2020.10.22
平成以降の箱根駅伝を振り返る「PlayBack箱根駅伝」。今回は駒大が3年ぶり6度目の栄冠に輝いた第84回大会(2008年)を紹介する。大会の歴史を知ることで、正月の箱根路がより楽しみになるかも!?
往路は早大が12年ぶりに制す
史上初の3校が途中棄権
11月の全日本大学駅伝で圧勝した駒大、出雲駅伝3連覇で前年3位の東海大の“2強”と予想された第84回大会。
東農大が4年ぶり、帝京大が3年ぶりに予選会突破を果たした一方で、前年出場校では國學院大、明大が本戦に駒を進めなかった。
1区では13位までが先頭から30秒差という大混戦となり、城西大の佐藤直樹(2年)が区間賞を獲得。駒大が2位、早大が3位と好スタートを切った反面、前回優勝校の順大はまさかの20位スタートとなった。
2区では9位でタスキを受け取った山梨学大のメクボ・ジョブ・モグス(3年)が爆走。三代直樹(順大)が持つ区間記録を9年ぶりに23秒更新する走りで先頭へ立った。1分26秒差の2位に中央学大が入り、伊達秀晃(4年)が13人抜きを見せた東海大が3位、ギタウ・ダニエル(2年)が15人抜きを演じた日大が4位に順位を上げた。
3区で大きく順位を押し上げたのが早大。前年の大阪世界選手権に出場した竹澤健介(3年)がケガを抱えながらの激走で12位から5位までジャンプアップ。中大も上野裕一郎(4年)が区間2位の好走で7位から3位に浮上した。
4区では大きな順位変動はなかったものの、2位から9位までが1分07秒差という大激戦へ。山上りの5区では早大の駅伝主将・駒野亮太(4年)が素晴らしい走りを見せた。6位でタスキを受けた駒野は駒大の安西秀幸(4年)とともに先頭の山梨学大を11km地点で逆転。駒野は前年に今井正人(順大)がマークした区間記録に7秒と迫る激走で安西を突き放し、12年ぶりの往路優勝を手にした。
5区区間賞の活躍で12年ぶり往路優勝の立役者となった早大の駒野亮太
往路2位は駒大。山梨学大が3位に入り、関東学連選抜が大健闘の4位に食い込んだ。また、5区では順大の小野裕幸(3年)が脱水症状を起こし、残り500m地点で無念のリタイヤとなった。前回優勝校が途中棄権となるのは1996年の山梨学大以来だった。
往路を制した早大は6区の加藤創大(2年)が区間2位に48秒差をつける区間賞で後続を突き放す。しかし、駒大は7区の豊後友章(4年)が区間2位、8区の深津卓也(2年)が区間トップと快走を続け、この時点で早大との差は15秒。優勝争いのゆくえは9区まで持ち込まれた。
9区では駒大の堺晃一(4年)が早大の三輪真之(3年)を抜き去り、逆に1分以上の大差をつけて勝負あり。10区でも駒大が逃げ切り、3年ぶり6度目の総合優勝を達成した。早大は2002年以来のトップ3で見せ場を作ったものの、終盤の底力がわずかに足りなかった。
3位は9区で篠藤淳(4年)が区間新記録を樹立した中央学大が入り、大学の過去最高順位を更新。往路4位と健闘した関東学連選抜が復路でも順位をキープして総合4位に食い込んだ。
終盤がアクシデントが続出し、9区では大東大、10区では東海大と、ともにシード圏内につけていた2校が途中棄権となる事態に。これによりシード争いは激戦となり、9区終了時で11位だった日大は2つ順位を上げて9位でフィニッシュ。9位から一時11位まで順位を落としていた東洋大は、東海大のアクシデントに救われるかたちで10位を確保した。
一方で城西大は3年連続の“シード次点”となる11位。前回シード校の日体大(12位)、専大(14位)もシード権を失った。
なお、チームは途中棄権となったものの、東海大の7区・佐藤悠基(3年)は区間記録を15年ぶりに18秒更新し、1年時の3区、2年時の1区と続いて3年連続区間新の偉業を達成した。
<人物Close-up>
篠藤 淳(中央学大4年)
箱根駅伝は1年時から出場し、3区区間5位、10区区間16位、3区区間6位と活躍。3年時には本職の3000m障害で日本選手権を制するなど、一躍スターダムへと駆け上がった。4年時にはチームの主将を任され、1学年下の木原真佐人とともにダブルエースとして牽引。最後の箱根駅伝では9区で従来の区間記録を37秒も更新する激走で5位から2つ順位を上げ、チームの過去最高成績となる総合3位に大きく貢献した。卒業後は山陽特殊製鋼に入社し、2014年には2度目の日本選手権制覇。同年のアジア大会では4位に食い込んだ。現在も所属先のプレイングコーチとして後進の指導にあたりながら現役を続けている。なお、箱根9区の区間記録は12年たった現在も破られていない。
<総合成績>
1位 駒澤大学 11.05.00(往路2位、復路1位)
2位 早稲田大学 11.07.29(往路1位、復路3位)
3位 中央学院大学 11.11.05(往路5位、復路2位)
4位 関東学連選抜 11.12.25(往路4位、復路4位)
5位 亜細亜大学 11.14.10(往路7位、復路6位)
6位 山梨学院大学 11.15.00(往路3位、復路14位)
7位 中央大学 11.16.32(往路10位、復路8位)
8位 帝京大学 11.16.48(往路12位、復路5位)
9位 日本大学 11.16.52(往路6位、復路12位)
10位 東洋大学 11.17.12(往路9位、復路10位)
========シード権ライン=========
11位 城西大学 11.20.19(往路16位、復路7位)
12位 日本体育大学 11.20.30(往路14位、復路9位)
13位 国士舘大学 11.23.43(往路13位、復路15位)
14位 専修大学 11.25.37(往路17位、復路13位)
15位 神奈川大学 11.27.22(往路19位、復路11位)
16位 法政大学 11.28.06(往路15位、復路17位)
17位 東京農業大学 11.30.58(往路18位、復路16位)
途中棄権 東海大学 記録なし
途中棄権 大東文化大学 記録なし
途中棄権 順天堂大学 記録なし
<区間賞>
1区(21.4km)佐藤直樹(城西大2) 1.04.37
2区(23.2km)M.J.モグス(山梨学大3)1.06.23=区間新
3区(21.5km)竹澤健介(早 大3) 1.03.32
4区(18.5km)阿宗高広(国士大4) 55.24
5区(23.4km)駒野亮太(早 大4) 1.18.12
6区(20.8km)加藤創大(早 大2) 59.15
7区(21.3km)佐藤悠基(東海大3) 1.02.35=区間新
8区(21.5km)深津卓也(駒 大2) 1.04.57
9区(23.2km)篠藤 淳(中央学大4) 1.08.01=区間新
10区(23.1km)永岩義人(城西大2) 1.10.14
![](https://www.rikujyokyogi.co.jp/wp-content/uploads/2020/10/6812c3cb89f7f144028af20473205917-1.jpg)
往路は早大が12年ぶりに制す 史上初の3校が途中棄権
11月の全日本大学駅伝で圧勝した駒大、出雲駅伝3連覇で前年3位の東海大の“2強”と予想された第84回大会。 東農大が4年ぶり、帝京大が3年ぶりに予選会突破を果たした一方で、前年出場校では國學院大、明大が本戦に駒を進めなかった。 1区では13位までが先頭から30秒差という大混戦となり、城西大の佐藤直樹(2年)が区間賞を獲得。駒大が2位、早大が3位と好スタートを切った反面、前回優勝校の順大はまさかの20位スタートとなった。 2区では9位でタスキを受け取った山梨学大のメクボ・ジョブ・モグス(3年)が爆走。三代直樹(順大)が持つ区間記録を9年ぶりに23秒更新する走りで先頭へ立った。1分26秒差の2位に中央学大が入り、伊達秀晃(4年)が13人抜きを見せた東海大が3位、ギタウ・ダニエル(2年)が15人抜きを演じた日大が4位に順位を上げた。 3区で大きく順位を押し上げたのが早大。前年の大阪世界選手権に出場した竹澤健介(3年)がケガを抱えながらの激走で12位から5位までジャンプアップ。中大も上野裕一郎(4年)が区間2位の好走で7位から3位に浮上した。 4区では大きな順位変動はなかったものの、2位から9位までが1分07秒差という大激戦へ。山上りの5区では早大の駅伝主将・駒野亮太(4年)が素晴らしい走りを見せた。6位でタスキを受けた駒野は駒大の安西秀幸(4年)とともに先頭の山梨学大を11km地点で逆転。駒野は前年に今井正人(順大)がマークした区間記録に7秒と迫る激走で安西を突き放し、12年ぶりの往路優勝を手にした。![](https://www.rikujyokyogi.co.jp/wp-content/uploads/2020/10/580e454fcc8db267c5984ef46929283c-1.jpg)
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