HOME 特集

2024.08.22

キプチョゲ・インタビュー 五輪3連覇ならず「これがスポーツ」衰えない競技への情熱とマラソン普及への思い
キプチョゲ・インタビュー 五輪3連覇ならず「これがスポーツ」衰えない競技への情熱とマラソン普及への思い

インタビューに応えるエリウド・キプチョゲ(ケニア)

男子マラソンで史上初の3連覇を狙ったエリウド・キプチョゲ(ケニア)だったが、残念ながら途中棄権に終わった。それでも、立ち止まってからは最後尾のランナーが走り終えるまで見届けるなど、“キング”たる立ち振る舞いで3度目のオリンピックを終えている。

11月で40歳を迎えるキプチョゲが振り返る五輪3連覇への道、そして今後のターゲットとは。

――3度⽬のマラソンでの五輪は途中棄権となりました。腰痛があったとうかがっています。

キプチョゲ 今回のレースは本当に厳しいものでした。この 3~4ヵ月は⾮常に制約の多い中ではありましたが、それでも良いトレーニングをしてきました。

しかし、今回はあの結果の通り、うまくいかずに途中棄権となりました。スポーツというのは本当に予測不可能です。今、何と⾔ったらいいのかわかりませんが、これがスポーツというものです。

――過去2大会との違いはありましたか。

広告の下にコンテンツが続きます

キプチョゲ リオは私にとってオリンピックのスタートでした。東京はコロナ禍の影響で少し厳しいものでした。しかし、今回のパリでは大きな変化がありましたね。いろんな方々が私に話しかけてくれたり、交流したりできましたし、コース沿いで応援する景色もありました。どこでも、みんなが応援してくれて、まさにコースも含めて私たちと観客すべてが⼀体となった感じがありました。

――キプチョゲ選手はナイキのシューズの進化とともにご⾃⾝も成長されてきたと思います。シューズに求めるものは何でしょうか。

キプチョゲ ナイキのシューズは私たちを大きく前進させてくれました。私個⼈としても、ナイキのシューズのテクノロジーとともに進化してきたと思っています。特にこの 10 年間で多くのテクノロジーが詰め込まれるようになりました。ラボでは科学に基づいて、より速く走れるシューズ、そしてランを長く楽しめるシューズが開発されることを期待していますし、今後の未来も明るいことを確信しています。

――あなた自身がそうだったように、トラックからマラソンへ移行する時に必要なのはどんなことだと考えますか。

キプチョゲ トラックからマラソンへの以降は非常に大きな転換点です。マラソンはトラックレースと比べてゆっくりしたペースですが、その分長く走らなければなりません。ですから、マラソンは走ることがすべてです。

日本のランナーは舗装された道を走ることが多いでしょう。そこでアドバイスをするとすれば、アルファフライ3のようなインパクトを吸収してくれるシューズ、またはペガサスプレミアムのようなシューズを履いて、規律あるトレーニングを続けることです。

――次なるターゲットを教えてください。

キプチョゲ まだ走り続けたい。そして、まだ競い続けたい。ランニングは人生そのものなのです。ただ勝つことだけがすべてではなく、(目標を)達成することがとても大切です。そして、その達成感をレース以外の人生に反映させることが重要です。今後は南米など、マラソンがあまり盛んではない場所へ訪れ、スポーツを愛する人々と一緒に走り、メッセージを伝えたいとも思っています。

男子マラソンで史上初の3連覇を狙ったエリウド・キプチョゲ(ケニア)だったが、残念ながら途中棄権に終わった。それでも、立ち止まってからは最後尾のランナーが走り終えるまで見届けるなど、“キング”たる立ち振る舞いで3度目のオリンピックを終えている。 11月で40歳を迎えるキプチョゲが振り返る五輪3連覇への道、そして今後のターゲットとは。 ――3度⽬のマラソンでの五輪は途中棄権となりました。腰痛があったとうかがっています。 キプチョゲ 今回のレースは本当に厳しいものでした。この 3~4ヵ月は⾮常に制約の多い中ではありましたが、それでも良いトレーニングをしてきました。 しかし、今回はあの結果の通り、うまくいかずに途中棄権となりました。スポーツというのは本当に予測不可能です。今、何と⾔ったらいいのかわかりませんが、これがスポーツというものです。 ――過去2大会との違いはありましたか。 キプチョゲ リオは私にとってオリンピックのスタートでした。東京はコロナ禍の影響で少し厳しいものでした。しかし、今回のパリでは大きな変化がありましたね。いろんな方々が私に話しかけてくれたり、交流したりできましたし、コース沿いで応援する景色もありました。どこでも、みんなが応援してくれて、まさにコースも含めて私たちと観客すべてが⼀体となった感じがありました。 ――キプチョゲ選手はナイキのシューズの進化とともにご⾃⾝も成長されてきたと思います。シューズに求めるものは何でしょうか。 キプチョゲ ナイキのシューズは私たちを大きく前進させてくれました。私個⼈としても、ナイキのシューズのテクノロジーとともに進化してきたと思っています。特にこの 10 年間で多くのテクノロジーが詰め込まれるようになりました。ラボでは科学に基づいて、より速く走れるシューズ、そしてランを長く楽しめるシューズが開発されることを期待していますし、今後の未来も明るいことを確信しています。 ――あなた自身がそうだったように、トラックからマラソンへ移行する時に必要なのはどんなことだと考えますか。 キプチョゲ トラックからマラソンへの以降は非常に大きな転換点です。マラソンはトラックレースと比べてゆっくりしたペースですが、その分長く走らなければなりません。ですから、マラソンは走ることがすべてです。 日本のランナーは舗装された道を走ることが多いでしょう。そこでアドバイスをするとすれば、アルファフライ3のようなインパクトを吸収してくれるシューズ、またはペガサスプレミアムのようなシューズを履いて、規律あるトレーニングを続けることです。 ――次なるターゲットを教えてください。 キプチョゲ まだ走り続けたい。そして、まだ競い続けたい。ランニングは人生そのものなのです。ただ勝つことだけがすべてではなく、(目標を)達成することがとても大切です。そして、その達成感をレース以外の人生に反映させることが重要です。今後は南米など、マラソンがあまり盛んではない場所へ訪れ、スポーツを愛する人々と一緒に走り、メッセージを伝えたいとも思っています。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.04.30

【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」

山梨学大の上田誠仁顧問の月陸Online特別連載コラム。これまでの経験や感じたこと、想いなど、心のままに綴っていただきます! 第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」 昨年は記念大会となる第100回箱根駅伝が開催され […]

NEWS 【高校生FOCUS】男子競歩・山田大智(西脇工高)インターハイで昨夏の雪辱誓う 高校記録更新にも挑戦

2025.04.30

【高校生FOCUS】男子競歩・山田大智(西脇工高)インターハイで昨夏の雪辱誓う 高校記録更新にも挑戦

FOCUS! 高校生INTERVIEW 山田大智 Yamada Daichi 西脇工高3兵庫 2025年シーズンが本格的に始まり、高校陸上界では記録会、競技会が次々と開かれています。その中で好記録も生まれており、男子50 […]

NEWS 5.3静岡国際、パリ五輪代表の坂井隆一郎、200m世界陸上標準突破の水久保漱至らが欠場

2025.04.30

5.3静岡国際、パリ五輪代表の坂井隆一郎、200m世界陸上標準突破の水久保漱至らが欠場

5月3日に行われる静岡国際のエントリーリストが更新され、現時点で欠場届を提出した選手が判明した。 男子100mはパリ五輪代表の坂井隆一郎(大阪ガス)が欠場。坂井は4月13日の出雲陸上で脚を痛め、29日の織田記念の出場も見 […]

NEWS 26年ブダペスト開催の「世界陸上アルティメット選手権」やり投・北口榛花が出場権獲得

2025.04.30

26年ブダペスト開催の「世界陸上アルティメット選手権」やり投・北口榛花が出場権獲得

世界陸連(WA)は4月29日、2026年に新設する「世界陸上アルティメット選手権」の大会500日前を受け、昨年のパリ五輪の金メダリストに出場資格を与えることを発表した。女子やり投で金メダルを獲得した北口榛花(JAL)も含 […]

NEWS 100mH寺田明日香 恩師の訃報に「熱意と愛情を少しでも次の世代へ引き継げるように」

2025.04.30

100mH寺田明日香 恩師の訃報に「熱意と愛情を少しでも次の世代へ引き継げるように」

福島千里や寺田明日香ら女子短距離を中心に数々の名選手を育成した中村宏之氏が4月29日に79歳で他界したことを受け、寺田が自身のSNSを更新して思いを綴った。 寺田は北海道・恵庭北高時代に中村氏の指導を受け、100mハード […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL) 
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)

page top