HOME 国内、世界陸上、日本代表
走高跳・真野友博は2大会ぶり決勝に届かず涙「選ばれなかった選手のことを思うと申し訳ない」/東京世界陸上
走高跳・真野友博は2大会ぶり決勝に届かず涙「選ばれなかった選手のことを思うと申し訳ない」/東京世界陸上

観客に手を挙げて感謝を示す真野友博(25年世界陸上)

東京世界陸上2日目のイブニングセッションが行われ、男子走高跳予選グループAに出場した真野友博(九電工)は2m21にとどまり、決勝進出記録の2m30に届かず予選敗退に終わった。

「自国開催ということで大歓声がすごくて、試合全体の雰囲気はとても楽しかったのですが、そこで思うような結果が残せなくて悔しいです」

今大会に向けた調整はうまくいき、公式練習から「踏み切れば浮く」という感覚があったという。それを生かすには「最後の踏み切りのブロックで上に上がる」ことがポイントだった。

広告の下にコンテンツが続きます

その意識が奏功し、最初の試技となった2m16と、次の2m21をそれぞれ1回でクリア。しかし、2m25に上がると、「うまく高さにつなげられなかった」と本来の跳躍を見失った。3回連続失敗で予選敗退が決まると、真野はベンチでしばらく動けなかった。

2020年に日本歴代4位タイの2m31を跳び、22年オレゴン世界陸上では日本人初となるファイナルに進出、8位入賞を果たした。23年ブダペスト世界陸上と24年パリ五輪にも出場。ここ2年は助走がうまく行かずに試行錯誤が続いたが、今季は2m29をマークし、3年ぶりに日本選手権を制すなど復調していた。

予選グループBに出場した赤松諒一(SEIBU PRINCE)と瀬古優斗(FAAS)は、ともに2m25をクリアして決勝に駒を進めた。それだけに「僕だけ落ちて気持ちが沈んでいます」というのは正直な気持ちだろうが、真野は「世界陸上期間中は切り替えて、しっかり赤松選手と瀬古選手の応援をしていきたいと思います」と気丈に話した。

ただ、身近で支えてくれた人たちのことを思うと、あふれる涙を堪えることができなかった。

「家族や会社の方々、友人も多く応援に来てくれたのに、決勝の舞台で戦うことができませんでした。日本代表として選出してもらったのに、日本の走高跳界が強くなっている中で選ばれなかった選手のことを思うと、本当に申し訳ないです」

自分を責める必要も、誰かに謝罪をする必要もない。もちろん、悔しい気持ちは本人しか知りえないことだろうが、その思いがある限り、真野はまだまだ進化できる。

文/小野哲史

東京世界陸上2日目のイブニングセッションが行われ、男子走高跳予選グループAに出場した真野友博(九電工)は2m21にとどまり、決勝進出記録の2m30に届かず予選敗退に終わった。 「自国開催ということで大歓声がすごくて、試合全体の雰囲気はとても楽しかったのですが、そこで思うような結果が残せなくて悔しいです」 今大会に向けた調整はうまくいき、公式練習から「踏み切れば浮く」という感覚があったという。それを生かすには「最後の踏み切りのブロックで上に上がる」ことがポイントだった。 その意識が奏功し、最初の試技となった2m16と、次の2m21をそれぞれ1回でクリア。しかし、2m25に上がると、「うまく高さにつなげられなかった」と本来の跳躍を見失った。3回連続失敗で予選敗退が決まると、真野はベンチでしばらく動けなかった。 2020年に日本歴代4位タイの2m31を跳び、22年オレゴン世界陸上では日本人初となるファイナルに進出、8位入賞を果たした。23年ブダペスト世界陸上と24年パリ五輪にも出場。ここ2年は助走がうまく行かずに試行錯誤が続いたが、今季は2m29をマークし、3年ぶりに日本選手権を制すなど復調していた。 予選グループBに出場した赤松諒一(SEIBU PRINCE)と瀬古優斗(FAAS)は、ともに2m25をクリアして決勝に駒を進めた。それだけに「僕だけ落ちて気持ちが沈んでいます」というのは正直な気持ちだろうが、真野は「世界陸上期間中は切り替えて、しっかり赤松選手と瀬古選手の応援をしていきたいと思います」と気丈に話した。 ただ、身近で支えてくれた人たちのことを思うと、あふれる涙を堪えることができなかった。 「家族や会社の方々、友人も多く応援に来てくれたのに、決勝の舞台で戦うことができませんでした。日本代表として選出してもらったのに、日本の走高跳界が強くなっている中で選ばれなかった選手のことを思うと、本当に申し訳ないです」 自分を責める必要も、誰かに謝罪をする必要もない。もちろん、悔しい気持ちは本人しか知りえないことだろうが、その思いがある限り、真野はまだまだ進化できる。 文/小野哲史

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.10.30

中越が県高校最高の2時間5分38秒!オール区間賞で2連覇 女子は新潟明訓が首位譲らず3年連続V/新潟県高校駅伝

全国高校駅伝の出場権を懸けた新潟県高校駅伝が10月30日、新潟市のデンカビッグスワンスタジアムを発着とする駅伝周回コースで行われ、男子(7区間42.195km)は、中越が県高校最高記録の2時間5分38秒で2年連続19回目 […]

NEWS 【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第62回「伝統の火を灯し続ける~ある記念品と箱根駅伝予選会~」

2025.10.30

【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第62回「伝統の火を灯し続ける~ある記念品と箱根駅伝予選会~」

山梨学大の上田誠仁顧問の月陸Online特別連載コラム。これまでの経験や感じたこと、想いなど、心のままに綴っていただきます! 第62回「伝統の火を灯し続ける~ある記念品と箱根駅伝予選会~」 1959年~62年まで4年間の […]

NEWS 日本陸連、暑熱下の大会「危険な状況回避して」来年の全中、インターハイは予定変更できず

2025.10.30

日本陸連、暑熱下の大会「危険な状況回避して」来年の全中、インターハイは予定変更できず

日本陸連は10月30日にメディア向けの説明会を開き、暑熱下での競技会運営について、田﨑博道専務理事と強化部・磯貝美奈子部長が登壇して報告した。 日本陸連は7、8月の主催大会において「WBGT(暑さ指数)が31度以上となる […]

NEWS 日本陸連が東京世界陸上を有森裕子会長、田﨑博道専務理事を総括「今回の経験を生かして、つなげていきたい」

2025.10.30

日本陸連が東京世界陸上を有森裕子会長、田﨑博道専務理事を総括「今回の経験を生かして、つなげていきたい」

日本陸連は10月30日、9月に行われた東京世界選手権の総括会見を開き、有森裕子会長、田﨑博道専務理事が登壇した。 日本陸連創設100年の節目に迎えたビッグイベントに対し、「その成功が今後の陸上界の成長、発展につながる」( […]

NEWS 山崎一彦強化委員長が東京世界陸上を総括「今までにない活躍」「底上げができた」選手、指導者の海外経験を推進していく構え

2025.10.30

山崎一彦強化委員長が東京世界陸上を総括「今までにない活躍」「底上げができた」選手、指導者の海外経験を推進していく構え

日本陸連は10月30日、9月に行われた東京世界選手権の総括会見を開き、強化委員会の山崎一彦・強化委員長が登壇した。 34年ぶりに東京開催となった世界選手権で日本代表は銅メダル2を含め、入賞11を数えた。入賞順位からポイン […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年11月号 (10月14日発売)

2025年11月号 (10月14日発売)

東京世界選手権 総特集
箱根駅伝予選会&全日本大学駅伝展望

page top