
◇ホクレン・ディスタンスチャレンジ2021千歳大会(7月17日/北海道千歳市)
ホクレン・ディスタンスチャレンジ最終戦の千歳大会、男子800mで源裕貴(環太平洋大4年)が1分45秒75をマーク。川元奨(スズキ)が2014年に樹立した日本記録に並ぶ日本タイ記録および日本学生タイ記録だった。
「日本記録を破りたかったので悔しい」と、日本新記録樹立を目標に掲げていただけに、レース後には悔しさを口にしていたが、日本選手権は5位に終わっていただけに、川元、金子魅玖人(中大)とフィニッシュラインに雪崩れ込むように競り合いながらも、1着で勝ち切ったことは素直に喜んだ。
「ラスト300mでポケット(※他のランナーに周りを囲まれて前に出られない状態)されたんですけど、日本選手権の時はそれで焦ってしまい力が出せなかったので、同じことを繰り返さないように、ラストで勝てるようにと切り替えた。良いレースの仕方だったなと思います」
日本選手権後は疲労が出たり、練習拠点の岡山が蒸し暑かったりしたこともあって、「うまく練習ができなかった」。今回のレース前も「疲労を感じてたので、うまくいくのかな……」と不安を覚えていたという。だが、レース直前にスパイクを履いて流しを行った際に好感触があり、「これはもしかしたら」と自身に期待感を持ってレースに臨んだ。
ペースメーカーを務めた日本選手権覇者の田母神一喜(阿見AC)も絶妙なペースメイクをした。場内で読み上げられていた100mごとのラップは以下の通り。
100m12秒1
200m25秒8
300m39秒0
400m51秒3
500m1分4秒
600m1分18秒
700m1分32秒
「400mを51~52秒で通過し、600mを70秒台っていうのは自分の中で決めていた。そこから26秒で帰ってくれば、日本記録は出ると思っていました」と、源が思い描いていた通りの展開だった。
今季の源は走る度に自己記録を更新してきた。昨年までの自己ベストは1分49秒64だったが、4月の東京陸協ミドルディスタンス・チャレンジで1分48秒52をマークすると、5月の静岡国際で1分47秒71、6月の日本グランプリ新潟大会で1分46秒50と、1カ月で約1秒ずつ記録を縮めてきた。そして7月、今回は1分45秒75。本人は悔しがったが、驚異の成長率。これで来年のオレゴン世界選手権の参加標準記録(1分45秒20)も見えてきた。
4月の時点では、源は「先のことを気にしていたら集中できないので、今年は楽しんで走りたい」と話していたが、3カ月後の今、もはや日本の中距離界を牽引する1人に成長。今回ペースメーカーを務めた田母神や、16年以来の1分45秒台(1分45秒83)を出した川元、同レースで日本歴代3位の1分45秒85で走った金子、米国を拠点とするクレイ・アーロン竜波(テキサスA&M大)らライバルも多いが、そのライバルたちと競り合いながら、いよいよこの種目でも世界への扉が開かれそうだ。
文・写真/和田悟志
◇ホクレン・ディスタンスチャレンジ2021千歳大会(7月17日/北海道千歳市)
ホクレン・ディスタンスチャレンジ最終戦の千歳大会、男子800mで源裕貴(環太平洋大4年)が1分45秒75をマーク。川元奨(スズキ)が2014年に樹立した日本記録に並ぶ日本タイ記録および日本学生タイ記録だった。
「日本記録を破りたかったので悔しい」と、日本新記録樹立を目標に掲げていただけに、レース後には悔しさを口にしていたが、日本選手権は5位に終わっていただけに、川元、金子魅玖人(中大)とフィニッシュラインに雪崩れ込むように競り合いながらも、1着で勝ち切ったことは素直に喜んだ。
「ラスト300mでポケット(※他のランナーに周りを囲まれて前に出られない状態)されたんですけど、日本選手権の時はそれで焦ってしまい力が出せなかったので、同じことを繰り返さないように、ラストで勝てるようにと切り替えた。良いレースの仕方だったなと思います」
日本選手権後は疲労が出たり、練習拠点の岡山が蒸し暑かったりしたこともあって、「うまく練習ができなかった」。今回のレース前も「疲労を感じてたので、うまくいくのかな……」と不安を覚えていたという。だが、レース直前にスパイクを履いて流しを行った際に好感触があり、「これはもしかしたら」と自身に期待感を持ってレースに臨んだ。
ペースメーカーを務めた日本選手権覇者の田母神一喜(阿見AC)も絶妙なペースメイクをした。場内で読み上げられていた100mごとのラップは以下の通り。
100m12秒1
200m25秒8
300m39秒0
400m51秒3
500m1分4秒
600m1分18秒
700m1分32秒
「400mを51~52秒で通過し、600mを70秒台っていうのは自分の中で決めていた。そこから26秒で帰ってくれば、日本記録は出ると思っていました」と、源が思い描いていた通りの展開だった。
今季の源は走る度に自己記録を更新してきた。昨年までの自己ベストは1分49秒64だったが、4月の東京陸協ミドルディスタンス・チャレンジで1分48秒52をマークすると、5月の静岡国際で1分47秒71、6月の日本グランプリ新潟大会で1分46秒50と、1カ月で約1秒ずつ記録を縮めてきた。そして7月、今回は1分45秒75。本人は悔しがったが、驚異の成長率。これで来年のオレゴン世界選手権の参加標準記録(1分45秒20)も見えてきた。
4月の時点では、源は「先のことを気にしていたら集中できないので、今年は楽しんで走りたい」と話していたが、3カ月後の今、もはや日本の中距離界を牽引する1人に成長。今回ペースメーカーを務めた田母神や、16年以来の1分45秒台(1分45秒83)を出した川元、同レースで日本歴代3位の1分45秒85で走った金子、米国を拠点とするクレイ・アーロン竜波(テキサスA&M大)らライバルも多いが、そのライバルたちと競り合いながら、いよいよこの種目でも世界への扉が開かれそうだ。
文・写真/和田悟志
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2025.12.10
-
2025.12.07
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.12.10
【箱根駅伝エントリー】登録選手336人が決定 最多出身高は13年ぶりの駅伝名門校! 都道府県別では埼玉が2年連続トップ
第102回箱根駅伝のチームエントリーが12月10日に行われ、今回も1チーム16人、21チーム計336人が選手登録された。 登録選手を出身高校別に見ると、佐久長聖高(長野)が13人で最多となった。続いて、洛南高(京都)が1 […]
2025.12.10
前回6位の城西大・櫛部静二監督「アッと驚く試合を」 20年連続シード東洋大・酒井俊幸監督「誰が出ても粘りながら」/箱根駅伝
第102回箱根駅伝の記者発表会が12月10日、都内で行われ、出場校の監督が意気込みを語った。 前回6位の城西大は16人のエントリーの半数を4年生が占めた。櫛部静二監督は「ここ数年、この4年生の力によって、城西大としては上 […]
2025.12.10
15年ぶりVへ!早大・花田勝彦監督「往路優勝のオーダーを」山口智規主将を「胴上げしたい」/箱根駅伝
第102回箱根駅伝の記者発表会が12月10日、都内で行われ、出場校の監督が意気込みを語った。 前回4位の早大は「5強」の一角として、15年ぶり優勝をしっかりと視界に捉える。 就任4年目を迎えた花田勝彦駅伝監督は、今年度で […]
2025.12.10
99回目出場の中大・藤原監督「いい顔でスタートを」4年生が優勝へ執念「勝たせてやりたい」/箱根駅伝
第102回箱根駅伝の記者発表会が12月10日、都内で行われ、出場校の監督が意気込みを語った。 全日本大学駅伝で2位を占めた中大は、前回5位からの躍進を期す。藤原正和監督は「いいチームができました」と胸を張って語る。 1年 […]
Latest Issue
最新号
2025年12月号 (11月14日発売)
EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選
Follow-up Tokyo 2025