HOME 国内

2025.08.26

日本陸連 女子選手への遺伝子検査義務「最大限の支援」検査の是非「慎重な議論と判断必要」
日本陸連 女子選手への遺伝子検査義務「最大限の支援」検査の是非「慎重な議論と判断必要」

日本陸連の田﨑博道専務理事

日本陸連は8月26日、世界陸連(WA)が7月24日に新たな規則として承認した「女子カテゴリーの出場資格」についての対応を明らかにした。

WAが承認した規則は、「ワールドランキング対象競技における女子カテゴリーの参加資格として、女子カテゴリーに出場するすべての選手は、SRY遺伝子検査(Y染色体の有無)を受けたことを義務づける(生涯に一度のみ)、検査は頬粘膜、血液検査によって実施される」というもの。2025年9月1日から施行され、東京世界選手権も適用される。

WAは本規則制定にあたって、「女子部門における競技の公正性を保つことは、陸上競技の基本原則。生物学的に女性選手のみとすることが公平性を保つために不可欠」としている。また、WAのセバスチャン・コー会長も「世界陸連が大切にしている理念は、女子スポーツの健全性の保護と促進。生物学的性別を確認する検査は、このことを確実にするための非常に重要なステップ」とコメントするなど、女子選手の“公平性”を徹底していくスタンスだ。

広告の下にコンテンツが続きます

この日、報道陣向けの説明会に登壇した日本陸連の田﨑博道専務理事は、「性の多様性は医学的な観点からも明らかになっているし、保護されるべきというスタンス」としたうえで、遺伝子検査実施の是非について「さまざまな観点から、慎重な議論と判断が必要」と強調した。

日本陸連としては、男子、女子はあくまでも「競技上の便宜から設けられたカテゴリーの名称として理解すべき」という認識だ。ただし、東京世界選手権の女子カテゴリーへのエントリーには必要な検査であることから、「出場を希望する選手には検査の必要性、検査を受けた結果として懸念されるリスクを事前に理解し、選手自身が検査を希望する場合、最大限の配慮を行って検査を受けることができる体制を用意する」(田﨑専務理事)という。

検査の結果によっては再検査を受けることもできるが、それでも出場資格を得られない結果となった場合、「社会的、精神的な苦痛と困難を抱える」可能性がある。また、「この情報は究極の個人情報であり、万が一周囲が知ることになった場合は新たな不利益を生む」と田﨑専務理事は言う。

もちろん、人権的観点からも検査を受けないという選択をすることもできるが、その場合は東京世界選手権出場を希望してもエントリーが「原則できない」(同)ことになる。そのため、日本陸連としては世界陸連と緊密な連携を図り、必要な情報の入手を目指すと同時に、カウンセリングをはじめとした支援を行っていくという。

日本陸連は8月26日、世界陸連(WA)が7月24日に新たな規則として承認した「女子カテゴリーの出場資格」についての対応を明らかにした。 WAが承認した規則は、「ワールドランキング対象競技における女子カテゴリーの参加資格として、女子カテゴリーに出場するすべての選手は、SRY遺伝子検査(Y染色体の有無)を受けたことを義務づける(生涯に一度のみ)、検査は頬粘膜、血液検査によって実施される」というもの。2025年9月1日から施行され、東京世界選手権も適用される。 WAは本規則制定にあたって、「女子部門における競技の公正性を保つことは、陸上競技の基本原則。生物学的に女性選手のみとすることが公平性を保つために不可欠」としている。また、WAのセバスチャン・コー会長も「世界陸連が大切にしている理念は、女子スポーツの健全性の保護と促進。生物学的性別を確認する検査は、このことを確実にするための非常に重要なステップ」とコメントするなど、女子選手の“公平性”を徹底していくスタンスだ。 この日、報道陣向けの説明会に登壇した日本陸連の田﨑博道専務理事は、「性の多様性は医学的な観点からも明らかになっているし、保護されるべきというスタンス」としたうえで、遺伝子検査実施の是非について「さまざまな観点から、慎重な議論と判断が必要」と強調した。 日本陸連としては、男子、女子はあくまでも「競技上の便宜から設けられたカテゴリーの名称として理解すべき」という認識だ。ただし、東京世界選手権の女子カテゴリーへのエントリーには必要な検査であることから、「出場を希望する選手には検査の必要性、検査を受けた結果として懸念されるリスクを事前に理解し、選手自身が検査を希望する場合、最大限の配慮を行って検査を受けることができる体制を用意する」(田﨑専務理事)という。 検査の結果によっては再検査を受けることもできるが、それでも出場資格を得られない結果となった場合、「社会的、精神的な苦痛と困難を抱える」可能性がある。また、「この情報は究極の個人情報であり、万が一周囲が知ることになった場合は新たな不利益を生む」と田﨑専務理事は言う。 もちろん、人権的観点からも検査を受けないという選択をすることもできるが、その場合は東京世界選手権出場を希望してもエントリーが「原則できない」(同)ことになる。そのため、日本陸連としては世界陸連と緊密な連携を図り、必要な情報の入手を目指すと同時に、カウンセリングをはじめとした支援を行っていくという。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.11.28

中国陸連にWA加盟連盟賞 世界室内、ダイヤモンドリーグなど開催 競技会、ロードレースには600万人が参加

世界陸連(WA)は11月28日、ワールド・アスレティックス・アワード2025の加盟連盟賞に中国陸連を選出したと発表した。 加盟連盟賞は、年間を通して顕著な功績を挙げ、陸上競技の発展や知名度向上に大きく貢献した加盟連盟を表 […]

NEWS 青学大、國學院大、中大、早大など11校! 4回目を迎える宮古島大学駅伝の出場予定校発表

2025.11.28

青学大、國學院大、中大、早大など11校! 4回目を迎える宮古島大学駅伝の出場予定校発表

「宮古島大学駅伝ワイドー・ズミ2026」の実行委員会は、11月20日時点の出場予定校を発表した。 箱根駅伝で総合3連覇を狙う青学大や、前回大会で2連覇を飾った國學院大、全日本大学駅伝2位の中大、出雲駅伝で2位の早大など関 […]

NEWS デフリンピック陸上は金5つ含む11個のメダル獲得 円盤投・湯上剛輝、400m山田真樹ら躍動

2025.11.28

デフリンピック陸上は金5つ含む11個のメダル獲得 円盤投・湯上剛輝、400m山田真樹ら躍動

4年に一度、聴覚障者のための世界規模の総合スポーツ競技大会「デフリンピック」が11月26日に閉幕した。創設100周年の節目で初の日本開催だった今回、日本代表は過去最多となる51個のメダルを獲得した。各会場も盛り上がりを見 […]

NEWS 22年世界陸上走幅跳金メダル・王嘉男 ドーピング陽性反応も嫌疑なし AIUが正式に報告

2025.11.28

22年世界陸上走幅跳金メダル・王嘉男 ドーピング陽性反応も嫌疑なし AIUが正式に報告

世界陸連(WA)の独立不正調査機関「アスリート・インテグリティ・ユニット(AIU)」は11月27日、男子走幅跳でオレゴン世界選手権金メダルを獲得した王嘉男(中国)のドーピング疑惑について、違反はなかったことを確認し、処分 […]

NEWS プロ野球選手・筒香嘉智と陸上界がコラボ スポーツの垣根を超えるクリニックを12月に開催

2025.11.27

プロ野球選手・筒香嘉智と陸上界がコラボ スポーツの垣根を超えるクリニックを12月に開催

11月27日、日本陸連は2024年度から取り組むプロジェクト「RIKUJO JAPAN」の一環として、「~スポーツの垣根を超える~ 2025 TSUTSUGO SPORTS ACADEMY FESTIVAL × RIKU […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年12月号 (11月14日発売)

2025年12月号 (11月14日発売)

EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選

Follow-up Tokyo 2025

page top