
東京マラソンは男子の世界記録保持者エリウド・キプチョゲ(ケニア)の走りに沸いたが、女子の世界記録保持者ブリジッド・コスゲイ(ケニア)もまた、圧巻の走りを披露した。優勝記録2時間16分02秒はセカンドベスト、パフォーマンス世界歴代3位だった。
15年に競技をスタートさせたが、当時はすでに結婚し、双子の子供を授かっていた。2019年のシカゴ・マラソンで2時間14分04秒という驚異的な世界記録を樹立したコスゲイ。昨年の東京五輪に続いて2度目の来日となった東京マラソンレース後、本誌の単独インタビューに応えてくれた。女子世界最速ランナーの強さの秘密とは?
秋に膝を痛めて3ヵ月で調整
――東京マラソン優勝おめでとうございました。素晴らしいレースでした。
コスゲイ 東京の方々に歓迎していただいてとても幸せでした。日本に到着してから今日のレースまで、とても快く対応してくれました。
――レース全体を振り返るとどう評価されますか。
コスゲイ コンディションは良かったです。スタートしてしばらくは気象条件も悪くなかった。ただ、32㎞以降は向かい風が強くなりました。そこで少し押されてしまった部分があります。
――ちなみに、あれだけ軽々と走るコスゲイ選手でもマラソンを走った後はやはり疲れるものですか?
コスゲイ もちろん! 疲れますよ(笑)。それはレース中も同じです。ただ、勝つためにはどれだけ疲れていても我慢しなければいけません。私はもっと自分の名前を世界中に広めたいし、どんなレースでも通用するようになりたい。だから我慢が大事なのです。
――昨年の東京五輪以降は、どんな調整をされたのでしょう。
コスゲイ オリンピックの後は1週間ほど休みました。その後はすぐに10月のロンドン・マラソンに向けてトレーニングを再開しましたよ。
ロンドンでは膝を痛めていた影響もあって4位(2時間18分40秒)に終わりました。その後は丸々1ヵ月ほど休養しましたね。12月は膝の様子を見ながら、ゆっくりとジョギングから再開して、1、2月と約3ヵ月かけて東京の準備を整えてきました。
ただ、レース前は膝の不安もあったのでナーバスになって昨夜はほとんど眠れなかったです。時々、こういうこともあります。

すぐに勝てるわけではない
――コスゲイ選手が「アスリート」として大切だと思っているのはどんなことでしょう。
コスゲイ うーん……。トレーニングに尽きると思います。トップ選手になればなるほど、トレーニングは厳しくなるものです。時にはケガをしますし、身体のあちらこちらが痛むこともあります。
その中で痛みを我慢するのではないですが、辛抱強く、少しずつトレーニングを積むこと。練習が「苦痛」にならない瞬間が来るまで走ることしかできません。その中で、つらい、耐えられないと思うことも多いでしょう。
言えるのは、今たくさん練習したからと言ってすぐに速くなれる、勝てるわけではないということ。ある大会で目標を達成したら、また練習をする。ゆっくり、ゆっくりと、練習して積み重ねていけば、世界のトップへ近づいて行けるのだと思います。
――コスゲイ選手にとって、走ることとは何でしょう。
コスゲイ 走ることはもちろんビジネスでもあります。ただ、私は走っているだけではなく、ケニアに帰れば家族がいて、洗濯もするし、料理もします。ジャガイモやトマトを育てている小さな畑があるので収穫もしますね。走ることも、そのうちの一つだと言えるでしょう。
――世界記録を持っているわけですが、次のターゲットは?
コスゲイ 2時間13分台という記録に挑戦したいです。次のレースは未定ですが、オリンピックは今回銀メダルだったので、2024年パリでは母国に金メダルを持ち帰りたいです。
ブリジッド・コスゲイ/1994年2月20日生まれ、28歳
■マラソン全成績
・2015年
11月 ポルト 優勝:2.47.59
・2016年
4月 ミラノシティ 優勝:2.27.45
10月 リスボン 2位:2.24.45
12月 ホノルル 優勝:2.31.11
・2017年
4月 ボストン 8位:2.31.48
10月 シカゴ 2位:2.20.22
12月 ホノルル 優勝:2.22.15
・2018年
4月 ロンドン 2位:2.20.13
10月 シカゴ 優勝:2.18.35
・2019年
4月 ロンドン 優勝:2.18.20
10月 シカゴ 優勝:2.14.04=世界記録
・2020年
10月 ロンドン 優勝:2.18.58
・2021年
8月 東京五輪 2位:2.27.36
10月 ロンドン 4位:2.18.40
・2022年
3月 東京 優勝:2.16.02
4月14日発売の月刊陸上競技5月号ではマラソントレーニングについての考え方などインタビュー完全版を掲載!
構成/向永拓史 通訳/田坂美佐紀
東京マラソンは男子の世界記録保持者エリウド・キプチョゲ(ケニア)の走りに沸いたが、女子の世界記録保持者ブリジッド・コスゲイ(ケニア)もまた、圧巻の走りを披露した。優勝記録2時間16分02秒はセカンドベスト、パフォーマンス世界歴代3位だった。
15年に競技をスタートさせたが、当時はすでに結婚し、双子の子供を授かっていた。2019年のシカゴ・マラソンで2時間14分04秒という驚異的な世界記録を樹立したコスゲイ。昨年の東京五輪に続いて2度目の来日となった東京マラソンレース後、本誌の単独インタビューに応えてくれた。女子世界最速ランナーの強さの秘密とは?
秋に膝を痛めて3ヵ月で調整
――東京マラソン優勝おめでとうございました。素晴らしいレースでした。 コスゲイ 東京の方々に歓迎していただいてとても幸せでした。日本に到着してから今日のレースまで、とても快く対応してくれました。 ――レース全体を振り返るとどう評価されますか。 コスゲイ コンディションは良かったです。スタートしてしばらくは気象条件も悪くなかった。ただ、32㎞以降は向かい風が強くなりました。そこで少し押されてしまった部分があります。 ――ちなみに、あれだけ軽々と走るコスゲイ選手でもマラソンを走った後はやはり疲れるものですか? コスゲイ もちろん! 疲れますよ(笑)。それはレース中も同じです。ただ、勝つためにはどれだけ疲れていても我慢しなければいけません。私はもっと自分の名前を世界中に広めたいし、どんなレースでも通用するようになりたい。だから我慢が大事なのです。 ――昨年の東京五輪以降は、どんな調整をされたのでしょう。 コスゲイ オリンピックの後は1週間ほど休みました。その後はすぐに10月のロンドン・マラソンに向けてトレーニングを再開しましたよ。 ロンドンでは膝を痛めていた影響もあって4位(2時間18分40秒)に終わりました。その後は丸々1ヵ月ほど休養しましたね。12月は膝の様子を見ながら、ゆっくりとジョギングから再開して、1、2月と約3ヵ月かけて東京の準備を整えてきました。 ただ、レース前は膝の不安もあったのでナーバスになって昨夜はほとんど眠れなかったです。時々、こういうこともあります。
すぐに勝てるわけではない
――コスゲイ選手が「アスリート」として大切だと思っているのはどんなことでしょう。 コスゲイ うーん……。トレーニングに尽きると思います。トップ選手になればなるほど、トレーニングは厳しくなるものです。時にはケガをしますし、身体のあちらこちらが痛むこともあります。 その中で痛みを我慢するのではないですが、辛抱強く、少しずつトレーニングを積むこと。練習が「苦痛」にならない瞬間が来るまで走ることしかできません。その中で、つらい、耐えられないと思うことも多いでしょう。 言えるのは、今たくさん練習したからと言ってすぐに速くなれる、勝てるわけではないということ。ある大会で目標を達成したら、また練習をする。ゆっくり、ゆっくりと、練習して積み重ねていけば、世界のトップへ近づいて行けるのだと思います。 ――コスゲイ選手にとって、走ることとは何でしょう。 コスゲイ 走ることはもちろんビジネスでもあります。ただ、私は走っているだけではなく、ケニアに帰れば家族がいて、洗濯もするし、料理もします。ジャガイモやトマトを育てている小さな畑があるので収穫もしますね。走ることも、そのうちの一つだと言えるでしょう。 ――世界記録を持っているわけですが、次のターゲットは? コスゲイ 2時間13分台という記録に挑戦したいです。次のレースは未定ですが、オリンピックは今回銀メダルだったので、2024年パリでは母国に金メダルを持ち帰りたいです。 ブリジッド・コスゲイ/1994年2月20日生まれ、28歳 ■マラソン全成績 ・2015年 11月 ポルト 優勝:2.47.59 ・2016年 4月 ミラノシティ 優勝:2.27.45 10月 リスボン 2位:2.24.45 12月 ホノルル 優勝:2.31.11 ・2017年 4月 ボストン 8位:2.31.48 10月 シカゴ 2位:2.20.22 12月 ホノルル 優勝:2.22.15 ・2018年 4月 ロンドン 2位:2.20.13 10月 シカゴ 優勝:2.18.35 ・2019年 4月 ロンドン 優勝:2.18.20 10月 シカゴ 優勝:2.14.04=世界記録 ・2020年 10月 ロンドン 優勝:2.18.58 ・2021年 8月 東京五輪 2位:2.27.36 10月 ロンドン 4位:2.18.40 ・2022年 3月 東京 優勝:2.16.02 4月14日発売の月刊陸上競技5月号ではマラソントレーニングについての考え方などインタビュー完全版を掲載! 構成/向永拓史 通訳/田坂美佐紀RECOMMENDED おすすめの記事
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