HOME 国内

2024.10.28

走幅跳・橋岡優輝「勝負の1年」に向けて渡米 パリ五輪での失意から「多くの人に支えられていたと実感」
走幅跳・橋岡優輝「勝負の1年」に向けて渡米 パリ五輪での失意から「多くの人に支えられていたと実感」

男子走幅跳の橋岡優輝(富士通)

男子走幅跳の橋岡優輝(富士通)が10月28日、練習拠点の米国へ渡る前に羽田空港で取材に応じた。

「1ヵ月半、しっかり休みました」というオフを経て、引き締まった表情を見せる。そこには来年9月、東京で迎える世界選手権に懸ける思いがあふれていた。

「来年は勝負の1年になります。そこでこけないためにも、『やり切ったな』と思えるような冬季にして、来シーズンを迎えたい」

広告の下にコンテンツが続きます

2度目の五輪だったら8月、パリでこれまで味わったことのない悔しさを経験した。予選で7m81(±0)にとどまり、全体の17位で予選敗退。「陸上を辞めたいと思うぐらいに落ち込んだ」という。

今も、そのショックから完全に抜け出たわけではない。だが、家族や仲間、恩師などさまざまな人とリラックスした時間を過ごしたり、母校の八王子高(東京)を訪問したり、同じタンブルウィードTCで汗を流すサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)が主宰した「DAWN GAMES」に参加したりする中で、橋岡の中に芽生えてきたものがある。

「今までは自分の結果のためにやってきた部分が大きかったんですけど、いろいろな人と接した中で、たくさんの人たちに支えられてきたということを改めて実感する時間になりました」

広告の下にコンテンツが続きます

U20世界選手権で金メダル、2019年ドーハ世界選手権(8位)、21年東京五輪(6位)で連続入賞と世界への飛躍を遂げた20代序盤を経て、22年以降は苦しい戦いが続く。練習拠点も米国へ移し、技術も一から作り上げ、覚悟を持って挑んだパリ五輪でも、望んだ結果は得られなかった。

それでも、橋岡は再び前を向く。国内で勝つ、世界大会に出るということではなく、自身が目指すのは「世界の頂点」。それを求める中で、「今、辞めることは逃げることになるんじゃないか。そういう理性が勝ちました」。

米国では、世界トップ選手たちと練習に励む日々に没頭する。例年よりも1ヵ月遅い9月開催の世界選手権にピークを持ってくるためのスケジュール、トレーニング計画は、「まだ明確にはなっていません」。だが、「しっかりとコーチと話し合って、着実に強くなることだけを考えて一つひとつやっていければなと思っています」。

これまで取り組んできたことは「やっと形になり始めたというか、力はついてきたなと感じ始めています」と橋岡。あとは、「全体的な流れの不安定感がつきまとっている」ことが課題だ。

「そこをどう払拭して、定着できるかを今一度深く考えて、この冬季練習をやっていきたいと思っています」

そう力強く語り、まっすぐ前を見据えた。

男子走幅跳の橋岡優輝(富士通)が10月28日、練習拠点の米国へ渡る前に羽田空港で取材に応じた。 「1ヵ月半、しっかり休みました」というオフを経て、引き締まった表情を見せる。そこには来年9月、東京で迎える世界選手権に懸ける思いがあふれていた。 「来年は勝負の1年になります。そこでこけないためにも、『やり切ったな』と思えるような冬季にして、来シーズンを迎えたい」 2度目の五輪だったら8月、パリでこれまで味わったことのない悔しさを経験した。予選で7m81(±0)にとどまり、全体の17位で予選敗退。「陸上を辞めたいと思うぐらいに落ち込んだ」という。 今も、そのショックから完全に抜け出たわけではない。だが、家族や仲間、恩師などさまざまな人とリラックスした時間を過ごしたり、母校の八王子高(東京)を訪問したり、同じタンブルウィードTCで汗を流すサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)が主宰した「DAWN GAMES」に参加したりする中で、橋岡の中に芽生えてきたものがある。 「今までは自分の結果のためにやってきた部分が大きかったんですけど、いろいろな人と接した中で、たくさんの人たちに支えられてきたということを改めて実感する時間になりました」 U20世界選手権で金メダル、2019年ドーハ世界選手権(8位)、21年東京五輪(6位)で連続入賞と世界への飛躍を遂げた20代序盤を経て、22年以降は苦しい戦いが続く。練習拠点も米国へ移し、技術も一から作り上げ、覚悟を持って挑んだパリ五輪でも、望んだ結果は得られなかった。 それでも、橋岡は再び前を向く。国内で勝つ、世界大会に出るということではなく、自身が目指すのは「世界の頂点」。それを求める中で、「今、辞めることは逃げることになるんじゃないか。そういう理性が勝ちました」。 米国では、世界トップ選手たちと練習に励む日々に没頭する。例年よりも1ヵ月遅い9月開催の世界選手権にピークを持ってくるためのスケジュール、トレーニング計画は、「まだ明確にはなっていません」。だが、「しっかりとコーチと話し合って、着実に強くなることだけを考えて一つひとつやっていければなと思っています」。 これまで取り組んできたことは「やっと形になり始めたというか、力はついてきたなと感じ始めています」と橋岡。あとは、「全体的な流れの不安定感がつきまとっている」ことが課題だ。 「そこをどう払拭して、定着できるかを今一度深く考えて、この冬季練習をやっていきたいと思っています」 そう力強く語り、まっすぐ前を見据えた。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.09.15

100mH中島ひとみは初の国際大会でセミファイナリスト 「みなさんから大輪の花束をいただいた感じ」/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)3日目 東京世界陸上の3日目のイブニングセッションが行われ、女子100mハードルの準決勝2組に出場した中島ひとみ(長谷川体育施設)は13秒02(-0.2)で組7着で駆け抜け […]

NEWS 棒高跳デュプランティスが6m30クリア!!今季4度目の世界新、国立の夜空に舞う/東京世界陸上

2025.09.15

棒高跳デュプランティスが6m30クリア!!今季4度目の世界新、国立の夜空に舞う/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)3日目 東京世界陸上3日目のイブニングセッションが行われ、男子棒高跳のアルマンド・デュプランティス(スウェーデン)が6m30の世界新記録で3連覇を飾った。 今大会最初の世界 […]

NEWS 3000m障害・三浦龍司が最終盤までメダル争い 「間違いなく手応えはある」 最終障害後に順位落とす/東京世界陸上

2025.09.15

3000m障害・三浦龍司が最終盤までメダル争い 「間違いなく手応えはある」 最終障害後に順位落とす/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)3日目 東京世界陸上3日目のイブニングセッションが行われ、男子3000m障害決勝で三浦龍司(SUBARU)が8分35秒90で8位に入った。23年ブダペスト大会に続く、2大会 […]

NEWS 100mH・福部真子は準決勝で敗退も「大歓声の中で2レースを走れたのはすごく財産」/東京世界陸上

2025.09.15

100mH・福部真子は準決勝で敗退も「大歓声の中で2レースを走れたのはすごく財産」/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)3日目 東京世界陸上3日目のイブニングセッションが行われ、女子100mハードル準決勝1組で福部真子(日本建設工業)は13秒06(-0.5)で7着に終わった。 福部は反応良く […]

NEWS 女子100mH中島ひとみは準決勝13秒02で組7着 序盤は上位争いを繰り広げる/東京世界陸上

2025.09.15

女子100mH中島ひとみは準決勝13秒02で組7着 序盤は上位争いを繰り広げる/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)3日目 東京世界陸上の3日目のイブニングセッションが行われ、女子100mハードルの準決勝2組に出場した中島ひとみ(長谷川体育施設)は13秒02(-0.2)で組7着となり、各 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年10月号 (9月9日発売)

2025年10月号 (9月9日発売)

【別冊付録】東京2025世界陸上観戦ガイド
村竹ラシッド/桐生祥秀/中島佑気ジョセフ/中島ひとみ/瀬古優斗
【Coming EKIDEN Season 25-26】
学生長距離最新戦力分析/青学大/駒大/國學院大/中大/

page top