「長い距離が苦手でしたし、マラソンでは苦労して失敗が多かったので」。

競技生活を振り返ると、「やっぱりマラソンでオリンピックや世界選手権に出たかったので、最終的な目標に届かなかったので後悔はあります」。ただ、ラストランも含め多くの人たちが応援してくれ、自分の走りを称えてくれる。「この歳で褒めてもらえることってない。やっぱりこれがあるから走ってこられた。そういうところにいけたので、自分を納得させています」。

今後は社業に専念し、将来的に陸上の道に戻るとしても「一度はフルタイムで仕事をしておきたい。40歳の新入社員です」。だが、この日の走りでも手応えを感じたようで、「市民ランナーとして都道府県男子駅伝も狙ってみようかな。鳥取マラソンも走ります」と、これからも先も走り続けていく。

後輩たちに向け、自身が背中で伝えてきたように「あきらめなければ何かが起こるのが陸上のおもしろいところ」とエール。前半攻めて、中盤攻めて、後半攻める。攻め続けた競技人生。これからも。

◇大阪ハーフマラソン(2025年1月26日/大阪) 大阪ハーフマラソンが行われ、今季限りで現役を引退する岡本直己(中国電力)が1時間3分27秒。46位だったが笑顔でフィニッシュした。 「これ(中国電力のユニフォーム)を着るのも今日が最後。まったく実感が湧きません」。そして、その人柄を表わすように「何も残していない僕のためにすみません」と照れくさそうに笑った。 1984年5月生まれの40歳。五輪、世界選手権代表歴はないが、多くのファンに愛され、後輩ランナーの目標となり続けたレジェンドだった。 鳥取・東伯中、由良育英高(現・鳥取中央育英高)を経て明大へ。大学2年時には、箱根駅伝予選会の14年ぶり突破に貢献し、2005年本戦に出場。3年連続でタスキをつなぎ、3年時には1区6位の成績を残し、4年時には花の2区(区間9位)を務めた。 2007年に中国電力へ入社。元日の全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)ではチームの大黒柱として主要区間を務め、10年では5区で区間賞に輝いた。その名を轟かせたのが所属先の本拠地・広島で1月に開催される全国都道府県対抗男子駅伝。出場は19回を数え、通算134人抜きを達成するなど、同大会の注目選手となった。 マラソンはこれまで19回を走った。19年に行われた東京五輪代表選考レース・マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)で10位。22年大阪マラソンでは同学年の今井正人(トヨタ自動車九州/現・順大コーチ)と競り合いながら、37歳にして2時間8分04秒の自己ベストをマークした。23年10月に行われたパリ五輪MGCにも出場して16位の成績を残している。 パリ五輪MGCを終えてから「次の目標が見つけられない」と引退を考えはじめたといい、そのシーズンでは「自分が得意だった駅伝で失敗するようになり、自分の戦う土俵はもうない」と決意した。 「もうマラソン練習をしなくていいんだ、と気持ちが楽になったんです」と苦笑い。「長い距離が苦手でしたし、マラソンでは苦労して失敗が多かったので」。 競技生活を振り返ると、「やっぱりマラソンでオリンピックや世界選手権に出たかったので、最終的な目標に届かなかったので後悔はあります」。ただ、ラストランも含め多くの人たちが応援してくれ、自分の走りを称えてくれる。「この歳で褒めてもらえることってない。やっぱりこれがあるから走ってこられた。そういうところにいけたので、自分を納得させています」。 今後は社業に専念し、将来的に陸上の道に戻るとしても「一度はフルタイムで仕事をしておきたい。40歳の新入社員です」。だが、この日の走りでも手応えを感じたようで、「市民ランナーとして都道府県男子駅伝も狙ってみようかな。鳥取マラソンも走ります」と、これからも先も走り続けていく。 後輩たちに向け、自身が背中で伝えてきたように「あきらめなければ何かが起こるのが陸上のおもしろいところ」とエール。前半攻めて、中盤攻めて、後半攻める。攻め続けた競技人生。これからも。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.03.25

HOKAが「CLIFTON 10」発売に先駆けてイベント 鎧坂哲哉「クッション性とフィット感が良い」

デッカーズジャパンは3月25日、パフォーマンスフットウェア&アパレルブランド「HOKA」の人気シリーズの新作シューズ「CLIFTON 10(クリフトン 10)」の発売に先駆けてメディア向けの商品説明会・トークセッションを […]

NEWS 富士通加入の平林樹「世界一になる」鈴木康也は「マラソンで世界へ」

2025.03.25

富士通加入の平林樹「世界一になる」鈴木康也は「マラソンで世界へ」

富士通が3月25日、2025年度新加入選手の合同取材会見を開き、男子長距離の篠原倖太朗(駒大)、平林樹(城西大)、鈴木康也(麗澤大)、女子400mハードルの山本亜美(立命大)が登壇した。 城西大の主将を務めた平林は「こう […]

NEWS 400mH山本亜美が富士通へ「より一層の覚悟持って」目指すはロス五輪

2025.03.25

400mH山本亜美が富士通へ「より一層の覚悟持って」目指すはロス五輪

富士通が3月25日、2025年度新加入選手の合同取材会見を開き、男子長距離の篠原倖太朗(駒大)、平林樹(城西大)、鈴木康也(麗澤大)、女子400mハードルの山本亜美(立命大)が登壇した。 23年ブダペスト世界選手権代表の […]

NEWS 富士通入社の篠原倖太朗「すべてが自分の責任になる」今年は5000mで世界陸上狙う

2025.03.25

富士通入社の篠原倖太朗「すべてが自分の責任になる」今年は5000mで世界陸上狙う

富士通が3月25日、2025年度新加入選手の合同取材会見を開き、男子長距離の篠原倖太朗(駒大)、平林樹(城西大)、鈴木康也(麗澤大)、女子400mハードルの山本亜美(立命大)が登壇した。 駒大の主将を務めた篠原は、伝統あ […]

NEWS セイコーGGP 男子3000m障害に三浦龍司&青木涼真 女子1500mには田中希実、後藤夢が出場!

2025.03.25

セイコーGGP 男子3000m障害に三浦龍司&青木涼真 女子1500mには田中希実、後藤夢が出場!

日本陸連は3月25日、セイコーゴールデングランプリ陸上2025東京(5月18日/東京・国立競技場)の男女中長距離出場予定選手を発表した。 男子3000m障害ではパリ五輪8位の三浦龍司(SUBARU)、4大会連続で世界選手 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

別冊付録 2024記録年鑑
山西 世界新!
大阪、東京、名古屋ウィメンズマラソン詳報

page top