2023.12.25
新春の風物詩・箱根駅伝の100回大会に挑む出場全23校の選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。それぞれが歩んできた1年間の足跡をたどった。
出雲と全日本はベストな状態で臨めず
最多14度の優勝を誇る超名門・中大に“新たな風”が吹き込んでいる。
吉居大和、中野翔太、湯浅仁ら現在の4年生が入学した2020年に、藤原正和駅伝監督は「第100回大会での優勝を目指す」と明言。その言葉が現実になりつつあるのだ。
箱根駅伝は第98回大会で10年ぶりのシード権獲得となる総合6位、第99回大会は22年ぶりトップスリーとなる総合2位に食い込んでいる。
今季は5000mで吉居駿恭(2年)が日本人学生歴代6位となる13分22秒01、中野が同10位の13分24秒11をマーク。10月1日の世界ロードランニング選手権5kmに吉居大が出場するなど、スピードに磨きがかかった。
一方で、駅伝はまだかみ合っていない。出雲は吉居大を温存するかたちになり、1区の浦田優斗(3年)がトップ駒大と1分25差の13位と出遅れる。2区の中野、3区の吉居駿も伸び悩み、最終的には7位でフィニッシュした。
全日本大学駅伝は1区の吉居駿がトップと3秒差の3位で好スタートを切るも、2区の中野が2つ順位を落とし、3区の吉居大も区間11位と力を発揮できず。その後は盛り返したが、王者・駒大の前に一度も出ることなく4位に終わった。
「出雲はエース不在で非常に厳しいレースになったかなという印象です。全日本は中野と大和は本調子ではありませんでしたが、他のメンバーで挽回できましたし、ある程度、自分たちのやりたいレースができたと思っています」(藤原監督)
全日本は昨季から吉居大と中野を7区と8区に配置するオーダーを温めてきたが、実現には至らなかった。それだけに箱根駅伝ではベストオーダーを組んでいきたい考えだ。
出雲と全日本はベストな状態で臨めず
最多14度の優勝を誇る超名門・中大に“新たな風”が吹き込んでいる。 吉居大和、中野翔太、湯浅仁ら現在の4年生が入学した2020年に、藤原正和駅伝監督は「第100回大会での優勝を目指す」と明言。その言葉が現実になりつつあるのだ。 箱根駅伝は第98回大会で10年ぶりのシード権獲得となる総合6位、第99回大会は22年ぶりトップスリーとなる総合2位に食い込んでいる。 今季は5000mで吉居駿恭(2年)が日本人学生歴代6位となる13分22秒01、中野が同10位の13分24秒11をマーク。10月1日の世界ロードランニング選手権5kmに吉居大が出場するなど、スピードに磨きがかかった。 一方で、駅伝はまだかみ合っていない。出雲は吉居大を温存するかたちになり、1区の浦田優斗(3年)がトップ駒大と1分25差の13位と出遅れる。2区の中野、3区の吉居駿も伸び悩み、最終的には7位でフィニッシュした。 全日本大学駅伝は1区の吉居駿がトップと3秒差の3位で好スタートを切るも、2区の中野が2つ順位を落とし、3区の吉居大も区間11位と力を発揮できず。その後は盛り返したが、王者・駒大の前に一度も出ることなく4位に終わった。 「出雲はエース不在で非常に厳しいレースになったかなという印象です。全日本は中野と大和は本調子ではありませんでしたが、他のメンバーで挽回できましたし、ある程度、自分たちのやりたいレースができたと思っています」(藤原監督) 全日本は昨季から吉居大と中野を7区と8区に配置するオーダーを温めてきたが、実現には至らなかった。それだけに箱根駅伝ではベストオーダーを組んでいきたい考えだ。「前半で駒大に背中を見せられればチャンスはある」
箱根は前回の経験者6人が中心となる。出雲は浦田が1区を務めて、全日本は本間颯(1年)が5区区間5位、吉中祐太(2年)が6区区間4位という結果を残した。さらに11月12日の宮古サーモンハーフを1時間3分26秒で制した柴田大地(1年)もいる。藤原監督はどんなオーダーで勝負を仕掛けてくるのか。 「2区はエースがやるべきだと考えていますので、大和か中野が担うことになるでしょう。3区もタイム差が出る区間なので、どちらかを配置するのが一番オーソドックスかなと思っています」 前回は2区の吉居大が区間歴代8位の1時間6分22秒で走破。3区・中野との連続区間賞でトップを駆け抜けた。1区は前回区間4位と好走した溜池一太(2年)と吉居駿が候補で、どちらかを復路にまわす見込みだ。 往路の攻撃ポイントになる中野は、「全日本は駒大に一度も背中を見せられなかった。箱根で駒大に勝つには、どれだけ背中を見せられるのかだと思うので、前半区間からガンガン攻めていきたいです」と意気込んでいる。 山に関しては、2年連続で5区を好走している阿部陽樹(3年)を平地に起用するプランを考えているという。 「5区は阿部の他にもう1人準備させており、1時間11分前後を想定しています。それくらいのメドが立てば、阿部を平地にまわせるので、トータルでいえば前回よりプラスになるのかなと計算しています」(藤原監督) それから新戦力が登場することになる6区も「区間賞争いできるだけの準備は進めています」と藤原監督。今回も山には自信のある選手を配置できそうだ。阿部が復路の軸になることで、今季充実している湯浅を往路に投入できる。 湯浅は2年連続で復路のエース区間である9区を好走。そして今季は主将としてチームを引っ張ってきた。レースではクレバーな走りが光っている。 関東インカレ1部のハーフマラソンで日本人トップ(2位)に輝くと、出雲駅伝は6区で区間2位。9位から7位に順位を押し上げた。そして全日本大学駅伝はエースが集結した7区を快走する。國學院大・平林清澄(3年)と大激戦を演じて、最後は先着。区間賞を獲得した平林と5秒差の区間2位だった。 ロードの強さには定評があった湯浅は、MARCH対抗戦10000mで自己ベストを20秒以上も短縮。28分12秒17を叩き出しており、往路でも十分勝負できる。 「区間に強いこだわりはありませんが、チーム状況次第では往路にいく準備をしないといけません。いずれにしても、任された区間で求められた仕事をするだけです。駒大といえども、出雲、全日本のような完璧なレース展開に持っていくのは簡単ではないはずですから」 主将・湯浅は4年間目指してきた目標を現実のものにするつもりだ。 そして藤原監督も2年連続の駅伝3冠を目指す王者・駒大に勝つ機会はあると読んでいる。 「駒大は強すぎますが、チャンスが来た時に、逃さないようにしたい。出雲と全日本はできませんでしたが、前半でしっかりと背中を見せることができれば、何かが起きるかもしれません。この2年、箱根に関してはしっかりと合わせています。本番に向けて仕上げていきたい」 28年ぶりの総合優勝へ。名門・中大が勝負を仕掛けにいく。 [caption id="attachment_124526" align="alignnone" width="800"]
中大が誇る強力3本柱。左から中野翔太、吉居大和、吉居駿恭[/caption]
文/酒井政人 RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.11.16
橋岡優輝が家族での初教室「楽しみながら陸上に触れて」
-
2025.11.14
-
2025.11.13
-
2025.11.15
2025.11.02
青学大が苦戦の中で3位確保!作戦不発も「力がないチームではない」/全日本大学駅伝
-
2025.11.02
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.11.19
全中駅伝に出場する女子48チームが出そろう 3連覇狙う京山をはじめ、大沢野、松橋などが全国切符 櫛形は20回目
9月から開催されてきた第33回全国中学校駅伝(12月14日)の都道府県予選が11月16日をもって終了し、47都道府県の代表に開催地枠で出場するチームを加えた全48チームが出そろった。 女子は前回の全国大会で2連覇を飾った […]
2025.11.19
全中駅伝男子・出場チームが決定! 17チームが初出場 塩山は第1回大会以来32年ぶり 京山、三島の全国V経験校も
9月から開催されてきた第33回全国中学校駅伝(12月14日)の都道府県予選が11月16日をもって終了し、47都道府県の代表に開催地枠で出場するチームを加えた全48チームが出そろった。 男子は2年前に全国制覇を達成している […]
2025.11.19
マラソン日本記録保持者・鈴木健吾が神奈川大のアンバサダー就任 「刺激や勇気を届けられる存在でありたい」
神奈川大は11月19日、男子マラソン日本記録保持者でOBの鈴木健吾が陸上部のアンバサダーに就任したと発表した。 鈴木は箱根駅伝では3年連続で2区を担い、3年時に区間賞を獲得。4年時には東京マラソンで2時間10分21秒で走 […]
2025.11.19
岡山・京山が今年も男女ともに全国出場! 全中1500m優勝・是枝愛香を擁する内部は26年ぶり/中学駅伝
12月14日に行われる第33回全国中学校駅伝の出場を懸けた県大会が、11月14日から16日にかけて、全国10県で行われた。 14日の岡山県大会では、2年前に全国男女優勝、女子は昨年も連覇を飾った京山が圧倒的な継走を披露。 […]
Latest Issue
最新号
2025年12月号 (11月14日発売)
EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選
Follow-up Tokyo 2025