HOME 国内

2025.03.09

佐藤早也伽「練習が自信につながった」選考トップタイムで2大会連続世界陸上へ/名古屋ウィメンズマラソン
佐藤早也伽「練習が自信につながった」選考トップタイムで2大会連続世界陸上へ/名古屋ウィメンズマラソン

名古屋ウィメンズマラソン2025で日本人トップの2位に入った佐藤早也伽(積水化学)

◇名古屋ウィメンズマラソン2025(3月9日/愛知・バンテリンドーム ナゴヤ発着)

東京世界選手権代表選考会を兼ねたJMCシリーズG1の名古屋ウィメンズマラソンが行われ、シェイラ・チェプキルイ(ケニア)が2時間20分40秒で優勝した。

日本勢最上位の2位には佐藤早也伽(積水化学)が入り、世界選手権参加標準(2時間23分30秒)突破、日本歴代9位となる2時間20分59秒をマークした。

「ずっと満足できるレースをしたいと思ってマラソンを続けてきた。後半ペースダウンせずに走り切れてうれしいです」

佐藤は万感の表情でそう語った。

パリ五輪代表入りを目指した昨年1月の大阪国際女子は35kmからの5kmで19分18秒を要するなど、課題は後半と明確。「そこをなんとか改善するために、走り込みを意識してやってきました」。40km走の本数やレースペースを想定した練習などを重ね、この日を迎えた。
最初の5kmは16分42秒と安定したペースで進むが、その後は風などもあってペースの上げ下げがある。中間点は1時間10分37秒。集団の人数が絞られていく中で、佐藤はしっかりとタイムを確認しながらレースを進めた。

広告の下にコンテンツが続きます

30kmでペースメーカーが離脱し、勝負が始まると、チェプキルイ、ユニス・チェビチ・チュンバ(バーレーン)がペースアップ。ここで、代表争いのライバルと見られた加世田梨花(ダイハツ)が離れ、佐藤だけが対応した。

32.6㎞で海外勢がさらにペースアップしたところでいったん離れたが、ここからが「持ち味は粘り強さ」と語った佐藤の真骨頂。33.8㎞からの上りで前との差を詰め、35km過ぎにチュンバに追いつくと、しばらく並走した後にかわして2位に浮上する。

このあたりが「一番きつかったところ」と佐藤。だが、トップを独走するチェプキルイの背中を見つめ、「そこを目標に『負けたくない』と思ってがんばりました」。

そして、ここからトレーニングの成果を発揮。1㎞3分20秒を切るペースで踏ん張り、40kmを2時間13分42秒で通過。世界選手権代表選考においてトップタイムだった、1月の大阪国際2位の小林香菜(大塚製薬)が出した2時間21分19秒を上回るペースに押し上げる。

チェプキルイには届かなかったが、22年のベルリンでマークした自己ベストを2年半ぶりに1分以上更新し、両手を広げてフィニッシュ。指導を受ける野口英盛監督の胸に飛び込んだ。

「自己ベストを出したいという思いで走っていたので、うれしく思います」と佐藤は、「やってきた練習が自信につながりました」と振り返る。

20年に初マラソン日本歴代6位(当時)の2時間23分27秒を出した名古屋で、再び快走。東京世界選手権代表選考レースにおけるトップタイムで、2大会連続の代表入りへ大きく前進した。

23年ブダペスト世界選手権では力を発揮できず、20位にとどまっている。「レベルアップして、世界と戦っていける選手になれるようがんばりたい」。その言葉に、30歳の覚悟がにじんだ。

◇名古屋ウィメンズマラソン2025(3月9日/愛知・バンテリンドーム ナゴヤ発着) 東京世界選手権代表選考会を兼ねたJMCシリーズG1の名古屋ウィメンズマラソンが行われ、シェイラ・チェプキルイ(ケニア)が2時間20分40秒で優勝した。 日本勢最上位の2位には佐藤早也伽(積水化学)が入り、世界選手権参加標準(2時間23分30秒)突破、日本歴代9位となる2時間20分59秒をマークした。 「ずっと満足できるレースをしたいと思ってマラソンを続けてきた。後半ペースダウンせずに走り切れてうれしいです」 佐藤は万感の表情でそう語った。 パリ五輪代表入りを目指した昨年1月の大阪国際女子は35kmからの5kmで19分18秒を要するなど、課題は後半と明確。「そこをなんとか改善するために、走り込みを意識してやってきました」。40km走の本数やレースペースを想定した練習などを重ね、この日を迎えた。 最初の5kmは16分42秒と安定したペースで進むが、その後は風などもあってペースの上げ下げがある。中間点は1時間10分37秒。集団の人数が絞られていく中で、佐藤はしっかりとタイムを確認しながらレースを進めた。 30kmでペースメーカーが離脱し、勝負が始まると、チェプキルイ、ユニス・チェビチ・チュンバ(バーレーン)がペースアップ。ここで、代表争いのライバルと見られた加世田梨花(ダイハツ)が離れ、佐藤だけが対応した。 32.6㎞で海外勢がさらにペースアップしたところでいったん離れたが、ここからが「持ち味は粘り強さ」と語った佐藤の真骨頂。33.8㎞からの上りで前との差を詰め、35km過ぎにチュンバに追いつくと、しばらく並走した後にかわして2位に浮上する。 このあたりが「一番きつかったところ」と佐藤。だが、トップを独走するチェプキルイの背中を見つめ、「そこを目標に『負けたくない』と思ってがんばりました」。 そして、ここからトレーニングの成果を発揮。1㎞3分20秒を切るペースで踏ん張り、40kmを2時間13分42秒で通過。世界選手権代表選考においてトップタイムだった、1月の大阪国際2位の小林香菜(大塚製薬)が出した2時間21分19秒を上回るペースに押し上げる。 チェプキルイには届かなかったが、22年のベルリンでマークした自己ベストを2年半ぶりに1分以上更新し、両手を広げてフィニッシュ。指導を受ける野口英盛監督の胸に飛び込んだ。 「自己ベストを出したいという思いで走っていたので、うれしく思います」と佐藤は、「やってきた練習が自信につながりました」と振り返る。 20年に初マラソン日本歴代6位(当時)の2時間23分27秒を出した名古屋で、再び快走。東京世界選手権代表選考レースにおけるトップタイムで、2大会連続の代表入りへ大きく前進した。 23年ブダペスト世界選手権では力を発揮できず、20位にとどまっている。「レベルアップして、世界と戦っていける選手になれるようがんばりたい」。その言葉に、30歳の覚悟がにじんだ。
       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.05.17

走高跳・髙橋渚が初国立「1m90以上狙いたい」女王マフチフと競演「楽しみ」/セイコーGGP

◇セイコーゴールデングランプリ2025(5月18日/東京・国立競技場) 世界陸連(WA)コンチネンタルツアー・ゴールドのセイコーゴールデングランプリの前日会見が国立競技場で行われ、女子走高跳の髙橋渚(センコー)が登壇した […]

NEWS 女子走高跳世界記録保持者・マフチフ「信じられないぐらいのパフォーマンスを」/セイコーGGP

2025.05.17

女子走高跳世界記録保持者・マフチフ「信じられないぐらいのパフォーマンスを」/セイコーGGP

◇セイコーゴールデングランプリ2025(5月18日/東京・国立競技場) 世界陸連(WA)コンチネンタルツアー・ゴールドのセイコーゴールデングランプリの前日会見が国立競技場で行われ、女子走高跳の世界記録(2m10)保持者で […]

NEWS 110mH村竹ラシッド「12秒台を出す!」DL2戦終え大きな手応え/セイコーGGP

2025.05.17

110mH村竹ラシッド「12秒台を出す!」DL2戦終え大きな手応え/セイコーGGP

◇セイコーゴールデングランプリ2025(5月18日/東京・国立競技場) 世界陸連(WA)コンチネンタルツアー・ゴールドのセイコーゴールデングランプリの前日会見が国立競技場で行われ、男子110mハードル日本記録保持者でパリ […]

NEWS 400mH連覇に挑む豊田兼「優勝となると47秒台が必要。そこを目指したい」/セイコーGGP

2025.05.17

400mH連覇に挑む豊田兼「優勝となると47秒台が必要。そこを目指したい」/セイコーGGP

◇セイコーゴールデングランプリ2025(5月18日/東京・国立競技場) 世界陸連(WA)コンチネンタルツアー・ゴールドのセイコーゴールデングランプリの前日会見が国立競技場で行われ、男子110mハードルの村竹ラシッド(JA […]

NEWS 走幅跳出場の泉谷駿介 「標準突破したい」 2種目世界陸上へビッグジャンプ誓う/セイコーGGP

2025.05.17

走幅跳出場の泉谷駿介 「標準突破したい」 2種目世界陸上へビッグジャンプ誓う/セイコーGGP

◇セイコーゴールデングランプリ2025(5月18日/東京・国立競技場) 世界陸連(WA)コンチネンタルツアー・ゴールドのセイコーゴールデングランプリの前日会見が国立競技場で行われ、男子走幅跳に出場する泉谷駿介(住友電工) […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年6月号 (5月14日発売)

2025年6月号 (5月14日発売)

Road to TOKYO
Diamond League JAPANの挑戦
村竹ラシッド、三浦龍司が初戦で世界陸上内定

Road to EKIDEN Season 25-26
学生長距離最新戦力分析