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2023.09.19

【菅原整形外科】 「治ってほしい!」という情熱で大型酸素ルームを設置  日本気圧バルク工業の2wayルームを導入、高気圧酸素&低圧低酸素を診療に役立てる――
【菅原整形外科】 「治ってほしい!」という情熱で大型酸素ルームを設置  日本気圧バルク工業の2wayルームを導入、高気圧酸素&低圧低酸素を診療に役立てる――

日本気圧バルク工業の大型酸素ルーム(2wayルーム)を診療に活用している菅原整形外科の菅原忍院長

千葉県松戸市にスポーツ界で注目を浴びているクリニックがある。医療法人社団ありのみの会「菅原整形外科」だ。整形外科とリハビリテーション科だけでなく、歯科も併設。さらに日本気圧バルク工業の酸素ルーム(高気圧酸素&低圧低酸素の2wayルーム)を完備しており、すべての患者・アスリートに〝最善の治療〟を施している。菅原忍院長は自宅にも2wayルームを入れるほど〝酸素〟への興味が深い。治療と酸素にはどのような関係があるのだろうか。

中高時代は砲丸投の県大会覇者

がっちりとした体格の菅原忍さん。63歳ながら力強さを感じる人物だ。それもそのはず、小学4年から柔道を始めると、中学時代は柔道部に所属する傍らで陸上の試合にも借り出され、砲丸投で栃木県大会を制した実績があるのだ。宇都宮高時代は砲丸投に専念し、県内では同学年に負け知らずだったという。父や兄がドクターという家庭環境だったため、菅原さんも自然な流れで医師を目指し、一浪を経て順天堂大学医学部に入学した。

当時の順大医学部は2年時まで体育学部(現・スポーツ健康科学部)の学生と千葉・習志野の学生寮で生活。ソ連の陸上チームが順大習志野グラウンドで練習した際には、男子ハンマー投の世界記録保持者、ユーリー・セディフの投てきを間近で見た思い出があるという。中高時代に〝スナップ〟が重要な砲丸投をしていた影響も少なからずあるのだろうか、菅原さんは整形外科医として手が専門のドクターになった。

菅原院長は中学、高校と砲丸投に取り組んでおり、栃木県内では同世代に負け知らずだったという

菅原整形外科の診療ポリシー

菅原さんは順天堂大学静岡病院、関東労災病院、多摩南部病院、メーヨークリニック(米国ミネソタ州)、順天堂大学病院に勤務した後、2000年11月に千葉県松戸市に整形外科とリハビリテーション科を有する「菅原整形外科」を開院。骨・関節・筋肉・靱帯・神経の治療や、それに対するリハビリ手術対応など、患者に寄り添った診療で信頼を集めて、地域に根付いていく。

順天堂大学医学部で学び、順天堂大学病院に勤務したこともある菅原院長。体育学部(現・スポーツ健康科学部)の教授や学生たちとの交流もあり、スポーツ選手のコンディショニングには〝順天堂メソッド〟が生かされている

午前中は変性疾患(加齢により腰が歪んだり、膝が痛い、歩くと足が痛い等)の方が中心。午後は部活動でケガした方や、社会人で整形外科的な疾患で来られる方が多いという。整形外科的疾患には痛みを取り除き、痛みがぶり返さないことを確認して、必要に応じてリハビリを奨めるのが基本方針となる。整形外科には大きく分けて「保存的治療」と「手術的治療」があるが、まずは手術をしない保存的治療の可能性を徹底的に追求しているのが菅原整形外科のポリシーだ。

「保存的治療には薬の使用や、理学的療法(リハビリ)をするのが一般的ですが、私はグルコサミンを使います。グルコサミンは開業する前、順天堂大学病院の整形外科に勤務しているときから関わっていますが、抗炎症作用があるので、痛みを取るだけでなく、痛くしにくいコンディションをつくるのに役立ちます。ただ、グルコサミンは薬ではないので、薬事法によって、『こういう症状の人にいい、こういう痛みに向いている』という説明はできません。ですが、『こういうエビデンスがあるので、使ってみますか?』と尋ねて、使用をお奨めしています」

菅原院長はグルコサミンを活用するなど保存的治療に力を注いできた。同時に理学療法・運動療法がしっかりできるようにリハビリ室を広くしているのも菅原整形外科の特徴と言えるだろう。

2021年に酸素ルームを導入

パンデミックに見舞われた2020年。菅原院長は〝新たな戦略〟を考えていた。
「コロナ禍で世の中は元気がありませんでした。でも、これがずっと続くわけではない。やれるうちに準備をしておこう」と幅広い医療を提供することを決意。2021年9月に日本気圧バルク工業製の酸素ルームを導入すると、同年10月からは歯科をスタートさせた。

「顎(あご)や歯の不調から首が悪くなる患者さんがいるんです。首が良くないからといって、その原因を一方的に首だと決めつけるのではなく、口腔外のトラブルで首周辺の症状が出る場合もあるので、歯科を併設することにしました」

酸素ルームの導入は医療展示会で最新モデルを見たのがきっかけだった。
「それまでは1人で中に入ってチャックを締める簡易タイプのものしか知らず、効果が薄いなと感じていました。それが展示会で、コンパクトな酸素ルームながら中に入ると耳がピンとするくらいにガッと気圧がかかるものがあったんです。調べたところ、もっとゆったり入れる大きなものがあるのを知りました。外傷や感染症に対する高圧酸素療法が整形外科的にちらちら出ていましたし、これはいいなと感じたんです」

酸素ルームは整形外科的な疾患に対するアプローチだけでなく、スポーツ選手のコンディショニングにも役立つと予想して導入した。新型コロナウイルスに感染後、調子が戻らなかった方が、酸素ルームに入って体調が良くなった事例も聞いたという。幾つかある酸素ルームメーカーの中で日本気圧バルク工業製を選んだのはさまざまな事情を熟考した結果だった。
「まずは気圧がちゃんと上がること。それから京都大学などとタイアップしてエビデンスを持ってらっしゃることが大きかったですね」と菅原院長。

日本気圧バルク工業は酸素ルームの老舗メーカーで、京都大学、名古屋大学、神戸大学などや病院と共同で研究を重ね、日本で唯一、複数の確かなエビデンスを基に酸素ルームを自社開発・自社製造しているのが大きな特長。同社のスタッフは日本体力医学会に所属して論文発表もするなど専門知識が豊富なところも信頼の証になっている。

また、自社製造の酸素ルームだからこそ顧客の細かいニーズにもオーダーメイドで対応でき、菅原院長がこだわったのは大きさ。
「中で運動するわけではありませんが、MRIなども狭いと入りたがらない患者さんがいます。酸素ルームも大きめなものが良いと思っていたのですが、いろいろな希望に対応できるのが日本気圧バルク工業だったわけです」

酸素ルームは個人利用するイメージが強く、2~4人用の広さを採用しているパターンが多い。一方、菅原整形外科の酸素ルームは大型(幅255cm、高さ250cm、奥行き540cm)で、15~30人を収容。順大陸上競技部の女子長距離選手が6人で来院して全員一緒に入ったこともあるそうだが、10人でも楽々と入れるサイズだ。同院で一番熱心に利用されているスポーツ選手は大相撲の力士だそうで、同じ松戸市内にある著名な相撲部屋の力士が稽古後のクーリングダウンに酸素ルームを使用。150㎏前後の力士が3人で入っても十分に余裕があるという。

菅原整形外科の酸素ルーム(2wayルーム)は幅255cm、高さ250cm、奥行き540cmの大型サイズ(15〜30人収容)で10人でも楽々と使用できる。スポーツ選手で当院の酸素ルームをもっともよく利用するのは近くにある相撲部屋の力士で、付き人と3人で来院されるケースが多い。順大陸上競技部の女子長距離選手が6人一緒にこの酸素ルームを利用したこともあるという

高気圧酸素(1.3気圧、酸素濃度29~35%)の1回の使用時間は50分。1回目はお試しで無料。2回目からは1000円とかなりリーズナブルな料金で提供している。それは菅原院長の「治ってほしい!」「良いコンディションになってほしい!」という熱い想いがこもっているからだろう。

酸素ルームは世界的に大人気のサッカー選手が骨折からの早期回復に役立ったという話が有名だが、近年は別のアプローチも医学界で注目されているという。

「実際にやっているのは肉離れの治療ですね。あとお相撲さんなんかは身体が大きいため毛穴から菌が入る蜂窩織炎(ほうかしきえん)という症状に罹ることがあるのですが、その治療。また、骨折の治療に関しても進化していて、高気圧酸素室の中で患部に超音波を当てています。超音波の刺激で骨の形成が促進されますが、それを酸素ルームの中で一気にやるんです。高気圧酸素は創傷治癒(細胞が傷ついた際に自然に元に戻そうとする働き)も促進します。いずれにしても、運動負荷をかけた後のクーリングダウンにおいて、細胞を休ませるという意味では、この中で50分間、大の字で寝るだけでもリカバリーにすごく良いと思いますね」

高気圧酸素の有効性には個人差はあるだろうが、これまで改善された実例として、全身疲労、気象病、二日酔い、肩こり、生理痛、耳鳴り・めまい、不眠・倦怠感、冷え性・便秘、交通事故の後遺症などが挙げられているという。

リハビリ室の入口


リハビリ室の中央に大型酸素ルームが設置されており、両脇にはリハビリ用マシンやトレーニング用マシンがずらりと並んでいた

低圧低酸素室としても活用

菅原整形外科の酸素ルームは「高気圧酸素」だけでなく「低圧低酸素」もある2wayタイプだ。
「この地域は運動系の学校が多いんです。低圧低酸素の中に固定式バイクなどを置いて、走れない時でも心肺機能を落とさないようにするトレーニングができればいいな、というイメージで2wayルームにしました。現在はそこまで活用はできていませんが、将来的には幅広く役立てていきたいと思っています」

酸素ルームは気圧を上げるだけでなく、気圧を下げることも可能。メーカー側から2wayルームを強く奨められたわけではないが、それも未来を見越してのことだ。なお、2wayルームは日本気圧バルク工業の特許製品。大きなスペースを節約できるため合理的な考え方と言えるだろう。

菅原院長はクリニックだけでなく、自宅にもコンパクトな2wayルーム(幅150cm、高さ190cm、奥行き225cm)を設置。自身でも〝酸素パワー〟を感じている。

菅原院長の自宅に設置されている酸素ルーム(幅150cm、高さ190cm、奥行き225cm)も「高気圧酸素」と「低圧低酸素」を活用できる2wayルーム(サイドドアタイプ)

「私はゴルフをやった後、中で50分の仮眠をとり疲労回復に役立てています。高気圧酸素のすごさを感じるのは、お酒を飲んだ後ですね。酔いがさめるのが早くなるんです。あまりお酒を飲んだ意味がないんですけど(笑)。大学生の息子は、低圧低酸素に設定して、中に固定式バイクを入れて漕いでいます。いつもヘトヘトな顔をして出てきますね。特別にスポーツをしているわけではありませんが、フィットネス系のいろいろなものが好きで筋トレなども試しています」

菅原院長(左)はゴルフ後の疲労回復などのために「高気圧酸素」を利用するという。大学生である院長の長男は「低圧低酸素」の中で固定式バイクを漕いで心肺機能を高めている


酸素ルームを設置している整形外科はまだ多くないが、菅原院長は〝プラスα〟の良さがあると考えている。

「酸素ルームはグルコサミンと同じような状況です。高気圧酸素の治療は世界中で認知されているわけではなく、日本のあちこちにあるものでもありません。ただ、こういった設備(酸素ルーム)は増えているので、これからもっと広がる可能性はあると思いますね。スポーツ選手はいろんな人に夢や勇気、感動を与えてくれる存在です。ときにはケガで挫けることもあるでしょう。そんなとき、我々医師は、とにかく『治ってほしい!』と考えて、できる限りの治療を施していくのが役割だと思っています」

「我々医師は、とにかく『治ってほしい!』と考えて、できる限りの治療を施していくのが役割だと思っている」と菅原院長は話す

使えるものは総動員して、治療・リハビリに集中していく。日本のスポーツ界を影で支える菅原整形外科。これからも日本気圧バルク工業の2wayルームを活用して、すべてのアスリートの〝夢〟を後押ししていく。

JR松戸駅から約20分、JR東松戸駅から約10分の場所にある菅原整形外科

医療法人社団ありのみの会
菅原整形外科
千葉県松戸市紙敷 458
TEL 047-312-7788
ホームページ

※この記事は『月刊陸上競技』2023年10月号に掲載しています

文:酒井政人、撮影:樋口俊秀

千葉県松戸市にスポーツ界で注目を浴びているクリニックがある。医療法人社団ありのみの会「菅原整形外科」だ。整形外科とリハビリテーション科だけでなく、歯科も併設。さらに日本気圧バルク工業の酸素ルーム(高気圧酸素&低圧低酸素の2wayルーム)を完備しており、すべての患者・アスリートに〝最善の治療〟を施している。菅原忍院長は自宅にも2wayルームを入れるほど〝酸素〟への興味が深い。治療と酸素にはどのような関係があるのだろうか。

中高時代は砲丸投の県大会覇者

がっちりとした体格の菅原忍さん。63歳ながら力強さを感じる人物だ。それもそのはず、小学4年から柔道を始めると、中学時代は柔道部に所属する傍らで陸上の試合にも借り出され、砲丸投で栃木県大会を制した実績があるのだ。宇都宮高時代は砲丸投に専念し、県内では同学年に負け知らずだったという。父や兄がドクターという家庭環境だったため、菅原さんも自然な流れで医師を目指し、一浪を経て順天堂大学医学部に入学した。 当時の順大医学部は2年時まで体育学部(現・スポーツ健康科学部)の学生と千葉・習志野の学生寮で生活。ソ連の陸上チームが順大習志野グラウンドで練習した際には、男子ハンマー投の世界記録保持者、ユーリー・セディフの投てきを間近で見た思い出があるという。中高時代に〝スナップ〟が重要な砲丸投をしていた影響も少なからずあるのだろうか、菅原さんは整形外科医として手が専門のドクターになった。 [caption id="attachment_113716" align="alignnone" width="800"] 菅原院長は中学、高校と砲丸投に取り組んでおり、栃木県内では同世代に負け知らずだったという[/caption]

菅原整形外科の診療ポリシー

菅原さんは順天堂大学静岡病院、関東労災病院、多摩南部病院、メーヨークリニック(米国ミネソタ州)、順天堂大学病院に勤務した後、2000年11月に千葉県松戸市に整形外科とリハビリテーション科を有する「菅原整形外科」を開院。骨・関節・筋肉・靱帯・神経の治療や、それに対するリハビリ手術対応など、患者に寄り添った診療で信頼を集めて、地域に根付いていく。 [caption id="attachment_113717" align="alignnone" width="800"] 順天堂大学医学部で学び、順天堂大学病院に勤務したこともある菅原院長。体育学部(現・スポーツ健康科学部)の教授や学生たちとの交流もあり、スポーツ選手のコンディショニングには〝順天堂メソッド〟が生かされている[/caption] 午前中は変性疾患(加齢により腰が歪んだり、膝が痛い、歩くと足が痛い等)の方が中心。午後は部活動でケガした方や、社会人で整形外科的な疾患で来られる方が多いという。整形外科的疾患には痛みを取り除き、痛みがぶり返さないことを確認して、必要に応じてリハビリを奨めるのが基本方針となる。整形外科には大きく分けて「保存的治療」と「手術的治療」があるが、まずは手術をしない保存的治療の可能性を徹底的に追求しているのが菅原整形外科のポリシーだ。 「保存的治療には薬の使用や、理学的療法(リハビリ)をするのが一般的ですが、私はグルコサミンを使います。グルコサミンは開業する前、順天堂大学病院の整形外科に勤務しているときから関わっていますが、抗炎症作用があるので、痛みを取るだけでなく、痛くしにくいコンディションをつくるのに役立ちます。ただ、グルコサミンは薬ではないので、薬事法によって、『こういう症状の人にいい、こういう痛みに向いている』という説明はできません。ですが、『こういうエビデンスがあるので、使ってみますか?』と尋ねて、使用をお奨めしています」 菅原院長はグルコサミンを活用するなど保存的治療に力を注いできた。同時に理学療法・運動療法がしっかりできるようにリハビリ室を広くしているのも菅原整形外科の特徴と言えるだろう。

2021年に酸素ルームを導入

パンデミックに見舞われた2020年。菅原院長は〝新たな戦略〟を考えていた。 「コロナ禍で世の中は元気がありませんでした。でも、これがずっと続くわけではない。やれるうちに準備をしておこう」と幅広い医療を提供することを決意。2021年9月に日本気圧バルク工業製の酸素ルームを導入すると、同年10月からは歯科をスタートさせた。 「顎(あご)や歯の不調から首が悪くなる患者さんがいるんです。首が良くないからといって、その原因を一方的に首だと決めつけるのではなく、口腔外のトラブルで首周辺の症状が出る場合もあるので、歯科を併設することにしました」 酸素ルームの導入は医療展示会で最新モデルを見たのがきっかけだった。 「それまでは1人で中に入ってチャックを締める簡易タイプのものしか知らず、効果が薄いなと感じていました。それが展示会で、コンパクトな酸素ルームながら中に入ると耳がピンとするくらいにガッと気圧がかかるものがあったんです。調べたところ、もっとゆったり入れる大きなものがあるのを知りました。外傷や感染症に対する高圧酸素療法が整形外科的にちらちら出ていましたし、これはいいなと感じたんです」 酸素ルームは整形外科的な疾患に対するアプローチだけでなく、スポーツ選手のコンディショニングにも役立つと予想して導入した。新型コロナウイルスに感染後、調子が戻らなかった方が、酸素ルームに入って体調が良くなった事例も聞いたという。幾つかある酸素ルームメーカーの中で日本気圧バルク工業製を選んだのはさまざまな事情を熟考した結果だった。 「まずは気圧がちゃんと上がること。それから京都大学などとタイアップしてエビデンスを持ってらっしゃることが大きかったですね」と菅原院長。 日本気圧バルク工業は酸素ルームの老舗メーカーで、京都大学、名古屋大学、神戸大学などや病院と共同で研究を重ね、日本で唯一、複数の確かなエビデンスを基に酸素ルームを自社開発・自社製造しているのが大きな特長。同社のスタッフは日本体力医学会に所属して論文発表もするなど専門知識が豊富なところも信頼の証になっている。 また、自社製造の酸素ルームだからこそ顧客の細かいニーズにもオーダーメイドで対応でき、菅原院長がこだわったのは大きさ。 「中で運動するわけではありませんが、MRIなども狭いと入りたがらない患者さんがいます。酸素ルームも大きめなものが良いと思っていたのですが、いろいろな希望に対応できるのが日本気圧バルク工業だったわけです」 酸素ルームは個人利用するイメージが強く、2~4人用の広さを採用しているパターンが多い。一方、菅原整形外科の酸素ルームは大型(幅255cm、高さ250cm、奥行き540cm)で、15~30人を収容。順大陸上競技部の女子長距離選手が6人で来院して全員一緒に入ったこともあるそうだが、10人でも楽々と入れるサイズだ。同院で一番熱心に利用されているスポーツ選手は大相撲の力士だそうで、同じ松戸市内にある著名な相撲部屋の力士が稽古後のクーリングダウンに酸素ルームを使用。150㎏前後の力士が3人で入っても十分に余裕があるという。 [caption id="attachment_113718" align="alignnone" width="800"] 菅原整形外科の酸素ルーム(2wayルーム)は幅255cm、高さ250cm、奥行き540cmの大型サイズ(15〜30人収容)で10人でも楽々と使用できる。スポーツ選手で当院の酸素ルームをもっともよく利用するのは近くにある相撲部屋の力士で、付き人と3人で来院されるケースが多い。順大陸上競技部の女子長距離選手が6人一緒にこの酸素ルームを利用したこともあるという[/caption] 高気圧酸素(1.3気圧、酸素濃度29~35%)の1回の使用時間は50分。1回目はお試しで無料。2回目からは1000円とかなりリーズナブルな料金で提供している。それは菅原院長の「治ってほしい!」「良いコンディションになってほしい!」という熱い想いがこもっているからだろう。 酸素ルームは世界的に大人気のサッカー選手が骨折からの早期回復に役立ったという話が有名だが、近年は別のアプローチも医学界で注目されているという。 「実際にやっているのは肉離れの治療ですね。あとお相撲さんなんかは身体が大きいため毛穴から菌が入る蜂窩織炎(ほうかしきえん)という症状に罹ることがあるのですが、その治療。また、骨折の治療に関しても進化していて、高気圧酸素室の中で患部に超音波を当てています。超音波の刺激で骨の形成が促進されますが、それを酸素ルームの中で一気にやるんです。高気圧酸素は創傷治癒(細胞が傷ついた際に自然に元に戻そうとする働き)も促進します。いずれにしても、運動負荷をかけた後のクーリングダウンにおいて、細胞を休ませるという意味では、この中で50分間、大の字で寝るだけでもリカバリーにすごく良いと思いますね」 高気圧酸素の有効性には個人差はあるだろうが、これまで改善された実例として、全身疲労、気象病、二日酔い、肩こり、生理痛、耳鳴り・めまい、不眠・倦怠感、冷え性・便秘、交通事故の後遺症などが挙げられているという。 [caption id="attachment_113719" align="alignnone" width="800"] リハビリ室の入口[/caption] [caption id="attachment_113720" align="alignnone" width="800"] リハビリ室の中央に大型酸素ルームが設置されており、両脇にはリハビリ用マシンやトレーニング用マシンがずらりと並んでいた[/caption]

低圧低酸素室としても活用

菅原整形外科の酸素ルームは「高気圧酸素」だけでなく「低圧低酸素」もある2wayタイプだ。 「この地域は運動系の学校が多いんです。低圧低酸素の中に固定式バイクなどを置いて、走れない時でも心肺機能を落とさないようにするトレーニングができればいいな、というイメージで2wayルームにしました。現在はそこまで活用はできていませんが、将来的には幅広く役立てていきたいと思っています」 酸素ルームは気圧を上げるだけでなく、気圧を下げることも可能。メーカー側から2wayルームを強く奨められたわけではないが、それも未来を見越してのことだ。なお、2wayルームは日本気圧バルク工業の特許製品。大きなスペースを節約できるため合理的な考え方と言えるだろう。 菅原院長はクリニックだけでなく、自宅にもコンパクトな2wayルーム(幅150cm、高さ190cm、奥行き225cm)を設置。自身でも〝酸素パワー〟を感じている。 [caption id="attachment_113721" align="alignnone" width="800"] 菅原院長の自宅に設置されている酸素ルーム(幅150cm、高さ190cm、奥行き225cm)も「高気圧酸素」と「低圧低酸素」を活用できる2wayルーム(サイドドアタイプ)[/caption] 「私はゴルフをやった後、中で50分の仮眠をとり疲労回復に役立てています。高気圧酸素のすごさを感じるのは、お酒を飲んだ後ですね。酔いがさめるのが早くなるんです。あまりお酒を飲んだ意味がないんですけど(笑)。大学生の息子は、低圧低酸素に設定して、中に固定式バイクを入れて漕いでいます。いつもヘトヘトな顔をして出てきますね。特別にスポーツをしているわけではありませんが、フィットネス系のいろいろなものが好きで筋トレなども試しています」 [caption id="attachment_113778" align="alignnone" width="800"] 菅原院長(左)はゴルフ後の疲労回復などのために「高気圧酸素」を利用するという。大学生である院長の長男は「低圧低酸素」の中で固定式バイクを漕いで心肺機能を高めている[/caption] 酸素ルームを設置している整形外科はまだ多くないが、菅原院長は〝プラスα〟の良さがあると考えている。 「酸素ルームはグルコサミンと同じような状況です。高気圧酸素の治療は世界中で認知されているわけではなく、日本のあちこちにあるものでもありません。ただ、こういった設備(酸素ルーム)は増えているので、これからもっと広がる可能性はあると思いますね。スポーツ選手はいろんな人に夢や勇気、感動を与えてくれる存在です。ときにはケガで挫けることもあるでしょう。そんなとき、我々医師は、とにかく『治ってほしい!』と考えて、できる限りの治療を施していくのが役割だと思っています」 [caption id="attachment_113724" align="alignnone" width="800"] 「我々医師は、とにかく『治ってほしい!』と考えて、できる限りの治療を施していくのが役割だと思っている」と菅原院長は話す[/caption] 使えるものは総動員して、治療・リハビリに集中していく。日本のスポーツ界を影で支える菅原整形外科。これからも日本気圧バルク工業の2wayルームを活用して、すべてのアスリートの〝夢〟を後押ししていく。 [caption id="attachment_113725" align="alignnone" width="800"] JR松戸駅から約20分、JR東松戸駅から約10分の場所にある菅原整形外科[/caption] 医療法人社団ありのみの会 菅原整形外科 千葉県松戸市紙敷 458 TEL 047-312-7788 ホームページ ※この記事は『月刊陸上競技』2023年10月号に掲載しています 文:酒井政人、撮影:樋口俊秀

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