2022.12.27
「4年生を箱根に連れていきたい」
55年ぶり出場の一員になる――。國安の気持ちはそこ一点に集約されていた。
「ブランクを乗り越えて箱根駅伝に出たいと思って入学しました。チームの目標は僕たちが2年時(100回大会)での本戦出場でしたが、1年時から出て、4年間すべて出るんだと思っていました」。
また、國安の箱根への思いはそれだけではなかった。
「4年生を箱根に連れていきたいという思いがありました。入学して間もない右も左もわからない頃、丁寧に一から教えてくれて、サポートしてくれたのが4年生。チームの雰囲気を作ってくれました」
一選手として上昇をつかんだきっかけは、夏合宿にあった。「高校時代から距離を踏んではいましたが、大学では比べ物にならない距離を踏みました。ケガもなく、ほぼ100%消化できました」。

予選会ではチーム内トップの快走で55年ぶり本戦出場の立役者となった
小学6年生の時にちびっ子マラソン大会で6位に入った時、周りは陸上クラブ所属の選手ばかりだった。小学校時代にやっていた水泳は心肺機能の自然な成長に役立ったが、「陸上が向いているんじゃないか」と、兵庫・大久保中入学とともに陸上部へ。須磨学園高時代には全国高校駅伝(6区12位)に出場した。
長い距離への適応力に優れる國安は、本戦も重要区間に起用される見込みだ。「これからもう一度強化して、距離に対応していきます。本戦は任された区間を、チームのために全力でがんばりたいです」。
55年ぶりの立教大が、1年生の國安が、箱根駅伝に新風を吹き入れる。
くにやす・ひろと/2003年9月26日生まれ。兵庫県明石市出身。170cm・56kg。兵庫・大久保中→須磨学園高。5000m14分03秒05、10000m28分53秒80、ハーフ1時間3分13秒
文/奥村 崇
1年生ながら予選会チームトップ
箱根駅伝予選会の15km過ぎ。本戦への命運を握る第3グループから颯爽と飛び出した1年生がいた。國安広人、半世紀超えの復活劇を演じた立教大の立役者だ。 上野裕一郎駅伝監督は「15km通過45分」を選手たちに意識づけし、このテーマに、各選手が様々なアプローチを試みた。その中で國安は、5km14分56秒、10km29分45秒と“貯金”を作っていく。 「思いのほか先頭(日本人トップ)が速くなかったので、見える位置でレースを進めることができました。途中できつくなった場面もありましたが、そこを乗り越えて、(後半の勝負どころになる)公園内へ力を溜めることができました」。肝心の15kmを44分52秒で通過して見せた。 そこで終わらず、國安は次のステップを踏んだ。追走していた集団の中から、果敢な飛び出しを見せたのだ。他校の主力を張る上級生を引き連れて。 「この先まだ5km残っている。まだ何があるかわかりませんから」と國安。この未知の5kmへの備え方として、慎重になるのでなく、積極策を選んだ。 「下り坂に入るタイミングで、集団のペースが落ちていた感覚がありました。自分自身の余裕度ですか? 結構いっぱいいっぱいでしたね」 その後、他校のエース級選手の巻き返しに遭いながらも、堂々たる競り合いを演じて個人21位(1時間3分13秒)。1年生ながらチームトップの成績で、本戦出場に大きく貢献した。 次のページ 「4年生を箱根に連れていきたい」「4年生を箱根に連れていきたい」
55年ぶり出場の一員になる――。國安の気持ちはそこ一点に集約されていた。 「ブランクを乗り越えて箱根駅伝に出たいと思って入学しました。チームの目標は僕たちが2年時(100回大会)での本戦出場でしたが、1年時から出て、4年間すべて出るんだと思っていました」。 また、國安の箱根への思いはそれだけではなかった。 「4年生を箱根に連れていきたいという思いがありました。入学して間もない右も左もわからない頃、丁寧に一から教えてくれて、サポートしてくれたのが4年生。チームの雰囲気を作ってくれました」 一選手として上昇をつかんだきっかけは、夏合宿にあった。「高校時代から距離を踏んではいましたが、大学では比べ物にならない距離を踏みました。ケガもなく、ほぼ100%消化できました」。 [caption id="attachment_89810" align="alignnone" width="800"]
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