2024.08.19
◇福井全中(8月17日~20日/福井・福井県営陸上競技場)
第51回全日本中学校選手権(以下、全中)の2日目が行われ、この日の最終種目となった男子3000mは、残り1000mから一気に仕掛けた稲垣翔馴(KERT・3神奈川)が8分30秒76で悲願の日本一を達成。「中学に入学した当初から日本一を目標にやってきたので、成し遂げることができてうれしいです」と笑顔が弾けた。
序盤は長身の高橋悠樹(松賀3広島)が果敢に先頭集団を引っ張り1000mを2分54秒で通過。その後も淡々としたペースで進むなか、レースが動いたのは2000m手前。「残り1000mからスパートしようと思っていました」と稲垣がバックストレートから一気に加速し、それまで1周73秒前後に落ち着ていたペースを63秒台までアップする。
この仕掛けに反応したのは4人が決勝に進んだ長野勢の一角、中澤侑己(堀金3)のみ。必死に食らいつくも、残り1周の鐘の音とともに再びペースを上げた稲垣についていくことができず勝負あり。残りの800mを2分06秒台、ラスト1周を61秒台でカバーするなど、「ずっと課題だったラストスパートを磨きてきたので、その成果を大舞台で出せてよかったです」とレースを振り返る。
稲垣はこの春まで兵庫県の名門・上甲子園中に通い、今年1月の都道府県対抗男子駅伝でも兵庫県チームの6区を担い区間5位と力走していた。家族の転勤に伴い新学期から神奈川の西中原中へ転校し、新しい環境で競技を続けている。
現在は父・晃二さんが主宰するクラブチームでトレーニングを積む。晃二さんは西脇工高(兵庫)時代に都大路優勝経験を持ち、日体大では箱根駅伝に出場し、実業団の山陽特殊製鋼でも活躍したランナー。母のしおりさん(旧姓・石山)もかつて三井住友海上に所属し、全日本実業団対抗女子駅伝では区間賞の活躍でチームの連覇に貢献している。
前回の全中では11位と2年生では最先着を果たしているものの、「昨年は決勝で勝負させてもらえませんでした。それでも、先輩がたから『来年は優勝しろ』と言われた言葉を胸に練習に取り組んできました」と1年前の悔しさを最後の全中にぶつけた稲垣。「両親の厳しい指導で、ここまでくることができました。この結果に満足することなく、冬の駅伝でもチームに貢献できるよう頑張りたいです。高校でも駅伝やインターハイの5000mで日本人トップになれるような選手になりたいです」と力強く抱負を話した。
粘りの走りで後続の追い上げを封じた中澤が8分34秒26で2位。稲垣のスパートには反応できなかったものの最後に猛追した小原健太郎(和賀西3岩手)が8分35秒78で3位と健闘。大会前ベストを一気に15秒近く更新した前春馬(打田3和歌山)が8分36秒12で4位、関東大会で稲垣を破り優勝している植松遼(藤3埼玉)は8分38秒90で5位。猛暑のなか7位まで8分40秒を切るハイレベルなレースだった。
文/花木 雫
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2025.12.26
-
2025.12.26
-
2025.12.25
2025.12.21
【大会結果】第37回全国高校駅伝・女子(2025年12月21日)
2025.12.21
早大が来春入部選手発表!高校駅伝1区激闘の増子陽太、新妻、本田がそろって加入!
2025.12.21
【大会結果】第76回全国高校駅伝・男子(2025年12月21日)
-
2025.12.21
-
2025.12.20
-
2025.12.21
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝女子(2025年12月14日)
2025.12.21
【大会結果】第37回全国高校駅伝・女子(2025年12月21日)
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝男子(2025年12月14日)
-
2025.12.21
-
2025.12.21
-
2025.12.21
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.12.26
箱根駅伝Stories/創部111年の年で「1位」に挑む早大 強力な主軸擁し「間違いなく前回より強い」
新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。 One早稲田のスローガンで 創部111年と「1」並びの年に、早大は「 […]
2025.12.26
瀬古利彦氏と渡辺康幸氏がトークショー!第102回箱根駅伝に向けて優勝は?見どころは?「5強」だけど「わからない」
「第102回箱根駅伝見どころ先取り!スペシャルトークショー」が12月26日、新宿・京王百貨店のミズノ「第102回箱根駅伝オフィシャルグッズショップ」で行われ、瀬古利彦氏(DeNAアスレティックスエリートアドバイザー)と渡 […]
2025.12.26
宮古島大学駅伝に青学大、國學院大、中大など箱根出場の14校参加! ダイジェスト放送も実施予定
「宮古島大学駅伝ワイドー・ズミ2026」の実行委員会は12月26日、来年2月8日に実施する大会要項を発表した。 今回で6回目を迎える大会。前回発表よりも出場校が追加され、来年1月の箱根駅伝で3連覇を狙う青学大、宮古島で2 […]
2025.12.26
早稲田大学競走部がボディケアカンパニーのファイテンとサポート契約を締結
ボディケアカンパニーのファイテン株式会社は12月25日、早稲田大学競走部とボディケアサポートを目的とするスポンサーシップ契約を締結したことを発表した。 早稲田大学競走部は1914年に創部し、2024年に創部110周年を迎 […]
2025.12.26
編集部コラム「令和7年の大会取材」
攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム?? 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。 編集スタッフが週替りで […]
Latest Issue
最新号
2026年1月号 (12月12日発売)
箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望
大迫傑がマラソン日本新
箱根駅伝「5強」主将インタビュー
クイーンズ駅伝/福岡国際マラソン
〔新旧男子100m高校記録保持者〕桐生祥秀×清水空跳
