HOME 国内

2023.06.11

「お待たせしました!」大器・丸山優真がついに初戴冠 ケガ乗り越え日本歴代6位7816点/日本選手権混成
「お待たせしました!」大器・丸山優真がついに初戴冠 ケガ乗り越え日本歴代6位7816点/日本選手権混成

23年日本選手権十種競技で日本一になった丸山優真(中央)

◇第107回日本選手権・混成競技(6月10、11日/秋田県立中央公園陸上競技場)

第107回日本選手権・混成競技が行われ、男子十種競技は丸山優真(住友電工)が日本歴代6位の7816点で優勝した。

「お待たせしました!」

広告の下にコンテンツが続きます

両腕でガッツポーズし、誇らしく胸を張る。大器がついに日本一の座に就いた。初日を3980点のトップで折り返した丸山。初日で「圧迫した」足首の影響で2日目最初の110mハードルを14秒41(-0.1)にとどまる。

ただ、棒高跳では4m50で後がない2回失敗のあと、3回目に成功させる。結果的に4m70までクリア。ここが優勝への大きな一歩となった。「練習してきた」という1500mでは4分33秒85の自己新。「高校以来のベスト。他の9種目以外はベストだったんです。100点満点をあげたい」と笑う。

足首は決して万全ではなかったが、「十種競技は誰もが何かしら(ケガなど)あります。世界と戦うためにやりきらないといけない」。これまで背中を追いかけてきた日本記録保持者・右代啓祐(国士舘クラブ)、そしてこの日、引退を決意して臨んだ中村明彦(スズキ)について「そういう中でも8300点、8100点を出されてきた」。そう思えるようになったのが「一番成長したところ」だと言う。

広告の下にコンテンツが続きます

日本一までの道のりは「長かった」。高校時代に八種競技でインターハイを制し、高校記録を樹立。初の十種競技(U20規格)でU20アジア選手権を優勝した。十種競技の『大器』として期待を一身に集めてきたが、その体格や出力、ポテンシャルがあるからこそ、「負荷の高い練習をして、ケガをして、を繰り返してきた」。

大学時代には胸椎分離症を患い、運動自体をストップ。日常生活を送れるかどうかというところまできた。幼い頃からスポーツ万能、身体を動かし続けてきた男にとって地獄のような日々だった。

それでも「周囲や応援してくれる人たちの支え」と、我慢の日々、地道なリハビリの日々で奇跡的に回復。グラウンドに戻ってきた。

今年2月にはアジア室内選手権(七種競技)で金メダルを獲得。5月の木南記念を見送ったのも日本選手権でしっかり勝ちきるためだった。

レジェンドの1人が最後の日本選手権を迎えた大会で誕生した新たなキング。「アジア選手権に選ばれたら、そこで8000点以上を取って優勝したい。ブダペスト世界選手権、そして一番の目標に見据えているパリ五輪に絶対出るつもりで頑張っていきます」。

まだまだ無名だった高校生の頃、SNSで絶対王者・右代に「右代さんに知ってもらえるほど有名になります」とメッセージを送った少年が、この日、ついに日本一になった。その右代は「元々、日本一になるポテンシャルのあった選手で、やっと、です。日本一に収まる器ではない」と言った。

十種競技の大器は、いよいよ国際舞台で本領発揮する時が来た。

◇第107回日本選手権・混成競技(6月10、11日/秋田県立中央公園陸上競技場) 第107回日本選手権・混成競技が行われ、男子十種競技は丸山優真(住友電工)が日本歴代6位の7816点で優勝した。 「お待たせしました!」 両腕でガッツポーズし、誇らしく胸を張る。大器がついに日本一の座に就いた。初日を3980点のトップで折り返した丸山。初日で「圧迫した」足首の影響で2日目最初の110mハードルを14秒41(-0.1)にとどまる。 ただ、棒高跳では4m50で後がない2回失敗のあと、3回目に成功させる。結果的に4m70までクリア。ここが優勝への大きな一歩となった。「練習してきた」という1500mでは4分33秒85の自己新。「高校以来のベスト。他の9種目以外はベストだったんです。100点満点をあげたい」と笑う。 足首は決して万全ではなかったが、「十種競技は誰もが何かしら(ケガなど)あります。世界と戦うためにやりきらないといけない」。これまで背中を追いかけてきた日本記録保持者・右代啓祐(国士舘クラブ)、そしてこの日、引退を決意して臨んだ中村明彦(スズキ)について「そういう中でも8300点、8100点を出されてきた」。そう思えるようになったのが「一番成長したところ」だと言う。 日本一までの道のりは「長かった」。高校時代に八種競技でインターハイを制し、高校記録を樹立。初の十種競技(U20規格)でU20アジア選手権を優勝した。十種競技の『大器』として期待を一身に集めてきたが、その体格や出力、ポテンシャルがあるからこそ、「負荷の高い練習をして、ケガをして、を繰り返してきた」。 大学時代には胸椎分離症を患い、運動自体をストップ。日常生活を送れるかどうかというところまできた。幼い頃からスポーツ万能、身体を動かし続けてきた男にとって地獄のような日々だった。 それでも「周囲や応援してくれる人たちの支え」と、我慢の日々、地道なリハビリの日々で奇跡的に回復。グラウンドに戻ってきた。 今年2月にはアジア室内選手権(七種競技)で金メダルを獲得。5月の木南記念を見送ったのも日本選手権でしっかり勝ちきるためだった。 レジェンドの1人が最後の日本選手権を迎えた大会で誕生した新たなキング。「アジア選手権に選ばれたら、そこで8000点以上を取って優勝したい。ブダペスト世界選手権、そして一番の目標に見据えているパリ五輪に絶対出るつもりで頑張っていきます」。 まだまだ無名だった高校生の頃、SNSで絶対王者・右代に「右代さんに知ってもらえるほど有名になります」とメッセージを送った少年が、この日、ついに日本一になった。その右代は「元々、日本一になるポテンシャルのあった選手で、やっと、です。日本一に収まる器ではない」と言った。 十種競技の大器は、いよいよ国際舞台で本領発揮する時が来た。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.09.16

MOWAドネーションセレモニーにレジェンド集結 アスリートゆかりの品を寄贈

世界陸連(WA)の「世界陸上競技博物館」(MOWA)が東京世界陸上開催期間中に展示されている東京都庁で16日、ドネーションセレモニーが執り行われた。 MOWAは、これまで活躍してきた世界中のレジェンドたちが紡いできた歴史 […]

NEWS 三浦龍司「やっぱり悔しかった」関心高まるサンショー「世界との壁超えていける種目」/東京世界陸上

2025.09.16

三浦龍司「やっぱり悔しかった」関心高まるサンショー「世界との壁超えていける種目」/東京世界陸上

東京世界陸上3日目のイブニングセッションに行われた男子3000m障害で8位入賞を果たした三浦龍司(SUBARU)が都内でOnのイベントに出席。その後、報道陣の取材に応じた。 テレビやSNSなどで映像を見返すと「会場の雰囲 […]

NEWS 男子1500mパリ五輪金ホッカー 準決勝の妨害行為で失格 米国陸連の上訴却下に、ファンは署名活動/東京世界陸上

2025.09.16

男子1500mパリ五輪金ホッカー 準決勝の妨害行為で失格 米国陸連の上訴却下に、ファンは署名活動/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場) 東京世界陸上の3日目に行われた男子1500m準決勝において、パリ五輪金メダリストのコール・ホッカー(米国)がレース中の妨害行為により失格となり、波紋を呼んでいる。 レース […]

NEWS 8位入賞の三浦龍司「世界一が目標」金メダルのビーミッシュと対談/東京世界陸上

2025.09.16

8位入賞の三浦龍司「世界一が目標」金メダルのビーミッシュと対談/東京世界陸上

東京世界陸上の男子3000m障害で2大会連続入賞となる8位に入った三浦龍司(SUBARU)がレース翌日の16日、契約するOnのイベントに登壇し、同じくOn契約選手で同レースで金メダルを手にしたジョージ・ビーミッシュ(ニュ […]

NEWS 男子走幅跳世界記録保持者マイク・パウエル氏に資格停止処分

2025.09.16

男子走幅跳世界記録保持者マイク・パウエル氏に資格停止処分

9月12日、アスリート・インテグリティー・ユニット(AIU、世界陸連の独立不正監査機関)は、男子走幅跳世界記録保持者のM.パウエル氏(米国)が暫定的な資格停止処分を受けることを発表した。 AIUは処分の理由を安全確保上の […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年10月号 (9月9日発売)

2025年10月号 (9月9日発売)

【別冊付録】東京2025世界陸上観戦ガイド
村竹ラシッド/桐生祥秀/中島佑気ジョセフ/中島ひとみ/瀬古優斗
【Coming EKIDEN Season 25-26】
学生長距離最新戦力分析/青学大/駒大/國學院大/中大/

page top