HOME
高校・中学
2024.05.30
【高校生FOCUS】男子棒高跳・谷口海斗(中京大中京高)今年は全国4冠と父の現役ベスト越えに挑戦
FOCUS! 高校生INTERVIEW
谷口 海斗 Taniguchi kaito
中京大中京高3愛知
注目の高校アスリートをフォーカスして紹介するコーナー!今回は男子棒高跳の谷口海斗選手(中京大中京高3愛知)です。昨年のU18大会覇者で、今年は夏のインターハイ優勝がターゲット。5月18日のインターハイ愛知県大会では自己ベストを9cm更新する5m11の県高校新記録に成功。夏の栄冠へ調子を上げています。
昨年のU18大会で優勝を遂げた谷口選手[/caption]
――競技を続けていく中で、うまくいかない時はどう考えていますか。
谷口 「努力し続けたら結果はついてくる」。そう信じて気持ちをポジティブに持つようにしています。あとは中京大中京には競技力の高い仲間がいるので、苦しい時にフォローし合っています。
――高校卒業後についてどう考えていますか。
谷口 地元への大学進学を考えていて、棒高跳をがんばります。低学年のうちからインカレ優勝を狙って、チームに貢献したい思いがあります。
――競技以外で学校生活はいかがですか。
谷口 すごく充実しています。同じクラスには競泳男子800mリレーのパリ五輪代表に選ばれた村佐達也選手や、スノーボードのプロ選手がいて、自分もがんばろうという刺激をもらっています。
――授業について好きな教科を教えてください。
谷口 体育は昔から好きですが、勉強はあまり得意ではありません。でも、集中することは競技にもつながると思うので、授業はしっかり受けています。
――練習が休みの日はどのように過ごしていますか。
谷口 自宅でずっと寝ていることが多いです。友達と遊びに行きたい気持ちもありますが、遊ぶと次の日からの練習がすごく疲れるので、遊びたい気持ちは抑えています。
――選手として、また競技以外での将来的な目標や夢はありますか。
谷口 選手としては国際大会にたくさん出場して、2028年のロサンゼルス五輪に出られたら最高です。競技以外のことはまだ考えていなくて、大学で将来やりたいことを見つけられたらなと。陸上の指導者は自分に務まるかなという思いがありますが、やってみたい気持ちも少しあります。
構成/小野哲史
高校ラストシーズンでさらなる飛躍を期す谷口選手[/caption]
余裕を感じた自己ベスト
――愛知県大会では25年ぶりに県高校記録を1cm更新する5m11を跳びました。 谷口 4月に腰を痛めてしまい、そこから記録があまり良くない試合が続きましたが、マッサージなどでケアに努め、比較的良い状態で臨めました。大会記録(5m01)はもちろん、県高校記録更新も狙っていたので、達成できて素直にうれしいです。 ――試合中、腰の状態はいかがでしたか。 谷口 不安はありましたが、朝からすごく走れていたので記録を狙って行けるなと、思いました。 ――県大会はどんなプランで臨み、実際計画通りにできましたか。 谷口 指導者の父(中京大中京高顧問の直土先生)と相談し、まずは東海大会の出場権を決めることを目指して4m60から開始しました。大会新となる5m02は、1回目に使った15.7フィート165ポンドのポールも、2回目の16フィート160ポンドのポールも柔らかい感覚があって失敗しましたが、3回目で硬い15.7フィート170ポンドを使ったら跳べました。5m11もそのままで、うまくアップライトも合って1回でクリアできました。 ――県高校記録の更新へ練習はいかがでしたか。 谷口 ダウンヒル(下り坂の助走路)で、6歩助走でも全助走の時と同じポールが使える移動式の器具があり、それでたくさん跳躍練習をしました。高い高さのゴムバーも跳べていたので、腰の状態さえ悪くなければ跳べるという自信はありました。 ――5m11を跳び、今までの高さと比べて、感覚や景色の違いを教えてください。 谷口 反発の乗り方が違うと感じましたし、空中での景色もまったく違いました。でも、5m11はまだ余裕がありました。その後、5m21はかみ合わずに跳べませんでしたが、まだまだ行けるはずという自信になりました。 ――それまでのベストは昨年のU18大会で跳んだ5m02でした。記録を9cm更新できた要因は。 谷口 昨年と変わったのは、助走のスピードが上がったことと筋力もついたことだと思います。冬季などは走り込みも多かったですし、身体作りもしたので確実にパワーアップしていると思います。 ――走り込みや身体作りは具体的にどんなことを取り組みましたか。 谷口 走り込みは練習でよく使っている競技場が1周300mしかなく、そこで300mのエンドレスリレーや200m、150m、150m×3をTT(タイムトライアル)でやったり、ちょっと長めの距離を走ったりしました。身体作りでは、ウエイトトレーニングこそあまりしませんが、鉄棒で懸垂をしたり、腕立て伏せをしたりと。鉄棒は昼食を早く終えて、午後の授業が始まる前に後輩と一緒にやることが多かったです。 ――高校最後の今季はどんな目標を掲げてスタートしましたか。 谷口 2024年は、2月の日本室内大阪大会U18(すでに優勝)、6月のU20日本選手権、8月のインターハイ、10月の国民スポーツ大会をすべて優勝して4冠を達成するという目標を立てました。U20世界選手権にも出場したいです。記録の面では、父が社会人の時に出した5m31を越えたいです。 ――跳躍練習はどれくらいの頻度で行っていますか。 谷口 週2回ぐらいです。跳躍練習の日は気持ちがウキウキして、朝から「今日は良い跳躍をするぞ」と楽しみで仕方ないです。跳躍練習以外の日は走ったり、身体作りをしたりしています。 ――谷口選手が思う棒高跳の魅力は。 谷口 棒1本だけで、自分の身長の何倍も高いバーを跳び越えた時の達成感です。 ――ご自身の強みを教えてください。 谷口 助走はそれほど速くありませんが、身長が高いほうなのでポールの握りが上がって、筋力がなくてもポールが使えるところかなと。あとは入りの部分で、ポールを曲げて突っ込むまでの動作です。ただ、その部分はいつの間にか身についていた感じです。 ――練習ではどんなことを意識していますか。 谷口 自分が前回の試合や練習で良くなかったところや、現在の課題の修正を意識しています。課題は空中動作でポールの反発をうまくもらえていないことで、握りだけで跳んでしまう感覚もあるので、ポールが曲がっているうちに、そのまま上方向に力を伝えられるように取り組んでいます。両親、兄もボウルター
――陸上を始めたきっかけを教えてください 谷口 父も母(智恵さん、1998年アジア選手権3位)も元棒高跳選手で、兄(柊斗/中京大3年)も棒高跳をしています。そのため、幼い頃から棒高跳が身近にありました。小学1年生で入った愛知ハイテクACという陸上クラブでは6年生まで短距離でしたが、中学生から本格的に棒高跳を始めました。 ――中学では陸上部に入部しましたか。 谷口 いえ、中学には陸上部がありませんでした。父が知り合いのイチゴ農園の方から余っている土地を借りて、マットを置いてピットを立てた練習場があり、そこで跳んでいました。また、中学1年の終わりからコロナ禍で休校となったので、その場所に行って本当にたくさん練習しました。 ――その頃からお父さんから指導を受けていたのですか。 谷口 父の指導もあまりなく、水曜日と土曜日はクラブチームで走り、あとは自主練習でした。たまに父と跳躍練習に行くか、中京大中京高校の練習に参加させてもらっていました。 ――棒高跳の技術は順調に身につきましたか。 谷口 最初は本当に難しくて、やっと「楽しいな」と思い始めたのが、中学2年の夏頃です。申込資格記録を突破して臨んだ2020年の全国中学生大会は「No Mark(記録なし)」。それが悔しくて、「来年は本当にがんばるぞ」と意識が変わりました。 ――中学3年の茨城全中では3位に入っています。 谷口 ランキング的にも高いほうではなかったので、全国大会で入賞し、しかもメダルも取れてうれしかったはずです。ただ、優勝した選手が飛び抜けてすごかったので、「高校では絶対に勝ってやるぞ」という思いはありました。 ――中京大中京高に進んだ理由を教えてください。 谷口 兄が行っていた影響が一番大きいです。兄あってこその自分だと思っています。また、いろいろな種目で日本一をバンバン取っている中京大中京で、自分もインターハイで優勝するという思いで入りました。 ――指導者がお父さんというのはいかがですか。 谷口 やりづらさはなく、むしろやりやすいです。 ――あこがれの選手はいますか。 谷口 澤野大地さんは昔から見てきましたし、同じ愛知県出身の山本聖途さん(トヨタ自動車)や石川拓磨さん(東京海上日動CS)とは、関わりがあって気にかけてくれる方たちで、みんなあこがれです。 ――ライバルとして意識している選手は。 谷口 結城咲翔君(宮崎一3、自己ベスト5m00)は中学の頃から切磋琢磨していて、大きい大会でしか会えませんが、仲も良くて良いライバルです。 [caption id="attachment_136875" align="alignnone" width="800"]
昨年のU18大会で優勝を遂げた谷口選手[/caption]
――競技を続けていく中で、うまくいかない時はどう考えていますか。
谷口 「努力し続けたら結果はついてくる」。そう信じて気持ちをポジティブに持つようにしています。あとは中京大中京には競技力の高い仲間がいるので、苦しい時にフォローし合っています。
――高校卒業後についてどう考えていますか。
谷口 地元への大学進学を考えていて、棒高跳をがんばります。低学年のうちからインカレ優勝を狙って、チームに貢献したい思いがあります。
――競技以外で学校生活はいかがですか。
谷口 すごく充実しています。同じクラスには競泳男子800mリレーのパリ五輪代表に選ばれた村佐達也選手や、スノーボードのプロ選手がいて、自分もがんばろうという刺激をもらっています。
――授業について好きな教科を教えてください。
谷口 体育は昔から好きですが、勉強はあまり得意ではありません。でも、集中することは競技にもつながると思うので、授業はしっかり受けています。
――練習が休みの日はどのように過ごしていますか。
谷口 自宅でずっと寝ていることが多いです。友達と遊びに行きたい気持ちもありますが、遊ぶと次の日からの練習がすごく疲れるので、遊びたい気持ちは抑えています。
――選手として、また競技以外での将来的な目標や夢はありますか。
谷口 選手としては国際大会にたくさん出場して、2028年のロサンゼルス五輪に出られたら最高です。競技以外のことはまだ考えていなくて、大学で将来やりたいことを見つけられたらなと。陸上の指導者は自分に務まるかなという思いがありますが、やってみたい気持ちも少しあります。
構成/小野哲史
谷口海斗 PROFILE
◎たにぐち・かいと/2007年2月23日生まれ。愛知県出身。猿投中(愛知)―中京大中京高。小1から陸上を始め、7歳だった2014年3月の中京大室内棒高跳競技会では1m41の記録を残している。中学は2年時に20年全国中学生大会に出場。3年時は21年全中3位のほか、U16大会でも3位タイの成績を残した。高1シーズンはインターハイこそ記録なしだったが、U16大会を4m71の大会新V。高2の昨年はインターハイで4位に入ると、国体少年Aは3位タイ、U18大会では優勝した。自己ベストは5m11(24年) [caption id="attachment_136876" align="alignnone" width="800"]
高校ラストシーズンでさらなる飛躍を期す谷口選手[/caption] RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2025.12.10
-
2025.12.07
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.12.10
【箱根駅伝エントリー】登録選手336人が決定 最多出身高は13年ぶりの駅伝名門校! 都道府県別では埼玉が2年連続トップ
箱根駅伝エントリー選手の出身高校別人数 13人 佐久長聖(長野) 小池莉希(創価大3)、吉岡大翔(順大3)、遠藤大成(青学大2)、山口竣平(早大2)、永原颯磨(順大2)、野崎健太朗(順大2)、遠藤優裕(神奈川大2)、吉岡 […]
2025.12.10
前回6位の城西大・櫛部静二監督「アッと驚く試合を」 20年連続シード東洋大・酒井俊幸監督「誰が出ても粘りながら」/箱根駅伝
第102回箱根駅伝の記者発表会が12月10日、都内で行われ、出場校の監督が意気込みを語った。 前回6位の城西大は16人のエントリーの半数を4年生が占めた。櫛部静二監督は「ここ数年、この4年生の力によって、城西大としては上 […]
2025.12.10
15年ぶりVへ!早大・花田勝彦監督「往路優勝のオーダーを」山口智規主将を「胴上げしたい」/箱根駅伝
第102回箱根駅伝の記者発表会が12月10日、都内で行われ、出場校の監督が意気込みを語った。 前回4位の早大は「5強」の一角として、15年ぶり優勝をしっかりと視界に捉える。 就任4年目を迎えた花田勝彦駅伝監督は、今年度で […]
2025.12.10
99回目出場の中大・藤原監督「いい顔でスタートを」4年生が優勝へ執念「勝たせてやりたい」/箱根駅伝
第102回箱根駅伝の記者発表会が12月10日、都内で行われ、出場校の監督が意気込みを語った。 全日本大学駅伝で2位を占めた中大は、前回5位からの躍進を期す。藤原正和監督は「いいチームができました」と胸を張って語る。 1年 […]
Latest Issue
最新号
2025年12月号 (11月14日発売)
EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選
Follow-up Tokyo 2025