2024.10.29
中学時代の練習は自己流
――陸上を始めたのはいつですか。
若菜 中学1年生からです。3歳上の姉が陸上部に入っていて、僕が小学生の頃、大会を見て行って「いいなぁ」と。ただ、足は特別に速かったわけではありませんでした。
――他のスポーツは取り組んでいましたか。
若菜 小学5年生から中学1年まで野球をやっていました。最初は軟式で、小学6年生の途中からボーイズリーグに入りました。中学で陸上部に入りましたが、当時は野球のほうがメインでした。
――陸上に専念するきっかけは。
若菜 中学1年の冬頃からコロナ禍で野球の練習ができなくなりました。学校も休校になって、自分で走るようになり、中学2年の秋から本格的に陸上を取り組むようになりました。
――当時はどんな練習をしていましたか。
若菜 顧問の先生はいましたが、陸上専門ではなかったので、部員各自で練習する状況でした。僕はインターネットやYouTubeに出ているトレーニングを参考にしていました。
――3年生では200mで全中4位に入っています。
若菜 200mを始めたのは3年生の春です。最初のレースで22秒90が出て、自分の適性種目が見つかったので、そのまま取り組みました。全中で入賞した時は自分でも驚きました。
――佐野高校での練習は大変でしたか。
若菜 メニューは知らないものだらけでした。中学ではやったことのないドリルは最初、勝手がわからなくて……。でも、楽しみながら覚えていきました。
――高校で陸上のトレーニングをしっかり積んでいくことで記録が伸びていきました。
若菜 高校1年の関東高校新人では21秒34(当時の高1歴代10位タイ)を出して優勝することができました。その後は冬季練習でしっかりと基礎を作ることができて、2年生の成績(U20日本選手権での優勝)につながったと思います。
――佐野高は大学進学にも力を入れていますが、大学ではどんな勉強がしたいですか。
若菜 興味があるのが動作分析です。今後はバイオメカニクスを学びたいと思っているので、理系クラスに入っています。
――陸上以外の分野を含めて、将来の目標はありますか。
若菜 まずは陸上を続けてオリンピックに出場して結果を出したいと思っています。
◎構成/井上敦
インターハイ200mV、U20世界選手権は準決勝へ
――2024年のシーズンが終了したとうかがいました。どんな1年でしたか。 若菜 今年はU20世界選手権でファイナル(決勝進出)に進んで、4年後のオリンピック出場につなげていきたいと、考えていました。しっかり準備してU20世界選手権に出場することはできましたが、準決勝で終わったので、僕としてはもう一歩だったのかなと思っています。 ――決勝に進めそうな手応えはあったのですか。 若菜 大会前のランキングでは6番(20秒61)だったので、ファイナルは行けるのではないかと思っていました。うまくいけばメダルも取れると思っていましたが、日本では体験したことのない海外大会特有の雰囲気に適応できなかったです。 ――国内の大会とは違いましたか。 若菜 夏の日本と違って現地は気温も低くて、まず気候で戸惑いました。実は現地に着いて体調もそんなに万全ではありませんでした。また、トラックの硬さの違いもありました。日本の高速トラックとはまた違う硬さでした。 ――海外選手の様子を教えてください。 若菜 200mで銀メダルを取った豪州の選手(ガウト・ガウト)が準決勝で同じ組だったのですが、レース前に大きな声を出して、その雰囲気に圧倒されました。 ――一緒に行った日本代表選手から参考になったことはありましたか。 若菜 僕もそうでしたが、パック入りのご飯やインスタントのみそ汁を持ってきた選手がいました。海外大会に行くと現地の食べ物や、大会の雰囲気に慣れるのも大事だと思いますが、日本にいるような、普段と同じペースで過ごすことも必要なのかなとも感じました。そういった面を含め、大きな経験を積むことができました。 ――福岡インターハイについて振り返っていただけますか。 若菜 U20世界選手権代表が決まっていたので、優勝してペルーに行きたかったので、勝ち切ることができて良かったです。 ――インターハイでは準決勝(20秒71/-0.2)、決勝(20秒61/+0.1=高校歴代4位)と、昨年出した自己ベスト(20秒78)を更新しました。 若菜 6月下旬のU20日本選手権で佐藤克樹選手(東京学館新潟2)に前半で大きくリードされて、2位に終わっていたので、インターハイでは「前半から意識的にもう少し速く入ろう」と考えていました。その結果、自己新を連発できました。決勝の前半は巻き返せる位置で走って、自信のある後半につなげることができたと思います。 ――シーズンを終えて今後必要なことを教えてください。 若菜 トップスピードを上げることは大切ですが、加速局面でいかに早くトップスピードに到達できるかが、課題だと思っています。そのために筋力を高めたりして、身体作りをしていくつもりです。当面は200mを中心にして、いずれは100mも力を入れていきたいです。 ――参考とする選手や手本となる選手はいますか。 若菜 パリ五輪男子200mで金メダルを取ったレツィレ・テボゴ(ボツワナ)や、ノア・ライルズ(米国)の動画は見ます。ただ、僕としては誰かのような走りではなく、自分のスタイルで特徴を出していきたいです。 ――今後の目標は。 若菜 200mで4年後のオリンピック出場が目標です。U20世界選手権に出ましたが、今後も世界のレースに出て、経験を増やしたいと思っています。中学時代の練習は自己流
――陸上を始めたのはいつですか。 若菜 中学1年生からです。3歳上の姉が陸上部に入っていて、僕が小学生の頃、大会を見て行って「いいなぁ」と。ただ、足は特別に速かったわけではありませんでした。 ――他のスポーツは取り組んでいましたか。 若菜 小学5年生から中学1年まで野球をやっていました。最初は軟式で、小学6年生の途中からボーイズリーグに入りました。中学で陸上部に入りましたが、当時は野球のほうがメインでした。 ――陸上に専念するきっかけは。 若菜 中学1年の冬頃からコロナ禍で野球の練習ができなくなりました。学校も休校になって、自分で走るようになり、中学2年の秋から本格的に陸上を取り組むようになりました。 ――当時はどんな練習をしていましたか。 若菜 顧問の先生はいましたが、陸上専門ではなかったので、部員各自で練習する状況でした。僕はインターネットやYouTubeに出ているトレーニングを参考にしていました。 ――3年生では200mで全中4位に入っています。 若菜 200mを始めたのは3年生の春です。最初のレースで22秒90が出て、自分の適性種目が見つかったので、そのまま取り組みました。全中で入賞した時は自分でも驚きました。 [caption id="attachment_150567" align="alignnone" width="800"] 24年U20世界選手権200mでは準決勝に進んだ若菜敬選手(中央)写真:Sergio Mateo Maria(Sportmedia)[/caption] ――佐野高校での練習は大変でしたか。 若菜 メニューは知らないものだらけでした。中学ではやったことのないドリルは最初、勝手がわからなくて……。でも、楽しみながら覚えていきました。 ――高校で陸上のトレーニングをしっかり積んでいくことで記録が伸びていきました。 若菜 高校1年の関東高校新人では21秒34(当時の高1歴代10位タイ)を出して優勝することができました。その後は冬季練習でしっかりと基礎を作ることができて、2年生の成績(U20日本選手権での優勝)につながったと思います。 ――佐野高は大学進学にも力を入れていますが、大学ではどんな勉強がしたいですか。 若菜 興味があるのが動作分析です。今後はバイオメカニクスを学びたいと思っているので、理系クラスに入っています。 ――陸上以外の分野を含めて、将来の目標はありますか。 若菜 まずは陸上を続けてオリンピックに出場して結果を出したいと思っています。 ◎構成/井上敦若菜敬 PROFILE
◎わかな・けい/2006年10月4日生まれ。栃木県栃木市出身。大平中―佐野高。中学1年で陸上を始める。中学3年時の21年全中200mで4位入賞。同年のU16大会150mにも出場している。高校1年時の22年インターハイには4×100mリレーのアンカーとして出場。高校2年の23年はU20日本選手権200mを制すると、インターハイでは4位に入った。今季はU20日本選手権で2位に終わったものの、インターハイでは優勝。U20世界選手権では200m(準決勝進出)と4×100mリレー(2走、予選)の2種目に出場した。また、秋の佐賀国スポでは成年少年共通4×100mリレーで栃木の2走を務め、準決勝に進んでいる。自己ベストは100m10秒53(23年)、200m20秒61(24年) [caption id="attachment_150566" align="alignnone" width="800"] 若菜敬選手(24年インターハイ)[/caption]
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