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【学生駅伝】注目チーム帝京大/自己新連発の前期、万座、熊本の合宿経て充実の秋へ


まもなくやってくる駅伝シーズン。王者・駒大や復権目指す青学大など、有力チームが順調にトラックで存在感を発揮し、順調に夏合宿を過ごしている。そんななか、目立たないながらも楽しみなチームが帝京大。前半シーズンは自己新連発、夏合宿もコロナ禍でイレギュラーとなりながらも収穫を得た。箱根駅伝経験者6人が残り、新戦力も充実。勝負の駅伝シーズンに向かうチームの現在地を追った。

初めて熊本で選抜合宿

今年も帝京大は例年とは違う夏を送った。

例年であれば、8月に万座(群馬)で選抜合宿を行った後に、妙高(新潟)で全体合宿、そして、再び選抜メンバーで9月上旬まで士別(北海道)で走り込み、9月中旬には駅伝シーズンに備えて山中湖(山梨)で短期合宿を行うという流れだ。(昨年は、前期に全体練習がほとんどできなかったため、選抜メンバーを選考するために先に全体合宿を行ってから万座の選抜合宿を行った)

ところが、新型コロナウイルス感染拡大の影響は今夏にも及んで、今年の夏は妙高の全体合宿を行わずに、万座選抜合宿を15泊16日に渡ってぶっ通しで行い、士別へ。そして、9月7日からは、チームとして初めての土地となる水上(熊本)で選抜合宿を実施した。

約1週間の合宿期間に、ポイント練習(強度の高い重要な練習)は3回。標高900m超にある水上スカイヴィレッジのクロカンコースを使った21km走、市房ダム(1kmごとの距離表示がある)の周囲で30km走、そして、水上スカイヴィレッジのトラックで1000m×8本を行ったが、合宿に参加したメンバーは誰一人遅れることなく、練習をこなしたという。

「初めての地ではあったんですけど、余裕をもってやれました」と中野孝行監督は、夏の締めとして、上々の手応えをつかんだ様子だ。

今季の帝京大は、昨年度の箱根駅伝経験者が6人残るが、その全員が4年生で、下級生の成長は急務だった。水上合宿には、主力では、前回箱根6区を走った三原魁人(4年)、下級生の頃から選抜入りしていた新井大貴(3年)、前回箱根補欠の山田一輝(3年)の名前がなかったが、「1年生の福島渉太、小林大晟、2年生の西脇翔太らが目立ってきていた」と中野監督が言うように、下級生の押し上げがあった。

また、万座合宿には宿泊施設でアルバイトをしながら参加する強化組(通称はっぴ組)があるが、今年のメンバー、大花将太(3年)、中野大地(3年)、近田達矢(2年)、日高拓夢(2年)が、水上で選抜入りを果たすなど、底上げも徐々に進んでいる。今季抱えていた大きな課題の克服へ、少しずつ、その目処が立ってきていると見ていいだろう。

主将の橋本も順調に走り込んでいた

「この夏はイレギュラーもありましたが、その分、みんなで一丸になって練習ができました。4年生が中心に引っ張って、それに食らいついてくる選手も多く、今年の夏は、僕の中では結構手応えがありました。駅伝で勝負できるんじゃないかなと思っています」

主将の橋本尚斗(4年)からも、今夏の充実ぶりが聞かれた。

前半戦の帝京大は、あまり目立たなかったように映るかもしれないが、実は5000mを中心に自己記録が続出していた。

さらに、水上合宿後は、日本インカレには不出場だったが、9月19日、20日の日体大長距離競技会に多数の選手が出場。合宿明けで調整せずに臨んだが、5000mでは橋本が13分52秒58、西脇が13分56秒71、10000mでは小野隆一朗(2年)が28分50秒22、寺嶌渓一(4年)が28分59秒66、小林が29分13秒22と、多くの選手が自己記録を更新した。

記録だけを比較すれば、確かに他の強豪校にはさらに好記録が続出しているが、夏につかんだ好感触を、そのまま記録会で発揮できたのではないだろうか。

例年、夏に苦戦している遠藤大地(4年)も、まだまだ本領発揮とはいかないまでも、今夏は無難にこなした。前回箱根で5区区間賞の細谷翔馬(4年)は、昨年度以上に強さが増している。

帝京大はロードで距離が長くなるにつれて、存在感が目立ってくるチームだけに、今季の駅伝シーズンも上位争いをかき回す存在になってきそうだ。出雲4位以内、全日本3位以内、箱根往路優勝と総合3位以内という目標を掲げており、過去最高戦績を狙いにいく。

今年の箱根5区の細谷も成長を見せている

文・写真/和田悟志



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