2024.12.27
トータル練習量の増加
そして今季、4年目にして初めて出雲駅伝(6区3位)、全日本でエース区間を担当。その後、インフルエンザに感染し、1週間くらい練習を休んだが、「実は体調を崩した後の練習で故障しがちだったので、そこは十分注意して、ゆっくりと状態を上げていきます」と焦りはない。
そこには過去3年に比べて、「トータルで見ると練習量は明らかに増えていると感じている」という手応えがあるからだ。
11月23日のMARCH対抗戦10000mで鶴川正也(4年)、黒田朝日(3年)、若林宏樹(4年)が27分台をマークするなど、主力が好走をみせるなか、自身は予定していた最終組を回避して1組目に出場。8000mまでペースメーカーを務めて、23分40秒だった。
「もちろん最終組も走りたかったですし、走れば27分台くらいは出せたと思いますけど、まあトラックのタイムにそこまで執着はないですね。それよりもインフル明けとしては悪くない走りだったので、そちらの方が良かったと思います」
迎える最後の箱根路。周囲の期待は自ずと高くなるが、太田自身は意に介さず、来たる決戦に平常心は変わらない。「僕はやりたいことをやっているだけで、箱根駅伝は大学で1番の目標なので、そこで試合を楽しむだけです。モチベーションがあるので、箱根に向けては自然と状態が上がってくると思っています」と淡々と話す。
マラソン志向が強く、卒業前には初マラソン挑戦も視野に入れるが、今は箱根駅伝に100%の精力を注いでいく。
「出雲、全日本で区間賞に届かなかったので、最後の箱根は区間賞、区間新、総合優勝を達成して、ゴールを笑顔で迎えて終わりたいと思います」
4度目の大舞台も、最後まで楽しみ尽くすだろう。その先に、箱根の歴史を変える爆走が見られるはずだ。
おおた・あおい/2002年8月26日生まれ。福岡県篠栗町出身。福岡・篠栗北中→福岡・大牟田高。5000m13分53秒10、10000m28分20秒63、ハーフ1時間2分30秒
文/田中 葵
1年時から箱根皆勤賞
11月の全日本大学駅伝。2年連続で7区に起用された青学大の太田蒼生(4年)が、またしても驚きの走りを見せた。 首位でタスキを受けた太田のすぐ後ろには、4秒差でスタートした國學院大のエース・平林清澄(4年)。前回、同区で区間賞を獲得した実力者で、状況的に平林が追いつき、並走する展開になると思われたが、その差は詰まるどころか、次第に広がっていった。 「すぐ後ろにいるのは分かっていたので、なるべく早い段階で引き離して諦めさせようと思いました。速いペースでもリズムよく入れたと思います」 まさに「駅伝男」の勝負勘と言うべきか。前もって決めていたわけではなく、前の区間で終盤に國學院大に詰められた状況を確認。走り出してから決めたプランだというから恐ろしいほどの冷静さ、そして大胆さがあった。 その差は一時、20秒近くまで拡大。その後は粘りを見せる平林に15km付近で追いつかれるも、約1km並走した後に再びスパート。再度4秒差をつけて、トップを死守する意地を見せた。 区間賞こそ、49分57秒をマークした駒大の篠原倖太朗(4年)に譲ったが、50分07秒は、平林と並んで区間2位タイ。歴代でも4位に入るタイムだった。「状態としては昨年よりも良くて、8割くらい。1分以上離したいと思っての走りだったので、勝ち切れなかったのは反省点ですが、ある程度力は発揮できたのかなと思います」とうなずく。 全日本大学駅伝後、原晋監督は「120%の力を出してくれました」と評価。付け加えて、「全日本よりも気温が低くなる箱根になると、もっと走りますよ」と言う。 例年、強大な選手層を誇る青学大にあって、1年時から箱根路は皆勤賞の太田。1年時は3区で東京国際大のエース・丹所健(現・Honda)との首位争いを制すると、2年目は4区に戦いの場を移し、3位から先頭を猛追。最後は駒大のエース格だった鈴木芽吹(現・トヨタ自動車)と中継所まで熾烈なデットヒートを演じた。 そして、前回だ。2度目の3区で、当時10000m日本人学生現役最速の佐藤圭汰(駒大、現3年)を相手に、22秒差を逆転しし、日本人初の1時間切りとなる59分47秒をマーク。3度の箱根駅伝で、ファンを大きく沸かせてきた。トータル練習量の増加
そして今季、4年目にして初めて出雲駅伝(6区3位)、全日本でエース区間を担当。その後、インフルエンザに感染し、1週間くらい練習を休んだが、「実は体調を崩した後の練習で故障しがちだったので、そこは十分注意して、ゆっくりと状態を上げていきます」と焦りはない。 そこには過去3年に比べて、「トータルで見ると練習量は明らかに増えていると感じている」という手応えがあるからだ。 11月23日のMARCH対抗戦10000mで鶴川正也(4年)、黒田朝日(3年)、若林宏樹(4年)が27分台をマークするなど、主力が好走をみせるなか、自身は予定していた最終組を回避して1組目に出場。8000mまでペースメーカーを務めて、23分40秒だった。 「もちろん最終組も走りたかったですし、走れば27分台くらいは出せたと思いますけど、まあトラックのタイムにそこまで執着はないですね。それよりもインフル明けとしては悪くない走りだったので、そちらの方が良かったと思います」 迎える最後の箱根路。周囲の期待は自ずと高くなるが、太田自身は意に介さず、来たる決戦に平常心は変わらない。「僕はやりたいことをやっているだけで、箱根駅伝は大学で1番の目標なので、そこで試合を楽しむだけです。モチベーションがあるので、箱根に向けては自然と状態が上がってくると思っています」と淡々と話す。 マラソン志向が強く、卒業前には初マラソン挑戦も視野に入れるが、今は箱根駅伝に100%の精力を注いでいく。 「出雲、全日本で区間賞に届かなかったので、最後の箱根は区間賞、区間新、総合優勝を達成して、ゴールを笑顔で迎えて終わりたいと思います」 4度目の大舞台も、最後まで楽しみ尽くすだろう。その先に、箱根の歴史を変える爆走が見られるはずだ。 [caption id="attachment_123595" align="alignnone" width="800"]
楽しむことを大切にしている太田蒼生[/caption]
おおた・あおい/2002年8月26日生まれ。福岡県篠栗町出身。福岡・篠栗北中→福岡・大牟田高。5000m13分53秒10、10000m28分20秒63、ハーフ1時間2分30秒
文/田中 葵 RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2025.12.12
-
2025.12.12
-
2025.12.12
-
2025.12.12
-
2025.12.12
-
2025.12.07
-
2025.11.20
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.12.12
國學院大がライフネット生命とスポンサーシップ契約「箱根路で最高の景色を見せられるよう邁進」
ライフネット生命保険株式会社は12月12日、昨年から結んでいる國學院大陸上競技部とのスポンサーシップ契約を延長したと発表した。 2008年に開業したライフネット生命は、オンライン生保のリーディングカンパニーとして知られる […]
2025.12.12
全中3000mV出田隆之助擁する中京、前回8位の大淀、戦力充実の稲美北、常盤松などが有力 14日に中学駅伝日本一決定戦/全中駅伝男子展望
全中駅伝男子出場選手3000mランキング 8.30.00 出田隆之助(中京3福岡) 8.37.97 中川悠聖(稲美北3兵庫) 8.37.98 山田遼翔(稲美北3兵庫) 8.40.24 山本壱咲(MUTUSUKATSU陸上 […]
2025.12.12
京山が3連覇に向けて前進 東北勢初のトップ3目指す黒石野、初出場の男山三、鶴ヶ島藤が上位候補/全中駅伝女子展望
全中駅伝女子出場選手1500mランキング 4.25.81 是枝愛香(内部3三重) 4.31.42 中西彩葉(京山2岡山) 4.32.51 岩渕理央(御殿場3静岡) 4.33.84 森貞帆加(星陵台2兵庫) 4.34.92 […]
2025.12.12
豪州で18歳・ビークロフトが10000m競歩38分02秒68のU20世界新
【画像】U20世界記録を更新したビークロフト この投稿をInstagramで見る Athletics NSW(@athleticsnsw)がシェアした投稿
2025.12.12
箱根駅伝初Vへ國學院大・前田康弘監督「ジョーカーにどう立ち向かっていくか」 主将・上原琉翔「先頭でタスキを」
第102回箱根駅伝で初優勝を狙う國學院大が12月12日、都内の渋谷キャンパスで壮行会と記者会見を開いた。 例年の合同による囲み取材形式から急遽、記者会見方式への変更。前田康弘監督は「今年は今のところ16人全員が元気で良い […]
Latest Issue
最新号
2025年12月号 (11月14日発売)
EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選
Follow-up Tokyo 2025