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2023.12.27

箱根駅伝Stories/復活を期す古豪・明大「3区、4区、5区でしっかりと良い位置を確保したい」
箱根駅伝Stories/復活を期す古豪・明大「3区、4区、5区でしっかりと良い位置を確保したい」

23年箱根駅伝にて明大4区の尾﨑健斗(右)から5区の吉川響へのタスキ渡し

新春の風物詩・箱根駅伝の100回大会に挑む出場全23校の選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。それぞれが歩んできた1年間の足跡をたどった。

全日本の選考会敗退でスイッチオン

紫紺に白地のMのユニフォームは、浮沈を繰り返しながらも伝統のタスキをつないできた。

1907年(明治40年)に創部し、箱根駅伝には第1回から出場する「オリジナル4」。岡本直己(現・中国電力)、鎧坂哲哉、大六野秀畝(ともに現・旭化成)、河村一輝(現・トーエネック)、阿部弘輝(現・住友電工)ら、いまも日本の陸上界をけん引するランナーを輩出してきたが、至近3大会は箱根ではシード権獲得を逃し、苦しんでいる。

例年、大会前の10000m上位10人平均タイムは上位につけている。97回大会が2位、98回大会が3位、99回大会が5位。前評判の高さはデータが裏付けている。区間賞も過去3大会で4人いるが、箱根の総合成績にはつながっていない。

6月の全日本大学駅伝関東地区選考会での敗退を受け、8月に山本豪駅伝監督が就任。それまで20年もの間、明大でコーチを務めながら、最近の成績には歯がゆさを感じていた。

「良い区間はあるのです。10区間総じてイマイチなら、一から全部立て直さないといけないですが、そうではありません。上位5番手くらいまでは他大学と大きく見劣りせず、6番手から10番手に力の差がありました。本番でも1区間の落ち込みが大きい。それが総合成績に影響していました」

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底上げのために何が必要か。「同じことをしていては、結局どこが改善点だったかわかりません。特に、『今までのジョグの量では少なすぎるよ』とは働きかけています」。

全日本大学駅伝の出場権を逃したことによって、選手たちにスイッチが入っていることは確か。「もともと素質のある子たちなので、秋以降の自己新も多く全体的に雰囲気はよく、自信をつけているはずです」と山本監督は言う。

新春の風物詩・箱根駅伝の100回大会に挑む出場全23校の選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。それぞれが歩んできた1年間の足跡をたどった。

全日本の選考会敗退でスイッチオン

紫紺に白地のMのユニフォームは、浮沈を繰り返しながらも伝統のタスキをつないできた。 1907年(明治40年)に創部し、箱根駅伝には第1回から出場する「オリジナル4」。岡本直己(現・中国電力)、鎧坂哲哉、大六野秀畝(ともに現・旭化成)、河村一輝(現・トーエネック)、阿部弘輝(現・住友電工)ら、いまも日本の陸上界をけん引するランナーを輩出してきたが、至近3大会は箱根ではシード権獲得を逃し、苦しんでいる。 例年、大会前の10000m上位10人平均タイムは上位につけている。97回大会が2位、98回大会が3位、99回大会が5位。前評判の高さはデータが裏付けている。区間賞も過去3大会で4人いるが、箱根の総合成績にはつながっていない。 6月の全日本大学駅伝関東地区選考会での敗退を受け、8月に山本豪駅伝監督が就任。それまで20年もの間、明大でコーチを務めながら、最近の成績には歯がゆさを感じていた。 「良い区間はあるのです。10区間総じてイマイチなら、一から全部立て直さないといけないですが、そうではありません。上位5番手くらいまでは他大学と大きく見劣りせず、6番手から10番手に力の差がありました。本番でも1区間の落ち込みが大きい。それが総合成績に影響していました」 底上げのために何が必要か。「同じことをしていては、結局どこが改善点だったかわかりません。特に、『今までのジョグの量では少なすぎるよ』とは働きかけています」。 全日本大学駅伝の出場権を逃したことによって、選手たちにスイッチが入っていることは確か。「もともと素質のある子たちなので、秋以降の自己新も多く全体的に雰囲気はよく、自信をつけているはずです」と山本監督は言う。

各学年で主力が台頭

箱根予選会は2位で通過した。チームトップはエースの児玉真輝(4年)。2区予定だった前回の本戦は故障で無念の欠場だった。児玉は「予選会後、調子はどんどん上がっています。軽さが戻ってきたというか、明らかに動くようになっています」と仕上がりの良さを感じている。 児玉の2区でのレースプランは明確だ。「一番良い展開なら、集団で走ってラスト3kmいかに粘るか。悪い展開なら、ずっと単独走という可能性もある。その場合は、10kmを28分30秒切りくらいで通過し、その後の13kmをいかに(1kmあたり)2分55秒近くで押していくかが大事になってくると思います」 同じ4年生の杉彩文海も、最初の2年間は本戦に出場できず苦しい思いをしてきたが、前回7区区間賞が自信となり、今季は好調だ。「4年間いて一度もシード権を取れていませんが、みんなが実力を発揮すれば勝算はあります」と語る。 [caption id="attachment_124742" align="alignnone" width="800"] 明大を牽引する4年生2人。左が児玉真輝、右が杉彩文海[/caption] 駅伝主将の尾崎健斗(3年)は浜松商高時代に全国高校駅伝1区を区間2位で走破した実績を持つ実力者。今季は夏前から臀部に力が入らない症状に悩まされたが、11月のMARCH対抗戦10000mでは28分50秒89の自己新をマーク。前回大会も4区を経験しており、貴重な戦力だ。 期待は2年生の吉川響と森下翔太だ。ともに広島・世羅高出身で、2年前には全国高校駅伝で優勝メンバーとなっている。「チームで今いちばん練習が強いのが吉川。世羅高では森下がエースでしたので、お互い意識はしていると思います」(山本駅伝監督)。 森下は前回3区区間4位と好走。吉川は5区区間15位だったが、山上りへの意欲は元々高く、今季の調子で5区を担うとしたら他校の脅威となる。 また、同じ2年生の堀颯介は前回6区で区間8位。今回も下る予定で、特殊区間で計算できる2人がいるのが大きい。 頼もしいのは1年生の綾一輝と大湊柊翔だ。綾は予選会でチーム3番手の1時間2分46秒、大湊も上尾ハーフで1時間2分54秒と好タイム。普段も2人で切磋琢磨しながら練習する。本戦では主要区間を担う予定だ。 目標は総合8位。「往路が終わった時点での順位が大事。特に3、4、5区でしっかりと良い位置を確保したいと思っています」(山本監督)。 3年間悔しい思いをしてきたぶん、上位進出への意欲は高まっている。 文/荒井寛太

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