HOME 東京五輪、海外、五輪
DAY3ハイライト/波乱の男子100mはイタリアのジェイコブスがV、蘇が準決勝でアジア新 三段跳ロハスは26年ぶり世界新
DAY3ハイライト/波乱の男子100mはイタリアのジェイコブスがV、蘇が準決勝でアジア新 三段跳ロハスは26年ぶり世界新


写真/時事

陸上競技3日目は大注目の男子100m準決勝、決勝が行われた。

2008年北京五輪から前回リオまで、3大会連続金と“絶対王者”に君臨していたウサイン・ボルト(ジャマイカ)がトラックを去り、今大会は「ポスト・ボルト」を決める大会だった。

広告の下にコンテンツが続きます

準決勝から波乱の展開になった。6月に世界歴代7位の9秒77をマークしたV候補のT.ブロメル(米国)が2組3着(10秒00)で敗退。衝撃を与えたのは3組に入った9秒91のアジア記録を保持する蘇炳添(中国)だった。

蘇はシャープな飛び出しを見せると、そのままトップを疾走。最後は差をつめられるも粘り切り1着で決勝へ。しかも9秒83(+0.9)という特大のアジア記録、世界歴代12位の記録を打ち立てて、世界を驚かせた。2着のR.ベイカー(米国)も同タイム(自己新)で、3着のL.M.ジェイコブス(イタリア)は9秒84の欧州記録をマークした。

予測不可能な決勝。4レーンのZ.ヒューズ(英国)がフライングで失格するまたも波乱の幕開け。スタートの緊張感がさらに高まった中で2度目の号砲が鳴る。前半はF.カーリー(米国)が先行した。しかし、後半に入ると、ジェイコブスが加速。終盤に逆転して、五輪男子100mでイタリア勢初の金メダルを獲得した。

優勝タイムは欧州新記録となる9秒80(+0.1)。2位はカーリーで9秒84、3位はA.デグラス(カナダ)で9秒89だった。全体トップで通過した蘇はスタートの出遅れが響いて9秒98の6位に終わった。

ジェイコブスは米国生まれの26歳。走幅跳で7m95(2016年)、追い風参考では8m48(+2.8)の記録を持つ。2018年シーズンから100mをメインに戦い、大会前の自己ベストは山縣亮太(セイコー)と同じ9秒95。準決勝はプラス通過だったが、一気に“人類最速”まで上りつめた。

「オリンピックに勝つことが子供の頃からの夢でした。夢は別の何かに変わる可能性がありますが、これは夢の実現です。金メダル獲得は信じられません。いつも私を支えてくれた家族、息子たち、子供の頃から私の一番のファンでいてくれた母親、そして私をフォローしてくれたチームに感謝したいです」とジェイコブス。走高跳でもイタリアのG.タンベリが同日に金メダルを獲得し、「ともに金メダルを獲得できたのも素晴らしいことです」と喜んだ。

アジア記録を出した蘇は、「このスタジアムのことは一生忘れない。準決勝で力を使い果たしていた」と振り返った。蘇は31歳。今年6月には自身7度目となる9秒台となる9秒98をマークしていた。

写真/時事

モーニングセッションで行われた女子砲丸投は鞏立姣(中国)が20m58の自己ベストで制して、中国勢悲願の五輪初優勝。イブニングセッションの男子走高跳は世界選手権を連覇中のM.E.バルシム(カタール)と2m39のベストを持つタンベリ(イタリア)が2m37までを1回でクリア。2m39をともに失敗すると、互いに話し合った末にジャンプオフ(優勝決定戦)を行わず、金メダルを分け合った。女子三段跳はY.ロハス(ベネズエラ)がビッグジャンプを連発。1回目に五輪新となる15m41(+1.1)を跳ぶと、最終6回目に15m67(+0.7)をマーク。従来の世界記録を17㎝も更新して、ベネズエラ陸上界初の金メダルに輝いた。

日本勢は、女子3000m障害に出場した山中柚乃(愛媛銀行)が予選敗退(組10着)も9分43秒83と、早狩実紀が08年北京五輪で出したオリンピック日本人最高記録9分49秒70を上回った。女子100mハードルで21年ぶりに準決勝に進んだ寺田明日香(ジャパンクリエイト)は13秒06(-0.8)の6着で決勝進出はならなかった。男子走高跳で49年ぶりに決勝に進んだ戸邉直人(JAL)は2m24で12位だった。

写真/時事 陸上競技3日目は大注目の男子100m準決勝、決勝が行われた。 2008年北京五輪から前回リオまで、3大会連続金と“絶対王者”に君臨していたウサイン・ボルト(ジャマイカ)がトラックを去り、今大会は「ポスト・ボルト」を決める大会だった。 準決勝から波乱の展開になった。6月に世界歴代7位の9秒77をマークしたV候補のT.ブロメル(米国)が2組3着(10秒00)で敗退。衝撃を与えたのは3組に入った9秒91のアジア記録を保持する蘇炳添(中国)だった。 蘇はシャープな飛び出しを見せると、そのままトップを疾走。最後は差をつめられるも粘り切り1着で決勝へ。しかも9秒83(+0.9)という特大のアジア記録、世界歴代12位の記録を打ち立てて、世界を驚かせた。2着のR.ベイカー(米国)も同タイム(自己新)で、3着のL.M.ジェイコブス(イタリア)は9秒84の欧州記録をマークした。 予測不可能な決勝。4レーンのZ.ヒューズ(英国)がフライングで失格するまたも波乱の幕開け。スタートの緊張感がさらに高まった中で2度目の号砲が鳴る。前半はF.カーリー(米国)が先行した。しかし、後半に入ると、ジェイコブスが加速。終盤に逆転して、五輪男子100mでイタリア勢初の金メダルを獲得した。 優勝タイムは欧州新記録となる9秒80(+0.1)。2位はカーリーで9秒84、3位はA.デグラス(カナダ)で9秒89だった。全体トップで通過した蘇はスタートの出遅れが響いて9秒98の6位に終わった。 ジェイコブスは米国生まれの26歳。走幅跳で7m95(2016年)、追い風参考では8m48(+2.8)の記録を持つ。2018年シーズンから100mをメインに戦い、大会前の自己ベストは山縣亮太(セイコー)と同じ9秒95。準決勝はプラス通過だったが、一気に“人類最速”まで上りつめた。 「オリンピックに勝つことが子供の頃からの夢でした。夢は別の何かに変わる可能性がありますが、これは夢の実現です。金メダル獲得は信じられません。いつも私を支えてくれた家族、息子たち、子供の頃から私の一番のファンでいてくれた母親、そして私をフォローしてくれたチームに感謝したいです」とジェイコブス。走高跳でもイタリアのG.タンベリが同日に金メダルを獲得し、「ともに金メダルを獲得できたのも素晴らしいことです」と喜んだ。 アジア記録を出した蘇は、「このスタジアムのことは一生忘れない。準決勝で力を使い果たしていた」と振り返った。蘇は31歳。今年6月には自身7度目となる9秒台となる9秒98をマークしていた。 写真/時事 モーニングセッションで行われた女子砲丸投は鞏立姣(中国)が20m58の自己ベストで制して、中国勢悲願の五輪初優勝。イブニングセッションの男子走高跳は世界選手権を連覇中のM.E.バルシム(カタール)と2m39のベストを持つタンベリ(イタリア)が2m37までを1回でクリア。2m39をともに失敗すると、互いに話し合った末にジャンプオフ(優勝決定戦)を行わず、金メダルを分け合った。女子三段跳はY.ロハス(ベネズエラ)がビッグジャンプを連発。1回目に五輪新となる15m41(+1.1)を跳ぶと、最終6回目に15m67(+0.7)をマーク。従来の世界記録を17㎝も更新して、ベネズエラ陸上界初の金メダルに輝いた。 日本勢は、女子3000m障害に出場した山中柚乃(愛媛銀行)が予選敗退(組10着)も9分43秒83と、早狩実紀が08年北京五輪で出したオリンピック日本人最高記録9分49秒70を上回った。女子100mハードルで21年ぶりに準決勝に進んだ寺田明日香(ジャパンクリエイト)は13秒06(-0.8)の6着で決勝進出はならなかった。男子走高跳で49年ぶりに決勝に進んだ戸邉直人(JAL)は2m24で12位だった。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.09

中大が来春の新入生を発表!長距離は栗村凌、簡子傑ら U20東アジア選手権代表・後藤大輔も進学

中大男子陸上部は12月9日、来春入学となるスポーツ推薦試験の合格者20人を発表した。 長距離ブロックでは広島インターハイ5000m3位で、高校歴代歴代8位の13分34秒38を持つ栗村凌(学法石川高・福島)が合格。栗村は昨 […]

NEWS 富士山女子駅伝のエントリー発表! 2冠目指す城西大は兼子心晴、金子陽向らが登録 大東大は野田真理耶がメンバー外

2025.12.09

富士山女子駅伝のエントリー発表! 2冠目指す城西大は兼子心晴、金子陽向らが登録 大東大は野田真理耶がメンバー外

全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝)の主催者は、12月30日に行われる大会のエントリー選手を発表した。 10月の全日本で25年ぶりの優勝を果たした城西大は、区間賞を獲得した兼子心晴(4年)、金子陽向(4年)、本間香( […]

NEWS 鹿児島銀行・宇都ひなたと坂口日菜子が退部 「応援のお陰で苦しいときも乗り越えられた」

2025.12.09

鹿児島銀行・宇都ひなたと坂口日菜子が退部 「応援のお陰で苦しいときも乗り越えられた」

鹿児島銀行は12月8日、宇都ひなたと坂口日菜子が10月末に退部したことを発表した。 宇都は鹿児島・伊敷中から鹿児島高に進学し、3年時には1500mでインターハイに出場。卒業後はワコールに進み、1年目からクイーンズ駅伝に出 […]

NEWS ユニクロ女子陸上競技部が選手公募「日本一、そして世界へ羽ばたくランナーを募集」

2025.12.09

ユニクロ女子陸上競技部が選手公募「日本一、そして世界へ羽ばたくランナーを募集」

ユニクロ女子陸上競技部が、選手の一般公募を12月5日に開始した。 同社女子陸上競技部は1997年に創部。全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝)には2003年に初出場。14年には7位に入った。 その後は浮き沈みを繰り返 […]

NEWS パロマ瑞穂スタジアムが2026年4月22日供用開始 6月には日本選手権開催、秋は名古屋アジア大会の会場

2025.12.09

パロマ瑞穂スタジアムが2026年4月22日供用開始 6月には日本選手権開催、秋は名古屋アジア大会の会場

愛知県名古屋市の瑞穂公園を管理する株式会社瑞穂LOOP-PFIは12月9日、建て替えを進めていたパロマ瑞穂スタジアム(瑞穂公園陸上競技場)が2026年4月22日に一般供用を開始すると発表した。 発表によると、約30000 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年12月号 (11月14日発売)

2025年12月号 (11月14日発売)

EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選

Follow-up Tokyo 2025

page top