2023.06.08
前回Vの奥田、アジア室内Vの丸山、日本記録保持者・右代らに注目
男子十種競技は前回、奥田啓祐(第一学院高教)が初優勝した。昨秋には日本人3人目の大台到達となる8008点をマークした。今年3月のアジア室内選手権(七種競技)でも銀メダルを獲得。ただ、昨年から続く脚の痛みは完全に癒えたわけではない。日本グランプリシリーズの木南記念(5月6、7日)も見送った。 元々、やり投選手だったところから、東海大に進学後に混成競技を始めた奥田。今ではスプリントにも磨きがかかった。その走力と基礎体力と技術が噛み合えば、全体的な得点もベースアップするだろう。 注目なのが丸山優真(住友電工)。高校時代から大器として期待されてきた逸材だが、胸椎分離症など、たびたびケガに泣かされてきた。昨年の木南記念で日本歴代6位の7807点を出したものの、日本選手権は右手故障のため欠場。今年はアジア室内選手権で金メダルを獲得したが、奥田同様に木南記念は出場見送り。ただ、そこは冬の段階から想定済みで、準備を整えて秋田へ向かう。大暴れする可能性は十分にある。 2人が不在だった木南記念を制したのが田上駿(陸上競技物語)。7674点は21年に出した自己記録7764点に次ぐセカンドベストだった。「100m、走幅跳、400mは強化してきた」と言うように、100mでは高3ぶりの10秒8台。日本選手権で7800点超えを見据えている。 日本記録保持者で8度の優勝を誇る右代啓祐(国士舘クラブ)は36歳になった。トレーナーや食事管理など、今季はチームを組んで新たな取り組みをするなど飽くなき向上心は健在。木南記念では2位で「まだまだ負けない」というところは見せた。大学2年目の2006年に初めて7000点を超えてから、17年連続7000点オーバー。「年齢による難しさも感じている」とも言うが、ここ一番で絶対の強さと調整力を誇示してきた王者だけに、しっかり調子を上げてくるだろう。 もう一人、長く引っ張ってきた中村明彦(スズキ)だが、今季をもって現役引退を表明。これが最後の日本選手権と位置づけている。レジェンドのパフォーマンスを目に焼き付けたい。 ブダペスト世界選手権の参加標準記録は日本記録(8308点)よりも高い8460点。これを超えるのは至難の業だが、まずは8000点を超えて勝つこと、そしてアジア選手権などでもポイントを積み上げることが、世界大会への条件となる。 いわゆる“常連”が上位を占めるだけに、学生勢などを含めて新たなタレントの台頭があれば、さらに十種競技のレベルが引き上げられるだろう。山﨑有紀が2年ぶり奪還へ ヘンプヒルは出場見送り
女子七種競技は前回5年ぶりに頂点に返り咲いたヘンプヒル恵(アトレ)は、ケガからの復帰途上でエントリーせず。日本記録保持者の山﨑有紀(スズキ)が最有力に挙がる。 山﨑は昨年ケガに苦しんだが今季はまずまず。3月には合宿の延長というハードスケジュールで5358点。木南記念は5683点で優勝している。「いい種目と悪い種目がハッキリした」と話しており、自己ベストが出た砲丸投や持ち味のスプリントは調子を上げている。まずは5975点の自身の日本記録更新を目指す。 大玉華鈴(日体大SMG横浜)は木南記念の初日に日本初の3500点超え。しかし、走幅跳でまさかの記録なしに終わった。そのあたりが噛み合えば5800点近くまで見えてくる。得意とする走高跳や、状態の上がっているスプリントがカギを握りそうだ。 前回5517点で4位の熱田心(岡山陸協)、日本学生個人選手権で5545点を出してワールドユニバーシティゲームズ代表に入った田中友梨(至学館大)も上位を争うだろう。 ヘンプヒル、山﨑が5900点台に乗せてから時間が経つが、未だ日本初の6000点には届かず。それぞれが少しずつ自己記録を積み上げていけば、男子同様に層が分厚くなってくるだろう。 大会の模様は日本陸連のYouTubeチャンネルでライブ配信される。日本選手権配信チャンネルをチェック!
1日目) 2日目
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