HOME 国内

2025.06.25

尾縣貢氏が日本陸連会長を退任 専務理事時代から東日本大震災、コロナ禍乗り越え発展に尽力「身近に陸上がある生活目指して」
尾縣貢氏が日本陸連会長を退任 専務理事時代から東日本大震災、コロナ禍乗り越え発展に尽力「身近に陸上がある生活目指して」

日本陸連会長を退任した尾縣貢氏

日本陸連は6月25日に理事会を開催し、新会長に有森裕子氏が就任することを決め、発表した。今年3月で設立100年を迎えた日本陸連において、女性が会長を務めるのは初となる。

2011年に専務理事、2021年から会長と、日本陸連の中枢を歴任した尾縣氏は、「専務理事就任時は東日本大震災直後、会長はコロナ禍真っただ中でした。それぞれに本当に大変なことがありましたが、多くの人たちの支えで、任期を全うすることができました」と感謝の言葉を述べた。

専務理事、会長を務めた14年のうち、前半は「組織基盤、経営基盤の強化に力を入れた」と尾縣氏。加盟団体の法人化、学連や実業団など協力団体との関係強化などを進めていったという。

広告の下にコンテンツが続きます

中盤からは、「陸連が目指す方向性を明確化」し、実行していくことに注力。2018年にJAAF VISIONを掲げ、「国際競技力の向上」「ウエルネス陸上の実現」を2本柱とした中長期目標を設定した。また、日本陸連100周年を機に立ち上げた「RIKUJO JAPAN」プロジェクトで「老若男女、誰もが気軽に陸上に参加できる大きなプラットフォームを作ろうとしている」。

それらの取り組みを「かなりいいレベルに行っている」とうなずきつつ、「強化のみなさんの努力とともに、それを支えていただいた事務局をはじめ、多くの人たちの尽力の成果」と語る。

元十種競技のトップアスリートだった尾縣氏だが、「私自身は一時、トップから大きく離れたところにいて、強化第一主義にはかなり反発を起こしていた」と言う。そこには、「スポーツの価値はもっと多様にしないといけない」という強い思いがあったことを明かす。その思いを表現したものが「ウエルネス陸上」だ。

「子どもたちが陸上を始めて、年老いても歩いたり走ったりできるような、そんな世界が実現したいという思いでやってきました。今まではベクトルが国際競技力向上だけに向いていたものが、多くの人たちが楽しめる陸上をなんとか具現がしようというところに、一歩踏み出すことができた」

新たな100年に向けて、「陸上競技は本当に単純で、一番身近なスポーツ。誰もがアクセスできる陸上であってほしいと思います」と期待を寄せる。そして、「そのためには、もしかしたら街づくりから始めないといけないかもしれません。行政ともタイアップしながら、どこでも歩けたり、走れたりする、そんな街づくりをやっていく必要がある。身近に陸上がある生活、そういうものを目指していただいきたい。それこそ陸上の価値だと思いっています」と締めくくった。

日本陸連は6月25日に理事会を開催し、新会長に有森裕子氏が就任することを決め、発表した。今年3月で設立100年を迎えた日本陸連において、女性が会長を務めるのは初となる。 2011年に専務理事、2021年から会長と、日本陸連の中枢を歴任した尾縣氏は、「専務理事就任時は東日本大震災直後、会長はコロナ禍真っただ中でした。それぞれに本当に大変なことがありましたが、多くの人たちの支えで、任期を全うすることができました」と感謝の言葉を述べた。 専務理事、会長を務めた14年のうち、前半は「組織基盤、経営基盤の強化に力を入れた」と尾縣氏。加盟団体の法人化、学連や実業団など協力団体との関係強化などを進めていったという。 中盤からは、「陸連が目指す方向性を明確化」し、実行していくことに注力。2018年にJAAF VISIONを掲げ、「国際競技力の向上」「ウエルネス陸上の実現」を2本柱とした中長期目標を設定した。また、日本陸連100周年を機に立ち上げた「RIKUJO JAPAN」プロジェクトで「老若男女、誰もが気軽に陸上に参加できる大きなプラットフォームを作ろうとしている」。 それらの取り組みを「かなりいいレベルに行っている」とうなずきつつ、「強化のみなさんの努力とともに、それを支えていただいた事務局をはじめ、多くの人たちの尽力の成果」と語る。 元十種競技のトップアスリートだった尾縣氏だが、「私自身は一時、トップから大きく離れたところにいて、強化第一主義にはかなり反発を起こしていた」と言う。そこには、「スポーツの価値はもっと多様にしないといけない」という強い思いがあったことを明かす。その思いを表現したものが「ウエルネス陸上」だ。 「子どもたちが陸上を始めて、年老いても歩いたり走ったりできるような、そんな世界が実現したいという思いでやってきました。今まではベクトルが国際競技力向上だけに向いていたものが、多くの人たちが楽しめる陸上をなんとか具現がしようというところに、一歩踏み出すことができた」 新たな100年に向けて、「陸上競技は本当に単純で、一番身近なスポーツ。誰もがアクセスできる陸上であってほしいと思います」と期待を寄せる。そして、「そのためには、もしかしたら街づくりから始めないといけないかもしれません。行政ともタイアップしながら、どこでも歩けたり、走れたりする、そんな街づくりをやっていく必要がある。身近に陸上がある生活、そういうものを目指していただいきたい。それこそ陸上の価値だと思いっています」と締めくくった。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.11.11

22年世界陸上100m銀ブレイシー ドーピング違反で3年9ヵ月の資格停止処分 禁止薬物使用と居場所義務違反

米国アンチ・ドーピング機関(USADA)は11月10日までに、2022年オレゴン世界選手権100mで銀メダルを獲得したM.ブレイシーが、内部告発者の情報に基づく調査の結果、アンチ・ドーピング規則違反で45ヵ月(3年9ヵ月 […]

NEWS サイラス・ジュイ氏 デンソーランニングコーチ就任 インターハイ3000m障害2連覇や北海道マラソンV ドラマ「陸王」出演

2025.11.11

サイラス・ジュイ氏 デンソーランニングコーチ就任 インターハイ3000m障害2連覇や北海道マラソンV ドラマ「陸王」出演

デンソー女子陸上長距離部は11月10日、ランニングコーチにサイラス・ジュイ氏が就任したと発表した。 ケニア出身で39歳のジュイ氏。千葉・流経大柏高に、ジョセファト・ダビリ氏とともに留学生として来日した。インターハイ300 […]

NEWS ミズノが第102回箱根駅伝オフィシャルグッズの予約開始! 大会記念Tシャツなど全21種を12月下旬から順次販売

2025.11.11

ミズノが第102回箱根駅伝オフィシャルグッズの予約開始! 大会記念Tシャツなど全21種を12月下旬から順次販売

ミズノは11月11日、箱根駅伝のスポンサー契約に基づき、第102回箱根駅伝オフィシャルグッズ販売の予約を開始した。 第102回大会の箱根駅伝オフィシャルグッズは、毎年展開している大会記念Tシャツ、出場校のタスキをデザイン […]

NEWS WAライジングスター賞 男子は中長距離のコエチ、メハリー、セレムがノミネート

2025.11.11

WAライジングスター賞 男子は中長距離のコエチ、メハリー、セレムがノミネート

世界陸連(WA)は11月10日、ワールド・アスレティクス・アワード2025の「ライジングスター賞」の最終候補選手を発表した。 この賞はU20選手を対象とした最優秀賞で、15年には日本のサニブラウン・アブデル・ハキームが受 […]

NEWS 関西が1増4枠! 東海が1減 関東は最大枠で変わらず 来年の全日本大学駅伝地区出場枠決定

2025.11.10

関西が1増4枠! 東海が1減 関東は最大枠で変わらず 来年の全日本大学駅伝地区出場枠決定

日本学連は11月10日、11月2日に行われた第57回全日本大学駅伝の結果を受けて、来年予定する第58回大会の各地区学連の出場枠を発表した。 8つの地区学連にはそれぞれ1つの基本枠が与えられ、残りは大会の成績により、シード […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年11月号 (10月14日発売)

2025年11月号 (10月14日発売)

東京世界選手権 総特集
箱根駅伝予選会&全日本大学駅伝展望

page top