2021.07.18

◇ホクレン・ディスタンスチャレンジ2021千歳大会(7月17日/北海道千歳市)
東京五輪代表の田中希実(豊田自動織機TC)がホクレン・ディスタンスチャレンジ最終戦の千歳大会で、またしても快挙を成し遂げた。女子1500mに出場した田中は、昨年8月に自身が樹立した日本記録4分05秒27を一気に1秒19も短縮し、4分04秒08の日本新記録を打ち立てた。
東京五輪には1500mと5000mの2種目に出場する田中。今年のホクレン・ディスタンスチャレンジには、第3戦(7月10日)の網走大会で3000m、第4戦(14日)の北見大会で5000m、第5戦(17日)の千歳大会には1500mとこれまで同様に連戦を重ねる田中らしく立て続けに3レースに出場したが、網走大会の3000m(8分40秒84)に続いて、日本新記録を塗り替えた。
「日本記録を狙っていない中で記録を出せたのが、昨年とは違う。そういうところで、地力はついているんだなと実感し、自信になります。逆に、世界に通用するようなラストスパートができたら、4分2秒とか3秒とかを出せると思う。このタイミングで自己記録を出せたのはうれしいんですけど、タイム的にはまだまだ。もっと上にいきたいなと思いました」
そう手応えを口にしつつも、しっかりと次なる課題をも見出すことも忘れていなかった。五輪本番前とはいえ、仮に記録を狙うために、きっちりとレースに合わせていたら、どんなタイムが出たのだろうか……。田中はすでに日本女子中長距離界を牽引する存在だが、まだまだ自身の伸びしろを実感している表れでもあった。
北見大会の5000m後には反省ばかりが口をついて出ていたが、「(北見で)うまく走れなかった分、気持ちをぶつけようと思った」という心境で千歳大会に臨んでいた田中。レースは、澤井柚葉(筑波大)が田中のペースメーカーを務め、1周65秒ペースで引っ張った。700mで澤井が外れてからは、田中の一人旅。単独走になっても、きっちりと約65秒のペースを刻んだ。
1000mを2分43秒、ラスト1周の鐘(1100m)を2分59秒で聞くと、最後の1周も65秒でカバーし、4分04秒08で走りきった。
「オリンピックまであと少しのところで、最終レースでこういう結果が出たのは、良い弾みになったと思います。
ただ、今年度は、気持ちが抜けてしまう部分がある。油断は何を生むか分からないので、今日の手応えを自信にしながらも、地道にやっていきたい」と、日本記録の快挙にも浮かれることなく、自身の手綱をぎゅっと締めていた。
また、有効期間内には間に合わなかったが、東京五輪の参加標準記録(4分04秒20)も、五輪を前にクリアしてみせた。加えて来年のユージン世界選手権の参加標準記録を突破。日本人選手が女子1500mに出場するのは田中と卜部蘭(積水化学)が初めてとなるが、予選を突破できる可能性は十分にあると見ていい。
東京五輪では先に5000m予選が行われるが、5000mで決勝進出が叶えば、8月2日はモーニングセッションで1500m予選、イブニングセッションで5000m決勝に臨むことになる。過密な日程になるが、田中はこれを見越して、連戦や1日数レースをこなすなどし、準備をしてきた。8月2日は、朝も夜も、田中が国立競技場を駆け回っているに違いない。
文・写真/和田悟志
◇ホクレン・ディスタンスチャレンジ2021千歳大会(7月17日/北海道千歳市)
東京五輪代表の田中希実(豊田自動織機TC)がホクレン・ディスタンスチャレンジ最終戦の千歳大会で、またしても快挙を成し遂げた。女子1500mに出場した田中は、昨年8月に自身が樹立した日本記録4分05秒27を一気に1秒19も短縮し、4分04秒08の日本新記録を打ち立てた。
東京五輪には1500mと5000mの2種目に出場する田中。今年のホクレン・ディスタンスチャレンジには、第3戦(7月10日)の網走大会で3000m、第4戦(14日)の北見大会で5000m、第5戦(17日)の千歳大会には1500mとこれまで同様に連戦を重ねる田中らしく立て続けに3レースに出場したが、網走大会の3000m(8分40秒84)に続いて、日本新記録を塗り替えた。
「日本記録を狙っていない中で記録を出せたのが、昨年とは違う。そういうところで、地力はついているんだなと実感し、自信になります。逆に、世界に通用するようなラストスパートができたら、4分2秒とか3秒とかを出せると思う。このタイミングで自己記録を出せたのはうれしいんですけど、タイム的にはまだまだ。もっと上にいきたいなと思いました」
そう手応えを口にしつつも、しっかりと次なる課題をも見出すことも忘れていなかった。五輪本番前とはいえ、仮に記録を狙うために、きっちりとレースに合わせていたら、どんなタイムが出たのだろうか……。田中はすでに日本女子中長距離界を牽引する存在だが、まだまだ自身の伸びしろを実感している表れでもあった。
北見大会の5000m後には反省ばかりが口をついて出ていたが、「(北見で)うまく走れなかった分、気持ちをぶつけようと思った」という心境で千歳大会に臨んでいた田中。レースは、澤井柚葉(筑波大)が田中のペースメーカーを務め、1周65秒ペースで引っ張った。700mで澤井が外れてからは、田中の一人旅。単独走になっても、きっちりと約65秒のペースを刻んだ。
1000mを2分43秒、ラスト1周の鐘(1100m)を2分59秒で聞くと、最後の1周も65秒でカバーし、4分04秒08で走りきった。
「オリンピックまであと少しのところで、最終レースでこういう結果が出たのは、良い弾みになったと思います。
ただ、今年度は、気持ちが抜けてしまう部分がある。油断は何を生むか分からないので、今日の手応えを自信にしながらも、地道にやっていきたい」と、日本記録の快挙にも浮かれることなく、自身の手綱をぎゅっと締めていた。
また、有効期間内には間に合わなかったが、東京五輪の参加標準記録(4分04秒20)も、五輪を前にクリアしてみせた。加えて来年のユージン世界選手権の参加標準記録を突破。日本人選手が女子1500mに出場するのは田中と卜部蘭(積水化学)が初めてとなるが、予選を突破できる可能性は十分にあると見ていい。
東京五輪では先に5000m予選が行われるが、5000mで決勝進出が叶えば、8月2日はモーニングセッションで1500m予選、イブニングセッションで5000m決勝に臨むことになる。過密な日程になるが、田中はこれを見越して、連戦や1日数レースをこなすなどし、準備をしてきた。8月2日は、朝も夜も、田中が国立競技場を駆け回っているに違いない。
文・写真/和田悟志 RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.12.08
富士山女子駅伝の全日本大学選抜に立教大・小川陽香、明治国際医療大・古西亜海ら12人選出
-
2025.12.08
-
2025.12.08
-
2025.12.08
-
2025.12.07
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.12.08
サニブラウンがU20合宿にサプライズ登場!「みなさんが日本陸上界の未来」期待のジュニア選手たちにエール
有力ジュニア選手が全国から集まるU20オリンピック育成競技者研修合宿が12月4日から7日までの4日間、ナショナルトレーニングセンターで行われた。 選手たちが集合し、開講式が開かれて最初の研修に登場したのが男子短距離のサニ […]
2025.12.08
U20世代トップ選手約60人が4日間合宿! 100mインターハイ2位の菅野翔唯、100mH高校記録保持者・石原南菜ら参加
ジュニア世代の有力選手が対象の「U20オリンピック育成競技者研修合宿」が12月4~7日の4日間、東京都北区のナショナルトレーニングセンターで行われた。 インターハイやU20日本選手権、U18大会などで上位に入った高校生や […]
2025.12.08
富士山女子駅伝の全日本大学選抜に立教大・小川陽香、明治国際医療大・古西亜海ら12人選出
日本学生陸上競技連合は12月8日、2025全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝)に出場する全日本大学選抜チームの選手を発表した。 全日本大学選抜チームは全国8地区学連(北海道、東北、関東、北信越、東海、関西、中国四国、 […]
2025.12.08
2026年関東インカレは5月21日~24日に宇都宮で初開催! 参加標準記録も発表
12月8日、関東学連は2026年の関東インカレを、栃木県宇都宮市のカンセキスタジアムとちぎで5月21日から24日に開催すると発表した。 関東の学生ナンバーワンを決める関東インカレは、来年で第105回を迎える伝統の対校戦。 […]
2025.12.08
女子400mのナセルがアディダスと契約 パリ五輪銀、東京世界陸上銅メダリスト
女子400mのアジア記録保持者、S.E.ナセル(バーレーン)がアディダスとのプロ契約を結んだことを発表した。自身のSNSで契約締結に関して「新たな挑戦と歴史的偉業に向け、アディダスの献身的な取り組みとパートナーシップは極 […]
Latest Issue
最新号
2025年12月号 (11月14日発売)
EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選
Follow-up Tokyo 2025