HOME ニュース、海外

2022.07.19

ハイペースの女子マラソンはゲブレシラシェが大会新V 男子走高跳バルシム、女子三段跳ロハスが貫禄のV3/世界陸上Day4
ハイペースの女子マラソンはゲブレシラシェが大会新V 男子走高跳バルシム、女子三段跳ロハスが貫禄のV3/世界陸上Day4

◇オレゴン世界陸上(7月15日〜24日/米国・オレゴン州ユージン)4日目

オレゴン世界陸上4日目は5種目の決勝と七種競技の後半が行われ、午前6時15分(現地時間)スタートの女子マラソンでは、前日の男子同様にハイレベルの優勝争いが繰り広げられた。

最初の5kmを16分10秒で通過と、スローで入った男子とは一変していきなり高速レースに。18km過ぎに前回優勝のルース・チェプンゲティチ(ケニア)がコースを外れる波乱含みの展開から、エチオピア勢が仕掛ける。そして、28kmからはゴティトム・ゲブレシラシェとジュディス・コリル(ケニア)が10km以上に渡って息詰まるデッドヒートを繰り広げた。

広告の下にコンテンツが続きます

勝負が決したのは40.5km。ゲブレシラシェがスパートし、2時間18分11秒の大会新記録で初優勝を飾った。コンディションに恵まれたこともあり、世界陸上では史上初の2時間20分切り。前日の男子ではタミラト・トーラがこちらも大会新の2時間5分35秒で制しており、エチオピアが五輪、世界陸上を通じて同国初のマラソン男女制覇を成し遂げた。

エチオピア女子としては3大会ぶり2人目の栄冠を手にしたゲブレシラシェは、「とてもうれしい。40kmを過ぎても力が残っていると感じたので、スパートしようと決めた。昨日のトーラの優勝が、とてもモチベーションになった」と振り返った。

コリルが9秒差の2時間18分20秒で2位となり、後半に順位を上げたロナ・チェムタイ・サルペーター(イスラエル)が2時間20分18秒で銅メダルを獲得。4位までが2005年ヘルシンキ大会でポーラ・ラドクリフ(英国)が出した大会記録(2時間20分57秒)を上回った。

イブニング・セッションでは跳躍の「王者」と「女王」がその力を存分に発揮した。

男子走高跳はムタズ・エッサ・バルシム(カタール)が2m37で貫録の3連覇。跳び始めの2m24から優勝記録の2m37まで、すべて一発でクリアする圧巻のシリーズで、他の選手に付け入る隙を与えなかった。東京五輪ではジャンマルコ・タンベリ(イタリア)と同記録・同試技で優勝を分け合い、念願の五輪金メダルを獲得。名実ともに現役最高のジャンパーとして君臨する。

女子三段跳決勝は、15m74の世界記録を持つユリマール・ロハス(ベネズエラ)の独壇場。2回目に今季ベストの15m47(+1.9)をマークすると、3回目15m24(+1.1)、優勝を決めた後の6回目も15m39(+0.5)で締めくくる。2位のシャニエカ・リケッツ(ジャマイカ)に58cmもの大差をつけて悠々と3連覇を飾り、東京五輪と、その間に行われた2018年と今年3月の世界室内選手権を合わせた世界大会の連勝を「6」に伸ばした。

女子七種競技はナフィサットゥ・ティアム(ベルギー)がセカンドベストとなる6947点で2大会ぶりの金メダルに輝く。6種目めのやり投でアナウク・フェッター(オランダ)に譲ったトップの座を、最終種目の800mで奪還。昨年の東京五輪でも連覇を飾った27歳が、「クイーン・オブ・アスリート」の座を守った。

女子1500mでも、五輪2連覇中のフェイス・キピエゴン(ケニア)が室内世界記録(3分53秒09)保持者のグダフ・ツェガイ(エチオピア)、東京五輪銀メダリストのローラ・ミューアー(英国)といったライバルたちの挑戦を真っ向から受け止めて、圧倒。最初の1周を58秒82で入る超ハイペースの展開から、終盤にさらにギアを上げる。パフォーマンス世界歴代10位の3分52秒96で2大会ぶりの優勝を飾った。

男子3000m障害はスローペースから、終盤に熾烈な金メダル争いを展開。終盤に抜け出したソフィアン・エル・バッカリ(モロッコ)が8分25秒13で東京五輪に続くタイトル獲得。五輪ではケニア勢の10連覇を阻止したが、世界陸上でもケニア勢の連勝を「7」で止めた。

日本勢は女子マラソンで松田瑞生(ダイハツ)が終始ほぼ独走でレースを進め、2時間23分49秒の世界陸上日本人最高タイムをマーク。9位と惜しくも入賞には届かなかったが、コロナ禍で一山麻緒(資生堂)と新谷仁美(積水化学)が欠場し、日本勢ただ1人の出場となるなか健闘した。

イブニングセッションでは、男子走高跳で日本人として初めて決勝に臨んだ真野友博(九電工)が2m27を1回目にクリアして8位入賞の快挙を達成。男子200m予選では世界陸上初出場の上山紘輝(住友電工)が日本歴代9位の20秒26(+1.0)の好タイムをマークして、準決勝に進出。ベテランの飯塚翔太(ミズノ)も20秒72(±0)で組3着となり、自身3度目の準決勝に駒を進めた。また、200mに出場予定だった小池祐貴(住友電工)は新型コロナウイルス感染が判明し、欠場している。

■4日目優勝者一覧
【男子】
3000m障害 ソフィアン・エル・バッカリ(モロッコ) 8分25秒13
走高跳   ムタズ・エッサ・バルシム(カタール)  2m37
【女子】
1500m   フェイス・キピエゴン(ケニア)     3分52秒96
マラソン  ゴティトム・ゲブレシラシェ(エチオピア)2時間18分11秒=大会新
三段跳   ユリマール・ロハス(ベネズエラ)    15m47(+1.9)
七種競技  ナフィサットゥ・ティアム(ベルギー)  6947点

◇オレゴン世界陸上(7月15日〜24日/米国・オレゴン州ユージン)4日目 オレゴン世界陸上4日目は5種目の決勝と七種競技の後半が行われ、午前6時15分(現地時間)スタートの女子マラソンでは、前日の男子同様にハイレベルの優勝争いが繰り広げられた。 最初の5kmを16分10秒で通過と、スローで入った男子とは一変していきなり高速レースに。18km過ぎに前回優勝のルース・チェプンゲティチ(ケニア)がコースを外れる波乱含みの展開から、エチオピア勢が仕掛ける。そして、28kmからはゴティトム・ゲブレシラシェとジュディス・コリル(ケニア)が10km以上に渡って息詰まるデッドヒートを繰り広げた。 勝負が決したのは40.5km。ゲブレシラシェがスパートし、2時間18分11秒の大会新記録で初優勝を飾った。コンディションに恵まれたこともあり、世界陸上では史上初の2時間20分切り。前日の男子ではタミラト・トーラがこちらも大会新の2時間5分35秒で制しており、エチオピアが五輪、世界陸上を通じて同国初のマラソン男女制覇を成し遂げた。 エチオピア女子としては3大会ぶり2人目の栄冠を手にしたゲブレシラシェは、「とてもうれしい。40kmを過ぎても力が残っていると感じたので、スパートしようと決めた。昨日のトーラの優勝が、とてもモチベーションになった」と振り返った。 コリルが9秒差の2時間18分20秒で2位となり、後半に順位を上げたロナ・チェムタイ・サルペーター(イスラエル)が2時間20分18秒で銅メダルを獲得。4位までが2005年ヘルシンキ大会でポーラ・ラドクリフ(英国)が出した大会記録(2時間20分57秒)を上回った。 イブニング・セッションでは跳躍の「王者」と「女王」がその力を存分に発揮した。 男子走高跳はムタズ・エッサ・バルシム(カタール)が2m37で貫録の3連覇。跳び始めの2m24から優勝記録の2m37まで、すべて一発でクリアする圧巻のシリーズで、他の選手に付け入る隙を与えなかった。東京五輪ではジャンマルコ・タンベリ(イタリア)と同記録・同試技で優勝を分け合い、念願の五輪金メダルを獲得。名実ともに現役最高のジャンパーとして君臨する。 女子三段跳決勝は、15m74の世界記録を持つユリマール・ロハス(ベネズエラ)の独壇場。2回目に今季ベストの15m47(+1.9)をマークすると、3回目15m24(+1.1)、優勝を決めた後の6回目も15m39(+0.5)で締めくくる。2位のシャニエカ・リケッツ(ジャマイカ)に58cmもの大差をつけて悠々と3連覇を飾り、東京五輪と、その間に行われた2018年と今年3月の世界室内選手権を合わせた世界大会の連勝を「6」に伸ばした。 女子七種競技はナフィサットゥ・ティアム(ベルギー)がセカンドベストとなる6947点で2大会ぶりの金メダルに輝く。6種目めのやり投でアナウク・フェッター(オランダ)に譲ったトップの座を、最終種目の800mで奪還。昨年の東京五輪でも連覇を飾った27歳が、「クイーン・オブ・アスリート」の座を守った。 女子1500mでも、五輪2連覇中のフェイス・キピエゴン(ケニア)が室内世界記録(3分53秒09)保持者のグダフ・ツェガイ(エチオピア)、東京五輪銀メダリストのローラ・ミューアー(英国)といったライバルたちの挑戦を真っ向から受け止めて、圧倒。最初の1周を58秒82で入る超ハイペースの展開から、終盤にさらにギアを上げる。パフォーマンス世界歴代10位の3分52秒96で2大会ぶりの優勝を飾った。 男子3000m障害はスローペースから、終盤に熾烈な金メダル争いを展開。終盤に抜け出したソフィアン・エル・バッカリ(モロッコ)が8分25秒13で東京五輪に続くタイトル獲得。五輪ではケニア勢の10連覇を阻止したが、世界陸上でもケニア勢の連勝を「7」で止めた。 日本勢は女子マラソンで松田瑞生(ダイハツ)が終始ほぼ独走でレースを進め、2時間23分49秒の世界陸上日本人最高タイムをマーク。9位と惜しくも入賞には届かなかったが、コロナ禍で一山麻緒(資生堂)と新谷仁美(積水化学)が欠場し、日本勢ただ1人の出場となるなか健闘した。 イブニングセッションでは、男子走高跳で日本人として初めて決勝に臨んだ真野友博(九電工)が2m27を1回目にクリアして8位入賞の快挙を達成。男子200m予選では世界陸上初出場の上山紘輝(住友電工)が日本歴代9位の20秒26(+1.0)の好タイムをマークして、準決勝に進出。ベテランの飯塚翔太(ミズノ)も20秒72(±0)で組3着となり、自身3度目の準決勝に駒を進めた。また、200mに出場予定だった小池祐貴(住友電工)は新型コロナウイルス感染が判明し、欠場している。 ■4日目優勝者一覧 【男子】 3000m障害 ソフィアン・エル・バッカリ(モロッコ) 8分25秒13 走高跳   ムタズ・エッサ・バルシム(カタール)  2m37 【女子】 1500m   フェイス・キピエゴン(ケニア)     3分52秒96 マラソン  ゴティトム・ゲブレシラシェ(エチオピア)2時間18分11秒=大会新 三段跳   ユリマール・ロハス(ベネズエラ)    15m47(+1.9) 七種競技  ナフィサットゥ・ティアム(ベルギー)  6947点

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.11.24

女子はレムンゴルが2連覇達成 男子はサミュエルがV/全米学生クロカン

11月22日、米国ミズーリ州コロンビアで全米学生クロスカントリー選手権が行われ、女子(6km)はD.レムンゴル(アラバマ大/ケニア)が18分25秒4で連覇を飾った。 レムンゴルはケニア出身の23歳。23年秋にアラバマ大に […]

NEWS 七種競技女王・ホール NFLスター選手と婚約発表 マクローリン・レヴロンらも祝福

2025.11.24

七種競技女王・ホール NFLスター選手と婚約発表 マクローリン・レヴロンらも祝福

女子七種競技東京世界選手権金メダリストのA.ホール(米国)が婚約を自身のSNSで発表した。お相手はNFL選手でニューヨーク・ジャイアンツ所属のダリアス・スレイトンさん。「初めて出会った場所で、永遠を誓う」というテキストと […]

NEWS バットクレッティ 今季初V 男子はキプサングがツアー3勝目/WAクロカンツアー

2025.11.24

バットクレッティ 今季初V 男子はキプサングがツアー3勝目/WAクロカンツアー

11月23日、世界陸連(WA)クロスカントリーツアー・ゴールド第6戦のアタプエルカ国際クロスがスペイン・アタプエルカで行われ、女子(6.821km)はパリ五輪・東京世界選手権10000m銀メダリストのN.バットクレッティ […]

NEWS 円盤投・湯上剛輝が2大会ぶり世界一「やっと取れた」デフリンピック新の58m93

2025.11.24

円盤投・湯上剛輝が2大会ぶり世界一「やっと取れた」デフリンピック新の58m93

聴覚障害者のスポーツ国際大会、デフリンピックの陸上競技が行われ、男子円盤投の湯上剛輝(トヨタ自動車)が金メダルを獲得した。 64m48の日本記録を持ち、今年の東京世界選手権にも出場した湯上。「理想の展開としては1回目にし […]

NEWS 3区で五島莉乃と廣中璃梨佳が熱走!東京世界陸上はじめ「日本代表」たちが力走/クイーンズ駅伝

2025.11.24

3区で五島莉乃と廣中璃梨佳が熱走!東京世界陸上はじめ「日本代表」たちが力走/クイーンズ駅伝

◇第45回全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝:11月23日/宮城・松島町文化観光交流館前~弘進ゴムアスリートパーク仙台、6区間42.195km) 女子駅伝日本一を懸けた全日本実業団対抗女子駅伝が行われ、「日本代表」 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年12月号 (11月14日発売)

2025年12月号 (11月14日発売)

EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選

Follow-up Tokyo 2025

page top