◇ブダペスト世界陸上(8月19日~27日/ハンガリー・ブダペスト)9日目
ブダペスト世界陸上9日目のアフタヌーンセッションが行われ、女子走高跳では2大会連続で銀メダルを獲得していたヤロスラワ・マフチフ(ウクライナ)が、ただ一人2m01に成功して、悲願の金メダルに輝いた。
有力者が顔をそろえた決勝だったが、マフチフの跳躍は際だって安定していた。
1m94こそ1度のミスがあったものの、その後は1m97、1m99とともに難なく1回で成功。1m99は前回優勝のエレノール・パターソンと、今季2m02を跳んでリストトップに立っていたニコラ・オリスラガースの豪州コンビもクリアしていたが、互いにミスがあり、この時点でトップに踊り出た。
圧巻だったのが2m01の跳躍だ。2回目に長い手足を大きく振る助走から、内傾姿勢、踏み切り、クリアランスと流れるようなフォームで、バーに身体が触れることなくクリア。成功後も大きく喜ぶことはなかったが、世界一を確信するかのような表情を見せた。
その後、自己記録(2m06)を上回る2m07にもチャレンジ。惜しい跳躍もあった。
マフチフは2001年生まれの21歳。17歳だった19年ドーハ大会においてU20世界新を樹立して銀メダルと華々しい国際大会デビューを果たし、21年東京五輪では3位。昨年はダイヤモンドリーグ(DL)で優勝を重ね、DLファイナルも制したものの、オレゴンでは1位だったパターソンと同記録の2位に泣いていた。
昨年2月にロシアの軍事侵攻が始まった際には、車で6日間掛けて国外に避難。ウクライナ中部にある生まれ故郷のドニプロは激戦地となり、祖国には今年1月に2週間だけ戻ったきりだという。
インタビューでは「母国のためにこの金メダルを獲得できたことをとても誇りに思います。ウクライナに戻って、コーチにこのメダルを見せるのが待ちきれません」と語ったマフチフ。「ウクライナの平和と独立のために、今も戦っているすべてのウクライナ国民のためにこの金メダルを獲得する必要がありました」と壮絶な覚悟を持ってこの試合に挑んでいた。
いまだ戦禍が続く祖国に希望となる金メダルをもたらした新女王は「ウクライナで大会が開催されたり、トレーニングができるようになる日が来ることを祈ってます」と一刻も早い平和を願った。
【動画】2m01を鮮やかにクリア!女子走高跳で金メダルを獲得したマフチフ
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.12.17
競歩の山西利和に京都市スポーツ最高栄誉賞 自身4度目、2月に世界記録樹立 丸尾には特別賞
2025.12.16
中央学大がTKK株式会社とスポンサー契約 同大卒業生が代表取締役
-
2025.12.16
-
2025.12.16
-
2025.12.16
-
2025.12.16
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝女子(2025年12月14日)
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝男子(2025年12月14日)
2025.12.14
中学駅伝日本一決定戦がいよいよ開催 女子11時10分、男子12時15分スタート/全中駅伝
-
2025.12.14
-
2025.12.14
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝女子(2025年12月14日)
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝男子(2025年12月14日)
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.12.17
競歩の山西利和に京都市スポーツ最高栄誉賞 自身4度目、2月に世界記録樹立 丸尾には特別賞
愛知製鋼は、同社所属の競歩・山西利和が京都市スポーツ最高栄誉賞を受賞したと発表した。 同賞は国際大会などにおいて顕著な活躍、またはそれに準ずるせいかを挙げた者に贈られるもの。山西は今年2月の日本選手権20km競歩で1時間 […]
2025.12.16
中央学大がTKK株式会社とスポンサー契約 同大卒業生が代表取締役
中央学大駅伝部が「TKK株式会社」とスポンサー契約を結んだことを発表した。 同社は千葉県八千代市に本社を構え、主にプレキャストコンクリート鋼製型枠を取り扱うメーカー。中央学大卒業の安保誠司氏が代表取締役を務めており、「未 […]
2025.12.16
今年度限りでの「引退」を表明した村澤明伸インタビュー【前編】 大学3・4年時はトラックと駅伝の両立に挑戦したが「バランスを取るのが難しかった」
全国高校駅伝で日本一に輝き、箱根駅伝は花の2区で快走。日本選手権10000mでも上位に食い込んだのが、村澤明伸(SGホールディングス、34歳)だ。紆余曲折を経て、今年度限りでの「引退」を表明したが、どんな競技生活を過ごし […]
2025.12.16
赤﨑優花が自身の思いと感謝綴る 移籍は「前向きな決断」「この道を正解にします」
12月15日で第一生命グループを退社し、夫の赤﨑暁も所属するクラフティア(前・九電工)へ移籍加入した赤﨑優花(旧姓・鈴木)が自身のSNSを更新し、改めて思いを綴った。 昨年のパリ五輪女子マラソン6位入賞の赤﨑。「決して悲 […]
Latest Issue
最新号
2026年1月号 (12月12日発売)
箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望
大迫傑がマラソン日本新
箱根駅伝「5強」主将インタビュー
クイーンズ駅伝/福岡国際マラソン
〔新旧男子100m高校記録保持者〕桐生祥秀×清水空跳