女子やり投の日本記録保持者・北口榛花(JAL)が8月7日、日本代表として3大会連続で出場するブダペスト世界選手権に向けたオンライン会見を開き、意気込みを語った。
今季、世界最高峰のダイヤモンドリーグ(DL)で2勝、2位1回を誇る。DLシレジアでは今季世界最高となる67m04を投げて優勝。自身の日本記録を4年ぶりに1m04cm更新した。会見前日にもドイツで試合に出場して61m88で勝ち切り、すぐにチェコに戻ったという。
「少し時間が経ったので」と笑いつつ、「65mくらいは越えたと思いましたが、67mも飛んだと思わなくてビックリしました」と当時を振り返る。4年前は61mがベストだったところから、64m36、66m00と一気に更新。「その瞬間はすごくうれしかったですが、時間が経つにつれて、これ以上投げられるかなと考えることもありました」と心境を明かす。
「66mまでの間を埋めていく作業が必要だと感じましたが、どのくらかかるかわかっていなかった」。次も1m以上の更新幅だが、今は「1mくらいなら更新できるかなという気持ちはあります」と言えるようになったところも成長の証だろう。
昨年のブダペスト世界選手権では日本女子投てき初の銅メダルを獲得。DLでは一度もトップ3位を外していない。その秘訣について、「フィールド種目なので、まずは6回残るという目標があって、それが確定したらいろいろチャレンジするスタイルがハマっているのかな」と言い、「自分が良いパフォーマンスをするために、試合までの練習や当日、投てきのルーティンもほぼ決まっています」と語る。
前回銅メダリストで、今年の安定感からすれば、世界から注目される堂々のメダル候補。実際に、世界各国の記者から「当然、金メダルが目標でしょ?」と聞かれるそうだが、これまでもプレッシャーを感じることは少なく、「世界一だからと言ってルーティンができないわけではない」し、「自分も相手と同じくらい努力しているだろうと試合に臨んでいるので」と、自分のことに集中する姿勢はワールドリーダーとして臨む今回も変わらない。
ブダペスト世界選手権での目標は「メダルを取ること」。金メダル候補とも言えるが、「そこはブラさずに、取りにいってメダルを取る」。もし、メダル獲得で最上位に入ればパリ五輪代表内定1号となるが、「それはあまり気にしていなくて、まずは自分の目標を目指します」。
世界各国を飛び回る北口だが、ブダペストは初上陸。「チェコのプラハもきれいですが、プラハに住んでいる人でも『ブダペストのほうがきれいかも』と言うほど。きれいな街を見るのが楽しみです」と笑顔を見せた。
「本当は世界選手権で日本記録を狙っていたので、またちょっとだけでも更新できるように頑張ります」
ポイントは1投目で上位に入る記録を残すこと。4投目までに試行錯誤しながら、5、6投目で勝負をかけるのが「理想的な展開」だ。
気負わず、自然体で。日本が世界に誇るスロワーは、狙ってメダルを取りに行く。オレゴンのうれし涙とは違う、北口らしい満開の笑顔がブダペストに咲き誇る。
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東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL)
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)