世界陸連(WA)が走幅跳のルール変更について検討していることについて、レジェンドのカール・ルイス氏(米国)があらためて反対する思いをSNSでつづった。
走幅跳の現行ルールは、踏み切り板20cmと10cmの粘土板が敷かれ、踏み切り板と粘土板の境目から計測される。粘土板に跡がついた場合は無効試技(ファウル)となる。検討されているのは、踏み切り板の手前に「テイクオフゾーン」を設け、そのゾーン内で踏み切りした足の前足部(つま先)から記録を計測する、“実測”で順位を決めるというもの。
WAは国際大会で無効試技が多いことでファンの興味が薄れるといった懸念や、ミリ単位でのファウルの許容、長きに渡る記録低迷などの理由を受けて議題に挙がり、早ければ今年試験的に導入し、来年から適用される可能性もある。ちなみに、踏み切りのルールにおいては、2021年度に粘土板の角度が45度から90度に変更され、ファウルが増加したとも言われている。
ルイス氏は猛反発。世界歴代3位の8m87を持ち、1984年ロス、88年ソウルで100mとともに五輪2連覇のレジェンドは、「マイク・パウエル(米国)やロバート・エミヤン(ソ連/アルメニア)、イヴァン・ペドロソ(キューバ)ら、偉大なジャンパーはみな勝つためにステップアップしてきた」と、歴代上位に並ぶ名を挙げ、ファウルの規制があるからこそ技術が進歩したと強調。「ファウルの可能性があるからこそ、ジャンパーの精度が向上した。それがなければ飛距離は短くなる」と綴る。
走幅跳の世界記録は男子が8m95(マイク・パウエル、米国=1991年)、女子は7m52(ガリナ・チスチャコワ、ソ連:ロシア=1988年)で、世界歴代10傑に2000年以降の記録が男子は3つ、女子は2つと停滞している。だが、ルイス氏は「8m55を超えるジャンプの90%以上は1980年から2010年までのものだが、平均ファウル率は当時も今も同じ」と、無効試技数の増加の理由に反論し、「選手たちは才能を持っている。あきらめてはいけない」と現代のジャンパーへ期待を寄せている。
他のアスリートとからも現場の意見が届かないことを指摘する声も多く、五輪・世界選手権チャンピオンのミルティアディス・テントグルー(ギリシャ)も「もしそう(改正)なったら走幅跳はやらない」と語っている。
「この議論はこれで終わり。“専門家”と言われるみなさんの意見はいりませんので、どこかに座っていてください。アスリートは(ルールに)コミットして、目標を成し遂げるのです」とルイス氏は強い言葉で批難した。
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.11.26
第102回箱根駅伝を盛り上げよう!! サッポロ生ビール黒ラベル「箱根駅伝缶」が本日発売
2025.11.25
アディダス新シューズ発売イベントに箱根駅伝を沸かせた太田蒼生と平林清澄が登壇!
-
2025.11.24
-
2025.11.24
-
2025.11.20
-
2025.11.20
-
2025.11.02
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.11.26
第102回箱根駅伝を盛り上げよう!! サッポロ生ビール黒ラベル「箱根駅伝缶」が本日発売
1987年から箱根駅伝に特別協賛しているサッポロビール株式会社は、大会を盛り上げるためにサッポロ生ビール黒ラベル「箱根駅伝缶」を第80回記念大会(2004年)より発売しているが、来る第102回大会バージョン(350mℓ缶 […]
2025.11.25
2025年最も輝きを放ったCrystalAthleteは中島佑気ジョセフ!選手、ファン、メディア投票の「GetsurikuAwards2025」発表
月陸Onlineが2022年に創設した「Getsuriku Awards」。選手やファン、メディアからの投票によって、そのシーズンで『最も輝きを放った選手=Crystal Athlete』として表彰しています。 期間内に […]
2025.11.25
大学女子駅伝2冠へ!城西大の主将・金子陽向「10年間の集大成の走りを」本間香「優勝へ区間賞・区間新を」
ミズノの新シューズ発表イベントが11月25日に行われ、10月の全日本大学女子駅伝で優勝した城西大の主将・金子陽向(4年)と本間香(1年)が参加した。 1区区間新で優勝への流れを作った本間と、アンカーとして1分以上の差を跳 […]
Latest Issue
最新号
2025年12月号 (11月14日発売)
EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選
Follow-up Tokyo 2025