2023.12.21
新春の風物詩・箱根駅伝の100回大会に挑む出場全23校の選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。それぞれが歩んできた1年間の足跡をたどった。
中学時代から世代トップをひた走る
箱根駅伝で28年ぶりの総合優勝を目指す中大のなかで「駅伝よりもトラックが好き」と言い切る選手がいる。今季5000mで現役日本人学生最高となる13分22秒01(日本人学生歴代6位)を叩き出した吉居駿恭(2年)だ。
実業団選手の両親を持つ吉居弟の才能は幼少期から際立っていた。小さい頃から「運動会やマラソン大会は負けなかった」ようで、走るのは得意だと思っていました。
愛知・田原東部中時代は1年時に3000mで8分50秒52の中1歴代最高記録を樹立。この記録は7年経った現在でも破られていない。3年時には全中1500mを制し、3000mでも2位に入った。
その後は現在もチームメイトである兄・大和と同じ宮城・仙台育英高に進学。1年時の全国高校駅伝はアンカーを務めて優勝のフィニッシュテープに飛び込んでいる。3年時は5000mで13分56秒16、10000mは高校歴代3位の28分11秒96をマーク。全国高校駅伝は1区を区間3位と好走した。華々しい活躍に見えるが、本人はまったく納得していない。
「求めていた結果が出なかったので、もどかしい気持ちで3年間過ごしました。そのなかで3年時の11月に10000mを28分11秒96で走れたことが、唯一良い走りだったのかなと思います」
中大進学後は5000mで自己ベストを伸ばしていく。1年時は5月のゴールデンゲームズinのべおかで13分43秒22、10月の日本グランプリシリーズ新潟大会(Yogibo Athletics Challenge Cup 2023)で13分40秒26と短縮した。吉居はそんな1年目を「試行錯誤の1年でした」と振り返る。「トレーナーさんと動きを作ってきましたが、その感覚をつかめなかったんです」。
しかし、2年目は5月に13分27秒33、日本グランプリシリーズ新潟大会を日本人学生歴代6位の13分22秒01で制するなど、1年時と比べて5000mのアベレージは20秒近くも上昇。これらの要因について、1月下旬から約1カ月半、バウワーマン・トラッククラブ(BTC)の合宿に参加したことがきっかけになったという。
「BTCの合宿に参加して、米国人選手の後ろを走っているうちに、取り組んできた動きがバチッとハマった感覚がありました。特にスパイクでの動きはすごくうまくなって、小さな力でスピードが出せるようになり、疲れにくくなったと思います」
中学時代から世代トップをひた走る
箱根駅伝で28年ぶりの総合優勝を目指す中大のなかで「駅伝よりもトラックが好き」と言い切る選手がいる。今季5000mで現役日本人学生最高となる13分22秒01(日本人学生歴代6位)を叩き出した吉居駿恭(2年)だ。 実業団選手の両親を持つ吉居弟の才能は幼少期から際立っていた。小さい頃から「運動会やマラソン大会は負けなかった」ようで、走るのは得意だと思っていました。 愛知・田原東部中時代は1年時に3000mで8分50秒52の中1歴代最高記録を樹立。この記録は7年経った現在でも破られていない。3年時には全中1500mを制し、3000mでも2位に入った。 その後は現在もチームメイトである兄・大和と同じ宮城・仙台育英高に進学。1年時の全国高校駅伝はアンカーを務めて優勝のフィニッシュテープに飛び込んでいる。3年時は5000mで13分56秒16、10000mは高校歴代3位の28分11秒96をマーク。全国高校駅伝は1区を区間3位と好走した。華々しい活躍に見えるが、本人はまったく納得していない。 「求めていた結果が出なかったので、もどかしい気持ちで3年間過ごしました。そのなかで3年時の11月に10000mを28分11秒96で走れたことが、唯一良い走りだったのかなと思います」 中大進学後は5000mで自己ベストを伸ばしていく。1年時は5月のゴールデンゲームズinのべおかで13分43秒22、10月の日本グランプリシリーズ新潟大会(Yogibo Athletics Challenge Cup 2023)で13分40秒26と短縮した。吉居はそんな1年目を「試行錯誤の1年でした」と振り返る。「トレーナーさんと動きを作ってきましたが、その感覚をつかめなかったんです」。 しかし、2年目は5月に13分27秒33、日本グランプリシリーズ新潟大会を日本人学生歴代6位の13分22秒01で制するなど、1年時と比べて5000mのアベレージは20秒近くも上昇。これらの要因について、1月下旬から約1カ月半、バウワーマン・トラッククラブ(BTC)の合宿に参加したことがきっかけになったという。 「BTCの合宿に参加して、米国人選手の後ろを走っているうちに、取り組んできた動きがバチッとハマった感覚がありました。特にスパイクでの動きはすごくうまくなって、小さな力でスピードが出せるようになり、疲れにくくなったと思います」「区間賞や区間新が目標ではない」
トラック種目でスピード感あふれる走りを見せているが、駅伝ではまだ本領を発揮していない。 1年時は出雲6区で区間4位、全日本3区で同8位、箱根4区で同5位。今季は出雲3区で区間11位、全日本1区で同3位だった。 「前回の箱根4区は長い距離への自信がなかったので、まずまずの走りができたかなと思います。ただ今季の出雲は直前までトラックをやっていたとはいえ、想像以上に走れなくて全然ダメでしたね。全日本はちゃんと走れたので良かったと思います」 来年のパリ五輪を5000mで本気で狙っている吉居はトラックに強いこだわりを持っている。普段のトラック練習では吉居大和、中野翔太ら学生駅伝で大活躍する4年生たちと一緒に練習しているが、「自分が一番強いです」と自信を持つ。 一方でロードは苦手意識があるようだ。「トラックで頑張りたいという思いが強いので、出雲と全日本はまだロードに気持ちが切り替わっていませんでした」という。しかし、全日本が終わってからは、「一度トラックのことは忘れて、しっかりと駅伝に向き合って、応援してくれる方たちに恩返ししたいと思っています」と意気込む。 今冬はトラックレースを封印。箱根駅伝に懸けている。希望区間は1区。「先頭と10秒差以内で渡したい」という目標を掲げる。 1区は兄・大和が区間記録(1時間0分40秒/21.3km)を持つ区間。「駅伝に関しては、区間賞や区間新記録が目標というわけではありません。ただチームが総合優勝を目指して本気でやっているので、監督に与えられた役割をしっかり果たしたい」と冷静だ。 「大学生のうちに世界大会に出たい」という熱い思いを持つ二十歳のスピードスター。トラックのスピードが爆発したとき、中大として28年ぶりの歓喜が現実のものになるかもしれない。 [caption id="attachment_123885" align="alignnone" width="800"]
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2025.06.21
-
2025.06.21
2025.06.17
2025中学最新ランキング【男子】
-
2025.06.17
2025.05.28
女子10000mがレース途中で異例の中断!! 大雨と雷の影響も選手困惑/アジア選手権
-
2025.06.04
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.06.21
志學館大が4時間16分37秒88で初出場を決める! 女子は福岡大が出場権獲得/全日本大学駅伝九州地区選考会
◇全日本大学駅伝九州地区選考会(6月21日/福岡大) 第56回全日本大学駅伝九州地区選考会が行われ、志學館大が4時間16分37秒88で初出場を決めた。 広告の下にコンテンツが続きます 強化に着手している志學館大は、すべて […]
2025.06.21
名大がトップ通過で2大会ぶり17回目の本大会へ 岐阜協立大は4大会ぶり/全日本大学駅伝東海選考会
◇全日本大学駅伝東海地区選考会(6月21日/愛知・マルヤス岡崎龍北スタジアム) 第56回全日本大学駅伝東海地区選考会が行われ、名大が2大会ぶり17回目、岐阜協立大が4大会ぶり5回目の本大会出場を決めた。 広告の下にコンテ […]
2025.06.21
やり投・山内愛 地元で笑顔いっぱいのラストスロー「陸上を嫌いなまま終わりたくなかった」覚悟決め、けじめの引退試合
再整備のため移転が決まっている三ツ沢公園陸上競技場で神奈川県選手権が行われた。1951年にオープンしたスタジアムは、神奈川県民にとって特別な場所。中学生から一般選手まで、芝生席には人がいっぱい。招集所が大混雑するのも、こ […]
2025.06.21
ハブズが1500m世界歴代6位3分27秒49! コエチはU20世界新3分27秒72 女子3000m障害チェロチは3戦3勝/DLパリ
世界最高峰シリーズのダイヤモンドリーグ(DL)第8戦「ミーティング・ド・パリ」が6月21日、フランスで行われ、男子1500mではA.ハブズ(フランス)が今季世界最高、世界歴代6位の3分27秒49で優勝した。 ハブズは現在 […]
2025.06.21
編集部コラム「暑ければ暑いほど熱いけど」
毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいこと […]
Latest Issue
最新号

2025年7月号 (6月13日発売)
詳報!アジア選手権
日本インカレ
IH都府県大会