◇ブダペスト世界陸上(8月19日~27日/ハンガリー・ブダペスト)9日目
ブダペスト世界陸上9日目が行われ、女子4×400mリレーはフィニッシュ直前の劇的な逆転でオランダが初優勝を果たした。
まさにフェムケ・ボルのためだけに用意されたかのような舞台となった。
初日の男女混合4×400mリレーでも優勝候補に挙がっていたオランダ。アンカーのボルはトップを快走していたが、フィニッシュ手前5mで転倒してバトンを落とすまさかのアクシデントに見舞われ、金メダルを逃していた。
その後、ボルは6日目に行われた本職の女子400mハードルで、悔しさを晴らすかのような素晴らしい走りで金メダルを獲得。「リレーでの失敗はなかなか忘れることはできなかったけど、チームメイトがはげましてくれた」とチームメイトたちに感謝の気持ちを表していた。
そして大会のフィナーレを飾る女子4×400mリレーで、ボルはこれ以上ないドラマを演じる。
レースは優勝候補の米国が予選で失格。決勝でオランダはエースのボルを男女混合リレー同様にアンカーに託すオーダーを組んだが、トップ争いをするジャマイカと英国からはやや遅れを取ってしまう。ボルにバトンが渡った時点では約10mの差で、この時点で3走のカテライン・ピータースは「正直、『銅メダルだろう』と満足していた」という。
しかし、ボルはあきらめなかった。今大会7レース目で疲労も残るなか、残り200mでアクセルをフルスロットルにすると、徐々に先頭との差を詰めていく。残り50mからはジャマイカのアンカーのペースが鈍ったこともあり、ついに残り5mで逆転。優勝タイムの3分20秒72はオランダ新記録でもあった。
劇的な勝利に観客は総立ちとなり、悲劇のヒロインから今大会一番のヒロインへと生まれ変わったボルを祝福。ボルも「3走までが良いポジションでバトンをつないでくれたから、やるしかないと思った」と興奮気味に世界一を喜んだ。
同種目で五輪、世界選手権を通じてオランダがメダルを取ったことはなく、初のメダルが歴史的な金メダルとなった。
最終日は8種目で決勝が行われ、男子やり投では東京五輪金メダリストのニーラージ・チョプラ(インド)が2投目に88m17を投げ、インド勢としても世界選手権初優勝。「今日は90m以上を投げたかったけど、金メダルを取れたことは誇りだ」と話した。
男子5000mはヤコブ・インゲブリグトセン(ノルウェー)がオレゴン大会に続く連覇を達成。女子3000m障害はウィンフレッド・ミューティル・ヤヴィ(バーレーン)が、世界記録保持者のベアトリス・チェプコエチ(ケニア)を抑えて8分54秒29の好タイムで制した。3強対決となった女子800mはマリー・モラー(ケニア)が1分56秒03の自己新V。女子走高跳ではヤロスラワ・マフチフ(ウクライナ)がただ一人2m01を跳んで初の世界一に輝いている。
一方、男子4×400mリレーは米国が2分57秒31と2位以下に大差をつけて3連覇。午前中の男子マラソンはビクター・キプランガト(ウガンダ)が2時間8分53秒で制した。
ブダペスト世界選手権は全日程を終了。次回は25年に東京で第20回大会が行われる。
【動画】なんとういう結末!女子4×400mRでオランダ・ボルが劇的な逆転V
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.04.30
9月の東京世界陸上に都内の子どもを無料招待 引率含め40,000人 6月から応募スタート
2025.04.30
新しい形の競技会「THE GAME」が9月14日 大阪・万博記念競技場で開催決定!
-
2025.04.29
2025.04.29
100mH田中佑美が予選トップ通過も決勝棄権「故障ではない」昨年の結婚も明かす/織田記念
2025.04.28
100mH田中佑美が国内初戦「ここから毎週のように緊張する」/織田記念
-
2025.04.26
2025.04.12
3位の吉居大和は涙「想像していなかったくらい悔しい」/日本選手権10000m
-
2025.04.01
-
2025.04.12
-
2025.04.12
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.04.30
9月の東京世界陸上に都内の子どもを無料招待 引率含め40,000人 6月から応募スタート
東京都は今年9月に国立競技場をメイン会場として開かれる世界選手権に都内の子どもたちを無料招待すると発表した。 「臨場感あふれる会場での観戦を通じて、都内の子供たちにスポーツの素晴らしさや夢と希望を届ける」というのが目的。 […]
2025.04.30
新しい形の競技会「THE GAME」が9月14日 大阪・万博記念競技場で開催決定!
「陸上競技の魅力を最大限に引き出し、観客と選手の双方にとって忘れられない体験を」をコンセプトに、三重県で開催されてきた『THE GAME』。今年は会場を大阪府。万博記念競技場を移して、9月14日に行われることが決まった。 […]
2025.04.30
中村宏之氏が79歳で死去 福島千里、寺田明日香、伊藤佳奈恵ら女子短距離日本記録保持者を育成
女子短距離で数々のトップ選手を育成した北海道ハイテクアスリートクラブ前監督の中村宏之氏が4月29日に逝去した。享年79。 中村氏は1945年6月9日生まれ。北海道・札幌東高,日体大で三段跳、走幅跳選手として活躍し、卒業後 […]
2025.04.30
女子七種競技・アラウホが今季世界最高6396点で優勝 男子100mはバルディが9秒99/南米選手権
4月25日から27日まで、アルゼンチンのマル・デル・プラタで南米選手権が開催され、女子七種競技ではM.アラウホ(コロンビア)が6396点(13秒13、1m73、13m55、24秒43/6m55、47m62、2分17秒38 […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL)
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)