HOME 特集

2024.04.12

“キング”キプチョゲが語るマラソン「挑戦すること。人間に限界はありません」パリ五輪で目指すのは…
“キング”キプチョゲが語るマラソン「挑戦すること。人間に限界はありません」パリ五輪で目指すのは…

エリウド・キプチョゲ(ケニア) 写真/NIKE

東京マラソン翌日の3月4日、男子マラソンの前世界記録保持者で五輪2連覇中のエリウド・キプチョゲ(ケニア)がインタビューに応じた。

前日の東京マラソンで、2時間6分50秒で10位。実力を発揮できなかったものの、「東京の街に戻ってこられてうれしい。たくさんの方が応援してくれて素晴らしかったです」と振り返る。

世界の第一線で活躍を続けるランナーが、競技観や人生観、トレーニングで大切にしていることなどを語った。

広告の下にコンテンツが続きます

――東京マラソンではお疲れさまでした。あらためてレースの感想をお願いします。

キプチョゲ 東京に戻って来られてうれしいです。日本はランニングのカルチャーが根づいていて、沿道の応援も素晴らしかった。たくさんの人がポジティブに動いていて、ランニングが人々を結びつけていると感じました。

結果は残念でしたが、人間は機械ではありません。100%のトレーニングができても結果が出ないこともある。それこそがスポーツ。大事なのは結果を受け入れること。そして止まらないことなのです。

――今回履いたシューズ「ナイキ アルファフライ 3」の履き心地はいかがでしたか。

キプチョゲ とても良かったです。リカバリーも素晴らしいですし、インパクトも吸収してくれる。軽くて、色も良いですね。

――Nikeのシューズの進化について、どんな感想をお持ちですか。

キプチョゲ (2017年のマラソン2時間切りプロジェクト)Breaking2からNikeと一緒に走ってきました。プロのチームが一生懸命作ってくれていて、新しいものが出てくるたびに良くなっている印象があります。

――今まで数多くシューズのテストをやってきたと思いますが、開発者とのやりとりは楽しいですか?

キプチョゲ とても楽しいです。この2ヵ月もマーケットに出ていないシューズを6種類くらいテストしています。

――トラックからマラソンに移行する時に気をつけていたことはありますか。

キプチョゲ マラソンとトラックはまったく違うもの。トラックは短くてきつく、マラソンは長い。サーフェスの違うところを走って筋力を鍛えることも大切です。

――走る以外にはどんなトレーニングをしていますか。

キプチョゲ ジムにも行きますし、サイクリングにも行きます。アクティブ・レストと言うよりも、トレーニングという位置づけです。ボリューム(練習量)を積まないといけないですが、ロードを走るだけだと負担が大きいのです。

――ケガをしないために気をつけていることはどんなことですか。

キプチョゲ 正しいことを正しいタイミングでやること。それがケガの予防になります。

――競技へのモチベーションをどのように保っているのでしょう。

キプチョゲ マラソンのためにはしっかりトレーニングすること。そうすればケガをせずにいけるということを言い聞かせます。

――人生で大切にしている哲学は? アスリートとして変わらないものはどんなことですか。

キプチョゲ 挑戦すること。人間に限界はありません。プロである以上、競技を続ける、努力を続けることは変わってはいけないことですね。

――ずばり、強さの秘訣は?

キプチョゲ 努力を続けることです。プランをしっかり準備しますし、スポーツを仕事として捉えています。

――走ることはあなたの人生に何をもたらしましたか。

キプチョゲ ランニング、マラソンは人生です。人生と自由な考えをもらいました。マラソンをすれば人生がわかります。

――今後の目標を教えてください。

キプチョゲ パリ五輪でマラソンを走り、また世界チャンピオン(3連覇)になりたいと思います。そして、また東京にも来たいですね。

エリウド・キプチョゲ(ケニア)
1984年11月5日生まれ、39歳。2003年パリ世界選手権男子5000mでは当時18歳ながら金メダルを獲得し、脚光を浴びる。5000mでは五輪で2個、世界選手権で2個のメダルを獲得し、2012年よりマラソンに転向。五輪2連覇を含む20戦16勝という驚異の戦績を誇る。17年にはイタリアで実施されたNikeのマラソン2時間切りプロジェクト「Breaking2」に参加し、当時の世界記録を2分32秒も上回る2時間0分25秒をマーク。その翌年のベルリンでは2時間1分39秒と公認での世界記録を樹立し、19年には再び非公認の2時間切りイベントに参加して1時間59分40秒と、人類史上初めて2時間切りを果たした。22年のベルリンでは2時間1分09秒と2度目の世界記録(現・歴代2位)を樹立している。

東京マラソン翌日の3月4日、男子マラソンの前世界記録保持者で五輪2連覇中のエリウド・キプチョゲ(ケニア)がインタビューに応じた。 前日の東京マラソンで、2時間6分50秒で10位。実力を発揮できなかったものの、「東京の街に戻ってこられてうれしい。たくさんの方が応援してくれて素晴らしかったです」と振り返る。 世界の第一線で活躍を続けるランナーが、競技観や人生観、トレーニングで大切にしていることなどを語った。 ――東京マラソンではお疲れさまでした。あらためてレースの感想をお願いします。 キプチョゲ 東京に戻って来られてうれしいです。日本はランニングのカルチャーが根づいていて、沿道の応援も素晴らしかった。たくさんの人がポジティブに動いていて、ランニングが人々を結びつけていると感じました。 結果は残念でしたが、人間は機械ではありません。100%のトレーニングができても結果が出ないこともある。それこそがスポーツ。大事なのは結果を受け入れること。そして止まらないことなのです。 ――今回履いたシューズ「ナイキ アルファフライ 3」の履き心地はいかがでしたか。 キプチョゲ とても良かったです。リカバリーも素晴らしいですし、インパクトも吸収してくれる。軽くて、色も良いですね。 ――Nikeのシューズの進化について、どんな感想をお持ちですか。 キプチョゲ (2017年のマラソン2時間切りプロジェクト)Breaking2からNikeと一緒に走ってきました。プロのチームが一生懸命作ってくれていて、新しいものが出てくるたびに良くなっている印象があります。 ――今まで数多くシューズのテストをやってきたと思いますが、開発者とのやりとりは楽しいですか? キプチョゲ とても楽しいです。この2ヵ月もマーケットに出ていないシューズを6種類くらいテストしています。 ――トラックからマラソンに移行する時に気をつけていたことはありますか。 キプチョゲ マラソンとトラックはまったく違うもの。トラックは短くてきつく、マラソンは長い。サーフェスの違うところを走って筋力を鍛えることも大切です。 ――走る以外にはどんなトレーニングをしていますか。 キプチョゲ ジムにも行きますし、サイクリングにも行きます。アクティブ・レストと言うよりも、トレーニングという位置づけです。ボリューム(練習量)を積まないといけないですが、ロードを走るだけだと負担が大きいのです。 ――ケガをしないために気をつけていることはどんなことですか。 キプチョゲ 正しいことを正しいタイミングでやること。それがケガの予防になります。 ――競技へのモチベーションをどのように保っているのでしょう。 キプチョゲ マラソンのためにはしっかりトレーニングすること。そうすればケガをせずにいけるということを言い聞かせます。 ――人生で大切にしている哲学は? アスリートとして変わらないものはどんなことですか。 キプチョゲ 挑戦すること。人間に限界はありません。プロである以上、競技を続ける、努力を続けることは変わってはいけないことですね。 ――ずばり、強さの秘訣は? キプチョゲ 努力を続けることです。プランをしっかり準備しますし、スポーツを仕事として捉えています。 ――走ることはあなたの人生に何をもたらしましたか。 キプチョゲ ランニング、マラソンは人生です。人生と自由な考えをもらいました。マラソンをすれば人生がわかります。 ――今後の目標を教えてください。 キプチョゲ パリ五輪でマラソンを走り、また世界チャンピオン(3連覇)になりたいと思います。そして、また東京にも来たいですね。 エリウド・キプチョゲ(ケニア) 1984年11月5日生まれ、39歳。2003年パリ世界選手権男子5000mでは当時18歳ながら金メダルを獲得し、脚光を浴びる。5000mでは五輪で2個、世界選手権で2個のメダルを獲得し、2012年よりマラソンに転向。五輪2連覇を含む20戦16勝という驚異の戦績を誇る。17年にはイタリアで実施されたNikeのマラソン2時間切りプロジェクト「Breaking2」に参加し、当時の世界記録を2分32秒も上回る2時間0分25秒をマーク。その翌年のベルリンでは2時間1分39秒と公認での世界記録を樹立し、19年には再び非公認の2時間切りイベントに参加して1時間59分40秒と、人類史上初めて2時間切りを果たした。22年のベルリンでは2時間1分09秒と2度目の世界記録(現・歴代2位)を樹立している。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.11.10

関西が1増4枠! 東海が1減 関東は最大枠で変わらず 来年の全日本大学駅伝地区出場枠決定

日本学連は11月10日、11月2日に行われた第57回全日本大学駅伝の結果を受けて、来年予定する第58回大会の各地区学連の出場枠を発表した。 8つの地区学連にはそれぞれ1つの基本枠が与えられ、残りは大会の成績により、シード […]

NEWS 國學院大・青木瑠郁、駒大・帰山侑大、早大・間瀬田純平らが登録 有力選手多数エントリー/上尾ハーフ

2025.11.10

國學院大・青木瑠郁、駒大・帰山侑大、早大・間瀬田純平らが登録 有力選手多数エントリー/上尾ハーフ

11月10日、上尾シティハーフマラソンの主催者は16日に開催される第38回大会の出場選手を発表した。 同大会は、箱根駅伝に向けての重要なレースとして実施されており、過去には大迫傑が早大時代に1時間1分47秒のジュニア日本 […]

NEWS 来年の全日本大学女子駅伝の出場枠が決定!今年の結果から関東9枠、関西5枠に タイム選考枠は2校

2025.11.10

来年の全日本大学女子駅伝の出場枠が決定!今年の結果から関東9枠、関西5枠に タイム選考枠は2校

日本学生陸上競技連合は、来年の第44回全日本大学女子駅伝の各地区学連出場枠について発表した。 同大会の出場枠は今年10月の第43回大会で上位8位までに入った学校に対して、シード権を付与。次に、9位から17位に入ったチーム […]

NEWS ニューイヤー駅伝 シード制と統一予選会導入へ! 実業団駅伝の活性化目指し2027年から実施

2025.11.10

ニューイヤー駅伝 シード制と統一予選会導入へ! 実業団駅伝の活性化目指し2027年から実施

11月10日、一般社団法人日本実業団陸上競技連合は、全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)において、2027年の第71回大会からのシード制導入、および最短で2027年秋から統一予選会の実施を決定したと発表した。 連合で […]

NEWS 日本テレビ菅谷大介アナウンサーが死去 53歳 箱根駅伝のスタート、フィニッシュ実況も担当

2025.11.10

日本テレビ菅谷大介アナウンサーが死去 53歳 箱根駅伝のスタート、フィニッシュ実況も担当

日本テレビは11月10日、菅谷大介アナウンサーが8日に亡くなったことを発表した。53歳。 菅谷アナは千葉県出身。1997年に入社し、ニュースやバラエティ番組に出演。スポーツ中継にも携わり、2002年からは箱根駅伝でも実況 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年11月号 (10月14日発売)

2025年11月号 (10月14日発売)

東京世界選手権 総特集
箱根駅伝予選会&全日本大学駅伝展望

page top