2020.11.14
種目は違えど互いに磨き合ってきた石田洸介(東農大二3、左)と古澤一生(前橋育英3)
新型コロナウイルス感染症流行による活動休止期間を経て、競技会が再開されて間もない7月18日、ホクレンディスタンスチャレンジ千歳大会の男子5000mで石田洸介(東農大二3群馬)が13分36秒89の高校新をマークした。同県の同い年が成し遂げた快挙に刺激を受けたのが、男子棒高跳の古澤一生(前橋育英3)。同日に1年2ヵ月ぶりに自己記録を1cm伸ばすと、8月8日の群馬県高校大会で高校記録を1cm更新する5m51に成功。すると、石田が負けじと9月27日の東海大長距離競技会で13分34秒74と再度記録を更新してみせた。
こうして今、群馬県内に高校記録保持者が2人いる。ともに「中学記録保持者」である点も共通しており、注目され続ける十字架を背負い、苦しい時期も乗り越えてきた歩みがある。中学時代からの交流、互いに尊敬し合い、刺激し合ってきた時間を振り返ってもらった。
●構成/奥村 崇
「『勝負の結果』を残していないのでまだまだ追いついていません」(石田)
「高校記録を2度も更新する大変さは、高校記録保持者になってわかります」(古澤)
—それぞれが高校新を出した際、SNSで交流していましたね。
古澤 石田君が高校新を出した日、同じ日に自分もベストを1cm更新したのですけど、SNSで結果を知った時は「先に高校記録を出されてしまったな」という気持ちが強かったですね。僕もすぐに追いつきたいと思って自分の高校新につながりました。種目こそ違うんですけど、本当に刺激をもらっています。
石田 古澤君が高校新を出した時は、僕もSNSで知りました。その前日に、古澤君が「高校記録を目指します」と意気込みを書いていて、自分も「絶対出せるよ」といったコメントを送った覚えがあります。高校新を知った時は驚きと同時に、「さすがだな」という気持ちでした。
古澤君は自分とは違い、1、2年の時から着々と結果を残していました。高校新を出すタイミングはたまたま自分のほうが先になったのですけど、自分はまだまだ結果を残せていない。そういう思いにさせてくれる存在です。種目は違えど一番のライバルだと感じているので、古澤君の高校新は自分のことのようにうれしかったです。
—お互いの高校新が刺激になっているんですね。
石田 はい。古澤君の高校新は、もう1回記録を更新する原動力になりました。でも、高校記録を2度更新したからといって自分のほうが上だとは思っていなくて、「勝負の結果」を残していない面では、まだまだ追いついていないなと思っています。
古澤 自分が高校記録を更新した時に「やっと追いつけた」と思ったんですけど、石田君がさらにもう1度更新したのには脱帽でした。たった1cmでも、記録を更新することはすごく大変。高校記録保持者になってみてわかります。それをこの短期間でもう1回やり遂げるのはすごい。自分もまだまだ1回だけの更新にとどまっていられないという思いに駆られましたね。
「同じ日に中学記録を出したことで、名前を知りました」(古澤)
「入試の日に忘れ物をして、古澤君が貸してくれました」(石田)
—3年前にも「中学記録保持者」になっています。当時は群馬と福岡で離れていま
したが、お互いのことはいつから知っていたのですか?
古澤 僕が中学記録を出したまさに同じ日に、中学記録を更新した人ということで、そこで初めて石田君のことを知りました。※編集部注:7月28日の群馬県中学総体で古澤が4m93、同日の福岡県中学総体1500mで石田が3分53秒54とそれぞれ中学新記録を樹立。
石田 月刊陸上に載ってるかなとページを開いたら、次のページに「同じ日に2種目でニューレコード」と書かれていて、「同じ日に更新した選手がいるんだ!?」と。詳しく読んでみると、去年の長野全中で優勝していると書かれていて「この選手すごいなぁ」と。SNSでフォローし合って、やり取りするようになっていきました。
古澤 秋にナショナルトレーニングセンターで合宿があって、そこで一緒に過ごし
て仲良くなりましたね。
石田 古澤君と知り合ったことをきっかけに、棒高跳の結果をよくチェックするようになりました。視野が狭いタイプだったのですが、世界を広げてくれたのが古澤君の存在です。
この続きは2020年11月13日発売の『月刊陸上競技12月号』をご覧ください。
定期購読はこちらから

「『勝負の結果』を残していないのでまだまだ追いついていません」(石田) 「高校記録を2度も更新する大変さは、高校記録保持者になってわかります」(古澤)
—それぞれが高校新を出した際、SNSで交流していましたね。 古澤 石田君が高校新を出した日、同じ日に自分もベストを1cm更新したのですけど、SNSで結果を知った時は「先に高校記録を出されてしまったな」という気持ちが強かったですね。僕もすぐに追いつきたいと思って自分の高校新につながりました。種目こそ違うんですけど、本当に刺激をもらっています。 石田 古澤君が高校新を出した時は、僕もSNSで知りました。その前日に、古澤君が「高校記録を目指します」と意気込みを書いていて、自分も「絶対出せるよ」といったコメントを送った覚えがあります。高校新を知った時は驚きと同時に、「さすがだな」という気持ちでした。 古澤君は自分とは違い、1、2年の時から着々と結果を残していました。高校新を出すタイミングはたまたま自分のほうが先になったのですけど、自分はまだまだ結果を残せていない。そういう思いにさせてくれる存在です。種目は違えど一番のライバルだと感じているので、古澤君の高校新は自分のことのようにうれしかったです。 —お互いの高校新が刺激になっているんですね。 石田 はい。古澤君の高校新は、もう1回記録を更新する原動力になりました。でも、高校記録を2度更新したからといって自分のほうが上だとは思っていなくて、「勝負の結果」を残していない面では、まだまだ追いついていないなと思っています。 古澤 自分が高校記録を更新した時に「やっと追いつけた」と思ったんですけど、石田君がさらにもう1度更新したのには脱帽でした。たった1cmでも、記録を更新することはすごく大変。高校記録保持者になってみてわかります。それをこの短期間でもう1回やり遂げるのはすごい。自分もまだまだ1回だけの更新にとどまっていられないという思いに駆られましたね。「同じ日に中学記録を出したことで、名前を知りました」(古澤) 「入試の日に忘れ物をして、古澤君が貸してくれました」(石田)
—3年前にも「中学記録保持者」になっています。当時は群馬と福岡で離れていま したが、お互いのことはいつから知っていたのですか? 古澤 僕が中学記録を出したまさに同じ日に、中学記録を更新した人ということで、そこで初めて石田君のことを知りました。※編集部注:7月28日の群馬県中学総体で古澤が4m93、同日の福岡県中学総体1500mで石田が3分53秒54とそれぞれ中学新記録を樹立。 石田 月刊陸上に載ってるかなとページを開いたら、次のページに「同じ日に2種目でニューレコード」と書かれていて、「同じ日に更新した選手がいるんだ!?」と。詳しく読んでみると、去年の長野全中で優勝していると書かれていて「この選手すごいなぁ」と。SNSでフォローし合って、やり取りするようになっていきました。 古澤 秋にナショナルトレーニングセンターで合宿があって、そこで一緒に過ごし て仲良くなりましたね。 石田 古澤君と知り合ったことをきっかけに、棒高跳の結果をよくチェックするようになりました。視野が狭いタイプだったのですが、世界を広げてくれたのが古澤君の存在です。 この続きは2020年11月13日発売の『月刊陸上競技12月号』をご覧ください。RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.10.22
米国陸連が国内ツアーを創設 無秩序な競技会開催を抑制し、スポンサー拡大を目指す
2025.10.21
東京世界陸上サブトラックからの選手輸送「遅延ゼロ」分単位で計画「円滑に進められた」
-
2025.10.21
-
2025.10.21
2025.10.18
【大会結果】第102回箱根駅伝予選会/個人成績(2025年10月18日)
2025.10.18
【大会結果】第102回箱根駅伝予選会/チーム総合(2025年10月18日)
-
2025.10.18
2025.10.18
【大会結果】第102回箱根駅伝予選会/個人成績(2025年10月18日)
-
2025.10.18
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.10.22
米国陸連が国内ツアーを創設 無秩序な競技会開催を抑制し、スポンサー拡大を目指す
米国陸連(USATF)は10月20日、米国陸連主催のUSATFツアーを新設することを発表した。 ツアーは2026年から実施予定で、現在は既存大会および新設大会を対象に参入申請を受け付けている。陸連はツアー化によって大会日 […]
2025.10.21
【プレゼント】保温性に優れたZAMSTの「アームスリーブWARM EDITION」/11月号
世界と戦うトップアスリートも愛用するサポート・ケア製品ブランド「ZAMST(ザムスト)」を展開する日本シグマックス株式会社。 同社から発売中の寒い時期でも快適にスポーツを行うことができるよう保温性に優れ、手首から上腕にか […]
2025.10.21
東京世界陸上サブトラックからの選手輸送「遅延ゼロ」分単位で計画「円滑に進められた」
公益財団法人東京2025世界陸上財団は10月21日、第31回理事会を開き、大会の開催結果について報告したあと、報道陣への記者ブリーフィングを開いた。 9月13日から21日まで、東京・国立競技場をメイン会場に開かれた世界選 […]
2025.10.21
東京世界陸上の成功を報告「観客の熱狂が選手の力引き出した」入場者数過去最多約62万人
公益財団法人東京2025世界陸上財団は10月21日、第31回理事会を開き、大会の開催結果について報告した。 9月13日から21日まで、東京・国立競技場をメイン会場に開かれた世界選手権。参加選手数は193の国と地域・難民選 […]
2025.10.21
箱根駅伝「関東学生連合チーム」選出は総合順位つかずとも選出 予選会中継時情報の訂正と謝罪
一般社団法人関東学生陸上競技連盟は10月20日、日本テレビで放送された第102回箱根駅伝予選会の中継において、関東学生連合チームの選出方法についての解説で誤りがあったといして訂正を発表した。 関東学生連合チームは箱根駅伝 […]
Latest Issue
最新号

2025年11月号 (10月14日発売)
東京世界選手権 総特集
箱根駅伝予選会&全日本大学駅伝展望