2023.02.22
2023年を迎えて、太田智樹(トヨタ自動車)が目覚ましい活躍を見せている。
今年の全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)では、スピードランナーが集まった3区(13.6km)に登場。23位でタスキを受けると、18人を抜いて5位に押し上げた。
大きな見せ場は、GMOインターネットグループに参画したプロランナー・大迫傑(Nike)と肩を並べて走った場面だ。先行していた大迫に追いつくと、「大迫さんが前に出ようとしても、絶対に前に出したくなかった」。同じ早大出身であるあこがれの大先輩が相手でも太田は一歩も引くことはなかった。
最後は大迫を引き離し3秒先着。37分40秒で区間賞も獲得し、区間2位の大迫を17秒抑えた。「勝ちきれたことは自信になりました」。日本を代表する長距離ランナーに競り勝ち、存在感を示した。
さらに、3年ぶりに開催された2月5日の香川丸亀国際ハーフマラソンでも快走を見せる。
「間違いなく、継続して練習ができたという自信がありました」と言う太田は、世界歴代4位(57分59秒)の記録を持つアレクサンダー・ムティソ(NDソフト/ケニア)ら外国人勢についていき、5km14分08秒、10km28分05秒と、日本記録(1時間0分00秒)を上回るハイペースを刻んだ。
日本記録には惜しくも8秒届かなかったものの、日本歴代3位となる1時間0分08秒の好記録をマーク。「自分に日本記録を出すチャンスが回ってきたのに、出すことができなかった。もう少しスピードを強化していかなければ、と感じました」。こうレースを振り返り、レベルアップを誓う。
手応えと課題を手にし、着実に結果を残した実業団3年目を経て、2023年シーズンはさらなる躍進の1年となりそうだ。
2月5日の丸亀ハーフでは日本記録にあと8秒と迫った[/caption]
日本記録には惜しくも8秒届かなかったものの、日本歴代3位となる1時間0分08秒の好記録をマーク。「自分に日本記録を出すチャンスが回ってきたのに、出すことができなかった。もう少しスピードを強化していかなければ、と感じました」。こうレースを振り返り、レベルアップを誓う。
手応えと課題を手にし、着実に結果を残した実業団3年目を経て、2023年シーズンはさらなる躍進の1年となりそうだ。
“陸上一家”に育ち、全中3000mで優勝
静岡県浜松市出身の太田は、両親ともに陸上経験者という陸上一家に育った。ちなみに、中大OBの父・善之さん、2歳下の弟・直希(早大OB、現・ヤクルト)は箱根駅伝に出場し、姉・優紀さんも中大で全日本大学女子駅伝を走っている。 「得意なことが走ることぐらいしかなかったんです」と言う太田。中学の部活動で陸上部を選ぶのは必然の流れだっただろう。 その才能は早くから花開く。 浜名中3年時には、全日本中学校陸上競技選手権(全中)3000mで優勝。ジュニアオリンピックでも3000mで当時の中学歴代2位となる大会新記録を打ち立てて優勝し、最優秀選手にも選出されている。 太田の同級生は、東京五輪代表の相澤晃(旭化成)、伊藤達彦(Honda)をはじめ、今の日本長距離界を牽引する選手が多く、“花の97年生まれ”などと称されることがあるが、この世代を牽引していた1人が太田だった。 浜松日体高に進んでからも、インターハイ5000mで6位入賞。全国高校選抜10000mは2年時、3年時に連覇を果たすなど活躍を見せた。早大では箱根駅伝の2区を3度務める
早大に進学してから箱根駅伝では3年連続で花の2区を任されるなど、伝統校のエースを担った。 そんな太田でも苦い思いを味わったレースがある。それが大学3年時の箱根駅伝だ。このレースは、太田にとってターニングポイントにもなった。 「ケガ明けでまったく走れなかったし、結果的にチームもシード権を落としてしまいました」 前年の夏の終わりに右膝を故障し、出雲駅伝も全日本大学駅伝も出場が叶わず。箱根駅伝では、4位と好位置でタスキを受けながらも、区間21位と振るわず、14人に抜かれてしまった。チームも12位に終わり13年ぶりにシード権を逃している。 [caption id="attachment_93550" align="alignnone" width="800"]
静岡・浜名中時代に全中3000m(写真左)で優勝、ジュニアオリンピックでは中学歴代2位(当時)の記録を出すなど大活躍。当時から一貫してアシックスのシューズを愛用している。早大時代は4年連続で箱根駅伝に出場。3年時に2区で区間21位に沈んだことが競技人生のターニングポイントになった[/caption]
「何か悪いことがあっても“あの時よりは大丈夫でしょ”と、ある意味ポジティブになれる。いろんな経験をしてきたことが、結果的に今につながっています。あの時の走りを後悔してもどうしようもないので、次にどうつなげるかが大事だと思っています」
苦い思いを引きずることなく、その後の活躍に結びつけている。
METASPEED SKYを愛用
今年に入ってから相次ぐ快走を見せている太田がロードレースで着用しているのが、アシックスのカーボンプレート入りレーシングシューズ、METASPEED SKYだ。 「それまで履いていたシューズとは脚にくるダメージが全然違っていて、そこが一番感動しました。個人差はあると思いますが、僕の場合は薄底だとふくらはぎを結構使う走りになり、ダメージが大きかったんです。それに、足裏にもダイレクトに衝撃がありました。そういったダメージが軽減されました。もちろん、速く、楽に走れる感覚もあります。同じペースで走っても余裕度が違います。METASPEEDシリーズはSKY、SKY+、EDGE+と3種類あり、反発力やフィット感、ストライド走法向き、ピッチ走法向きなど、個々のタイプや好み、状況に合わせて複数から選べるのがいいですね」 これが、太田が勝負シューズにMETASPEED SKYを選ぶ理由だ。 また、以前であれば、ポイント練習(重要な練習)では薄底のレーシングシューズを着用していたが、昨年はMETASPEED SKYもしくはMETASPEED SKY+をレースのみならず練習でも履いている。 「1年ぐらい前に、足部の母指球の辺りを痛めてから、練習でも履くようになりました。ソールの厚みの分クッションがあるので、だいぶ楽に痛みなく走れます。練習後のダメージもまったく違うし、ケガが減りました」 それ以外にも、トレーニングではトラックでのスピード練習、速めのJog、遅めのJogなど内容に応じてシューズを履き分け、練習効果を最大限に引き出すとともに故障の防止に努めている。 このようにして練習を継続できていることが、3年目の躍進につながった。 [caption id="attachment_93534" align="alignnone" width="2560"]
トレーニング効果を最大限に引き出し、故障も防ぐため、練習内容ごとにシューズを履き分けている太田。右端がレースで履く“勝負シューズ”のMETASPEED SKY[/caption]
パリ五輪までは10000mに注力
社会人2年目の2021年11月に10000mで日本歴代6位(当時)となる27分33秒13の好記録をマーク。今夏のブダペスト世界選手権、そして、来年に迫ったパリ五輪は10000mで出場することを目標に掲げている。 「最近のマラソンを見ていると、ある程度スピードがないと勝負できない。いつかはマラソンに挑戦したいと思っているが、やれるところまでは10000mをやりたいです」 まずはトラックでスピードを磨き、世界に挑むつもりだが、トヨタ自動車に入社した当初から、そのような高い志を持っていたわけではなかった。 「そこまで具体的なビジョンを持って入ったわけではなかったのですが、周りにオリンピック選手や世界選手権に出場した選手がいて、自分も日本代表になってみたいと思うようになりました」 一つだけ変わらないのは、「昔から言っているんですけど、“応援される選手”になりたい」という思いだ。 チームからは、東京オリンピックに服部勇馬、オレゴン世界選手権に西山雄介と、立て続けに男子マラソンの日本代表を送り出している。レベルの高い環境に身を置き、太田の目線も少しずつ高くなっていった。 [caption id="attachment_93535" align="alignnone" width="2560"]
日本代表入りへ静かに闘志を燃やす太田。練習拠点である愛知県田原市のグラウンドで[/caption]
そもそも、日本代表として世界大会に出場することこそが、太田が目指す“応援される選手”への近道ともいうことができるのではないだろうか。もっとも、すでに太田は“応援される選手”になっているようにも思えるが……。
ブダペスト世界選手権、そして、パリ五輪への道筋は決して簡単に辿れるものではない。それも重々承知の上、可能性がある限り、太田は挑み続ける覚悟だ。
文/福本ケイヤ
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2月22日から発売となったMETASPEEDシリーズの新色(HAZARD GREEN/SKY)。さわやかな色調がランナーのモチベーションを高めてくれる[/caption]
【関連情報】
太田智樹もレースやトレーニングで着用しているMETASPEEDシリーズの詳細はコチラ RECOMMENDED おすすめの記事
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