HOME 世界陸上、海外

2023.08.28

女子4×400mRはオランダが劇的V 初日に泣いたボルが歓喜のフィニッシュ!男子やり投はチョプラが金/世界陸上Day9
女子4×400mRはオランダが劇的V 初日に泣いたボルが歓喜のフィニッシュ!男子やり投はチョプラが金/世界陸上Day9

女子4×400mRで史上初の優勝を果たしたオランダ。ボル(左)は400mHとの2冠となった

◇ブダペスト世界陸上(8月19日~27日/ハンガリー・ブダペスト)9日目

ブダペスト世界陸上9日目が行われ、女子4×400mリレーはフィニッシュ直前の劇的な逆転でオランダが初優勝を果たした。

まさにフェムケ・ボルのためだけに用意されたかのような舞台となった。

広告の下にコンテンツが続きます

初日の男女混合4×400mリレーでも優勝候補に挙がっていたオランダ。アンカーのボルはトップを快走していたが、フィニッシュ手前5mで転倒してバトンを落とすまさかのアクシデントに見舞われ、金メダルを逃していた。

その後、ボルは6日目に行われた本職の女子400mハードルで、悔しさを晴らすかのような素晴らしい走りで金メダルを獲得。「リレーでの失敗はなかなか忘れることはできなかったけど、チームメイトがはげましてくれた」とチームメイトたちに感謝の気持ちを表していた。

そして大会のフィナーレを飾る女子4×400mリレーで、ボルはこれ以上ないドラマを演じる。

レースは優勝候補の米国が予選で失格。決勝でオランダはエースのボルを男女混合リレー同様にアンカーに託すオーダーを組んだが、トップ争いをするジャマイカと英国からはやや遅れを取ってしまう。ボルにバトンが渡った時点では約10mの差で、この時点で3走のカテライン・ピータースは「正直、『銅メダルだろう』と満足していた」という。

しかし、ボルはあきらめなかった。今大会7レース目で疲労も残るなか、残り200mでアクセルをフルスロットルにすると、徐々に先頭との差を詰めていく。残り50mからはジャマイカのアンカーのペースが鈍ったこともあり、ついに残り5mで逆転。優勝タイムの3分20秒72はオランダ新記録でもあった。

劇的な勝利に観客は総立ちとなり、悲劇のヒロインから今大会一番のヒロインへと生まれ変わったボルを祝福。ボルも「3走までが良いポジションでバトンをつないでくれたから、やるしかないと思った」と興奮気味に世界一を喜んだ。

同種目で五輪、世界選手権を通じてオランダがメダルを取ったことはなく、初のメダルが歴史的な金メダルとなった。

最終日は8種目で決勝が行われ、男子やり投では東京五輪金メダリストのニーラージ・チョプラ(インド)が2投目に88m17を投げ、インド勢としても世界選手権初優勝。「今日は90m以上を投げたかったけど、金メダルを取れたことは誇りだ」と話した。

男子5000mはヤコブ・インゲブリグトセン(ノルウェー)がオレゴン大会に続く連覇を達成。女子3000m障害はウィンフレッド・ミューティル・ヤヴィ(バーレーン)が、世界記録保持者のベアトリス・チェプコエチ(ケニア)を抑えて8分54秒29の好タイムで制した。3強対決となった女子800mはマリー・モラー(ケニア)が1分56秒03の自己新V。女子走高跳ではヤロスラワ・マフチフ(ウクライナ)がただ一人2m01を跳んで初の世界一に輝いている。

一方、男子4×400mリレーは米国が2分57秒31と2位以下に大差をつけて3連覇。午前中の男子マラソンはビクター・キプランガト(ウガンダ)が2時間8分53秒で制した。

ブダペスト世界選手権は全日程を終了。次回は25年に東京で第20回大会が行われる。

◇ブダペスト世界陸上(8月19日~27日/ハンガリー・ブダペスト)9日目 ブダペスト世界陸上9日目が行われ、女子4×400mリレーはフィニッシュ直前の劇的な逆転でオランダが初優勝を果たした。 まさにフェムケ・ボルのためだけに用意されたかのような舞台となった。 初日の男女混合4×400mリレーでも優勝候補に挙がっていたオランダ。アンカーのボルはトップを快走していたが、フィニッシュ手前5mで転倒してバトンを落とすまさかのアクシデントに見舞われ、金メダルを逃していた。 その後、ボルは6日目に行われた本職の女子400mハードルで、悔しさを晴らすかのような素晴らしい走りで金メダルを獲得。「リレーでの失敗はなかなか忘れることはできなかったけど、チームメイトがはげましてくれた」とチームメイトたちに感謝の気持ちを表していた。 そして大会のフィナーレを飾る女子4×400mリレーで、ボルはこれ以上ないドラマを演じる。 レースは優勝候補の米国が予選で失格。決勝でオランダはエースのボルを男女混合リレー同様にアンカーに託すオーダーを組んだが、トップ争いをするジャマイカと英国からはやや遅れを取ってしまう。ボルにバトンが渡った時点では約10mの差で、この時点で3走のカテライン・ピータースは「正直、『銅メダルだろう』と満足していた」という。 しかし、ボルはあきらめなかった。今大会7レース目で疲労も残るなか、残り200mでアクセルをフルスロットルにすると、徐々に先頭との差を詰めていく。残り50mからはジャマイカのアンカーのペースが鈍ったこともあり、ついに残り5mで逆転。優勝タイムの3分20秒72はオランダ新記録でもあった。 劇的な勝利に観客は総立ちとなり、悲劇のヒロインから今大会一番のヒロインへと生まれ変わったボルを祝福。ボルも「3走までが良いポジションでバトンをつないでくれたから、やるしかないと思った」と興奮気味に世界一を喜んだ。 同種目で五輪、世界選手権を通じてオランダがメダルを取ったことはなく、初のメダルが歴史的な金メダルとなった。 最終日は8種目で決勝が行われ、男子やり投では東京五輪金メダリストのニーラージ・チョプラ(インド)が2投目に88m17を投げ、インド勢としても世界選手権初優勝。「今日は90m以上を投げたかったけど、金メダルを取れたことは誇りだ」と話した。 男子5000mはヤコブ・インゲブリグトセン(ノルウェー)がオレゴン大会に続く連覇を達成。女子3000m障害はウィンフレッド・ミューティル・ヤヴィ(バーレーン)が、世界記録保持者のベアトリス・チェプコエチ(ケニア)を抑えて8分54秒29の好タイムで制した。3強対決となった女子800mはマリー・モラー(ケニア)が1分56秒03の自己新V。女子走高跳ではヤロスラワ・マフチフ(ウクライナ)がただ一人2m01を跳んで初の世界一に輝いている。 一方、男子4×400mリレーは米国が2分57秒31と2位以下に大差をつけて3連覇。午前中の男子マラソンはビクター・キプランガト(ウガンダ)が2時間8分53秒で制した。 ブダペスト世界選手権は全日程を終了。次回は25年に東京で第20回大会が行われる。

【動画】なんとういう結末!女子4×400mRでオランダ・ボルが劇的な逆転V

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.06

マラソン・川内優輝が第二子誕生を報告!「ソワソワしていました」15回目防府読売前日に吉報

男子マラソンプロランナーの川内優輝(あいおいニッセイ同和損保)が12月6日に自身のSNSを更新し、第二子の誕生を報告した。 川内は17時前に投稿し「先ほど次男の夢翔が生まれました」と名前も明かした。元実業団ランナーでもあ […]

NEWS 高3・吉田彩心が1万m32分38秒74の高校歴代2位 11月下旬の5000mに続き、2週連続の快走/エディオンDC

2025.12.06

高3・吉田彩心が1万m32分38秒74の高校歴代2位 11月下旬の5000mに続き、2週連続の快走/エディオンDC

◇エディオンディスタンスチャレンジin大阪2025(12月6日/ヤンマースタジアム長居) 長距離特化の記録会エディオンディスタンスチャレンジが行われ、女子10000m(C組)はカリバ・カロライン(日本郵政グループ)が30 […]

NEWS 田中希実3年8ヵ月ぶり10000m激走!日本歴代7位の30分54秒40に「驚いています」/エディオンDC

2025.12.06

田中希実3年8ヵ月ぶり10000m激走!日本歴代7位の30分54秒40に「驚いています」/エディオンDC

◇エディオンディスタンスチャレンジin大阪2025(12月6日/ヤンマースタジアム長居) 長距離特化の記録会エディオンディスタンスチャレンジが行われ、女子10000m(C組)はカリバ・カロライン(日本郵政グループ)が30 […]

NEWS 第一工科大が最終区での逆転で3年ぶり栄冠! 初V目指した鹿児島大は13秒差で涙/島原学生駅伝

2025.12.06

第一工科大が最終区での逆転で3年ぶり栄冠! 初V目指した鹿児島大は13秒差で涙/島原学生駅伝

12月6日、第43回九州学生駅伝が長崎県島原市の市営競技場をスタートし、島原文化会館にフィニッシュする7区間57.75kmのコースで行われ、第一工科大が3時間3分10秒で3年ぶり21回目の優勝を飾った。 第一工科大は1区 […]

NEWS 全日本入賞の福岡大が全区間トップで圧勝 九大5年連続2位 佐賀大は過去最高3位/九州学生女子駅伝

2025.12.06

全日本入賞の福岡大が全区間トップで圧勝 九大5年連続2位 佐賀大は過去最高3位/九州学生女子駅伝

12月6日、第25回九州学生女子駅伝(5区間22.8km)が長崎県島原市で行われ、福岡大が1時間17分31秒で14回目の優勝を果たした。 10月の全日本大学女子駅伝で8位に入賞している福岡大は1区から他校を圧倒。前回に続 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年12月号 (11月14日発売)

2025年12月号 (11月14日発売)

EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選

Follow-up Tokyo 2025

page top