HOME 国内、日本代表、五輪
男子4継 “ぶっつけ”オーダーで示した伝統の力!決戦前夜で伝えた2走・サニブラウン/パリ五輪
男子4継 “ぶっつけ”オーダーで示した伝統の力!決戦前夜で伝えた2走・サニブラウン/パリ五輪

それぞれ死力を尽くした男子4×100mRメンバー

◇パリ五輪・陸上競技(8月1日~11日/フランス・パリ)9日目

パリ五輪・陸上競技9日目のイブニングセッションに行われた男子4×100mリレーで、日本が日本歴代5位タイとなる37秒78をマークして5位入賞を果たした。

レース後、土江寛裕T&Fディレクターが報道陣の取材に応じた。予選からオーダーを変更したことについて「非常に難しいリレーだった」と明かす。

オーダーが決まったのは前夜のミーティング。日本選手権後の国内合宿からほぼ『2走・固定』できた栁田大輝(東洋大)を外し、サニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)が2走へ。

「栁田はロンドン(ダイヤモンドリーグ)や予選であまりうまく走れなかったため外すという決断になりました。大黒柱はハキーム。彼と相談し、一番力を出せる場所はどこかとなり、2走となりました。坂井(隆一郎/大阪ガス)は元々、1走を得意としている。3、4走を変えるとすべて“手術”することになる」

こうして坂井・サニブラウン・桐生祥秀(日本生命)・上山紘輝(住友電工)のオーダーが固まった。当日のサブトラックで初めてバトン合わせして臨むということについて「私も20年近くやっていますが、初めての決断でした」と明かす。

広告の下にコンテンツが続きます

上山は予選よりもスプリットタイムを落としたが、「勝負なのでどれだけ思い切って行けるかというところをやってくれました。その結果、バトンは少し遠くなりましたが、減速するともう一回加速するのは難しい。バチッと決まればメダルだったかもしれませんが、戦略通りです。やらなければいけないことをやってくれました」と評価した。

メンバーから栁田はサブトラックで涙も見せていた。専任コーチでもある土江ディレクターは「ベストの状態で迎えることができなかったのは指導する私の責任。ロス五輪にはハキームのようなエースに成長してほしい」と慮った。

確かな力を示したものの課題もある。「(個人で)ファイナルに残る選手、せめてセミファイナル以上の個人の走力がある選手で固めないと厳しい」。海外勢は個人でファイナル、しかも複数種目もこなしている選手もいるなかでタフさも求められる。「東京五輪はある程度、個人を犠牲にしてもリレーで金を取ろうとやってきましたが、その後は個人で戦える選手でリレー組んでメダルを狙う方針。そういう意味で、個人は少し物足りなくなっているところはあります」と日本のスプリンターの奮起を促す。

サニブラウンが「誰が走っても金メダルを取れるくらい強い日本になりたい」言い、桐生も「全員がハキーム君クラス、ライバルであり、追い抜くくらいにならないと金メダルは取れない」と話したように、ここからの4年間、国内全体のさらなるレベルアップが悲願の金への必須条件となる。

◇パリ五輪・陸上競技(8月1日~11日/フランス・パリ)9日目 パリ五輪・陸上競技9日目のイブニングセッションに行われた男子4×100mリレーで、日本が日本歴代5位タイとなる37秒78をマークして5位入賞を果たした。 レース後、土江寛裕T&Fディレクターが報道陣の取材に応じた。予選からオーダーを変更したことについて「非常に難しいリレーだった」と明かす。 オーダーが決まったのは前夜のミーティング。日本選手権後の国内合宿からほぼ『2走・固定』できた栁田大輝(東洋大)を外し、サニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)が2走へ。 「栁田はロンドン(ダイヤモンドリーグ)や予選であまりうまく走れなかったため外すという決断になりました。大黒柱はハキーム。彼と相談し、一番力を出せる場所はどこかとなり、2走となりました。坂井(隆一郎/大阪ガス)は元々、1走を得意としている。3、4走を変えるとすべて“手術”することになる」 こうして坂井・サニブラウン・桐生祥秀(日本生命)・上山紘輝(住友電工)のオーダーが固まった。当日のサブトラックで初めてバトン合わせして臨むということについて「私も20年近くやっていますが、初めての決断でした」と明かす。 上山は予選よりもスプリットタイムを落としたが、「勝負なのでどれだけ思い切って行けるかというところをやってくれました。その結果、バトンは少し遠くなりましたが、減速するともう一回加速するのは難しい。バチッと決まればメダルだったかもしれませんが、戦略通りです。やらなければいけないことをやってくれました」と評価した。 メンバーから栁田はサブトラックで涙も見せていた。専任コーチでもある土江ディレクターは「ベストの状態で迎えることができなかったのは指導する私の責任。ロス五輪にはハキームのようなエースに成長してほしい」と慮った。 確かな力を示したものの課題もある。「(個人で)ファイナルに残る選手、せめてセミファイナル以上の個人の走力がある選手で固めないと厳しい」。海外勢は個人でファイナル、しかも複数種目もこなしている選手もいるなかでタフさも求められる。「東京五輪はある程度、個人を犠牲にしてもリレーで金を取ろうとやってきましたが、その後は個人で戦える選手でリレー組んでメダルを狙う方針。そういう意味で、個人は少し物足りなくなっているところはあります」と日本のスプリンターの奮起を促す。 サニブラウンが「誰が走っても金メダルを取れるくらい強い日本になりたい」言い、桐生も「全員がハキーム君クラス、ライバルであり、追い抜くくらいにならないと金メダルは取れない」と話したように、ここからの4年間、国内全体のさらなるレベルアップが悲願の金への必須条件となる。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.05.22

「体脂肪だけ独り歩きしてほしくない」100mH福部真子が警鐘 自身の経験から伝える月経と体重管理、体脂肪との向き合い方

「体脂肪のことだけが独り歩きしている感じがして…生理が止まっていると思われていそうで。中高生に悪影響を与えたくないんです。だからちゃんと伝えたいなって」 女子100mハードルの日本記録保持者で、パリ五輪セミファイナリスト […]

NEWS 【世界陸上プレイバック】―03年パリ―18歳・キプチョゲが大熱戦の5000mを制す 末續慎吾が200mで銅メダルの大偉業

2025.05.22

【世界陸上プレイバック】―03年パリ―18歳・キプチョゲが大熱戦の5000mを制す 末續慎吾が200mで銅メダルの大偉業

今年9月、陸上の世界選手権(世界陸上)が34年ぶりに東京・国立競技場で開催される。今回で20回目の節目を迎える世界陸上。日本で開催されるのは1991年の東京、2007年の大阪を含めて3回目で、これは同一国で最多だ。 これ […]

NEWS JR九州・花谷そらが嗅神経芽細胞腫瘍を公表 「闘って完治してまた新たな花谷そらを」

2025.05.22

JR九州・花谷そらが嗅神経芽細胞腫瘍を公表 「闘って完治してまた新たな花谷そらを」

JR九州の花谷そらが5月22日、嗅神経芽細胞腫瘍(きゅうしんけいがさいぼうしゅ)のステージ4の疾患があることを自身のSNSで公表した。 花谷は山口・聖光高出身。インターハイや全国高校駅伝への出場はなく、中国地区大会300 […]

NEWS 8月開催の日韓中ジュニア交流競技会代表 4/1~6/22の記録を対象に上位高校生から選考

2025.05.22

8月開催の日韓中ジュニア交流競技会代表 4/1~6/22の記録を対象に上位高校生から選考

日本陸連はこのほど、第33回日・韓・中ジュニア交流競技会(8月25日~27日/中国・内モンゴル自治区)の日本代表選手選考要項を公表した。 日・韓・中ジュニア交流競技会は日本、韓国、中国の3ヵ国で例年8月下旬に、持ち回りで […]

NEWS 個の力高い中大が最有力! 順大、大東大も戦力充実 前回上位・東海大、東洋大は!? 5月24日平塚決戦/全日本大学駅伝関東選考会展望

2025.05.22

個の力高い中大が最有力! 順大、大東大も戦力充実 前回上位・東海大、東洋大は!? 5月24日平塚決戦/全日本大学駅伝関東選考会展望

第57回全日本大学駅伝の関東学連推薦校選考会が5月24日に神奈川県平塚市のレモンガススタジアム平塚で行われる。昨年度の本大会で8位までに入った國學院大、駒大、青学大、創価大、早大、城西大、立教大、帝京大がシード権を獲得。 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年6月号 (5月14日発売)

2025年6月号 (5月14日発売)

Road to TOKYO
Diamond League JAPANの挑戦
村竹ラシッド、三浦龍司が初戦で世界陸上内定

Road to EKIDEN Season 25-26
学生長距離最新戦力分析

page top