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2022.12.20

箱根駅伝Stories/“鉄紺のエース”を目指す東洋大・石田洸介「エースならどんな状況でも走らないといけない」
箱根駅伝Stories/“鉄紺のエース”を目指す東洋大・石田洸介「エースならどんな状況でも走らないといけない」

2年目にして初の箱根路に挑む東洋大の石田洸介

消化不良だった今季の出雲駅伝、全日本大学駅伝

今年は2月まで順調に練習を積んでいたが、貧血や故障が相次ぎ、前半戦は一度もレースに出場することができなかった。

「練習をしては故障しての繰り返しで、継続したトレーニングが積めなかった」と言う石田だが、2年目の夏合宿で成長を実感している。

「最初は箱根前のように相当ボロボロだったんですけど、一旦苦しい思いをしたせいか、2次合宿では少し練習が積めるようになったんです。合宿を重ねていくごとに距離への対応ができるようになりました」

夏合宿ではじっくりと走り込んだ

秋にはトラックレースに出場。9月17日のミドルディスタンスサーキット1500mで3分52秒09、9月24日の早大競技会5000mで13分56秒65、10月22日の平成国際大長距離競技会10000mで28分39秒41をマークしている。

学生駅伝は出雲が3区、全日本は2区に出場。「つなぎ区間だった」1年時とは異なり、主要区間を担った。

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「今年はエース区間に抜擢されて、自分自身どれぐらい通用するのか楽しみにしていた部分もありました」と意気揚々と臨んだものの、ともに区間9位と振るわなかった。

どちらもタスキをもらった位置が後方(出雲14位、全日本10位)だったこともあるが、石田自身は「エースになるなら、どんな状況でも前に向かって走る必要がある。前半さほど突っ込んでないのに、後半も動きを変えられませんでした。まだまだ未熟です」と反省が口を衝いて出た。

次のページ 2区に抜擢されてもいい準備を

箱根駅伝Stories 新春の風物詩・箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。12月19日から区間エントリーが発表される29日まで、全校の特集記事を掲載していく。 東洋大の石田洸介(2年)は、中学・高校と世代トップ選手としてひた走る存在だった。大学でもルーキーイヤーだった昨年度に出雲駅伝5区、全日本大学駅伝4区で区間賞を獲得。初の箱根駅伝で鮮烈なデビューを飾るはずだったが、前回は出走が叶わなかった。今回は2年目にして初の出走が濃厚。どんな思いを抱えて箱根路に挑むのだろうか。

中学記録&高校記録保持者として東洋大に入学

箱根から世界へ。服部勇馬(トヨタ自動車)、相澤晃(旭化成)ら東洋大のエースたちは常に〝世界〟を見つめてきた。2023年の箱根駅伝、5000mの元高校記録保持者である石田洸介(2年)が次なるステージにチャレンジする。 石田は福岡・浅川中時代に1500m3分49秒72、3000m8分17秒84と2種目の中学記録(当時)を樹立。群馬・東農大二高では5000mで13分34秒74の高校記録(当時)を打ち立てた。 しかし、大きな期待を受けて東洋大に進学した昨季は、左右の接地バランスが崩れていたこともあり、トラックシーズンは苦しんだ。 それでも学生駅伝は“圧巻デビュー”を飾る。10月の出雲駅伝は5区で4人抜きを披露。区間2位以下を20秒以上も引き離す圧倒的な区間賞を獲得した。11月の全日本大学駅伝も4区で区間賞をゲット。石田の感覚では高校の一番良かった時を「100%」とすれば、出雲が「60%」で、全日本が「80%」だったという。 当然、箱根駅伝でも快走が期待された。しかし、正月の晴れ舞台にランナー石田洸介の姿はなかった。 「前回、箱根を走れなかった大きな原因は夏合宿でスタミナ練習ができなかったこと。全日本後に走り込んだのですが、そのトレーニングに耐えられる身体ができていませんでした。距離走に慣れていないぶん、反動が大きくて、正月が近づけば近づくほど、どんどん調子が悪くなっていったんです」 1年時の箱根駅伝は9区・前田義弘(現4年)の給水係を務めることになった。「間近で走ってる選手を見て、相当悔しかったです」と振り返る。 次ページ 消化不良だった今季の出雲駅伝、全日本大学駅伝

消化不良だった今季の出雲駅伝、全日本大学駅伝

今年は2月まで順調に練習を積んでいたが、貧血や故障が相次ぎ、前半戦は一度もレースに出場することができなかった。 「練習をしては故障しての繰り返しで、継続したトレーニングが積めなかった」と言う石田だが、2年目の夏合宿で成長を実感している。 「最初は箱根前のように相当ボロボロだったんですけど、一旦苦しい思いをしたせいか、2次合宿では少し練習が積めるようになったんです。合宿を重ねていくごとに距離への対応ができるようになりました」 [caption id="attachment_89234" align="alignnone" width="800"] 夏合宿ではじっくりと走り込んだ[/caption] 秋にはトラックレースに出場。9月17日のミドルディスタンスサーキット1500mで3分52秒09、9月24日の早大競技会5000mで13分56秒65、10月22日の平成国際大長距離競技会10000mで28分39秒41をマークしている。 学生駅伝は出雲が3区、全日本は2区に出場。「つなぎ区間だった」1年時とは異なり、主要区間を担った。 「今年はエース区間に抜擢されて、自分自身どれぐらい通用するのか楽しみにしていた部分もありました」と意気揚々と臨んだものの、ともに区間9位と振るわなかった。 どちらもタスキをもらった位置が後方(出雲14位、全日本10位)だったこともあるが、石田自身は「エースになるなら、どんな状況でも前に向かって走る必要がある。前半さほど突っ込んでないのに、後半も動きを変えられませんでした。まだまだ未熟です」と反省が口を衝いて出た。 次のページ 2区に抜擢されてもいい準備を

2区に抜擢されてもいい準備を

それだけに初参戦となる箱根駅伝への思いは強い。来年1月2日に向けて、集中力を高めている。 「自分はまだ2年生で箱根の経験もありません。(11月20日の)10000m記録挑戦競技会に出て、トラックのタイムを作る予定だったのですが、中途半端に終わらせたくなかったので、監督と相談して、今冬はトラックを走らず、箱根一本に合わせています」 [caption id="attachment_89235" align="alignnone" width="800"] 主将の前田義弘(右)からも大きな期待を寄せられている[/caption] これまで20km以上のレースは未経験だったが、厚底レーシングシューズを履かずに、11月26日の小江戸川越ハーフマラソンに出場。1時間4分00秒の2位で走破して、自信を深めた。箱根駅伝は往路での起用が有力視されている。 「イメージしやすいのは前回準備していた4区ですね。今回は5区でタイムを稼ぐ選手がいないので、区間新記録を目指し、順位を押し上げることができればチームの勢いが変わると思うので」 そのうえで、2区に抜擢されてもいいような準備もしている。「エースになるならどんな状況でも走らないといけません。来季はトラックで爆発的なタイムを出せるように、そのきっかけとなるようなレースをしたいです」。 石田が2020年に樹立した5000mの高校記録は、昨季に佐藤圭汰(現・駒大)が13分31秒19、今季は吉岡大翔(佐久長聖高3長野)が13分22秒99まで短縮している。記録を大きく塗り替えられたが、5000mの元高校記録保持者はプライドを失っていない。 「佐藤君に抜かれた時は、意外とタイムが伸びなかったという印象でしたが、吉岡君のタイムには度肝を抜かれました。 でも、走るからには先輩だろうと後輩であろうとライバルだと思ってるので、誰にも負けたくありません。1、2年時に苦しんでも、3・4年目で伸びる選手はたくさんいます。相澤さんも似たような感じだったので、今はとにかく基礎・基本を徹底して、いつか爆発できるように根を張りたいなと思っています」 大学4年時に迎えるパリ五輪を目指して、本気になった石田が箱根路で〝鉄紺の走り〟を見せつける。 いしだ・こうすけ/2002年8月21日生まれ。福岡県遠賀町出身。173cm・58kg。福岡・浅川中→群馬・東農大二高。5000m13分34秒74、10000m28分37秒50、ハーフ1時間4分00秒 文/酒井政人

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