HOME 学生長距離

2022.12.28

箱根駅伝Stories/過去最高戦力誇る國學院大 狙うは初の頂点「表彰台だけでは満足できない」
箱根駅伝Stories/過去最高戦力誇る國學院大 狙うは初の頂点「表彰台だけでは満足できない」

全日本大学駅伝5区区間賞と衝撃の駅伝デビューを飾った青木瑠郁(左)と同6区の坂本健悟

主力が好調&山区間に自信

底上げがうまくいっている上に、主力選手たちも好調だ。

12月4日には、甲佐10マイルロードレースに主力選手が出場。中西が学生トップの8位に入り、日本人学生歴代2位となる46分09秒をマーク。山本も同歴代3位となる46分16秒で走り、力を見せた。

さらに、今季急成長を遂げた4年生の藤本竜が46分33秒、全日本5区区間賞の青木瑠郁(1年)が46分34秒、上原が47分17秒と、いずれも好記録をマークした。駅伝で軸となる選手たちも順調な仕上がりを見せている。

広告の下にコンテンツが続きます

また、前田監督は「山で勝負できる」と自信をのぞかせる。その候補はおそらく、甲佐10マイルに出場しなかった平林、伊地知あたりだろう。いずれも、タフさを備え、ロードを得意としている。一方が2区、もう一方が5区を担うことになるのではないだろうか。

チームを牽引する主将の中西大翔(中央)と、右が3年生の伊地知賢造、左が平林清澄

6区も、過去に好走している島﨑慎愛(4年)がおり、その他にも候補がいるという。

「区間ごとの勝敗で負け越しても、勝った区間で何分稼げるか。山は区間順位以上にタイムを稼げるので、ウチは山でタイムを取らないといけません」

前田監督は山で一気に攻勢を仕掛けるつもりだ。

次のページ 優勝を宣言できるほどのチームに

箱根駅伝Stories 今季の駅伝シーズン、出雲駅伝、全日本大学駅伝ともに2位と好調なのが國學院大だ。ここまで「三大駅伝すべて表彰台」という目標を着実にクリアしてきた。 「箱根駅伝でもしっかり表彰台を目指して頑張りたいです。でも、今は表彰台というだけでは満足できないと思うので、優勝にチャレンジしたいなと思っています」 主将の中西大翔(4年)がこう話すように、箱根駅伝では頂点を見据えている。

ハーフ1時間3分台でもメンバー入りできない選手層に

今季の躍進を支えているのが、中西、伊地知賢造(3年)、平林清澄(2年)、山本歩夢(2年)の“4本柱”であることは間違いない。だが、彼らの力を生かすことができるのも、充実した選手層があってのこと。この点を見落としてはならない。 「上尾シティハーフでは、出雲駅伝、全日本大学駅伝を走っていないメンバーを中心に、箱根駅伝のエントリーメンバー16人入りを懸けて出場しました。出雲、全日本の勢いさながら、しっかり結果で証明してくれました。ここ最近の課題だった中間層の底上げがうまくできているなっていうのが実感できました」(中西) 11月の上尾シティハーフでは、7位に入賞した鶴元太(2年)、1年生の高山豪起、全日本からの連戦となった坂本健悟(4年)が1時間2分台の好記録をマーク。さらに、8人が1時間3分台で走った。 全日本を走ったメンバーに、全日本後の沖縄合宿に参加した上原琉翔、嘉数純平(ともに1年)を加えれば、ゆうに20人を数える。ハーフ1時間3分台で走っても16人に入れないのだから、前田康弘監督が「過去最強の戦力」と口にするのも頷ける。 上尾ハーフで好走し16人に選ばれた1人、2年の木村文哉は一般入試で合格して入部した選手だ。高校時代の5000mの自己ベストは14分42秒10に過ぎないが、ハーフ1時間3分04秒をマークするまでに力をつけた。 もともと育成力に定評のあるチームでもあるが、一般受験組からこんな選手が出てきたことは、チームの勢いを感じさせる。 「結果を出した選手には自分から話しかけてコミュニケーションを取るようにしていますし、自己ベストを出した選手には、学年関係なく、チーム全体で『おめでとう!』って言い合える明るいチームになってきていると思います」(中西) 副主将の伊地知賢造(3年)も現チームについてこのように話す。 「これまでもコミュニケーションが取れていたと思いますが、今年度はさらに学年を超えて仲が良いチームになっているのを感じます。レース前にも『頑張れよ』ってお互いに声を掛け合うケースがすごく多いなと感じています」 幹部としてチームを引っ張ってきた2人の言葉の端々からは、チームの雰囲気の良さが伝わってくる。こうした雰囲気がチーム全体のレベルアップの要因でもあるのだろう。 次のページ 主力が好調&山区間に自信

主力が好調&山区間に自信

底上げがうまくいっている上に、主力選手たちも好調だ。 12月4日には、甲佐10マイルロードレースに主力選手が出場。中西が学生トップの8位に入り、日本人学生歴代2位となる46分09秒をマーク。山本も同歴代3位となる46分16秒で走り、力を見せた。 さらに、今季急成長を遂げた4年生の藤本竜が46分33秒、全日本5区区間賞の青木瑠郁(1年)が46分34秒、上原が47分17秒と、いずれも好記録をマークした。駅伝で軸となる選手たちも順調な仕上がりを見せている。 また、前田監督は「山で勝負できる」と自信をのぞかせる。その候補はおそらく、甲佐10マイルに出場しなかった平林、伊地知あたりだろう。いずれも、タフさを備え、ロードを得意としている。一方が2区、もう一方が5区を担うことになるのではないだろうか。 [caption id="attachment_89793" align="alignnone" width="800"] チームを牽引する主将の中西大翔(中央)と、右が3年生の伊地知賢造、左が平林清澄[/caption] 6区も、過去に好走している島﨑慎愛(4年)がおり、その他にも候補がいるという。 「区間ごとの勝敗で負け越しても、勝った区間で何分稼げるか。山は区間順位以上にタイムを稼げるので、ウチは山でタイムを取らないといけません」 前田監督は山で一気に攻勢を仕掛けるつもりだ。 次のページ 優勝を宣言できるほどのチームに

優勝を宣言できるほどのチームに

2019年度に出雲駅伝で学生三大駅伝で初めて優勝を果たし、一躍強豪校へと駆け上がった國學院大だが、選手として優勝の歓喜を味わったのは、今や中西ただ一人になった。 「(中西)大翔は、勝利のDNAをしっかり下級生にうまく引き継ごうとしてくれている。彼の存在は大きい。 選手たちは『優勝』と言っていますが、本当は『優勝』という言葉を簡単に口にしてほしくないんです。でも、彼らを見ていると、建前で口にしているのではなく、本気で狙っているなと感じます。そういうチームになってきました」 前田監督も選手たちの本気を感じ取っている。 「3年前に出雲で優勝して、チームの雰囲気が変わったのを感じました。出雲優勝を起点に、7位や8位では満足できなくなり、シード権を争うチームから、3番以内などの高い目標を掲げるチームになりました。今回の箱根で優勝して、来年度はまた新たなチームを作っていってほしいです」 中西も最高の置き土産をするつもりだ。 [caption id="attachment_89794" align="alignnone" width="800"] 上尾ハーフで1時間2分15秒で走った鶴元太を先頭に走り込む選手たち[/caption] 下級生に好選手が数多く残っているだけに、今回初優勝を飾ることができれば、國學院大の黄金時代が到来することになりそうだ。 文/和田悟志

次ページ:

ページ: 1 2 3

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.03

明大主将に短距離・神戸毅裕が就任 「紫紺の矜持を重んじ、研鑽を重ねる」

明大競走部は、チームのホームページで12月1日からスタートした新体制を発表し、主将には短距離ブロックの神戸毅裕が就任した。 神戸は東京・明星学園高出身。高校時代はインターハイ南関東大会4×100mリレーで優勝したほか、U […]

NEWS 世界陸上銅メダルの藤井菜々子に那珂川市市民栄誉賞&北九州市民スポーツ大賞

2025.12.02

世界陸上銅メダルの藤井菜々子に那珂川市市民栄誉賞&北九州市民スポーツ大賞

9月の東京世界選手権女子20km競歩で銅メダルを獲得した藤井菜々子(エディオン)が、出身地である福岡県那珂川市の市民栄誉賞、そして高校時代を過ごした北九州市の北九州市民スポーツ大賞を受賞することが決まり、12月2日に両市 […]

NEWS サニブラウンがピックルボール初体験!子どもたちと真剣勝負「スポーツの力あらためて感じる」

2025.12.02

サニブラウンがピックルボール初体験!子どもたちと真剣勝負「スポーツの力あらためて感じる」

【動画】ピックルボールに挑戦したサニブラウン サニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)がピックルボールに初挑戦! pic.twitter.com/aDtiEyvZ85 — 月陸Online/月刊陸上競技 (@ […]

NEWS 東洋大男子長距離が4社と契約 “昇り龍”を描いた鉄紺の新ユニフォームも発表「頂点目指し力強く上昇」

2025.12.02

東洋大男子長距離が4社と契約 “昇り龍”を描いた鉄紺の新ユニフォームも発表「頂点目指し力強く上昇」

酒井俊幸監督コメント全文をチェック! 選手たちの挑戦に向けて、多くの皆様にご支援いただきましたことに心より感謝いたします。箱根駅伝の舞台では、箱根九頭龍神社にちなんだ“龍”と穏やかな波が連なっている様子を幾何学的に表現し […]

NEWS Hondaに法大・大島史也、東海大の主力2人が来季加入!「培ってきた走力と探究心を最大限に発揮」

2025.12.02

Hondaに法大・大島史也、東海大の主力2人が来季加入!「培ってきた走力と探究心を最大限に発揮」

Hondaに期待の3人が加入!選手の意気込みコメント全文をチェック 大島史也 「これまでの競技キャリアで培ってきた走力と探究心を最大限に発揮し、ニューイヤー駅伝の優勝に貢献します。また、常に世界の舞台への挑戦を恐れず、自 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年12月号 (11月14日発売)

2025年12月号 (11月14日発売)

EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選

Follow-up Tokyo 2025

page top