HOME バックナンバー
【誌面転載】日本陸連強化委員会 ~東京五輪ゴールド・プラン~ Challenge to TOKYO 2020
【誌面転載】日本陸連強化委員会 ~東京五輪ゴールド・プラン~ Challenge to TOKYO 2020

日本陸連強化委員会 ~東京五輪ゴールド・プラン~ Challenge to TOKYO 2020

第9回「ダイヤモンドアスリート」の飛翔

日本陸連が2015年に立ち上げた「ダイヤモンドアスリート」制度。U20世代を対象に、2020年東京五輪だけでなく、その先の世界大会で活躍が期待される選手を少数精鋭で選抜して強化育成するプロジェクトで、設立に大きく関わったのが当時強化育成部長だった山崎一彦ディレクター。「競技はもちろん、豊かな人間性を持つ国際人となり、今後の日本及び国際社会の発展に寄与する人材として期待される競技者」という理念の元に、第1期生として選ばれたのが男子短距離のサニブラウン・アブデル・ハキーム(フロリダ大/当時、城西高・東京)や女子やり投の北口榛花(日大/当時、旭川東高・北海道)だった。2人ともその年(2015年)の世界ユース選手権(コロンビア・カリ、現・U18世界選手権)で金メダルを獲得し、サニブラウンは100m、200mを大会新記録で制した。男子走幅跳の橋岡優輝(日大/当時、八王子高・東京)は翌年ダイヤモンドアスリートに加わった2期生で、サニブラウンとは同学年。その年(2016年)のU20世界選手権は入賞を逃したものの、昨年の同大会(フィンランド・タンペレ)では金メダリストの称号を得て帰国した。

そして、「ダイヤモンドアスリート」の修了生となった3人の、今季の活躍が目覚ましい。20歳になったサニブラウンは100mで9秒97(+0.8)の日本新、200mでは20秒08(+0.8)の日本歴代2位。21歳の北口も5月に64m36を投げて日本記録保持者になった。4月のアジア選手権で優勝した20歳の橋岡は、日本記録にあと3cmと迫る日本歴代2位(8m22)。故障などもあり、それぞれ平坦な道のりではなかったが、今そろってまばゆいばかりの光を放ち始めている。

広告の下にコンテンツが続きます

6月末に福岡市で開催された日本選手権では、2年ぶりに100m、200mの2種目優勝を飾ったサニブラウンと、63m68の大会新で初優勝の北口が最優秀選手に選出され、橋岡は3連覇。仲良くドーハ世界選手権の代表入りを決めた。「ダイヤモンドアスリート」の代表格とも言える3人が、ここまでどんな取り組みをして成長し、シニアの世界の舞台で羽ばたこうとしているのか。山崎ディレクターと2008年北京五輪男子4×100mリレーの銀メダリスト・朝原宣治氏(ダイヤモンドアスリート・プログラムマネージャー)を交えて話し合ってもらった。

日本選手権Ⅴでそろって世界選手権代表入り

6月末の日本選手権で優勝して世界選手権代表に決まった3人。左から女子やり投の北口榛花(日大)、男子100m、200mのサニブラウン・アブデル・ハキーム(フロリダ大)、男子走幅跳の橋岡優輝(日大)

──日本選手権、大変お疲れさまでした。選手の皆さんは、お互いに結果をどう見ましたか。
サニブラウン 毎日レースがあったので、忙しくて観てないです(笑)。
北口 私はハキームの試合、人が多くて観に行くのをあきらめました(笑)。橋岡の試合は観に行きましたけどね。
──6回目にトップにいる橋岡選手が1cm差に迫られた時、ドキドキしませんでしたか。
北口 いや、全然(笑)。
山崎 選手はそんなもんですよね。各自、挑戦していますから。
橋岡 僕は大学で北口さんの1年後輩なんですけど、去年の日本選手権で北口さんがトップエイトに残れなくて落ち込んでいても、特に心配しなかったです。他のダイヤモンドアスリートに対しては、「結果的に(記録を)出すでしょ」という気持ちがあって……。今回、同じ2期生の江島(雅紀、日大/男子棒高跳)もちゃんと優勝しましたしね。そこは信頼しています。
北口 私の調子が悪い間に、橋岡が国際大会でメダルを取って帰って来た時も、「まあ、そうだよな」と思っていました。「それが普通だよな」って。ハキームが日本新を出した時も、「やっぱりね」という感じだったよね。
橋岡 「(9秒)97、出たね」って、グラウンドで話しました。「あんな過密なタイムスケジュールじゃなければ、もっと出るよね」と。
──今回のサニブラウン選手の活躍も、当たり前のように受け止めてましたか。
橋岡 そうですね。「自分もがんばらないとな」と思っていました。
──では、日本選手権の結果について、自己評価してもらいましょうか。
サニブラウン いいこともあり、悪いこともありの4日間でしたね。ただ、ケガしないで無事に走り切ったので、それが一番です。100m、200mの両方で代表を決められて、ひと安心というところです。
橋岡 僕も、とりあえず代表を決められたので良かったです。試合の内容としたら「やっちまったな」という感じですけど(笑)。
北口 私もやっと代表になれたので、ホッとしました。「もう1回、日本記録を更新できたかな」という思いはありますけど、まあ上出来だと思います。

広告の下にコンテンツが続きます

※この続きは2019年7月13日発売の『月刊陸上競技』8月号をご覧ください

日本陸連強化委員会 ~東京五輪ゴールド・プラン~ Challenge to TOKYO 2020

第9回「ダイヤモンドアスリート」の飛翔

日本陸連が2015年に立ち上げた「ダイヤモンドアスリート」制度。U20世代を対象に、2020年東京五輪だけでなく、その先の世界大会で活躍が期待される選手を少数精鋭で選抜して強化育成するプロジェクトで、設立に大きく関わったのが当時強化育成部長だった山崎一彦ディレクター。「競技はもちろん、豊かな人間性を持つ国際人となり、今後の日本及び国際社会の発展に寄与する人材として期待される競技者」という理念の元に、第1期生として選ばれたのが男子短距離のサニブラウン・アブデル・ハキーム(フロリダ大/当時、城西高・東京)や女子やり投の北口榛花(日大/当時、旭川東高・北海道)だった。2人ともその年(2015年)の世界ユース選手権(コロンビア・カリ、現・U18世界選手権)で金メダルを獲得し、サニブラウンは100m、200mを大会新記録で制した。男子走幅跳の橋岡優輝(日大/当時、八王子高・東京)は翌年ダイヤモンドアスリートに加わった2期生で、サニブラウンとは同学年。その年(2016年)のU20世界選手権は入賞を逃したものの、昨年の同大会(フィンランド・タンペレ)では金メダリストの称号を得て帰国した。 そして、「ダイヤモンドアスリート」の修了生となった3人の、今季の活躍が目覚ましい。20歳になったサニブラウンは100mで9秒97(+0.8)の日本新、200mでは20秒08(+0.8)の日本歴代2位。21歳の北口も5月に64m36を投げて日本記録保持者になった。4月のアジア選手権で優勝した20歳の橋岡は、日本記録にあと3cmと迫る日本歴代2位(8m22)。故障などもあり、それぞれ平坦な道のりではなかったが、今そろってまばゆいばかりの光を放ち始めている。 6月末に福岡市で開催された日本選手権では、2年ぶりに100m、200mの2種目優勝を飾ったサニブラウンと、63m68の大会新で初優勝の北口が最優秀選手に選出され、橋岡は3連覇。仲良くドーハ世界選手権の代表入りを決めた。「ダイヤモンドアスリート」の代表格とも言える3人が、ここまでどんな取り組みをして成長し、シニアの世界の舞台で羽ばたこうとしているのか。山崎ディレクターと2008年北京五輪男子4×100mリレーの銀メダリスト・朝原宣治氏(ダイヤモンドアスリート・プログラムマネージャー)を交えて話し合ってもらった。

日本選手権Ⅴでそろって世界選手権代表入り

[caption id="attachment_3713" align="aligncenter" width="500"] 6月末の日本選手権で優勝して世界選手権代表に決まった3人。左から女子やり投の北口榛花(日大)、男子100m、200mのサニブラウン・アブデル・ハキーム(フロリダ大)、男子走幅跳の橋岡優輝(日大)[/caption] ──日本選手権、大変お疲れさまでした。選手の皆さんは、お互いに結果をどう見ましたか。 サニブラウン 毎日レースがあったので、忙しくて観てないです(笑)。 北口 私はハキームの試合、人が多くて観に行くのをあきらめました(笑)。橋岡の試合は観に行きましたけどね。 ──6回目にトップにいる橋岡選手が1cm差に迫られた時、ドキドキしませんでしたか。 北口 いや、全然(笑)。 山崎 選手はそんなもんですよね。各自、挑戦していますから。 橋岡 僕は大学で北口さんの1年後輩なんですけど、去年の日本選手権で北口さんがトップエイトに残れなくて落ち込んでいても、特に心配しなかったです。他のダイヤモンドアスリートに対しては、「結果的に(記録を)出すでしょ」という気持ちがあって……。今回、同じ2期生の江島(雅紀、日大/男子棒高跳)もちゃんと優勝しましたしね。そこは信頼しています。 北口 私の調子が悪い間に、橋岡が国際大会でメダルを取って帰って来た時も、「まあ、そうだよな」と思っていました。「それが普通だよな」って。ハキームが日本新を出した時も、「やっぱりね」という感じだったよね。 橋岡 「(9秒)97、出たね」って、グラウンドで話しました。「あんな過密なタイムスケジュールじゃなければ、もっと出るよね」と。 ──今回のサニブラウン選手の活躍も、当たり前のように受け止めてましたか。 橋岡 そうですね。「自分もがんばらないとな」と思っていました。 ──では、日本選手権の結果について、自己評価してもらいましょうか。 サニブラウン いいこともあり、悪いこともありの4日間でしたね。ただ、ケガしないで無事に走り切ったので、それが一番です。100m、200mの両方で代表を決められて、ひと安心というところです。 橋岡 僕も、とりあえず代表を決められたので良かったです。試合の内容としたら「やっちまったな」という感じですけど(笑)。 北口 私もやっと代表になれたので、ホッとしました。「もう1回、日本記録を更新できたかな」という思いはありますけど、まあ上出来だと思います。 ※この続きは2019年7月13日発売の『月刊陸上競技』8月号をご覧ください

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.10.18

編集部コラム「濃い2ヵ月間」

毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンドリレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、ど […]

NEWS サニブラウンがトークイベントで来場! 未来の日本代表「楽しむことを忘れずに」とメッセージ/U18・U16大会

2025.10.18

サニブラウンがトークイベントで来場! 未来の日本代表「楽しむことを忘れずに」とメッセージ/U18・U16大会

◇第19回U18・第56回U16大会(10月17~19日/三重交通Gスポーツの杜伊勢陸上競技場) 10月18日、三重県伊勢市で開催中のU18・U16大会の会場に、東京世界選手権代表のサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ […]

NEWS 髙城昊紀が110mHを大会新V!来季に向けて「ケガしないように冬季練習をしていきたい」/U18・16大会

2025.10.18

髙城昊紀が110mHを大会新V!来季に向けて「ケガしないように冬季練習をしていきたい」/U18・16大会

◇第19回U18・第56回U16大会(10月17~19日/三重交通Gスポーツの杜伊勢陸上競技場)2日目 U18・U16大会の2日目が行われ、U20規格で実施されたU18男子110mハードルは髙城昊紀(宮崎西高2宮崎)が1 […]

NEWS 女子は横手清陵学院が劇的逆転で悲願の初V!男子は秋田工が2時間9分01秒で2年ぶり全国へ/秋田県高校駅伝

2025.10.18

女子は横手清陵学院が劇的逆転で悲願の初V!男子は秋田工が2時間9分01秒で2年ぶり全国へ/秋田県高校駅伝

全国高校駅伝の出場権を懸けた秋田県高校駅伝が10月17日に、秋田市の県営陸上競技場周回コースで行われ、女子(5区間21.0975km)は横手清陵学院が1時間14分32秒で初優勝を飾り、初の全国出場を決めた。男子(7区間4 […]

NEWS 北口榛花 初のやり投教室「突き詰めたいなら努力するしか方法はない」中高生に熱血指導

2025.10.18

北口榛花 初のやり投教室「突き詰めたいなら努力するしか方法はない」中高生に熱血指導

女子やり投の北口榛花(JAL)が初めて自己プロデュースしたやり投に特化した陸上教室の「はるかなる教室 Supported by JAL」(主催:株式会社スポーツビズ、川崎とどろきパーク株式会社)が18日、神奈川県の等々力 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年11月号 (10月14日発売)

2025年11月号 (10月14日発売)

東京世界選手権 総特集
箱根駅伝予選会&全日本大学駅伝展望

page top