2024.12.03
女子100mハードル日本記録保持者でパリ五輪代表の福部真子(日本建設工業)が自身のSNSを更新し、組織球性壊死性リンパ節炎、通称「菊池病」と診断されたことを明かした。
菊池病の主な症状は発熱と頸部(首)のリンパ節腫脹という、良性なリンパ節炎とされ、東洋人、特に20~30代の女性に多く見られるという原因不明の病気。1ヵ月から1年で自然軽快するとされるが、確立された治療法はなく、対症療法で経過を見るしかないという。
10月中旬に「首のリンパが触るだけで痛いし枕とかが当たるだけでも激痛」を襲ったといい、リンパに腫れを感じたという。かかりつけ医を受診し、血液検査をしたものの異常は見られなかった。10月28日には29歳の誕生日を迎えたが、その間も闘病していた。11月上旬からは「地獄の日々」と綴るように、39度の高熱が断続的に襲いかかり、精密検査の結果、「おそらく菊池病でしょう」診断された。
激しい悪寒で、どれだけ着込んで暖房をつけても「ガタガタ震える寒さ」だといい、鎮痛剤の効果が切れる度に再び熱が出る。それもあってか「手指や手首の神経痛のような、動かすと痛み」も出たという。
11月19日に正式な検査結果が告げられ、ステロイド治療の選択肢を提案された。ドーピング検査の影響もあるが、「さすがにもうこの高熱の日々が限界」と、しっかり治療目的の申請をして服用したという。その後、4日目にようやく平熱まで下がった。
さらに2日経ち、体温が安定したため練習を再開したことを報告。「体重は3キロ減って、自慢のお尻とハム(ストリングス)も皆無」と痩せ、5分ほどジョグをしただけ「膝が割れるような痛み」もあったという。以前、苦しめられていたという偏頭痛も再発。「今も治療中で、発熱以外に耳鳴り、目眩、手指、手首の関節痛にまだまだ全開には程遠い」と綴った。
公表するか迷ったというが、「ネット上の体験談がかなり頼りになり、心の支えになった」とし、「この投稿が誰かの役に立てば」と決めたそうだ。
福部はいつもの笑顔と、コーチらともにトレーニングする仲間との写真を添え、「失ったもんは取り返してみせる」と力強い言葉で締めくくっている。
広島出身の29歳。高校時代にはインターハイ3連覇の偉業を成し遂げた。その後は苦しい時期を乗り越え、引退間際から地元・広島で復活を遂げ、世界選手権、五輪にも出場。12秒69という日本記録を作り、パリでは準決勝にも進出している。何度も逆境に打ち勝った不屈のハードラーは、原因不明の病にも屈することなく、来季も美しく力強い福部真子のハードルを見せるだろう。
菊池病を公表した福部真子の思いを綴ったコメント全文
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2025.11.11
-
2025.11.10
-
2025.11.10
-
2025.11.10
2025.10.18
【大会結果】第102回箱根駅伝予選会/個人成績(2025年10月18日)
2025.11.02
青学大が苦戦の中で3位確保!作戦不発も「力がないチームではない」/全日本大学駅伝
-
2025.10.18
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.11.11
22年世界陸上100m銀ブレイシー ドーピング違反で3年9ヵ月の資格停止処分 禁止薬物使用と居場所義務違反
米国アンチ・ドーピング機関(USADA)は11月10日までに、2022年オレゴン世界選手権100mで銀メダルを獲得したM.ブレイシーが、内部告発者の情報に基づく調査の結果、アンチ・ドーピング規則違反で45ヵ月(3年9ヵ月 […]
2025.11.11
サイラス・ジュイ氏 デンソーランニングコーチ就任 インターハイ3000m障害2連覇や北海道マラソンV ドラマ「陸王」出演
デンソー女子陸上長距離部は11月10日、ランニングコーチにサイラス・ジュイ氏が就任したと発表した。 ケニア出身で39歳のジュイ氏。千葉・流経大柏高に、ジョセファト・ダビリ氏とともに留学生として来日した。インターハイ300 […]
2025.11.11
ミズノが第102回箱根駅伝オフィシャルグッズの予約開始! 大会記念Tシャツなど全21種を12月下旬から順次販売
ミズノは11月11日、箱根駅伝のスポンサー契約に基づき、第102回箱根駅伝オフィシャルグッズ販売の予約を開始した。 第102回大会の箱根駅伝オフィシャルグッズは、毎年展開している大会記念Tシャツ、出場校のタスキをデザイン […]
2025.11.11
WAライジングスター賞 男子は中長距離のコエチ、メハリー、セレムがノミネート
世界陸連(WA)は11月10日、ワールド・アスレティクス・アワード2025の「ライジングスター賞」の最終候補選手を発表した。 この賞はU20選手を対象とした最優秀賞で、15年には日本のサニブラウン・アブデル・ハキームが受 […]
2025.11.10
関西が1増4枠! 東海が1減 関東は最大枠で変わらず 来年の全日本大学駅伝地区出場枠決定
日本学連は11月10日、11月2日に行われた第57回全日本大学駅伝の結果を受けて、来年予定する第58回大会の各地区学連の出場枠を発表した。 8つの地区学連にはそれぞれ1つの基本枠が与えられ、残りは大会の成績により、シード […]
Latest Issue
最新号
2025年11月号 (10月14日発売)
東京世界選手権 総特集
箱根駅伝予選会&全日本大学駅伝展望