2021.12.20
【コラム番外編】
編集部が独断で選ぶ2021年トラック&フィールド
「ONE SCENE」
待ちに待った東京五輪が行われた2021年は、21個の日本新記録が誕生するなど歴史が動いた1年となった。
2019、20年に続いて、編集部員コラム「番外編」として編集部員が独断(?)と偏見(?)と思い入れたっぷり(?)に、2021年に心を揺さぶられた「ONE SCENE」を選出しました。みなさんが選ぶ「ONE SCENE」は?
田中希実、東京五輪1500mで夢にも思わぬ「入賞」(小川雅生)

東京五輪女子1500m決勝の1周目。5000m、10000mとの3冠を狙うシファン・ハッサン(オランダ)、この種目の連覇を懸けるフェイス・キピエゴン(ケニア)ら錚々たる顔ぶれの中に、日本人が堂々と渡り合う姿が信じられなかった。しかも、準決勝でマークした日本人初の3分台を、再び樹立して8位でフィニッシュ。
田中希実自身も、コーチの父・健智氏も、狙って勝負し、勝ち取ったもの。しかし、見る側にとっての率直な感想は「夢にも思わなかった」快挙だった。これから先、彼女たちが目指すものは、もう夢物語などではない。
同一レースで男子1500mの日本新と高校新(井上 敦)

私が選ぶのは、7月17日のホクレン・ディスタンスチャレンジ2021千歳大会で生まれた男子1500mの日本新と高校新だ。
日本新は河村一輝(トーエネック)が打ち立てた3分35秒42。来夏の世界選手権の参加標準記録まであと0.42秒と迫った。河村の次いでフィニッシュしたのが佐藤圭汰(洛南高3京都)で、タイムは3分37秒18。高校記録を22年ぶりに1秒31更新して、今後も注目の逸材だ。
ライブ動画を通じてその瞬間は興奮したが、今はいろんなことが頭に浮かぶ。65名に上った今夏の東京五輪日本代表。だが、男子は800mを含めて中距離は1人も入らず、一方の女子1500mは史上初の快挙で本誌の表紙を飾った。男子だって不可能ではないはず。ここで挙げた2選手だけでなく、他の選手も含めてこれまでの〝狭い常識〟を打ち破ってほしい。
女子4×100mRが世界リレーで東京五輪切符!
(向永拓史)

偉大な記録が誕生し、東京五輪で「○○年ぶり!」が躍った今シーズンの中では小さいことかもしれないが、女子短距離陣がこじ開けた重い扉の価値は小さくない。
5月の世界リレー女子4×100mリレー。青山華依(甲南大)、兒玉芽生(福岡大)、齋藤愛美(大阪成蹊大)、鶴田玲美(南九州ファミリーマート)でつなぎ、44秒17で予選3着だった。その後、同組のトップ通過だったブラジルが失格に。この時点で2着に繰り上がり、決勝進出。この種目で12年ロンドン五輪以来の五輪となる東京五輪出場権を獲得した。
長い間、福島千里(セイコー)が牽引してきた女子短距離だったが、今回は大学生3人など、若いメンバーが中心での快挙。そもそも、春段階ではこの世界リレーへの出場権も獲得できなかったが、他国が辞退したことで巡ってきたチャンスをつかんだのだった。
夏の本番では、予選で43秒44。敗退となったものの日本歴代2位、日本代表のオリンピック最高記録だった。
走った4人、そして補欠だった石川優(青学大)、壹岐あいこ(立命大)、そして日本女子スプリント界が、あきらめず、泥臭く、しがみつき、取り組んできた大きな成果。来年夏のオレゴン世界選手権の出場権も獲得済みで、この流れを決して途切れさせてはいけないことを、彼女たちは理解している。
転倒しても日本新!三浦龍司が見せたワールドクラスの走り(大久保雅文)

日本選手権男子3000m障害。おそらくレース前から、多くの人が三浦龍司(順大)の日本記録更新を確信し、「どこまで記録を縮めるか」という期待を持っていたであろう。
このレースはトラックのすぐ外で観ていたが、ペースやレース運び、ハードリングのすべてがうまくいったレースだったように思える。残り2周の水濠障害を飛越後に転倒した際には、スタジアム中から思わず「あっ!」という悲鳴にも近い声が上がったが、起き上がってからのスパートは圧巻の一言。転倒してもなお8分15秒99と日本記録を更新した走りは、世界に通用する力を示した。
そして、1ヵ月の東京五輪で8分09秒92の日本新と7位入賞と2つの大きな快挙を達成した三浦。来年以降の活躍が今から楽しみだ。
泉谷駿介「13秒06」世界が見えた特大日本新
(松永貴允)

ジュニア時代から混成競技や三段跳など幅広い種目で活躍してきた陸上界の至宝――。泉谷駿介(順大)が6月の日本選手権決勝で規格外の走りを見せた。
レース序盤は日本記録保持者の金井大旺(ミズノ)がややリードを奪うが、中盤で泉谷が並び、突き放す。フィニッシュラインを駆け抜け、タイマーに表示されたタイムは「13.06」!
会社のテレビで観ていたのだが、思わず「うぉー!マジかー!!」と叫んでしまった。
日本人初の13秒0台。夢の12秒台に目前と迫るアジア歴代2位の記録に「世界」の文字が頭に浮かんだ。残念ながら五輪では準決勝敗退となってしまったが、「陸上界の未来は明るい!」と感じさせる衝撃的なシーンだった。
【コラム番外編】編集部が独断で選ぶ日本陸上界2020年「ONE SCENE」
【コラム番外編】編集部が独断で選ぶ2019年〝ONE SCENE〟
東京五輪女子1500m決勝の1周目。5000m、10000mとの3冠を狙うシファン・ハッサン(オランダ)、この種目の連覇を懸けるフェイス・キピエゴン(ケニア)ら錚々たる顔ぶれの中に、日本人が堂々と渡り合う姿が信じられなかった。しかも、準決勝でマークした日本人初の3分台を、再び樹立して8位でフィニッシュ。
田中希実自身も、コーチの父・健智氏も、狙って勝負し、勝ち取ったもの。しかし、見る側にとっての率直な感想は「夢にも思わなかった」快挙だった。これから先、彼女たちが目指すものは、もう夢物語などではない。
同一レースで男子1500mの日本新と高校新(井上 敦)
私が選ぶのは、7月17日のホクレン・ディスタンスチャレンジ2021千歳大会で生まれた男子1500mの日本新と高校新だ。
日本新は河村一輝(トーエネック)が打ち立てた3分35秒42。来夏の世界選手権の参加標準記録まであと0.42秒と迫った。河村の次いでフィニッシュしたのが佐藤圭汰(洛南高3京都)で、タイムは3分37秒18。高校記録を22年ぶりに1秒31更新して、今後も注目の逸材だ。
ライブ動画を通じてその瞬間は興奮したが、今はいろんなことが頭に浮かぶ。65名に上った今夏の東京五輪日本代表。だが、男子は800mを含めて中距離は1人も入らず、一方の女子1500mは史上初の快挙で本誌の表紙を飾った。男子だって不可能ではないはず。ここで挙げた2選手だけでなく、他の選手も含めてこれまでの〝狭い常識〟を打ち破ってほしい。
女子4×100mRが世界リレーで東京五輪切符!
(向永拓史)
偉大な記録が誕生し、東京五輪で「○○年ぶり!」が躍った今シーズンの中では小さいことかもしれないが、女子短距離陣がこじ開けた重い扉の価値は小さくない。
5月の世界リレー女子4×100mリレー。青山華依(甲南大)、兒玉芽生(福岡大)、齋藤愛美(大阪成蹊大)、鶴田玲美(南九州ファミリーマート)でつなぎ、44秒17で予選3着だった。その後、同組のトップ通過だったブラジルが失格に。この時点で2着に繰り上がり、決勝進出。この種目で12年ロンドン五輪以来の五輪となる東京五輪出場権を獲得した。
長い間、福島千里(セイコー)が牽引してきた女子短距離だったが、今回は大学生3人など、若いメンバーが中心での快挙。そもそも、春段階ではこの世界リレーへの出場権も獲得できなかったが、他国が辞退したことで巡ってきたチャンスをつかんだのだった。
夏の本番では、予選で43秒44。敗退となったものの日本歴代2位、日本代表のオリンピック最高記録だった。
走った4人、そして補欠だった石川優(青学大)、壹岐あいこ(立命大)、そして日本女子スプリント界が、あきらめず、泥臭く、しがみつき、取り組んできた大きな成果。来年夏のオレゴン世界選手権の出場権も獲得済みで、この流れを決して途切れさせてはいけないことを、彼女たちは理解している。
転倒しても日本新!三浦龍司が見せたワールドクラスの走り(大久保雅文)
日本選手権男子3000m障害。おそらくレース前から、多くの人が三浦龍司(順大)の日本記録更新を確信し、「どこまで記録を縮めるか」という期待を持っていたであろう。
このレースはトラックのすぐ外で観ていたが、ペースやレース運び、ハードリングのすべてがうまくいったレースだったように思える。残り2周の水濠障害を飛越後に転倒した際には、スタジアム中から思わず「あっ!」という悲鳴にも近い声が上がったが、起き上がってからのスパートは圧巻の一言。転倒してもなお8分15秒99と日本記録を更新した走りは、世界に通用する力を示した。
そして、1ヵ月の東京五輪で8分09秒92の日本新と7位入賞と2つの大きな快挙を達成した三浦。来年以降の活躍が今から楽しみだ。
泉谷駿介「13秒06」世界が見えた特大日本新
(松永貴允)
ジュニア時代から混成競技や三段跳など幅広い種目で活躍してきた陸上界の至宝――。泉谷駿介(順大)が6月の日本選手権決勝で規格外の走りを見せた。
レース序盤は日本記録保持者の金井大旺(ミズノ)がややリードを奪うが、中盤で泉谷が並び、突き放す。フィニッシュラインを駆け抜け、タイマーに表示されたタイムは「13.06」!
会社のテレビで観ていたのだが、思わず「うぉー!マジかー!!」と叫んでしまった。
日本人初の13秒0台。夢の12秒台に目前と迫るアジア歴代2位の記録に「世界」の文字が頭に浮かんだ。残念ながら五輪では準決勝敗退となってしまったが、「陸上界の未来は明るい!」と感じさせる衝撃的なシーンだった。
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