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2025.12.26

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箱根駅伝Stories/創部111年の年で「1位」に挑む早大 強力な主軸擁し「間違いなく前回より強い」

箱根駅伝で15年ぶりの総合優勝を目指す早大の選手たち

新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。

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One早稲田のスローガンで

創部111年と「1」並びの年に、早大は「One早稲田」をスローガンに掲げ、ブロック間の垣根を越えてチーム一体となり、今シーズンを送ってきた。12月10日の監督トークバトルで花田勝彦駅伝監督がフリップに記した目標も「1位」だった。

「(「優勝」よりも)画数が少ないので」と花田監督は会場の笑いをとっていたが、ひょっとしたら胸の内では「One早稲田」のスローガンを意識してのことだったのかもしれない。

今季の早大は何かと話題を提供した。

新シーズンを迎えて早々に、鈴木琉胤と佐々木哲の2人のルーキーが躍動。“山の名探偵”こと工藤慎作(3年)は平地でも力を発揮し、ハーフマラソンで学生世界一になった。駅伝主将の山口智規(4年)は、日本インカレで日本人で初めて1500mと5000mの2冠を果たすなど、トラックシーズンを席巻した。

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さらには、暮れの全国高校駅伝では、来季の新入生までもが大きな話題を集めた。今度の箱根駅伝は、主役として話題の中心に立つつもりだ。

花田監督が初めて「優勝を目指す」と口にしたのは、前回の箱根を4位で終えた直後のことだ。花田監督の就任4年目にして、ついに箱根駅伝の頂点を意識するチームになった。就任以来、一貫して持ち続けた指導ポリシーが“圧倒的な個”の育成だ。それを体現するかのように、今シーズンの早大は、他校と比べても“個”が際立っていた。

花田監督が“ダブルエース”と称したのが、駅伝主将の山口智規と3年の工藤だ。「自分がストロングポイントとして活躍できればと思います」と話すのが工藤だ。実際に、その通りだろう。早大が大きなアドバンテージを作るとすれば、3年連続の起用が濃厚な5区の工藤だ。

工藤は1年目から5区を任され区間6位と好走すると、前回は、区間賞こそ青学大の若林宏樹に譲ったが、区間2位と奮闘。区間歴代3位となる1時間9分31秒で走り切り、箱根山中で3人を抜きチームを勢いづけた。

今季は2月の日本学生ハーフマラソン選手権(香川丸亀国際ハーフマラソンと兼任)で、従来の日本人学生最高記録を上回る1時間0分06秒で優勝し、7月のFISUワールドユニバーシティゲームズでは大会新記録を打ち立て金メダルを獲得した。

さらに、全日本大学駅伝では、早大の先輩である渡辺康幸氏が持っていた日本人区間最高タイムを30年ぶりに5秒塗り替えた。「そんなに上りの適性はない」と工藤は言うが、平地の走力に磨きをかけてきた。3度目の箱根の山で、アッと驚くパフォーマンスを見せてくれそうだ。

「往路優勝するなら、ビハインドがある状態で工藤に渡るのでもいいかもしれませんが、総合優勝を狙うのであれな、工藤に渡る時点で先頭にいたい。そういう展開になれば、他大学にとってはすごく脅威になると思います」と花田監督は見ている。

総合優勝を成し遂げるのは、往路優勝は絶対。それだけでなく、往路でいかに貯金を作れるかが鍵となる。花田監督が言うように、先頭、もしくは先頭に近い位置でレースを進められるかは重要だ。

[caption id="attachment_194111" align="alignnone" width="800"] 箱根駅伝で15年ぶりの総合優勝を目指す早大の選手たち[/caption] 新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。

One早稲田のスローガンで

創部111年と「1」並びの年に、早大は「One早稲田」をスローガンに掲げ、ブロック間の垣根を越えてチーム一体となり、今シーズンを送ってきた。12月10日の監督トークバトルで花田勝彦駅伝監督がフリップに記した目標も「1位」だった。 「(「優勝」よりも)画数が少ないので」と花田監督は会場の笑いをとっていたが、ひょっとしたら胸の内では「One早稲田」のスローガンを意識してのことだったのかもしれない。 今季の早大は何かと話題を提供した。 新シーズンを迎えて早々に、鈴木琉胤と佐々木哲の2人のルーキーが躍動。“山の名探偵”こと工藤慎作(3年)は平地でも力を発揮し、ハーフマラソンで学生世界一になった。駅伝主将の山口智規(4年)は、日本インカレで日本人で初めて1500mと5000mの2冠を果たすなど、トラックシーズンを席巻した。 さらには、暮れの全国高校駅伝では、来季の新入生までもが大きな話題を集めた。今度の箱根駅伝は、主役として話題の中心に立つつもりだ。 花田監督が初めて「優勝を目指す」と口にしたのは、前回の箱根を4位で終えた直後のことだ。花田監督の就任4年目にして、ついに箱根駅伝の頂点を意識するチームになった。就任以来、一貫して持ち続けた指導ポリシーが“圧倒的な個”の育成だ。それを体現するかのように、今シーズンの早大は、他校と比べても“個”が際立っていた。 花田監督が“ダブルエース”と称したのが、駅伝主将の山口智規と3年の工藤だ。「自分がストロングポイントとして活躍できればと思います」と話すのが工藤だ。実際に、その通りだろう。早大が大きなアドバンテージを作るとすれば、3年連続の起用が濃厚な5区の工藤だ。 工藤は1年目から5区を任され区間6位と好走すると、前回は、区間賞こそ青学大の若林宏樹に譲ったが、区間2位と奮闘。区間歴代3位となる1時間9分31秒で走り切り、箱根山中で3人を抜きチームを勢いづけた。 今季は2月の日本学生ハーフマラソン選手権(香川丸亀国際ハーフマラソンと兼任)で、従来の日本人学生最高記録を上回る1時間0分06秒で優勝し、7月のFISUワールドユニバーシティゲームズでは大会新記録を打ち立て金メダルを獲得した。 さらに、全日本大学駅伝では、早大の先輩である渡辺康幸氏が持っていた日本人区間最高タイムを30年ぶりに5秒塗り替えた。「そんなに上りの適性はない」と工藤は言うが、平地の走力に磨きをかけてきた。3度目の箱根の山で、アッと驚くパフォーマンスを見せてくれそうだ。 「往路優勝するなら、ビハインドがある状態で工藤に渡るのでもいいかもしれませんが、総合優勝を狙うのであれな、工藤に渡る時点で先頭にいたい。そういう展開になれば、他大学にとってはすごく脅威になると思います」と花田監督は見ている。 総合優勝を成し遂げるのは、往路優勝は絶対。それだけでなく、往路でいかに貯金を作れるかが鍵となる。花田監督が言うように、先頭、もしくは先頭に近い位置でレースを進められるかは重要だ。

キーマンは疲労骨折明けの2年生

[caption id="attachment_194111" align="alignnone" width="800"] 駅伝主将の山口智規は2区で区間賞争いに加われるか[/caption] その重責を担う1人が、3年連続花の2区が濃厚な山口智規(4年)だ。 初めて挑んだ2年時の第100回大会では1時間6分31秒と、2区の早大記録を打ち立てて区間4位と好走した。前回は区間12位に終わり7つ順位を落としたものの、記録は1時間7分01秒にまとめている。 今季は、2月3月にオーストラリア遠征を行うなどしてさらなる成長を見せている。最後の箱根ではこれまで以上のパフォーマンスが期待できる。 「黒田君(朝日、青学大4)が1時間4分台に近いタイムで走る可能性があると思うので、5分台はマストで走らないといけないと思っています。前回も5分台は出ると思っていましたし、それぐらいをイメージして練習はできており、5分台は出すつもり。主要区間でアドバンテージを取るのはかなり難しいので、とにかく置いていかれないように区間賞争いをしたいです」。山口自身も役割を十分に理解している。 前回4区8位の長屋匡起(3年)はメンバー外。その代わりに、ルーキー・鈴木が早くも主力として存在感を発揮している。また、3年連続1区を担ってきた間瀬田純平(4年)は、秋以降、一気に調子を上げてきた。本人は「10区を希望」と言うものの、1区でハイペースにもスローペースにも対応する準備はできている。 前回3区3位と好走した山口竣平(2年)も、前半戦は一皮剥けた活躍を見せていた。駅伝シーズンを前に左大腿骨を疲労骨折し、出雲、全日本は欠場したが、現在は復帰。本人は「今の状態は4割、5割なので走れるか分からない」と不安を吐露するものの、花田監督は山口竣平をキーマンに上げ、大きな期待を寄せている。 「優勝を目指すとか、往路優勝すると、思い切って言えるようになってきたのは、竣平が良くなってきたことが大きいです。チームのみんなも『竣平ならやってくれる』と感じていると思います」。花田監督の言葉が事実であれば、チームに勢いをもたらす走りを見せてくれるに違いない。 そのほか、前回6区で区間5位と好走した山﨑一吹(3年)は、箱根に向けてぐんぐん調子を上げてきている。また、出雲、全日本を走った吉倉ナヤブ直希(2年)、堀野正太(1年)は、ペース走として出場した上尾シティハーフマラソンで1時間2分20秒台と好走し、計算が立つ。 さらに、附属校・系属校出身や、指定校推薦や一般入試の“一般組”では、吉倉の他に、3年の小平敦之が絶好調。4年の伊藤幸太郎、宮岡凛太も、4年間かけて着実に力をつけ、ハーフでそれぞれ1時間2分14秒、1時間1分59秒の記録を持つ。 「前回は18人、19人目ぐらいまでわりと競っていましたけど、今回は前回よりも割とすんなり16人が決まりました。ただ、今回の方が上の選手が非常に力がある。10人を組むとなった時には、間違いなく前回よりは強い」と花田監督が話すように、前回よりも強力な布陣を築くことができそうだ。 「“5強”と呼ばれる大学のうち5番目」なのは自認している。10000mの上位10人の平均タイムは、レース出場機会が少なかったとはいえ、全21チーム中最下位だった。 それでも、チャンスがある限り、総合優勝に向けて全力で挑む。 文/和田悟志

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