2025.06.13

安全性を追求しつつ、利用者を満足させる製品を提供
前編では、酸素ルームのパイオニアでもある日本気圧バルク工業の「O2Room®」がどうして多くの方から支持されるのかを、「安心・安全」というキーワードから紐解くとともに、大学など研究機関や医療機関とのつながり、さらにスポーツ界への導入の経緯などについて、日本気圧バルク工業の天野英紀代表取締役社長と同社のアンバサダーを務めるシドニー五輪女子マラソン金メダリストで元世界記録保持者の高橋尚子さんに語ってもらった。後編では、「O2Room®」の技術面の特徴や、同社のモノづくりの姿勢、取り組みなどについて紹介する。
加圧・減圧のスピードをチェックする高性能システムを採用
高橋 前編では、日本気圧バルク工業の酸素ルーム「O2Room®」について、安心・安全をテーマに、お話を聞かせていただきました。「O2Room®」の構造やシステム面でのポイント・特徴はどんなところでしょうか?
天野 特徴の一つが加圧および減圧のスピードチェックシステムです。加圧や減圧のスピードが速すぎると人体に大きな負荷をかけてしまいますが、当社の「O2Room®」は10段階にわたってそのスピードを確認するシステムを導入しています。時間的には、高気圧酸素ルームで1気圧から1.3気圧に上げるのに「10~12分」、低圧低酸素ルームで標高3000mの高地と同じ環境(0.7気圧)にするためには「12~15分」確保することを基準に設定しています。万が一、プログラムされたスピードを超えてしまうと自動的にシステムが停止する仕組みになっています。
加えて低圧低酸素ルームの気圧調整には、高気圧酸素ルームの気圧調整と同じく風を用いた「ブロワー式」を採用しており、低圧低酸素ルームにブロワー式を搭載する技術は弊社で特許を取得しています。
ブロワー式の加圧・減圧システムにより、標高1500mから2000mへ上るパターンや標高3000mから1000mに徐々に下るパターンなど実際に起伏のあるコースを走っているのと同じ環境を安心・安全に再現することができ、こうした高地トレーニングが平地に居ながらにして気軽に行える点も、駅伝などで活躍する実業団や大学のチームから信頼されている一因となっています。当社としては〝酸素の力〟を活用し、陸上の長距離で世界を席巻するアフリカ勢に追いつき、追い越す活躍を願うばかりです。
高橋 タイマー設定で気圧を変えることができるのはすごいですね。私が合宿を行っていたアメリカのボルダーにも標高1600mの高地から標高3500m以上の超高地などいろいろなコースがありました。
現在、陸上界ではリビングハイ、トレーニングローというトレーニング法を取り入れるトップ選手もいます。標高の高い場所で寝泊まりし、トレーニングは標高の低い場所で行うというものです。高地での練習ではスピードを上げることができないことで、それを解消する方法です。上がったり下がったりするには車を使っても移動には時間と手間がかかります。しかし、「O2Room®」があれば、場所を移動することなく同じ効果が得られるのはうれしいですね。
また、酸素の力でヘモグロビンを増やすなど血液状態を良くしておくことは、普段のトレーニングはもちろん、試合に向けても重要なポイントとなります。私も現役時代にヘモグロビンの数値が低く悩んだ時期がありました。以前、「O2Room®」に入る前と後でヘモグロビン値を測定したところ、30分ぐらい室内でジョギングをしていただけで、数値が1上がったことを覚えています(注。実際、「O2Room®」にはどのぐらいの時間、入っていられるのですか。
天野 通常は40~60分程度で効果が見込めますが、「O2Room®」の場合は連続使用も可能です。
注:へモグロビンは赤血球に含まれる赤い色素たんぱく質で、酸素を全身に運ぶ重要な役目を果たしており、減少すると貧血を起こす。ヘモグロビンの基準値は男性が14~18g/dl、女性は12~16g/dl。ランニング中の筋肉は大量の酸素を必要とするため、ヘモグロビンの数値が「1」上がることで酸素運搬能力をはじめとするパフォーマンスや体調に大きな好影響を与える。
万全のバックアップ体制で「安心・安全」を実現
高橋 「O2Room®」の構造や技術面で他社との違いは何かありますか?
天野 低圧低酸素ルームの場合、真空ポンプ式を取り入れている企業がありますが、当社の「O2Room®」は低圧低酸素ルームも高気圧酸素ルームと同じブロワー式を採用しています。
ブロワー式の場合、加圧も減圧も一般的な家電製品と同じ100ボルトの電流を使用でき、当社の低圧低酸素ルームは人体に無理な負担がかからぬよう、高地民族が住んでいる場所とほぼ同じ標高3000mの環境(0.7気圧)までに制限しています。
真空ポンプ方式の低圧低酸素ルームの場合は、200ボルトの電流を使ってピストンのシリンダを動かし、それが下がる時にバルブ(電磁弁)から空気を抜いて減圧するシステムとなります。
真空ポンプ式はバルブが1つなのに対し、ブロワー式のバルブは20以上あり、仮に1つのバルブが何らかの理由で動かなくなっても残りのバルブでカバーできるほか、緊急用の手動コックも設置。万が一停電などが起こった際も、自然に減圧するようになっており、万全のバックアップ体制を整えています。
これにより24時間継続して使用することも可能で、室内で快適に過ごすこともでき、活用の幅も広がっています。
高橋 予期せぬ事態にも対応できるよう、システムとしてもしっかりバックアップ体制が整っている点は安心できますね。
天野 また、酸素ルーム内はそれほど大きな空間ではないので、例えば低圧低酸素ルームで激しい運動をすると「使用者が吐き出す二酸化炭素(毎分約8ℓ)が室内に充満してしまうのでは?」と心配する声も聞かれます。二酸化炭素は比重が重く酸素ルームの下部に集まり、排気弁から外に排出される仕組みになっており、加えて内部にエアコンを装備できる空間なので、中に二酸化炭素が充満する心配はありません。
高橋 気圧をコントロールしつつ二酸化炭素を含め室温など室内環境も快適に保てるのは、使用する立場からすれば言うことなしです。さらに、室内にはテレビモニターなども設置できるので、試合時の動画などを見てトレーニングに役立てられるのはもちろんのこと、映画やドラマ、YouTube動画などを視聴しながらリラックスして過ごすことができるのも日本気圧バルク工業の「O2Room®」ならではですね。

標準的なO2Room®のブレッドタイプは〝R構造〟とたくさんの耐圧リブによって強度を高めている

むき出しの耐圧リブが気になるお客様には、デザインが自由自在に変えられる外装ボードを施すことをおすすめ
自社開発・自社生産の一貫体制であらゆるカスタマイズにも対応
高橋 安心・安全に関わるものとして、「自社開発・自社生産」にこだわっておられるとお聞きしています。
天野 当社では、自信を持って提供できる製品にするため製品開発は自社で行っています。生産自体も本社のある静岡県内の2つの工場および検品・出荷センターに集約。「自社開発・自社生産」を誇りとしています。
効率性を求めて生産を国内の下請け会社にお願いしたり、労働コストの安い海外に委ねるケースもありますが、当社では、作るものに対して我々がすべて責任を負える自信が持てるよう、販売だけでなく、製品の開発から資材となる鉄選び、生産に至るまでを自社で行う方針でこれまで取り組んできました。ですから「O2Room®」は、10年はもちろん、数十年にわたって利用できると自負しています。
工場内でも熟練の職人たちそれぞれが、作った製品に責任が持てるよう1台分の酸素ルームの鉄の加工や溶接は基本的に同じ人が1人で行う「責任生産性」を取っています。仕上がった後は担当者の屋号(名前)を刻印。責任も伴いますが、作った人のステイタスにもなると考えています。
高橋 屋号が入るなど作り手の顔が見え、その分、受け取る側の安心・安全感も高まりますね。さらに、構造面でも特徴があり、厳しい項目チェックなどもあるとお聞きしました。
天野 高気圧酸素ルームの場合、1.3気圧までに制限していても、部屋の内側から外側へ約3トンの重さがかかると言われています。業者によっては1.5気圧であったり、1.9気圧まで上げられる製品もありますが、とてつもない力が加わりますから、作りが脆弱な酸素ルームは気圧漏れが起きてしまいます。
当社ではそのようなことがないよう細心の注意を払って溶接し、連結部分のネジ穴がしっかり合っているかなど、きめ細かいところまで検品します。検品においては24項目のチェックポイントを確認するのですが、1人だけでなく複数人が同じチェックを行い、機械による数値データも駆使してあらゆる角度から細かく確認するのが伝統となっています。
1.3気圧の軽度高気圧酸素であっても全体的に1cmほどは膨張します。その力をうまく逃がすため、「O2Room®」には天井の両サイドに丸みを持たせた〝R構造〟を採用し、全体の形状は食パンが焼きあがった時のような「ブレッドタイプ」になっています。
また、当社の製品では高気圧酸素ルームなら外側、低圧低酸素ルームなら内側に耐圧リブ(ひだ)がいくつもついていますが、これは強度を高める重要な役割があります。外側にある耐圧リブはビジュアル的に好ましくないとおっしゃるお客様もいらっしゃいますが、耐圧リブがあるのとないのとでは強度が格段に異なります。
ビジュアルを気にされるお客様にはデザインが自由に選べる外装ボードで本体を覆うことができるオプションをお勧めしています。
自社開発・自社生産の一貫体制なので、オーダーメイドやカスタマイズサービスが可能です。お客様それぞれに事情があります。酸素ルームのサイズ、分割数、内装のカラーや材質、外装のカラーやデザインなどをお客様のご要望通りに製作できるのも弊社ならではとなります。

日本気圧バルク工業のモノづくりのこだわりに感心する高橋さんと日本気圧バルク工業のすべての営業スタッフが「健康気圧マスター」の資格を持つ〝気圧のプロ〟であることを強調する天野社長
企業の福利厚生の一環として休憩ルームなどにも設置
高橋 デザインなども選べて限られた場所に設置できるのは本当にありがたいですね。実業団や大学のチームにお邪魔しても部屋に限らず屋外などさまざまな場所に置かれているのを目にします。
スポーツや医療関係だけでなく、活用の幅も広がっているということですね。他にはどんなところで使用されていますか。
天野 企業の福利厚生の一環として休憩ルームに設置されているケースや、塾など教育関連での使用も増えてきています。
高橋 ストレス社会と言われる昨今、リフレッシュ、仕事や勉強の効率アップにも使われているということですね。40~60分で効果が出るということなので、昼休みなどにはちょうどいい時間で、有効活用することができますね。
天野 ストレスの要因となる交感神経と副交感神経のバランスを酸素ルームを使って整えることで、疲労回復や睡眠不足の解消などにも役立てられています。
高橋 安心・安全に対して、さまざまな取り組みを行っておられ、お客様からも絶大な信頼を得ておられますが、そこに至るまでで大変だったこと、特に力を入れてこられたことなどはありますか。
営業スタッフ全員が資格を持った〝気圧のプロ〟として活動
天野 ものづくりへの思いを社員全体で共有するという、いわゆるチームづくりですね。それには力を注いできました。お客様のことを一番に考え、部門、上司部下、経験年数などに関係なく、風通しよく意見が言い合える関係を重要視してきました。本社、工場、検品・出荷センターが近くにあることでそれも可能となります。
高橋 私もことあるごとに天野社長はじめ皆さんに接するにつけ、チーム一丸で情熱を持ってやっておられるのが伝わってきていました。
天野 製造部門はもちろんのこと、営業・販売においてもスタッフ全員が日本体力医学会や日本気圧メディカル協会に所属し、酸素や気圧に対する知識を深め、「健康気圧マスター」の資格(日本気圧メディカル協会が発行しているライセンス)を取得しているのも特徴となります。営業スタッフ全員が〝気圧のプロ〟であり、気圧に関して説明できる知識を持っており、それが他社との大きな違いとなります。
販売前の丁寧な説明はもちろんのこと、ご希望によっては納品後に使い方講習会や気圧に関する研修会も実施しています。私たちにとってお客様に提供する酸素ルームは我が子同然です。納品したら終わりではなく、納品してからお客様との本当のお付き合いが始まると言っても過言ではありません。
10年以上使用しているお客様からも「まったく問題ない」というお言葉をいただいており、こちらからも公表できる新たなエビデンスや情報が生じた時には随時共有するようにしています。
ご利用いただいているスポーツチームが大会で活躍したり、福利厚生用にご利用いただいている企業の業績アップにつながったことはもちろん、「体調が良くなった」、「よく眠れるようになった」、「ケガが早く治った」など、お客様から寄せられるそのような声が私たちの活力となっています。
高橋 製品の安心・安全はもとより、アフターサービスも充実されている。今回、いろいろお話を聞き、「O2Room®」が各方面から高い評価を得ている要因がよくわかりました。ありがとうございました。
天野 今後もお客様の期待に応えられる製品を提供できるように日々精進していきたいと考えています。

天野社長は現状の製品に満足せず、「お客様の期待に応えられる製品を提供できるように日々精進していきたい」と話している
構成:花木 雫、撮影:船越陽一郎
※この記事は『月刊陸上競技』2025年7月号にも掲載しています
【前編】O2Room®はどうして多くの方から支持されるのか 「安心・安全」をモットーとして確かな製品を追求する日本気圧バルク工業
安全性を追求しつつ、利用者を満足させる製品を提供
前編では、酸素ルームのパイオニアでもある日本気圧バルク工業の「O2Room®」がどうして多くの方から支持されるのかを、「安心・安全」というキーワードから紐解くとともに、大学など研究機関や医療機関とのつながり、さらにスポーツ界への導入の経緯などについて、日本気圧バルク工業の天野英紀代表取締役社長と同社のアンバサダーを務めるシドニー五輪女子マラソン金メダリストで元世界記録保持者の高橋尚子さんに語ってもらった。後編では、「O2Room®」の技術面の特徴や、同社のモノづくりの姿勢、取り組みなどについて紹介する。加圧・減圧のスピードをチェックする高性能システムを採用
高橋 前編では、日本気圧バルク工業の酸素ルーム「O2Room®」について、安心・安全をテーマに、お話を聞かせていただきました。「O2Room®」の構造やシステム面でのポイント・特徴はどんなところでしょうか? 天野 特徴の一つが加圧および減圧のスピードチェックシステムです。加圧や減圧のスピードが速すぎると人体に大きな負荷をかけてしまいますが、当社の「O2Room®」は10段階にわたってそのスピードを確認するシステムを導入しています。時間的には、高気圧酸素ルームで1気圧から1.3気圧に上げるのに「10~12分」、低圧低酸素ルームで標高3000mの高地と同じ環境(0.7気圧)にするためには「12~15分」確保することを基準に設定しています。万が一、プログラムされたスピードを超えてしまうと自動的にシステムが停止する仕組みになっています。 加えて低圧低酸素ルームの気圧調整には、高気圧酸素ルームの気圧調整と同じく風を用いた「ブロワー式」を採用しており、低圧低酸素ルームにブロワー式を搭載する技術は弊社で特許を取得しています。 ブロワー式の加圧・減圧システムにより、標高1500mから2000mへ上るパターンや標高3000mから1000mに徐々に下るパターンなど実際に起伏のあるコースを走っているのと同じ環境を安心・安全に再現することができ、こうした高地トレーニングが平地に居ながらにして気軽に行える点も、駅伝などで活躍する実業団や大学のチームから信頼されている一因となっています。当社としては〝酸素の力〟を活用し、陸上の長距離で世界を席巻するアフリカ勢に追いつき、追い越す活躍を願うばかりです。 高橋 タイマー設定で気圧を変えることができるのはすごいですね。私が合宿を行っていたアメリカのボルダーにも標高1600mの高地から標高3500m以上の超高地などいろいろなコースがありました。 現在、陸上界ではリビングハイ、トレーニングローというトレーニング法を取り入れるトップ選手もいます。標高の高い場所で寝泊まりし、トレーニングは標高の低い場所で行うというものです。高地での練習ではスピードを上げることができないことで、それを解消する方法です。上がったり下がったりするには車を使っても移動には時間と手間がかかります。しかし、「O2Room®」があれば、場所を移動することなく同じ効果が得られるのはうれしいですね。 また、酸素の力でヘモグロビンを増やすなど血液状態を良くしておくことは、普段のトレーニングはもちろん、試合に向けても重要なポイントとなります。私も現役時代にヘモグロビンの数値が低く悩んだ時期がありました。以前、「O2Room®」に入る前と後でヘモグロビン値を測定したところ、30分ぐらい室内でジョギングをしていただけで、数値が1上がったことを覚えています(注。実際、「O2Room®」にはどのぐらいの時間、入っていられるのですか。 天野 通常は40~60分程度で効果が見込めますが、「O2Room®」の場合は連続使用も可能です。 注:へモグロビンは赤血球に含まれる赤い色素たんぱく質で、酸素を全身に運ぶ重要な役目を果たしており、減少すると貧血を起こす。ヘモグロビンの基準値は男性が14~18g/dl、女性は12~16g/dl。ランニング中の筋肉は大量の酸素を必要とするため、ヘモグロビンの数値が「1」上がることで酸素運搬能力をはじめとするパフォーマンスや体調に大きな好影響を与える。
万全のバックアップ体制で「安心・安全」を実現
高橋 「O2Room®」の構造や技術面で他社との違いは何かありますか? 天野 低圧低酸素ルームの場合、真空ポンプ式を取り入れている企業がありますが、当社の「O2Room®」は低圧低酸素ルームも高気圧酸素ルームと同じブロワー式を採用しています。 ブロワー式の場合、加圧も減圧も一般的な家電製品と同じ100ボルトの電流を使用でき、当社の低圧低酸素ルームは人体に無理な負担がかからぬよう、高地民族が住んでいる場所とほぼ同じ標高3000mの環境(0.7気圧)までに制限しています。 真空ポンプ方式の低圧低酸素ルームの場合は、200ボルトの電流を使ってピストンのシリンダを動かし、それが下がる時にバルブ(電磁弁)から空気を抜いて減圧するシステムとなります。 真空ポンプ式はバルブが1つなのに対し、ブロワー式のバルブは20以上あり、仮に1つのバルブが何らかの理由で動かなくなっても残りのバルブでカバーできるほか、緊急用の手動コックも設置。万が一停電などが起こった際も、自然に減圧するようになっており、万全のバックアップ体制を整えています。 これにより24時間継続して使用することも可能で、室内で快適に過ごすこともでき、活用の幅も広がっています。 高橋 予期せぬ事態にも対応できるよう、システムとしてもしっかりバックアップ体制が整っている点は安心できますね。 天野 また、酸素ルーム内はそれほど大きな空間ではないので、例えば低圧低酸素ルームで激しい運動をすると「使用者が吐き出す二酸化炭素(毎分約8ℓ)が室内に充満してしまうのでは?」と心配する声も聞かれます。二酸化炭素は比重が重く酸素ルームの下部に集まり、排気弁から外に排出される仕組みになっており、加えて内部にエアコンを装備できる空間なので、中に二酸化炭素が充満する心配はありません。 高橋 気圧をコントロールしつつ二酸化炭素を含め室温など室内環境も快適に保てるのは、使用する立場からすれば言うことなしです。さらに、室内にはテレビモニターなども設置できるので、試合時の動画などを見てトレーニングに役立てられるのはもちろんのこと、映画やドラマ、YouTube動画などを視聴しながらリラックスして過ごすことができるのも日本気圧バルク工業の「O2Room®」ならではですね。 [caption id="attachment_173128" align="alignnone" width="800"]

自社開発・自社生産の一貫体制であらゆるカスタマイズにも対応
高橋 安心・安全に関わるものとして、「自社開発・自社生産」にこだわっておられるとお聞きしています。 天野 当社では、自信を持って提供できる製品にするため製品開発は自社で行っています。生産自体も本社のある静岡県内の2つの工場および検品・出荷センターに集約。「自社開発・自社生産」を誇りとしています。 効率性を求めて生産を国内の下請け会社にお願いしたり、労働コストの安い海外に委ねるケースもありますが、当社では、作るものに対して我々がすべて責任を負える自信が持てるよう、販売だけでなく、製品の開発から資材となる鉄選び、生産に至るまでを自社で行う方針でこれまで取り組んできました。ですから「O2Room®」は、10年はもちろん、数十年にわたって利用できると自負しています。 工場内でも熟練の職人たちそれぞれが、作った製品に責任が持てるよう1台分の酸素ルームの鉄の加工や溶接は基本的に同じ人が1人で行う「責任生産性」を取っています。仕上がった後は担当者の屋号(名前)を刻印。責任も伴いますが、作った人のステイタスにもなると考えています。 高橋 屋号が入るなど作り手の顔が見え、その分、受け取る側の安心・安全感も高まりますね。さらに、構造面でも特徴があり、厳しい項目チェックなどもあるとお聞きしました。 天野 高気圧酸素ルームの場合、1.3気圧までに制限していても、部屋の内側から外側へ約3トンの重さがかかると言われています。業者によっては1.5気圧であったり、1.9気圧まで上げられる製品もありますが、とてつもない力が加わりますから、作りが脆弱な酸素ルームは気圧漏れが起きてしまいます。 当社ではそのようなことがないよう細心の注意を払って溶接し、連結部分のネジ穴がしっかり合っているかなど、きめ細かいところまで検品します。検品においては24項目のチェックポイントを確認するのですが、1人だけでなく複数人が同じチェックを行い、機械による数値データも駆使してあらゆる角度から細かく確認するのが伝統となっています。 1.3気圧の軽度高気圧酸素であっても全体的に1cmほどは膨張します。その力をうまく逃がすため、「O2Room®」には天井の両サイドに丸みを持たせた〝R構造〟を採用し、全体の形状は食パンが焼きあがった時のような「ブレッドタイプ」になっています。 また、当社の製品では高気圧酸素ルームなら外側、低圧低酸素ルームなら内側に耐圧リブ(ひだ)がいくつもついていますが、これは強度を高める重要な役割があります。外側にある耐圧リブはビジュアル的に好ましくないとおっしゃるお客様もいらっしゃいますが、耐圧リブがあるのとないのとでは強度が格段に異なります。 ビジュアルを気にされるお客様にはデザインが自由に選べる外装ボードで本体を覆うことができるオプションをお勧めしています。 自社開発・自社生産の一貫体制なので、オーダーメイドやカスタマイズサービスが可能です。お客様それぞれに事情があります。酸素ルームのサイズ、分割数、内装のカラーや材質、外装のカラーやデザインなどをお客様のご要望通りに製作できるのも弊社ならではとなります。 [caption id="attachment_173131" align="alignnone" width="800"]
企業の福利厚生の一環として休憩ルームなどにも設置
高橋 デザインなども選べて限られた場所に設置できるのは本当にありがたいですね。実業団や大学のチームにお邪魔しても部屋に限らず屋外などさまざまな場所に置かれているのを目にします。 スポーツや医療関係だけでなく、活用の幅も広がっているということですね。他にはどんなところで使用されていますか。 天野 企業の福利厚生の一環として休憩ルームに設置されているケースや、塾など教育関連での使用も増えてきています。 高橋 ストレス社会と言われる昨今、リフレッシュ、仕事や勉強の効率アップにも使われているということですね。40~60分で効果が出るということなので、昼休みなどにはちょうどいい時間で、有効活用することができますね。 天野 ストレスの要因となる交感神経と副交感神経のバランスを酸素ルームを使って整えることで、疲労回復や睡眠不足の解消などにも役立てられています。 高橋 安心・安全に対して、さまざまな取り組みを行っておられ、お客様からも絶大な信頼を得ておられますが、そこに至るまでで大変だったこと、特に力を入れてこられたことなどはありますか。営業スタッフ全員が資格を持った〝気圧のプロ〟として活動
天野 ものづくりへの思いを社員全体で共有するという、いわゆるチームづくりですね。それには力を注いできました。お客様のことを一番に考え、部門、上司部下、経験年数などに関係なく、風通しよく意見が言い合える関係を重要視してきました。本社、工場、検品・出荷センターが近くにあることでそれも可能となります。 高橋 私もことあるごとに天野社長はじめ皆さんに接するにつけ、チーム一丸で情熱を持ってやっておられるのが伝わってきていました。 天野 製造部門はもちろんのこと、営業・販売においてもスタッフ全員が日本体力医学会や日本気圧メディカル協会に所属し、酸素や気圧に対する知識を深め、「健康気圧マスター」の資格(日本気圧メディカル協会が発行しているライセンス)を取得しているのも特徴となります。営業スタッフ全員が〝気圧のプロ〟であり、気圧に関して説明できる知識を持っており、それが他社との大きな違いとなります。 販売前の丁寧な説明はもちろんのこと、ご希望によっては納品後に使い方講習会や気圧に関する研修会も実施しています。私たちにとってお客様に提供する酸素ルームは我が子同然です。納品したら終わりではなく、納品してからお客様との本当のお付き合いが始まると言っても過言ではありません。 10年以上使用しているお客様からも「まったく問題ない」というお言葉をいただいており、こちらからも公表できる新たなエビデンスや情報が生じた時には随時共有するようにしています。 ご利用いただいているスポーツチームが大会で活躍したり、福利厚生用にご利用いただいている企業の業績アップにつながったことはもちろん、「体調が良くなった」、「よく眠れるようになった」、「ケガが早く治った」など、お客様から寄せられるそのような声が私たちの活力となっています。 高橋 製品の安心・安全はもとより、アフターサービスも充実されている。今回、いろいろお話を聞き、「O2Room®」が各方面から高い評価を得ている要因がよくわかりました。ありがとうございました。 天野 今後もお客様の期待に応えられる製品を提供できるように日々精進していきたいと考えています。 [caption id="attachment_173137" align="alignnone" width="800"]
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