
10月16日から18日まで開催されている日本選手権リレーで400m・400mハードルの青木沙弥佳(東邦銀行、33歳)が現役引退を発表した。
日本女子短距離界を引っ張ってきたスプリンターとの別れを惜しむかのように日産スタジアムには冷たい雨が降った。女子400mハードルで日本歴代3位となる55秒94を持つ青木沙弥佳(東邦銀行)の現役最後のレース。日本選手権リレー女子4×400mリレーの3走に登場した青木は、しっかりと武石この実にバトンをつないだ。レース後は引退セレモニーが行われ、吉田真希子コーチから花束が贈られた。
「寂しい気持ちもありつつ、ここで引退と決めて臨んで、力不足だったと思いますが、最後までしっかり走り切れて、気持ちよく終われます」というのが第一声。引退を決めた理由に「アキレス腱などの不調もありましたが、これという理由はありません」といいつつ、「(今年の)日本選手権が終わってから心残りがない、と決断しました」と話す。福島大の川本和久監督に報告した際は「選択を尊重するよ」と受け入れて「ありがたかったです」という。
青木は県岐阜商高から福島大へ進学し、ナチュリル、東邦銀行と所属。400mと400mハードルを中心に活躍し、高2で400mハードルを始めた。高校時代はインターハイ、国体で2位に入り、福島大に進学してからは川本監督の下で成長。大学3年時には2007年には400mでも53秒40(当時学生歴代2位)をマークし、日本選手権400mハードルで初優勝し、大阪世界選手権代表に選出された。大阪ではマイルメンバーの1走を務めて日本記録樹立に貢献している。
翌年は北京五輪にもマイルメンバーとして出場。400mハードルで自己ベストとなる55秒94をマークした。これは現在も学生記録として残る。09年ベルリン世界選手権には400mハードルに出場。15年北京世界選手権4×400mリレーではアンカーを務めて3分28秒91の日本記録を樹立した。2005年から18年度まで、実に14シーズン連続で58秒を切る安定感で日本女子スプリント界を牽引した。
思い出のレースは、07年の大阪世界選手権。マイルの1走を務め、「大きな声援を受けて、自分も主役になれるんだと思いました」と振り返り、「今でも忘れられません」と言う。個人よりも「対抗戦やチームで戦うのが好き」と話すように、「日本インカレや全日本実業団対抗で総合優勝を目指してチームで戦っていると、陸上をやってきてよかったと思えます」と青木。12年には地元・岐阜国体で総合優勝に貢献「あの時は人生で初めてガッツポーズしました」と照れた。重要な役割を果たしてきたリレーについても「リレーなら任せてください、という気持ちで、リレーの選手という気持ちでやってきた陸上人生」と胸を張る。日本選手権リレーを最後にスパイクを脱いだことも、「狙ったわけではなく、ここまでエントリーしていたので」と話すが、青木らしい最後。同じ400mハードル出身の吉田コーチは、「青木の走りが好きだったので、青木の走りが見られなくなるのは寂しいです。お疲れさまでしたと言いたい」と後輩の走りを目に焼きつけていた。
女子スプリント界の後輩たちに向けては、「タイムだけでなく、勝負所で強い選手になってほしいし、私もそれを目指してきました。そのためには、やはり海外での経験を積んでいかないくてはいけないと思います」と、数々の舞台を踏んできた経験からアドバイスを送る。なお、今後については「何も決まっていません」としつつ「何かしらこの業界に恩返しできれば」と明かした。
決して派手さはないが、どんなレースでも常に上位争いを繰り広げ、安定した走りを見せ、強さを求めてきた名スプリンターであり、名ハードラー。その想いのバトンは東邦銀行、そして女子スプリント界の後輩たちにしっかりとつながれた。
あおき・さやか/1986年12月15日生まれ。岐阜県出身。県岐阜商高→福島大卒→ナチュリル→東邦銀行。08年北京五輪、07・09・15年世界選手権代表。自己記録は400m53秒05(日本歴代6位)、400mハードル55秒94(日本歴代3位)。
10月16日から18日まで開催されている日本選手権リレーで400m・400mハードルの青木沙弥佳(東邦銀行、33歳)が現役引退を発表した。
日本女子短距離界を引っ張ってきたスプリンターとの別れを惜しむかのように日産スタジアムには冷たい雨が降った。女子400mハードルで日本歴代3位となる55秒94を持つ青木沙弥佳(東邦銀行)の現役最後のレース。日本選手権リレー女子4×400mリレーの3走に登場した青木は、しっかりと武石この実にバトンをつないだ。レース後は引退セレモニーが行われ、吉田真希子コーチから花束が贈られた。
「寂しい気持ちもありつつ、ここで引退と決めて臨んで、力不足だったと思いますが、最後までしっかり走り切れて、気持ちよく終われます」というのが第一声。引退を決めた理由に「アキレス腱などの不調もありましたが、これという理由はありません」といいつつ、「(今年の)日本選手権が終わってから心残りがない、と決断しました」と話す。福島大の川本和久監督に報告した際は「選択を尊重するよ」と受け入れて「ありがたかったです」という。
青木は県岐阜商高から福島大へ進学し、ナチュリル、東邦銀行と所属。400mと400mハードルを中心に活躍し、高2で400mハードルを始めた。高校時代はインターハイ、国体で2位に入り、福島大に進学してからは川本監督の下で成長。大学3年時には2007年には400mでも53秒40(当時学生歴代2位)をマークし、日本選手権400mハードルで初優勝し、大阪世界選手権代表に選出された。大阪ではマイルメンバーの1走を務めて日本記録樹立に貢献している。
翌年は北京五輪にもマイルメンバーとして出場。400mハードルで自己ベストとなる55秒94をマークした。これは現在も学生記録として残る。09年ベルリン世界選手権には400mハードルに出場。15年北京世界選手権4×400mリレーではアンカーを務めて3分28秒91の日本記録を樹立した。2005年から18年度まで、実に14シーズン連続で58秒を切る安定感で日本女子スプリント界を牽引した。
思い出のレースは、07年の大阪世界選手権。マイルの1走を務め、「大きな声援を受けて、自分も主役になれるんだと思いました」と振り返り、「今でも忘れられません」と言う。個人よりも「対抗戦やチームで戦うのが好き」と話すように、「日本インカレや全日本実業団対抗で総合優勝を目指してチームで戦っていると、陸上をやってきてよかったと思えます」と青木。12年には地元・岐阜国体で総合優勝に貢献「あの時は人生で初めてガッツポーズしました」と照れた。重要な役割を果たしてきたリレーについても「リレーなら任せてください、という気持ちで、リレーの選手という気持ちでやってきた陸上人生」と胸を張る。日本選手権リレーを最後にスパイクを脱いだことも、「狙ったわけではなく、ここまでエントリーしていたので」と話すが、青木らしい最後。同じ400mハードル出身の吉田コーチは、「青木の走りが好きだったので、青木の走りが見られなくなるのは寂しいです。お疲れさまでしたと言いたい」と後輩の走りを目に焼きつけていた。
女子スプリント界の後輩たちに向けては、「タイムだけでなく、勝負所で強い選手になってほしいし、私もそれを目指してきました。そのためには、やはり海外での経験を積んでいかないくてはいけないと思います」と、数々の舞台を踏んできた経験からアドバイスを送る。なお、今後については「何も決まっていません」としつつ「何かしらこの業界に恩返しできれば」と明かした。
決して派手さはないが、どんなレースでも常に上位争いを繰り広げ、安定した走りを見せ、強さを求めてきた名スプリンターであり、名ハードラー。その想いのバトンは東邦銀行、そして女子スプリント界の後輩たちにしっかりとつながれた。
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