HOME 海外、五輪

2024.08.11

パリ五輪最後の金メダリストはハッサン!3種目挑戦で有終の美「どうしてこんなことできたの?」/パリ五輪
パリ五輪最後の金メダリストはハッサン!3種目挑戦で有終の美「どうしてこんなことできたの?」/パリ五輪

24年パリ五輪女子マラソンで金メダルのハッサン

◇パリ五輪・陸上競技(8月1日~11日/フランス・パリ)11日目

パリ五輪・陸上競技最終日となる11日目に女子マラソンが行われ、シファン・ハッサン(オランダ)が2時間22分55秒の五輪新記録で金メダルに輝いた。

広告の下にコンテンツが続きます

五輪2大会連続で3種目に挑戦したハッサン。前回の東京は1500m、5000m、10000mのトラック3種目だったが、今回は5000m、10000m、マラソンを選択した。そして、その締めくくりに、得意のスパートを決めてみせた。

序盤から先頭を常に視野に入れた位置で、マイペースを刻む。大きなストライドを刻むハッサンにとって、ストライドやピッチのリズムが合う選手がなかなかいないというのもあるだろう。もちろん、多少距離が開いたとしても、すぐに対応できる自信の裏返しでもある。

中間地点をトップと3秒差の1時間13分25秒で通過。28kmからの急坂で脱落したかに見えたが、上り切ってからの平坦、さらには下りを利用して、いつの間にか先頭集団の背中を捕らえる。

そのまま集団後方で静かに待機すると、その力を解放したのはラスト1kmを切ってからだった。2時間11分53秒の世界記録を持つティグスト・アセファ(エチオピア)が集団から抜け出すと、それに呼応するかのようにすぐさま背後にピタリとつく。そして、並びかける。

いったんはアセファの抵抗を受けたが、位置を変えて渾身のスパート。アセファを突き放し、両手を掲げてフィニッシュテープを切った。

大会5日目の5000m、9日目の10000mはいずれもディフェンディングチャンピオンとして臨んだが、ラスト勝負で競り負けて銅メダルに甘んじた。マラソンに対応するためのトレーニングの影響か、トラックランナーに対しては切れ味を欠いた。だが、10000mから約34時間半後に臨んだマラソンでは、ライバルを圧倒する武器となった。

フィニッシュ後、ハッサンは歓喜を爆発させてこう振り返った。

「夢を見ているような気がします。ゴールした瞬間、解放感でいっぱいでした。信じられない気持ちです。こんなことは今まで経験したことがありません。これまで走った他のマラソンでさえ、こんなことはなかったです。『私はオリンピックチャンピオン。どうしてこんなことができたの?』と思いました」

レース中は「ずっと、5000mと10000mを走ったことを後悔していました。あれをやらなければ、今日は最高の気分だったのに」と、ジョークを交えて振り返りる。

その気持ちが切り替わったのが20km付近。「調子が良くなり始めた瞬間、すごく気分が良くなった。それから金メダルが欲しいとわかりました」。ライバルたちの動向に注意を払いながら、勝負どころに向けて集中力を研ぎ澄ませる。

「スパートの瞬間まで、人生でこれほど集中したことはありませんでした。1歩1歩に集中していました」。そして、最後のアセファとのラスト勝負は「これはただの100mスプリント。頑張れ、シファン。あと1回。スプリンターのように、ただ感じろ」と思いながらスパートを繰り出したという。

最初の五輪だった2016年リオは1500m5位、800m予選敗退だったが、東京からの2大会ではこれが3つ目の金メダルで、6個目のメダル獲得だ。

「若い頃は結果に一喜一憂した」が、「大人になるにつれて『思ったようにことは進まない』と感じました」。昨年のブダペスト世界選手権では、10000mの優勝争いの中で転倒するアクシデントもあったが、「これも人生」と受け入れる。「大事なのは毎日ベストを尽くすこと。そうすれば明日、新しい自分に会える」。

その積み重ねの先に、史上最も強きランナーの姿があった。

◇パリ五輪・陸上競技(8月1日~11日/フランス・パリ)11日目 パリ五輪・陸上競技最終日となる11日目に女子マラソンが行われ、シファン・ハッサン(オランダ)が2時間22分55秒の五輪新記録で金メダルに輝いた。 五輪2大会連続で3種目に挑戦したハッサン。前回の東京は1500m、5000m、10000mのトラック3種目だったが、今回は5000m、10000m、マラソンを選択した。そして、その締めくくりに、得意のスパートを決めてみせた。 序盤から先頭を常に視野に入れた位置で、マイペースを刻む。大きなストライドを刻むハッサンにとって、ストライドやピッチのリズムが合う選手がなかなかいないというのもあるだろう。もちろん、多少距離が開いたとしても、すぐに対応できる自信の裏返しでもある。 中間地点をトップと3秒差の1時間13分25秒で通過。28kmからの急坂で脱落したかに見えたが、上り切ってからの平坦、さらには下りを利用して、いつの間にか先頭集団の背中を捕らえる。 そのまま集団後方で静かに待機すると、その力を解放したのはラスト1kmを切ってからだった。2時間11分53秒の世界記録を持つティグスト・アセファ(エチオピア)が集団から抜け出すと、それに呼応するかのようにすぐさま背後にピタリとつく。そして、並びかける。 いったんはアセファの抵抗を受けたが、位置を変えて渾身のスパート。アセファを突き放し、両手を掲げてフィニッシュテープを切った。 大会5日目の5000m、9日目の10000mはいずれもディフェンディングチャンピオンとして臨んだが、ラスト勝負で競り負けて銅メダルに甘んじた。マラソンに対応するためのトレーニングの影響か、トラックランナーに対しては切れ味を欠いた。だが、10000mから約34時間半後に臨んだマラソンでは、ライバルを圧倒する武器となった。 フィニッシュ後、ハッサンは歓喜を爆発させてこう振り返った。 「夢を見ているような気がします。ゴールした瞬間、解放感でいっぱいでした。信じられない気持ちです。こんなことは今まで経験したことがありません。これまで走った他のマラソンでさえ、こんなことはなかったです。『私はオリンピックチャンピオン。どうしてこんなことができたの?』と思いました」 レース中は「ずっと、5000mと10000mを走ったことを後悔していました。あれをやらなければ、今日は最高の気分だったのに」と、ジョークを交えて振り返りる。 その気持ちが切り替わったのが20km付近。「調子が良くなり始めた瞬間、すごく気分が良くなった。それから金メダルが欲しいとわかりました」。ライバルたちの動向に注意を払いながら、勝負どころに向けて集中力を研ぎ澄ませる。 「スパートの瞬間まで、人生でこれほど集中したことはありませんでした。1歩1歩に集中していました」。そして、最後のアセファとのラスト勝負は「これはただの100mスプリント。頑張れ、シファン。あと1回。スプリンターのように、ただ感じろ」と思いながらスパートを繰り出したという。 最初の五輪だった2016年リオは1500m5位、800m予選敗退だったが、東京からの2大会ではこれが3つ目の金メダルで、6個目のメダル獲得だ。 「若い頃は結果に一喜一憂した」が、「大人になるにつれて『思ったようにことは進まない』と感じました」。昨年のブダペスト世界選手権では、10000mの優勝争いの中で転倒するアクシデントもあったが、「これも人生」と受け入れる。「大事なのは毎日ベストを尽くすこと。そうすれば明日、新しい自分に会える」。 その積み重ねの先に、史上最も強きランナーの姿があった。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

         

Latest articles 最新の記事

2026.05.08

名古屋アジア大会懸けた“一発勝負”10000m選考レースに鈴木芽吹、田中希実ら

名古屋アジア大会代表選考において、男女10000mの最重要競技会に設定されている木南記念が5月10日にヤンマースタジアム長居で行われる。 32年ぶり自国開催となるアジア大会。各種目の代表枠は最大で男女各2名となるが、昨年 […]

NEWS ラ・コルーニャ国際グランプリに藤井菜々子、勝木隼人らがエントリー 海外勢もボンフィム、ペレスらトップが参戦/WA競歩ツアー

2026.05.08

ラ・コルーニャ国際グランプリに藤井菜々子、勝木隼人らがエントリー 海外勢もボンフィム、ペレスらトップが参戦/WA競歩ツアー

世界陸連(WA)競歩ツアー・ゴールドの第39回ラ・コルーニャ国際グランプリ(スペイン/5月23日)のエントリーが発表され、日本からは東京世界選手権メダリストの勝木隼人(自衛隊体育学校)、藤井菜々子(エディオン)らがエント […]

NEWS セイコーGGP3000mに森凪也、矢田みくにがエントリー 田中希実は1500mにも登録 海外勢ではやり投・ヴァドレイヒが出場

2026.05.08

セイコーGGP3000mに森凪也、矢田みくにがエントリー 田中希実は1500mにも登録 海外勢ではやり投・ヴァドレイヒが出場

日本陸連は5月8日、セイコーゴールデングランプリ2026東京(5月17日/東京・国立競技場)のエントリー選手の第7弾を発表した。 昨年の世界選手権代表では男子5000mに出場した森凪也(Honda)が3000mにエントリ […]

NEWS 6月20日に東京で「GINZA MILE」が開催 ナイキプロデュースの公認レース

2026.05.08

6月20日に東京で「GINZA MILE」が開催 ナイキプロデュースの公認レース

ナイキは5月8日、公認1マイルレースの「GINZA MILE」を6月20日に東京・銀座で開催することを発表した。 コースはかつて高速道路として使用されていた、東京高速道路(KK線)の日本陸連公認コースが設定され、大会は世 […]

NEWS いざ滋賀インターハイへ、都府県大会が開幕!東京、栃木、山梨、神奈川など皮切りに6月上旬まで開催

2026.05.08

いざ滋賀インターハイへ、都府県大会が開幕!東京、栃木、山梨、神奈川など皮切りに6月上旬まで開催

7月の滋賀インターハイ(7月30日~8月5日/滋賀・平和堂HATOスタジアム)を目指し、都府県大会がスタートした。 インターハイ(全国高校陸上競技対校選手権)は、5月上旬から6月上旬までの都府県大会を経て、6月中旬の地区 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2026年5月号 (4月14日発売)

2026年5月号 (4月14日発売)

2026シーズン展望
中距離特集ほか

page top