12月10日、日本陸連の理事会後に強化委員長の山崎一彦氏が会見に臨み、改めて来年の東京世界選手権に向けた方針を説明した。
発表された東京世界選手権の代表選考要項の選考条件では、ワールドランキングでの出場資格よりも参加標準記録突破の優先順位を高く定めるかたちとなった。日本選手権3位以内の内定条件も参加標準記録突破者とし、選考条件の日本選手権8位以内の選手においても、参加標準記録を満たした選手が「Road to Tokyo」(ワールドランキング)での出場資格よりも上となる。
これについて、山崎強化委員長は「ワールドランキングの制度が始まってしばらく経ち、統計を取ると入賞あるいはメダルを目指すためには参加標準記録を突破していく必要がある」と言う。
ワールドランキングのためのポイントを獲得する戦略もあるが、「日本という土地柄では、(順位ポイントの)大きな競技会に出場するのは難しい。まずは標準記録を突破し、その後は世界で戦うためのマネジメントが必要」とし、110mハードルの泉谷駿介(住友電工)や村竹ラシッド(JAL)といった例を挙げ、国内で記録を出し、その記録を持ってカテゴリーの高い海外競技会で経験を積んでいっているとした。
世界選手権においては再分配枠(辞退者によるインビテーション)での出場資格や、1人も出場資格を得られない種目については開催国枠(※フィールド・混成は世界陸連・技術代表の判断による)も与えられるが、無条件で行使しないよう要項に盛り込んだ。
再分配枠については、各種目のターゲットナンバー(出場枠)に10加算した順位以内にランクインする必要がある。また、開催国枠については、ターゲットナンバー+10に加えて、日本選手権で優勝し、かつ独自に定めるエントリー設定記録のクリアを条件とした。
山崎強化委員長は「常に世界を目指し、メダルおよび入賞を狙う方針は変えない。基準に達しなければ(仮に出場資格を与えられても)エントリーをしません。1人も出ない種目もあります。現場からは賛否ありましたが、地元枠を使うとなれば世界水準まで持って行ってほしい」と言う。
背景には、2007年大阪世界選手権の反省がある。「開催国枠をフルで使いましたが、選手たちが盛り上げようと頑張った結果、空回りしてしまった。それを制御できなかったのは、目標がそれぞれ違ったため。違うレベルの選手がいるとチームにはなれません。まずはそのレベルに達するのが強化として一番重要です」。
開催国枠エントリー設定記録は参加標準記録やターゲットナンバーをもとに「予選通過が期待できる水準」に設定したが、算出した記録が日本記録を上回らないように設定。「チャレンジできる記録」と発奮を促していた。
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