月刊陸上競技が発信する陸上競技総合Webメディア

創価大ユニバ10000m代表コンビ 葛西潤×嶋津雄大「世界でもワン・ツーして『強さ』を証明したい」

4月15日に行われた日本学生個人選手権10000m。ワールドユニバーシティゲームズの日本代表を懸けた戦いで創価大の最上級生コンビが快走した。葛西潤(4年)が前半から積極的なレースを展開し、6000mを過ぎて抜け出すと、28分30秒65で逃げ切り勝ち。嶋津雄大(4年)は後輩を絶妙にアシストすると、終盤は2位をキープした。終始レースを支配した創価大勢がワン・ツーを飾り、チーム初となるユニバ代表に内定。2人はどんな思いで中国・成都に向かうのか。

日本学生個人選手権10000mで1位、2位独占

──日本学生個人選手権10000mは葛西選手が1位、嶋津選手が2位と素晴らしい結果になりました。2人ともワールドユニバーシティゲームズ(以下、ユニバ)の代表に内定しましたが、どのような感想をお持ちですか?

葛西 良い練習がそのまま結果に結びついたような感覚なので、今やってる練習は自信を持っていいんだなと改めて感じています。すごく自信がつくレースになりました。

嶋津 2人でのワン・ツーは夢でしたし、それまであまり良いレースができていなかった流れを切り替える良いレースになりました。

――ユニバ代表はどれぐらい意識されていたのですか?

葛西 実はユニバ代表選考会の存在を知ったのが2月末ぐらいだったんです。当初は学生個人選手権をスケジュールに組み込んでいなかったのですが、調子は悪くなかったので、狙えるなら、レベルの高いレースで勝負したい。学生個人はユニバ代表を狙って「3位以内」を目標にしていました。1位はちょっと出来すぎ感はあるんですけど、狙い通りにユニバ代表を内定できて良かったです。

嶋津 僕の場合は当初、日本選手権10000mに照準を定めていたんです。参加標準記録は突破していたんですけど、人数制限があり、日本選手権の出場が厳しくなりました。その代わりとして、学生個人で10000mを走ってみようと思いました。

──箱根駅伝後のトレーニングは順調でしたか。

葛西 箱根駅伝の時は正直、ハーフの距離は対応できないなと思っていました。状態としては7~8割という感じですね。実際1区(区間15位)で苦しい戦いになりました。昨年は長期故障をしていたので、短期間で箱根に合わせるためにちょっと背伸びした練習をしていたんです。その反動もあり、箱根後は左足底を痛めて、1ヵ月ほど練習を中断しました。本格的な練習を始めたのは2月からです。

──その状態で2月26日の日本選手権クロスカントリーシニア10㎞で2位。3月19日の宮崎県記録会10000mで28分21秒72の自己ベストをマークしたんですね(※ユニバの参加標準記録28分30秒00も突破)。

葛西 ケガなく順調に練習を継続できたことが、試合の結果に直結しているなという感覚はありますね。

嶋津 僕は箱根駅伝(4区区間賞)の後、あまり調子が良くなくて、学生個人選手権の朝も調子が悪いな状況だったんです。モチベーションも少し下がっていたようなイメージでした。でもポイント練習はなんとか食らいついてこなせていたので、それが今回走れた理由なのかなと思います。

──学生個人はワン・ツーを少しは意識していたんですか?

葛西 そうですね。今季のチームスローガンは「強さの証明」なので、レースはなるべく先頭を引っ張って、最後はワン・ツーでゴールして、チームに勢いをつけたいなという話はしていました。個人的には強さを証明するんだという気持ちでいました。

嶋津 今回はユニバ代表のために「3位以内」を目指すレースだったと思うので、僕は落ちてきた選手を拾って入賞できたらいいなという気持ちだったんです。宮崎県記録会が29分台だったので、今回はどんな状況でも28分台で走るのを目標にしていました。

──葛西選手は前半から積極的なレースを見せ、6000m過ぎに集団から抜け出しました。

葛西 スローペースになって、最後のスプリント勝負だと分が悪いと思っていたので、自分のペースを刻みました。3位以内に入るために、レースの主導権を握るかたちで、集団を3人以内に絞りたいなと考えていたんです。そのまま逃げ切れたのは、うれしい誤算でしたね。

自分ひとりで引っ張るのは結構しんどかったんですけど、途中で嶋津さんが前を替わってくださって、そのとき集団内にいた選手の呼吸や走りのリズムを感じることができたんです。

嶋津 走る前から葛西は3位以内に入ると予想していたけど、2000mで先頭に立った時は、「ちょっと早く出過ぎたんじゃないかな」と思ったよ。僕はもともと入賞が目標だったから、葛西の余力を少しでも残せるように前に出たんだけど、葛西がスパートした時は、このまま勝つんだろうなと思ったね。

葛西 5000~6000mの余裕度は自分が優位に立っていると思ったので、ハイペースで集団を揺さぶりながら行けば、勝算はあるかなと思って早めにスパートをかけました。

──嶋津選手は自分の目標がありながら、葛西選手をアシストしようという気持ちがあったわけですか?

嶋津 そうですね。少しでも葛西の余力を残すことができれば、自分も仕事をしたなと気持ちになれるかなと思ったんです。自分の余力を残さず行くくらいの気持ちで先頭に出たんですけど、結果的にはそれがうまくハマった感じで、終盤も粘ることができました。

葛西 きつくなった時に出てくださるような場面は普段の練習でもあったので、今回も自分が攻めるだけ攻めて、きつくなったら嶋津さんが支えてくれるんだろうなという気はしていました。実際、しんどい場面で前に出てきてくださったので嶋津さんに助けられましたね。

途中、嶋津(左端)が葛西(その右)を引っ張る場面も

「ユニバでもワン・ツーを」

──葛西選手は嶋津選手以外にライバル視していた選手はいたのでしょうか。

葛西 箱根駅伝の1区で中大・吉居大和選手にとんでもなく負けたので、弟(駿恭)には勝ちたいなと思っていました(笑)。

──創価大としてはユニバ代表が初めてです。昨年の箱根駅伝準優勝に続いて、また新たな歴史を作りましたね。

葛西 メディアも取り上げてくださっていますし、あらためてがんばらないといけないなと思います。

嶋津 自分はもう1年残るという部分で、学生のうちにしかできないことをしたいと思っていたので、「学生のオリンピック」と言われるユニバに出られることは、1年残った意味があったと思います。あと創価大が時代を作るという意味でも、1人ではなく、2人が代表に内定したので、本番ではもうひとつ上のチャレンジができたらいいなと思います。

──最後にユニバの目標を教えてください。

葛西 ユニバでもワン・ツーが取れれば、あらためて「強さ」を証明できる。例年のユニバの結果を見ても、狙えない順位ではないと思うので、しっかりと戦えるように準備していきたいです。

嶋津 自分も葛西と同じで、やっぱり世界でもワン・ツーできれば、もうひとつ上の世界で戦えることが証明できる。学生個人のように葛西と協力して行けば、道は拓けると思うのでがんばっていきたいです。

──ユニバでもワン・ツーを目指すそうですが、お互い「負けたくない」という気持ちはあるんじゃないですか?

嶋津 自分は少しありますね(笑)。今回のワン・ツーはうれしかったですけど、2人のコンディションが違うとはいえ、少しだけ悔しさもあります。ワン・ツーの中でどちらが1位なのかというのは、今度は「負けないぞ」という気持ちでいます。

葛西 僕も競技者としてのプライドは持ち合わせているので。いずれにしろ、2人で切磋琢磨してお互いに高めていきたいです。

かさい・じゅん(右)
2000年10月24日生まれ、大阪府出身。関西創価高→創価大。高校時代はU20日本選手権クロカン優勝などの実績を持ち、創価大では2年時の箱根駅伝で3区区間3位と好走。大学初の往路優勝、準優勝に貢献した。今年は2月の日本選手権クロカンで2位を占めると、翌月には10000mで28分21秒72と自己新をマーク。4月の日本学生個人選手権で優勝してワールドユニバーシティゲームズの日本代表に内定した。

しまづ・ゆうだい(左)
2000年3月28日生まれ、東京都出身。若葉総合高→創価大。高校時代は5000mで南関東大会を5位で通過し、インターハイに出場(予選落ち)。創価大では2年目の箱根駅伝で10区区間新記録の快走を見せて一躍その名をとどろかせる。3年時には4区で先頭を奪い、往路優勝に貢献。4年目となった昨年は10000mの学内日本人最高となる28分14秒23をマークし、箱根駅伝では4区区間1位となり、2度目の区間賞を手にした。3年目に休学をしているため、卒業せずに5年目も学生駅伝出場を目指す。

文/酒井政人

o

月刊陸上競技最新号

WordPress Theme NATURAL PRESS by WEB-JOZU.com