2025.05.03
女子短距離で数々のトップ選手を育成した北海道ハイテクアスリートクラブ前監督の中村宏之氏が4月29日に79歳で逝去した。その葬儀が5月2日に通夜、5月3日には告別式が恵庭市の斎場で行われた。
現・北海道ハイテクAC監督の北風沙織さん、100mハードルの寺田明日香(ジャパンクリエイト)ら教え子、2008年北京五輪男子4×100mリレー銀メダルの高平慎士さんなど北海道出身の関係者をはじめ、通夜には300人以上、告別式にも多くの参列者が出席。弔辞は恵庭市長の原田裕氏が務めた。
式場には、中村氏が指導人生の後半にメインとしたフレキシブルハードルが並べられたほか、遺影もフレキシブルハードルを前にポロシャツ姿で笑顔を浮かべるものが飾られるなど、穏やかな生前の人柄が表れる式となった。
中村氏は1945年6月9日生まれ。北海道・札幌東高、日体大で三段跳、走幅跳選手として活躍し、卒業後に教員の道へ。競技を続けながら中標津高陸上競技部の指導に携わり、1973年に恵庭北高へ赴任。両校ともにグラウンド作りからスタートする環境だったが、その中から全国区の選手を輩出していく。
インターハイでは78年に走高跳で6位に入ると、その後は継続して入賞者を出していく。1993年には高校3年生の伊藤佳奈恵が100mで11秒62の当時日本記録を樹立する快挙を成し遂げた。
2003年には北風が伊藤以来のインターハイ100m優勝を果たし、05年から07年には寺田が100mハードルでインターハイ3連覇の偉業を達成。寺田は3年時に100m、4×100mリレーを含む3冠に輝いた。
定年退職後は恵庭北高女子監督を務めながら、北海道ハイテクノロジー専門学校顧問、北海道ハイテクAC代表として、直線130mの室内練習場(インドア・スタジアム)を拠点とした短距離のメッカを構築。そこから、女子100m、200mで福島千里(現・順大コーチ)が世界へと飛び立っている。近年でも女子100m日本選手権Vの御家瀬緑(現・住友電工)らを指導した。
1990年代まではウエイトトレーニングを重視し、2000年代に入ってからはフレキシブルハードルやマーク走、体幹の強化などスピードを徹底して追求と、時代や選手に合わせて指導を変化させながら、日本の女子短距離を一気に世界へと近づけた名伯楽。日本陸連女子短距離強化にも携わるなど、その功績は計り知れない。
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
Latest articles 最新の記事
2025.07.12
【大会結果】TWOLAPS MIDDLE DISTANCE CIRCUIT(2025年7月12日)
【大会結果】TWOLAPS MIDDLE DISTANCE CIRCUIT(2025年7月12日/東京・世田谷区立大蔵運動公園競技場) ●男子 800m 東秀太(広島経大)1分47秒13 1500m 中野倫希(トーエネッ […]
2025.07.12
田中希実1500m4分05秒95で快勝も「ラストで止まってしまった。それが心残り」/MDC
◇MIDDLE DISTANCE CIRCUIT(7月12日/東京・世田谷区立大蔵運動公園競技場) 日本グランプリシリーズのMIDDLE DISTANCE CIRCUIT(MDC)が行われ、女子1500mでは、東京世界選 […]
2025.07.12
【女子100m】瀧本椰々子(金光学園高) 11秒59=高2歴代8位
7月12日、岡山市の岡山県陸上競技場で岡山県国スポ選手最終選考会が行われ、女子少年A100mで瀧本椰々子(金光学園高2岡山)が11秒59(+1.4)の高2歴代8位のタイムで優勝した。 瀧本は昨年10月のU18大会で11秒 […]
2025.07.12
【男子200m】伴野智星(静岡市立高) 20秒87=高2歴代9位タイ
7月12日、静岡市の草薙陸上競技場で静岡県選手権が行われ、男子200m予選で伴野智星(静岡市立高2静岡)が20秒87(+1.5)の高2歴代9位タイの好タイムをマークした。 6月のインターハイ東海大会で3位の伴野。これまで […]
2025.07.12
男子十種競技は佐田征義が初日トップ 2位に森口諒也がつける/日本選手権混成
◇第109回日本選手権・混成競技(7月12、13日/岐阜・岐阜メモリアルセンター長良川競技場)1日目 日本選手権混成競技の1日目が行われ、男子十種競技は佐田征義(渡辺パイプ)が3895点でトップに立った。100mを11秒 […]
Latest Issue
最新号

2025年7月号 (6月13日発売)
詳報!アジア選手権
日本インカレ
IH都府県大会