2023.03.12
◇名古屋ウィメンズマラソン2023(3月12日/愛知・バンテリンドーム ナゴヤ発着)
JMCシリーズG1の名古屋ウィメンズマラソン2023が行われ、鈴木亜由子(日本郵政グループ)が自身初の2時間21分台となる2時間21分52秒で日本人トップの2位に入った。
フィニッシュ地点のバンテリンドーム ナゴヤに入った際に2時間22分という文字が目に入ったと言い、髙橋昌彦監督から「2時間21分台だと言われてホッとしました」と笑顔を浮かべる。
「今日はたくさんの応援をありがとうございました。途切れることのない応援で背中を押されました」。地元・愛知での激走に笑顔を見せる鈴木。「ずっと走りたかったレース」で見事な自己新だった。
スタート直後から世界歴代2位の記録を持つルース・チェプンゲティチ(ケニア)が「設定が遅かったから1人でいこうと思った」と、ペースメーカー度外視で前に出た。鈴木は「プランを持たず、身体の思うままに走ろうと思いました」と冷静に対処する。
前半は「少し硬さがあってきつい部分もありました」と言うが、チェプンゲティチを除く上位集団が形成した第2集団でしっかりペースを刻む。
今回は昨年9月にベルリンでマークした自己記録2時間22分02秒の更新がターゲット。25kmでペースメーカーが外れてからは「自分のペースで押せました」。30km過ぎに「上げたいと思っていた」と後ろは気にせずにペースアップ。
世界を見据えて「まだまだですが」と前置きしつつ、2時間21分台に「ホッとしました」。特にハーフ通過は1時間11分20秒で、後半は1時間10分32秒と、「ネガティブスプリットでフィニッシュできたのは収穫です」と充実感を漂わせる。
髙橋監督も「(マラソンに向けた)アルバカーキでの合宿でもうまくいかない時期もありました。ホッとしたのが正直なところ」と胸をなで下ろし、「最後の1週間と帰国後のコンディショニングがうまくいった」と好結果の要因を挙げる。
その上で「マラソン選手と成長してきた。ここまで5レースで夏のマラソンばかりで記録を狙えていないが、30歳を越えてから自己ベストを更新できている。2時間20分も切れると思っています」と、鈴木の中学時代から惚れ込んできた才能を信じている。
鈴木もまた、「2時間20分切りを目指して、まだまだ自分の可能性を信じて挑戦していきたい。一つひとつ、自分を超えて挑戦していきたいです」と語る。
「苦しいなかで練習してきたことを出せて、自己ベストも出せて次へのステップになるレースだったと感じています。まずはMGCを目標にしていきたい」
中学から天才ランナーとして注目を集め、ケガが多かった高校時代を経て名古屋大で復活。ドラマティックな競技人生を歩み、リオ五輪は5000mと10000m(欠場)で代表入り。東京五輪はマラソンで出場。そして3大会連続オリンピック代表へ。31歳になった鈴木亜由子は、まだ進化の途中にいる。
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