2021.07.29
◇福井インターハイ(7月28日~8月1日/福井・福井県営陸上競技場)
インターハイが7月28日、福井県営陸上競技場(9.98スタジアム)で始まった。昨年はコロナ禍で中止となり、2年ぶりに開催。5日間の日程で高校生たちが思いを込めて駆け抜ける。
初日に行われた女子ハンマー投は、62m88の高校記録を保持する村上来花(弘前実3青森)が、大会新記録の59m00をマークして優勝し、自身初の「日本一」をつかんだ。
「これまでずっと1投目に確実に記録を決められるように練習してきたので、今回はまず1投目に記録を残して、徐々に上げていこうというプランで挑みました」
その言葉通り、村上は1投目に従来の大会記録(56m79)を上回る57m00でトップに立つ。「最初に57mも出ると思っていなかったので、それ以上に出そうという気持ちが少し強く表れてしまった」という2~4投目は記録を伸ばせなかった。だが、「とにかく力を抜いてリラックスしよう」と切り替えて臨んだ5投目に59m00。他の上位選手たちが4回目以降にようやく50m台に乗せていった中で、優勝候補筆頭の圧倒的な力を見せつけた。
村上のこれまでの歩みを振り返ると、とくに昨季から今季にかけての成長が目覚ましい。昨年8月に従来の高校記録(56m81)を2m近く更新する58m81を投げ、5位に入賞した10月の日本選手権では59m51。その2日後に61m02をマークし、高校生初の60mスローワーとなった。今季も4月に自身の持つ高校記録とU20・U18日本記録を塗り替える62m88を打ち立てると、6月の日本選手権では62m25放って3位に食い込んでいる。
しかし、世代別の数々の記録を樹立し、シニアの舞台でも社会人や大学生相手に堂々と渡り合ってきた村上だが、「日本一」のタイトルだけは手にできていなかった。2年前の沖縄インターハイは47m66で11位に終わり、優勝候補として臨んだ昨年10月の全国高校大会も45m43で15位と惨敗。だからこそ日本一に懸ける思いは誰よりも強かった。優勝を決めた後のインタビューでは、「1年生の(インターハイの)時の悔しさをやっと晴らせたのでうれしいです」と、思わず涙がこぼれた。
「やっと高校生の中でトップに立てたので、今まで支えてくださった先生や親、友達など、すべての方に恩返しができたと思います」
悲願の高校日本一に輝いた村上。残念ながら代表に選ばれていたU20世界選手権(ケニア・ナイロビ)は代表派遣見送りとなったが、これから先はどんなステージで、どれほどの輝きを放つのだろうか。女子ハンマー投界期待のスロワーから目が離せそうにない。
◇1日目の優勝者
男子400m
鈴木大翼(新潟明訓3新潟) 47秒33
「3月のケガから思うように走れない日々が続き、最後の最後で日本一を取れた思いがこみ上げてきました」
男子ハンマー投
小河 彪(久居3三重) 65m48
「なかなか調子が上がらず不安もありましたが、決勝は久しぶりに楽しく投げることができました」
女子400m
タネル舞璃乃(埼玉栄3埼玉) 54秒42
「53秒台を狙っていたので自己ベストでしたが記録的には満足していません。でも勝つことが目標だったので本当にうれしいです」
女子ハンマー投
村上来花(弘前実3青森) 59m00
文/小野哲史
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2024.04.26
110mHパリ五輪決めた泉谷駿介 DL2戦目へ「ギアが上がった」/DL蘇州
2024.04.26
やり投・北口榛花 五輪シーズン初戦へ「結果がどうであれ次につなげられれば」/DL蘇州
-
2024.04.26
2024.04.20
東京の再来を!女子4×100mR鶴田玲美と君嶋愛梨沙を軸にパリ五輪出場権狙う
-
2024.04.20
-
2024.04.20
-
2024.04.20
-
2024.04.21
2024.04.12
40年以上の人気シューズ”ペガサス”シリーズの最新作!「ナイキ ペガサス 41」が登場!
-
2024.03.28
-
2024.04.07
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.04.26
110mHパリ五輪決めた泉谷駿介 DL2戦目へ「ギアが上がった」/DL蘇州
◇ダイヤモンドリーグ蘇州大会(4月27日/中国・蘇州、オリンピックセンタースタジアム) 世界最高峰のダイヤモンドリーグ(DL)の第2戦・蘇州大会の前日に、男子110mハードルの泉谷駿介(住友電工)が練習を行った。 広告の […]
2024.04.26
やり投・北口榛花 五輪シーズン初戦へ「結果がどうであれ次につなげられれば」/DL蘇州
◇ダイヤモンドリーグ蘇州大会(4月27日/中国・蘇州、オリンピックスタジアム) 世界最高峰のダイヤモンドリーグ(DL)の第2戦・蘇州大会の前日に、女子やり投の北口榛花(JAL)が競技場で練習を行った。 広告の下にコンテン […]
2024.04.26
パリ五輪マラソン代表・大迫傑に純金の感謝状授与 「『ゴールド』という言葉は本当に特別なもの」
パリ五輪の男子マラソン代表に内定している大迫傑(Nike)が4月26日、札幌市の札幌三越で開催された「大黄金展」に参加。イベント主催者から純金の感謝状授与式を授与された。 授与式の後のトークセッションでは「これまで紙の表 […]
2024.04.26
女子走幅跳のソーヤーズがアキレス腱断裂でパリ五輪出場断念 リオ&東京2大会連続8位のジャンパー
女子走幅跳のJ.ソーヤーズ(英国)がトレーニング中に右アキレス腱を完全断裂したことを明らかにした。4月26日に更新したSNSを通じて、手術を受けたことを報告。治療に専念してパリ五輪出場を断念するとしている。 ソーヤーズは […]
2024.04.26
クローズアップ/飯塚翔太(ミズノ) 4大会連続の五輪へ 積み重ねた3年の集大成「パリで活躍したい」
「3Dの動き」と「メトロノーム」でリズムを意識 日本スプリント界の“リーダー”飯塚翔太(ミズノ)が、2024年シーズンの本格スタートを前に、充実の表情で手応えを語る。 「練習はずっと良い感じで、ケガもなく来られていたので […]
Latest Issue 最新号
2024年5月号 (4月12日発売)
パリ五輪イヤー開幕!