2021.05.19
記念すべき100回目となる関東学生対校選手権大会(関東インカレ)が、5月20日から23日までの4日間の日程で開催される。一般種目は相模原ギオンスタジアム・相模原市ギオンフィールドで、ハーフマラソンはよみうりランド敷地内周回コースで、いずれも無観客で実施。昨年はコロナ禍の影響により秋に開催され、対校戦については行われなかった。一般種目についてはライブ配信が行われる予定。節目の大会で主役となるであろう選手たちをピックアップする。
男子・泉谷は個人で110mHのみ
注目は順大の泉谷駿介だろう。男子110mハードルで13秒33の日本歴代3位を持つ泉谷だが、実は走幅跳で7m92、三段跳16m08という“マルチアスリート”。2年前の関東インカレでは、110mハードルと三段跳の2冠、走幅跳では追い風参考(+3.8)で8m09を跳んで2位という驚異的なパフォーマンスを見せた。
今シーズンは東京五輪を控えていることもあり、参加標準記録13秒32まであと0.01秒に迫っている110mハードルに専念することを明言。関東インカレは学校対校ということもあり、得点を稼げる泉谷のエントリー種目に注目が集まっていたが、個人では110mハードルのみに登録した。スタートから1台目までのアプローチを7歩に変えまだ安定感はないが、そこがハマればとんでもない記録が出てもおかしくない。大会記録(13秒59)、日本学生記録ともに自身が保持。関東インカレで東京五輪参加標準記録を突破して、そのすべてを更新する可能性は十分にある。
泉谷が大きくリードしているが、後輩の村竹ラシッドも注目。また、泉谷と同学年で高校時代から競り合ってきた森戸信陽と勝田築の早大コンビ、樋口陸人(法大)らも最終学年に懸ける思いは強い。一方、1年生も強力で、高校歴代2位タイの13秒85を持つ近藤翠月(東海大)、入学早々13秒94をマークしている豊田兼(慶大)や、池田海(早大)の初インカレも注目だ。
もう一つのハードル種目も大きな話題を集める。5月9日の東京五輪テストイベントの男子400mハードルで優勝したのが黒川和樹(法大)。48秒68で東京五輪の参加標準記録を突破した。さらに2位の山内大夢(早大)も東京五輪の参加標準記録を破る48秒84。この2人が優勝候補だが、復活を期す白尾悠祐、出口晴翔の順大勢なども見せ場を作るか。
今大会ただ1人“日本記録保持者”の称号を持って出場するのが三浦龍司(順大)だ。東京五輪テストイベントでは3000m障害で8分17秒46の日本新で優勝して東京五輪の参加標準記録を突破。今大会では1500mと5000mにエントリーしている。順大16年ぶりの総合優勝に向けた切り札となるか。
一昨年まで男子総合8連覇中は日大。強みはフィールド種目で、なかでも男子ハンマー投の福田翔大は自身初の70m超えに期待が懸かる。
最速を決める100mは最終学年を迎えた宮本大輔(東洋大)が2年ぶり3度目の優勝なるか。デーデー・ブルーノ(東海大)、昨年優勝の鈴木涼太(城西大)に、ルーキーの鵜澤飛羽(筑波大)らが絡むか。鵜澤は200mにもエントリー。早大の松本朗、澤大地、三浦励央奈がどんな走りを見せるかも楽しみだ。
女子総合優勝は筑波大と日体大の争いか
女子は筑波大が総合2連覇中。3年の高良彩花には走幅跳で3連覇が懸かる。今季は4月の兵庫リレーで6m35(+2.8)、東京五輪テストイベントで6m24(-0.1)と安定。6m44の自己ベスト更新も近いだろう。筑波大は女子短距離の檀上明日香、三浦由奈、景山咲穂、100mハードルの小林歩未、投てき勢など豊富な選手層で加点を狙う。
日体大も元気で、東京五輪テストイベントの4×100mリレーでは学生パフォーマンス歴代2位となる44秒65をマークした。好調ルーキーの滝田静海は200m、4年目で躍進してきた園宮璃子が100mに出場予定。昨年日本インカレ100mハードルをルーキーながら制した島野真生らスプリントに勢いがある。さらに、走幅跳で6m41の大ベストを跳んだ東祐希や、棒高跳や三段跳といった跳躍種目でも加点が見込めそうだ。
大エース・小山佳奈が卒業した早大の女子ハードル陣は、その後を継いだ関本萌香や復調しつつある村上夏美、川村優佳が400mハードルに出場する。津川瑠衣は400mと800mにエントリーしている。
女子やり投がハイレベルで、58m87を投げている奈良岡翠蘭(日大)と、58m57の長 麻尋(国士大)の投げ合いに注目だ。関東インカレ史上2度目の60mオーバーなるか。
関東インカレは1919年にスタートし、戦火による中断期間を経て100年以上にわたって開催されてきた、国内随一の伝統を誇る競技会。残念ながら100回目の今大会はコロナ禍で無観客試合となり、名物でもある学校応援も見られないが、ライブ配信はされる予定。学生たちが大学の誇りを胸に戦う姿を目に焼きつけてほしい。

男子・泉谷は個人で110mHのみ
注目は順大の泉谷駿介だろう。男子110mハードルで13秒33の日本歴代3位を持つ泉谷だが、実は走幅跳で7m92、三段跳16m08という“マルチアスリート”。2年前の関東インカレでは、110mハードルと三段跳の2冠、走幅跳では追い風参考(+3.8)で8m09を跳んで2位という驚異的なパフォーマンスを見せた。 今シーズンは東京五輪を控えていることもあり、参加標準記録13秒32まであと0.01秒に迫っている110mハードルに専念することを明言。関東インカレは学校対校ということもあり、得点を稼げる泉谷のエントリー種目に注目が集まっていたが、個人では110mハードルのみに登録した。スタートから1台目までのアプローチを7歩に変えまだ安定感はないが、そこがハマればとんでもない記録が出てもおかしくない。大会記録(13秒59)、日本学生記録ともに自身が保持。関東インカレで東京五輪参加標準記録を突破して、そのすべてを更新する可能性は十分にある。 泉谷が大きくリードしているが、後輩の村竹ラシッドも注目。また、泉谷と同学年で高校時代から競り合ってきた森戸信陽と勝田築の早大コンビ、樋口陸人(法大)らも最終学年に懸ける思いは強い。一方、1年生も強力で、高校歴代2位タイの13秒85を持つ近藤翠月(東海大)、入学早々13秒94をマークしている豊田兼(慶大)や、池田海(早大)の初インカレも注目だ。 もう一つのハードル種目も大きな話題を集める。5月9日の東京五輪テストイベントの男子400mハードルで優勝したのが黒川和樹(法大)。48秒68で東京五輪の参加標準記録を突破した。さらに2位の山内大夢(早大)も東京五輪の参加標準記録を破る48秒84。この2人が優勝候補だが、復活を期す白尾悠祐、出口晴翔の順大勢なども見せ場を作るか。 今大会ただ1人“日本記録保持者”の称号を持って出場するのが三浦龍司(順大)だ。東京五輪テストイベントでは3000m障害で8分17秒46の日本新で優勝して東京五輪の参加標準記録を突破。今大会では1500mと5000mにエントリーしている。順大16年ぶりの総合優勝に向けた切り札となるか。 一昨年まで男子総合8連覇中は日大。強みはフィールド種目で、なかでも男子ハンマー投の福田翔大は自身初の70m超えに期待が懸かる。 最速を決める100mは最終学年を迎えた宮本大輔(東洋大)が2年ぶり3度目の優勝なるか。デーデー・ブルーノ(東海大)、昨年優勝の鈴木涼太(城西大)に、ルーキーの鵜澤飛羽(筑波大)らが絡むか。鵜澤は200mにもエントリー。早大の松本朗、澤大地、三浦励央奈がどんな走りを見せるかも楽しみだ。女子総合優勝は筑波大と日体大の争いか
女子は筑波大が総合2連覇中。3年の高良彩花には走幅跳で3連覇が懸かる。今季は4月の兵庫リレーで6m35(+2.8)、東京五輪テストイベントで6m24(-0.1)と安定。6m44の自己ベスト更新も近いだろう。筑波大は女子短距離の檀上明日香、三浦由奈、景山咲穂、100mハードルの小林歩未、投てき勢など豊富な選手層で加点を狙う。
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.04.30
【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」
-
2025.04.30
-
2025.04.30
-
2025.04.30
-
2025.04.30
-
2025.04.30
2025.04.29
100mH田中佑美が予選トップ通過も決勝棄権「故障ではない」昨年の結婚も明かす/織田記念
-
2025.04.28
-
2025.04.26
2025.04.12
3位の吉居大和は涙「想像していなかったくらい悔しい」/日本選手権10000m
-
2025.04.01
-
2025.04.12
-
2025.04.12
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.04.30
【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」
山梨学大の上田誠仁顧問の月陸Online特別連載コラム。これまでの経験や感じたこと、想いなど、心のままに綴っていただきます! 第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」 昨年は記念大会となる第100回箱根駅伝が開催され […]
2025.04.30
【高校生FOCUS】男子競歩・山田大智(西脇工高)インターハイで昨夏の雪辱誓う 高校記録更新にも挑戦
FOCUS! 高校生INTERVIEW 山田大智 Yamada Daichi 西脇工高3兵庫 2025年シーズンが本格的に始まり、高校陸上界では記録会、競技会が次々と開かれています。その中で好記録も生まれており、男子50 […]
2025.04.30
5.3静岡国際、パリ五輪代表の坂井隆一郎、200m世界陸上標準突破の水久保漱至らが欠場
5月3日に行われる静岡国際のエントリーリストが更新され、現時点で欠場届を提出した選手が判明した。 男子100mはパリ五輪代表の坂井隆一郎(大阪ガス)が欠場。坂井は4月13日の出雲陸上で脚を痛め、29日の織田記念の出場も見 […]
2025.04.30
26年ブダペスト開催の「世界陸上アルティメット選手権」やり投・北口榛花が出場権獲得
世界陸連(WA)は4月29日、2026年に新設する「世界陸上アルティメット選手権」の大会500日前を受け、昨年のパリ五輪の金メダリストに出場資格を与えることを発表した。女子やり投で金メダルを獲得した北口榛花(JAL)も含 […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL)
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)